2020年10月10日 (土)

公共投資の経済効果を日経のモデルで調べた(No.430)

景気対策の定番は公共事業なので、公共事業費を増額したときにどのような影響がでるかを日経NEEDS日本経済モデル MACRO80を使い、2020年9月に日経が発表したデータを使って計算した。公共投資と言っても何をするかによって技術者や業者が対応できるかどうか分からないのだが、ここはそれが対応できたと仮定し、2020Q4(10月~12月)から予算を通常の予算より一定額増加させて計算した。その増加額は0兆円、10兆円、20兆円、30兆円の4種類とした。

まず名目GDPを図1で示す。

図1
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2020年のQ2(4月~6月)にはコロナ禍で名目GDPが約40兆円押し下げられている。図1と前々論文(No.428))の図2を比較すると、国民全員に約20万円を給付するのと公共投資を10兆円増額するのとで、ほぼGDP押し上げ効果は同じということとなる。つまり効率だけ考えると公共投資のほうが約2倍効率がよい。しかし公共投資増額による雇用者報酬の増加率は僅かであり、国民の収入増を考えれば現金給付のほうがはるかによい。次に実質GDPを考える。

図2
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前論文(No.429)と前々論文(No.428)の実質GDPを比べるとそれぞれの押し上げ効果を比較できる。2023Q1で実質GDPが540~550兆円にあるのは、
①一人当たり20万円を国民全員に給付
②消費税率を5%にする
③公共投資を10兆円増額
となる。政府の年間の負担額は①が25兆円、②が11兆円、③が10兆円であるから、一見すると公共投資が最も効率的にGDPを押し上げることができるように見える。それでは一人当たりの雇用者報酬を比べてみる。2021Q1~2021Q4の合計を比べる。
①471万円
②472万円
③473万円
やはり公共投資が最も給料を押し上げることが分かる。しかし例えば父親だけ働いている親子4人家族を考えれば、現金給付金を80万円もらっているわけで、①は551万円となるから断トツでトップとなる。日本は長期にわたって実質賃金は下がり続けている一方で企業収益は伸びている。つまり企業にお金は溜まるが国民にはお金は行かない。AI/ロボットが労働を代替するようになれば、ますますその傾向が強まり、何らかの対策が必要となる。その意味では現金給付は重要さを増す。このことに関しては小野盛司(2019)を参照して頂きたい。次に民間最終消費のグラフを示す。


図3
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公共投資を増やしても消費はあまり伸びない。賃金の上昇が僅かだからだ。前論文(No429)で示したように消費減税でジワジワ消費は伸びるがそれも限定的だ。何しろコロナ禍による消費減少が余りにも大きかったために、元の水準に戻るのは時間がかかる。それに比べ論文No.428で示したように現金給付は消費を力強く押し上げる。ただし、これはコロナが収束して人々が自由に娯楽を楽しめる状態になることが大前提だ。いくら現金給付をしても、家に閉じこもっているだけではやれることは限られているから。


図4

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図4で分かるように,公共投資を増やしてもそれほど物価を押し上げない。それは雇用者報酬の増加が限定的だからである。

図5
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財政支出が拡大すれば、それは国民へと流れる。お金を国民が持てば住宅にも投資する。バブルの後、高騰する地価を下げるため1990年頃からバブル潰しが始まった。「年収の5倍でマイホームが買えるように」という目標で、1990年には公定歩合を6%に上げ土地を買いにくくした。カネが無ければマイホームは買えないから地価は下がりマイホームの値段も下がった。しかし新築住宅着工件数も下がっていった。地価を下げればマイホームが買いやすくなるだろうという政治家の思惑は外れた。むしろ国民の可処分所得を増やした方が、多くの国民がマイホームを買えただろう。

図6
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この図よりデフレギャップをプラスにしようと思えば10兆円では足りずそれ以上公共投資を増やすことが必要になることが分かる。ここまで3種類の景気刺激策を検討してきたが、明かになったのはデフレ脱却には、すさまじい景気刺激策が必要なことだ。このことはすでに小野盛司(2003)で詳しく説明されていたし、ここでの試算と整合的である。


図7

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これだけ大規模な景気刺激策をするのにも係わらず、長期金利はほとんど上がりそうもない。1990年には長期金利は8%台に達していたが、需要不足とカネあまりの時代の今、金利は上がりそうもない。景気の下支えのため日銀は無制限に国債を買うと言っており、また長期金利は制御可能とも言っているので、金利は簡単には上がらない。つまり国債の暴落はあり得ない。


図8
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このグラフと前論文(No.429)と前々論文(No.428)を比べると
①一人当たり40万円を国民全員に給付
②消費税率を0%にする
③公共投資を20兆円増額
が似た押し上げ効果を持つことが分かる。

