2019年7月15日 (月)

日韓経済戦争(2)(No.356)

 

2013年から朴槿恵韓国前大統領は外遊した20カ国以上の全ての国に日本に対して非難決議や、非難宣言をしようと働きかけ「告げ口外交」と言われた。しかし応じた国は皆無だった。国の代表であれば国益を考えてビジネスの話をしたほうが余程韓国の利益になったと思う。戦時中に起こった事の責任者に対する非難や賠償請求だとしても、七十数年前の事なので責任者はほとんど死んでいるし、会社も別なものになっている。徴用工訴訟がきっかけとなり、今回の日韓経済戦争が始まったと言われている。この訴訟を行っている95歳のイ・チェンシクさん(95)は「私のせいで大変なことになったのではないか」と述べている。自分の行っている訴訟が国を経済危機に追い込むかもしれないほどの大問題になっていると知れば、通常の感覚の人間なら訴訟を断念しそうだが、韓国人の考え方は違うのだろうか。

 

日本は韓国に侮辱されっぱなしであり、不愉快極まりない。戦後生まれの我々は日本人であるというだけで、我々が生まれる前に起こったことで侮辱され続けられなければならないのか。正直そろそろ我々日本人は怒りを爆発させてもよい時期が来ているのではないか。ここで日本政府による韓国向け半導体材料輸出管理の厳格化が行われ、多くの日本人は侮辱を受け続けた事に対する反撃として拍手喝采をおくったものと思う。世界の中では日本も韓国も小さな国であり、米中の2大経済大国に対抗するには、本来日韓が協力して経済発展を目指すべきなのだが、韓国が日本を侮辱し反日政策をとる。それなら日本も反日政策を止めさせるために反撃をするしかない。

 

日韓経済戦争に勝つためには、韓国の通貨が弱いということに注目すべきだ。韓国は1997年と2008に通貨危機に見舞われている。韓国の銀行は信用度が低いため、信用度の高い日本の銀行に保証してもらい、貿易に伴う信用状の発行をしてもらっている。日本の銀行が保証を止めれば、米ドル決済ができず貿易に支障を来す。政府系の韓国産業銀行、中小企業銀行、韓国輸出入銀行の経営状態は、悪化説が伝えられている。

 

今回の日韓経済戦争は1997年の韓国通貨危機を再来させるかもしれないと言われる。1997年外国人が株を売り、資本逃避が起きた。日本や米国との関係が悪化し韓国はドルを貸してもらえなかった。結果としてIMFの支援を受けた。IMFは構造改革と称し、金融、貿易の保護政策をすべて撤廃させた。緊縮政策で失業者が激増した。しかし逆に経済の国際競争力は格段に高まり、サムスンや現代自動車などが登場した。

 

2008年の韓国通貨危機で韓国は日本に救済を求め日韓通貨スワップ協定を成立させ、韓国経済を救済したのだが韓国側からは「恩着せがましい」と日本を侮辱する声が政府やマスコミ、ネット市民の声として報道された。つまり恩を仇で返してきた。

 

韓国は要するに、カネが足りなくなったらアメリカや日本に借りれば良いから、カネを使いまくる。だから日本の数倍の速度で発展し、間もなく一人当たり名目GDPで日本を上回る。政府がカネを使えば使うほどカネが国民に渡り国民は金持ちになる。その正反対に日本は外貨が有り余っているのに、緊縮政策を続けるから国民も企業も金欠病となりどんどん貧乏になっていく。これからは韓国をお手本に「追いつき、追い越せ」というキャッチが必要になるかもしれない。韓国並みに外貨不足になるまで政府がカネを使うとしたら、大変な規模の減税と歳出拡大が必要となるし、それをやれば韓国以上に経済成長は可能だ。日本が貧乏になり、韓国に侮辱し続けられてもあなたは耐えられますか。日本が韓国よりずっと貧乏な国となることを屈辱的と思わないですか。そのときでも韓国はもっと金持ちになりたいとして日本にカネを借りに来るだろう。韓国と経済戦争をするのならまず大規模な減税と財政拡大をして日本国民にカネを渡し日本を豊かな国にすべきである。

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2019年7月14日 (日)

日韓経済戦争(No.355)

7月4日日本政府により韓国向け半導体素材の輸出規制強化が発動された。これにより日韓経済戦争が勃発したのだろうか。日本のマスコミはほぼ日本の措置を妥当とする論調ではあるが、一部に政府批判もある。韓国内でどのような報道がなされているのか正確には分からないが、日本の一部のマスコミの政府批判を引用し、日本のマスコミでさえ日本政府の措置を批判しているのに、なぜ文在寅政権を批判するのかという文在寅政権を擁護する発言もあるようだ。つまり日本国民は日本政府の措置が妥当だとし政府を支持し韓国を非難する一方で、韓国では韓国政府を支持し日本を非難する。両国共政府の支持率は高い。これでは100年前だったら武力衝突に発展したかもしれない。

第一次世界大戦に敗れたドイツは支払い不可能な額の賠償金を請求された。戦争に負けたのだからそのくらいの賠償金は当然だろうと戦勝国は主張したが、無理な要求にドイツ国民はナチ党を台頭させ、終戦の14年後にはモラトリアムを宣言し賠償金の支払いを拒否、その後第二次世界大戦で決着をつけることとなった。しかし戦争は誰にも良い結果をもたらさないと分かった結果、二度と過ちを繰り返さないようEUが生まれることとなった。韓国は日本に対し違法と知りながら何度でも賠償金を払い続けさせたいのだろうが、そのような試みは失敗することを理解してもらうしかない。

事の発端は徴用工訴訟問題である。第二次世界大戦中に日本の統治下にあった朝鮮および中国から労働者が日本で働いていた。給料は日本のほうが遥かに高かったので多くの労働者が応募し働きに来た。戦場で身を危険に晒すよりはるかによかったに違いない。戦後、日韓は1965年基本条約と請求権協定を締結し個人補償まで含め補償問題は最終的に終止符が打たれた。そのとき支払われた3億ドルには徴用工に対する補償も含まれており、そのことは2005年に韓国政府も認めているのだから、徴用工に支払わなければならないのは韓国政府だ。

韓国には日本に対してはどんなに悪いことをしても許されると思っている国民が多くいるようだ。反日強行派の文在寅大統領もそう考えているようだから、何度賠償金を払ってもまた請求してくる。第一次世界大戦後のドイツに対する戦勝国の要求に似ている。ナチ党を真似ろとは言わないが、際限なく続く不条理な要求に対してはきっぱり拒否し、強く反撃するのがよい。七十数年前の労働に対する補償はすでに終わっている。そんな補償を今更要求してくること自体馬鹿げている。シベリア抑留では日本人は約57万5千人が厳寒の地で強制労働させられ、約5万5千人が死亡している。賠償請求ならこちらの方が余程理に叶っている。

今回の日韓経済戦争での日本の戦術はトランプのやり方に似ているという人もいる。しかしトランプ流でやるなら韓国への経済制裁だけに終わらせてはいけない。なぜなら、今回の制裁(政府は制裁ではないと説明)により日本企業もダメージを受ける。日本経済は落ち込みが激しい。米中貿易戦争で落ち込み、消費増税でも落ち込む。これに加え日韓経済戦争が加わっては目も当てられない。トランプ流にやるなら、大規模な減税と大型景気対策を並行して行うことだ。韓国の経済成長率は2.5%程度であるが、日本の成長率は0.5%程度に過ぎない。日韓経済戦争となれば、日韓両者の成長率を低めてしまうから韓国はまだしも、日本はほとんどゼロ成長になって悲惨な結果になる。ここで思い切った積極財政で経済を支えるなら日本経済は勢いを取り戻す。経済戦争を仕掛けるのであれば、まず韓国の産業の一部を壊し、日本がそれを奪い取るくらいの作戦を考えるのがよい。財政政策で何が可能かを専門家を交えて検討すべきだ。そもそも韓国の発展は日本から高度な技術を違法に盗んで達成された結果だ。やられたらやり返すという意気込みがないと日韓経済戦争には勝てない。

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2019年7月 1日 (月)

解放主義社会への道、中国経済から学ぼう(No.354)

解放主義社会とは、人が労働・貧困・失業から解放される社会である。それは、国民が生活に必要な物資を生産する手段を国が確保し、その生産に人の労働がほとんど不要になった社会である。それはAI/ロボットなどを利用し、労働生産性を究極まで高めることにより実現できる。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2018/12/post-36a9.html
残念ながら日本の労働生産性は低く2017年の時間当たり労働生産性は世界で20位で
アメリカは72ドル、ドイツは69ドル、フランスは68ドル、イタリアは55ドル、イギリスは54ドルだが日本は48ドルとなっている。日本の労働生産性が低いのは中小企業が多い事が原因の一つになっている。1995年頃は日本の一人当たりのGDPは世界トップレベルだったが労働生産性はやはり先進国では最低の世界20位であった。これは労働生産性が購買力平価で計算されているため為替の変動で大きく影響を受けるわけではないためである。

上記サイトで解放主義社会においては国有企業が重要な役割を果たすことを説明した。その意味では我々は中国経済の事を知っておくべきである。もちろん、政治体制は最悪で学ぶべきことは何もない。中国の国有企業のうち100%中央政府の出資で成り立っている企業は128社、それ以外の中小規模の国有企業は12万社ある。中国全体で民間企業を含めた企業数は約4000万社あるので数だけ考えると国有企業の割合は少ない。しかし2018年の中国の売上上位10企業のうち、8社が国有企業である。例えば「国家电网有限公司(ステートグリッド)」の売上高はトヨタの1.3倍もある。また中国工商銀行は総資産約4兆米ドルの世界最大の銀行である。

国有企業を持つメリットは大きい。私企業であればその企業の利益だけのために活動するのだが、国有企業は国全体の利益のために活動できる。例えば人間の右手、左手、右足、左足がそれぞれ勝手な振る舞いをしたら、人間はほとんど何もできなくなるがその4つが統制が取れた動きをすればまともな行動ができるのと同じだ。また国から巨額の財政援助を受けられ、倒産のリスクがないので思い切った設備投資ができる。次世代産業技術の覇権争いをするには補助金をたっぷり受けた国有企業が圧倒的に有利になる。このことに危機感を覚えたトランプ米国大統領は不公正だと主張し、経済制裁を科している。

国有企業が利益を出せばそれを国民のために使うこともできるが、民間企業の場合その利益の一部を国民のために使おうとすると税金を課すしかないが、企業はあの手この手を使って税を逃れようとするし、場合によっては海外に本社を移す可能性もある。国有企業が今の中国の発展を支えているのは間違いない。

中小の私企業をたくさん抱える日本は今後AI/ロボットを導入する際、多くの困難を伴う。第一に開発には巨額の資金が必要になるが、私企業はそのような資金を持っておらず、大きく遅れをとる。第二にAI/ロボットが導入され、労働が代替されるようになるとき、労働者をどうするのかが問題になるから急激な導入ができない。その点中国の国有企業であれば、国策として労働者の移動が容易になる。これらの問題を放置しておくと日本経済は没落するばかりであり、解放主義社会への移行がいつまでも進まない。解放主義社会は究極の大きな政府である。財政規律ばかり気にしていると国は貧しくなり国民を苦しめるだけである。財政政策の大転換が求められる。

 

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2019年6月17日 (月)

AIとポスト資本主義:未来社会はどこまでも発展を続ける社会(No.353)

『人間と環境』7(2016)に吉野敏行氏が『AI(人工知能)とポスト資本主義』という論文を発表している。ところで筆者はAIが発達すると解放主義社会に移行すると主張した」。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2018/12/post-36a9.html

少なくとも、吉野氏と筆者はAIが発展した後の未来社会を予測しようとしていることは共通であり、吉野氏の論文は大変興味深い。ただし吉野氏の考える未来社会は私のものとは大きく異なっている。

吉野氏は水野和夫氏の主張『資本主義の死期が近づいている』を引用し、先進国では「ゼロ金利・ゼロ成長・ゼロインフレ」が定着していることを「資本主義の死」と表現している。そして社会の実現すべき方向性は「定常型社会=持続可能な社会」でありこれが資本主義を終焉させることのようである。これはローマ・クラブの『成長の限界』に影響を強く受けている。つまり経済成長は国の累積債務や貧富格差の拡大、環境悪化という惨事をもたらすとの主張である。このような主張に対して反論する。

【反論1】
ゼロ金利・ゼロ成長・ゼロインフレになる理由はインターネットの登場に見られるような大きな技術進歩があり実質的な供給力が増加したのにも拘わらず、需要拡大策をせず緊縮財政政策を続けているからである。積極財政・減税を大胆に行えば、需要が伸び、経済が成長し、インフレ率が上がってくる。それに伴って当然金利も上昇する。これが正常な経済の姿である。積極財政で国の累積債務は増大するが、GDPはそれ以上に増大するので、債務のGDP比は逆に減少する。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-bd0c.html
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2017/05/post-4257.html

【反論2】
経済成長が必ずしも貧富格差の拡大をもたらすとは限らない。筆者の主張する解放主義社会では、ロボットしかいない会社は国有化し、その利益を国民に還元するから格差は縮小に向かう。

【反論3】
社会の実現すべき方向性は「定常型社会=持続可能な社会」ではない。人間はどの時代でも常に「もっと幸せで、もっと快適な生活」を求め続けるから、定常型社会にはならない。例えば「もっと長生きしたい、いつまでも健康でいたい」という願望を叶えるために、医学の研究はどこまでも進み、事故の防止・公害の防止の取り組みは未来永劫続いていく。新しい生活空間、もっと優雅な住居を得るための努力も続き、地球外にまで出て行こうとするだろう。果てしない探究心で科学はどこまでも進歩する。決して定常型社会に収束することはあり得ない。

【反論4】
経済の拡大・発展は環境悪化を意味せず、むしろ環境を改善する。かつては「東京の空は灰色だった」が今は青空だ。現在はインドなどの空気の汚染が深刻だが経済が発展すると改善する。イタイイタイ病など公害で悩まされていたのは過去の話で、技術の進歩、経済の発展で公害対策が進んでいる。AI/ロボットが労働を代替できる時代には、環境対策は優先して行われなければならない。技術革新で太陽光発電・風力発電による電力価格が大きく低下し蓄電の技術の進歩に伴って最終的には化石燃料も原発も不要となる。結果として日本はエネルギー自給率を高める。

 

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2019年6月10日 (月)

AIの発達で資本主義が崩壊し解放主義社会へと移行する: (No.352)

このタイトルで筆者は吉野守氏と共に6月7日に人工知能学会(新潟)で発表させて頂いた(4Rin1-07)。解放主義社会に関して詳細は以下を参照して下さい。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2018/12/post-36a9.html
AI/ロボットが雇用を奪ったとき、人は失業する。それに対応するためにベーシックインカムとして国民全員に同額の給料を配るという案には2つの問題点がある。第一の問題点は、どんな人にも同一給料を払うのであれば、頑張る人は頑張らない人と同じ給料では、頑張る人は満足せず、労働意欲が失われるということ。第二の問題点は余りにも巨額の財源が必要となるということである。

そこで我々は解放主義社会を提案する。ロボットしかいない企業は国有化する。従業員がいない会社は巨額の収入が約束されるから、国は巨額の利益を得る。その収益で希望する国民全員を公務員として雇い、それぞれの国民がやりたい仕事がやれるよう職を用意してやるということである。国民全員がやりたいことがやれるような世界が理想社会と考える。

学会では大変多くの方が質問をして下さった。一番多くの方が心配しておられたのは、企業の国有化である。
質問1 企業が国有化をいやがったらどうするか。
回答  大部分の大企業は株式を公開しており、今でも日銀は刷ったお金で株を年間6兆
    円も買っている。このまま買い進めばいつの間にか国有化される。本当に必要にな
    るまで国は「物言わぬ株主」として株を買い続ける。
質問2 株式公開をしない会社はどうするか。
回答  100%の企業を国有化する必要はないし、私企業の立ち上げも許す。ただし、そ
のような未上場の会社が国を支配するだけの富を蓄えたら、規制することも検討
する。
質問3 国有化したら人は働かなくなり競争も無くなり経済が発展しなくなるのではない
か。
回答  中国を見れば沢山の国有企業が活躍して経済が発展している。ロボットしかいな
い会社が国有化されたからと言ってロボットが働かなくなることはない。公務
員は働かないというわけでもない。国立大学の研究者は世界の中で厳しい競争を
しているわけであり、研究・開発は公務員であっても進む。国としてはそれを助け
るための十分な環境を整えてやり成果が上がれば十分な報酬を払うのが重要であ
る。
質問4 ベーシックインカムではうまくいかないのか。
回答  もし会社で社長も平社員もパートもバイトも全員が同じ給料だったとしたら、頑
張る社員は不満でやる気を無くす。巨額の財源を調達しにくいという問題もある。
質問5 給料に差をつけるとして、どうやって給料を決めるか。
回答  ビッグデータを集め、AIが「国民がどうすれば最も幸せになるか」を判断して決
める。どうすれば幸せになるのかは進化生物学に基づいて検討すればよい。
質問6 ベーシックインカムの実験結果はどうなっているか。
回答  ほとんどの例では限られた人に限られた期間行われており、これでは本当の意味
のベーシックインカムの実験とは言えない。唯一ナウル共和国ではリン鉱石の輸
出で莫大な収入があり、国民は永遠に高額の収入が約束されると信じた。結果とし
て国民は労働を忘れ国民の90%が失業し、肥満や糖尿病に悩まされることとな
った。しかも国の巨額の収入は一部の人達に私物化されることが多かった。

ご清聴有り難うございました。

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2019年6月 3日 (月)

それでも10月の消費増税は止めた方がよい(No.351)

消費増税で景気が落ち込むのを阻止するための様々な対策はすでに終わっているから今更消費増税の中止・延期はできないと政府は主張するが、国の経済の事を真剣に考えていたら、この時期に消費増税などできないはずである。米中貿易戦争はもちろんの事、国内の景気悪化も著しい。消費者態度指数も8か月連続で下がったし、昨年から下落傾向が止まらない。1~3月の実質GDPの速報値もプラスであったものの、個人消費も設備投資も輸入も輸出も減少したのだ。内需が弱く輸入が得に大きく減少したため、実質GDPはプラスにはなったが、全体で見れば縮小経済そのものだ。米中貿易戦争で景気が落ち込んだら、金利を下げたり、財政出動をしたりで世界各国は対策を行うだろうが、日本は消費増税で景気が大きく落ち込んだら、果たして何ができるだろうか。金利は下げられないし、財政を拡大しようものなら、消費増税が失敗だった事を認めることになるから嫌うだろう。そうなれば日本経済は恐ろしい底なし沼へと沈没してしまう。

そんな日本への助け船はMMT理論(現代貨幣理論)だ。自国通貨を持つ国は、債務返済に充てる貨幣を無限に発行できるため、物価の急上昇がない限り、財政赤字が大きくなっても問題ないという趣旨である。多くのマスコミ・政治家・エコノミストがこれまで言ってきたこととは正反対の主張だから反論したい傾向にあるように思える。5月31日の日経新聞はキャサリン・マンとウィレム・ブイターの反論を載せたが翌日には宮尾龍蔵東大教授のコメントがありこちらはそれほど一方的な批判ではない。

MMTを解説する際にいつも出てくるのがノーベル経済学賞受賞者のクルーグマンによるMMT批判だ。しかし本当にクルーグマンはMMTに批判的なのだろうか。2008年の朝日新聞の記事で、債務の増大を恐れず財政を拡大せよと主張している。

【金融政策が影響力を失い、財政政策しか残っていないというのは、「不思議の国のアリス」の世界だ。この世界では、貯蓄を高めることが悪いことで、健全な財政も悪いこと。逆に完全に無駄な政府支出が善いこと。「あべこべの世界」だ。ここには長くいたくない。「奇妙な経済学」を永遠に続けたくない。】

次は2019年2月25日の発言の要旨である。
【MMTに関して言えば、基本的には賛成するし、財政赤字でガタガタ言う人達ほど破壊的な悪影響を与えるものではない。しかし彼らが私のような通常のケインジアンに対して標準的なマクロ経済学がすべて間違えていると主張するのであれば、反論しなければならない。】

長期のデフレ経済は国を貧乏にするのでどこの国も絶対に避けようとするのだが、日本の愚かな政治家は日本をデフレ地獄中に沈めてしまっている。表向きはデフレ脱却を目指しているのだが、実際はインフレ対策=デフレ悪化政策を続けている。デフレはクルーグマンのいうように「あべこべの世界」である。通常のインフレ経済なら当然の政策が悪い政策になる。デフレの際の悪い政策を次に並べてみる。

小さい政府、国の借金を減らす試み、財政規律を守ること、増税

企業の生産性を上げれば生産力が増大し供給過剰となりデフレは悪化する。だから生産性を下げればよいかと言うとそれは違う。一刻も早く大規模財政拡大をしてデフレから脱却してから生産性を上げていけばよい。その意味でもこの時期での増税は絶対に行うべきでない。

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