図9
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このグラフと前論文(No.429)と前々論文(No.428)を比べると消費減税の場合、税率を変えても設備投資はあまり変わらないが、公共投資の場合は投資額を変えるとかなり設備投資額は変わってくることが分かる。ただしこの3つの場合に共通して言えることは、強烈な景気刺激策を行っても、20201Qのレベルに戻るのは2年近く掛かるということ。


図10
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例えば前論文(No.429)と前々論文(No.428)を単純に比べると、雇用者報酬の増加率は公共投資20兆円増加に相当するのは消費税率0%である。しかしながら消費税率0%だと、物価は消費税分だけ下がっているのだから、消費者はその分は利益を得ている。国民にとっての利益は消費税が無くなった分に賃金の上昇を合わせたものである。一方で公共投資増額はインフラ整備という意味で国民は利益を得る。現金給付であるが、これは受け取った現金に加え賃金も上昇するのだから国民にとっての利益は大きい。企業経営者とそれ以外の国民で、富の分配を考えたとき、現金給付の場合が最もそれ以外の国民が多くの分配を受けるようになる。

図11
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公共投資の増額は比較的容易に株価を押し上げるように見えるが、消費税減税の場合は例えば税率0%の場合消費税分がすべての物の値段から引かれる。株価も同様であり、本来は「実質」で比べなければならないとうことで、その分プラスして考えなければならない。コロナ禍、米国大統領選、東京オリンピックなどの結果次第で大きく予測から外れる可能性がある。

文献
小野盛司(2019)『資本主義から解放主義へ』三省堂書店
小野盛司(2003)『これでいける日本経済復活論 シミュレーションで明らかになった驚きの事実』 ナビ出版

この試算に協力して下さいました荒井潤氏と山下元氏に感謝いたします。
本試算では日経新聞社の承認を得てNEEDS日本経済モデルMACROQ79を使用しましたが、その推計結果に関しては日本経済新聞社が承認したものではありません。

 

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2020年10月 7日 (水)

消費減税の効果を日経NEEDS日本経済モデルを使って調べた(No.429)

以前に同様のタイトルで掲載した。

http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2020/06/post-350bb1.html

今回はデータを新しくし、大幅に内容を充実させた。

 

ここでは消費税減税が経済に及ぼす影響を日経新聞社のNEEDS日本経済モデルMACROQ80を使って2020年9月に発表されたデータを使って計算してみた。ただし税率変更は2020Q4からとする。

 

図1

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消費減税をすると消費税でかさ上げされていた分がなくなり、その分が名目GDPを落ち込ませる。更にコロナ禍による経済の落ち込みが加わるので図のような急激な名目GDPの落ち込みがある。しかし消費減税は可処分所得を増やし消費を増大させ名目GDPを押し上げる。

図2

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これで分かるように実質GDPは税率が10%のままだと2年後になっても2年前の水準に戻らない。税率を8%にまで下げるとやっと2年前の水準を超え、税率0%にすると2年後の実質GDPはやっと560兆円に届くだけである。図2と前の論文(No.428)の図1を比べれば、消費税率を0%にすることは、全国民に40万円を毎年給付することに相当することが分かる。コロナショックから立ち直るには最低限この程度の刺激策は必須となる。

消費の伸びが景気を回復させる。図3に実質民間最終消費を示した。これを前の論文(No.428)の図3と比べると、消費税率を0%にすることは、全国民に40万円を毎年給付することに相当することが確かめられる。

図3

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図4

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図4で分かるように消費税率を下げると、景気は押し上げられるが必ず物価は下がり、デフレとなる。安倍政権では消費増税に随分熱心だったが、消費税によって名目GDPをかさ上げし、これは経済を犠牲にしてでもデフレから脱却しようとしていたということか。図4より消費税率を3年間0%にしてもまだ完全にデフレ脱却ができたとは言えない。このことは消費減税でデフレ脱却は無理だということだ。図5で示したように消費減税で住宅投資は伸びる。

図5

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図5と前の論文(No.428)の図5を比較すれば、やはり消費税率を0%にすることは全国民に毎年40万円の給付をすることに相当することが分かる。

図6

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図7

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図7で示されたように、消費減税で景気刺激をすれば金利は僅かに上昇するが、心配しなければならないほど上昇することはない。

図8

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図8で示されたように、例えば消費税率を0%にすると企業に大きな利益をもたらす。

図9

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図9で示されたように実質民間設備投資はコロナショックで大きく落ち込む。消費減税はあまり大きな押し上げ効果は持たない。図34で雇用者報酬がどれだけ消費減税で押し上げられるかを示した。押し上げ率は小さいし、献金給付の図17と比べても更に小さい。もちろん、国民にとっては少ない賃金上昇率であっても、消費減税による物価の下落というメリットはある。失われた20年で続いた悪夢のデフレが更に続くという面では、消費マインドに悪い影響があるかもしれない。

図10

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雇用者報酬の増加率は大きくない。ここでは税率が10%のままだった場合に比べどれだけ増加するかを示した。

図11

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図11で示したように株価は上昇し、株を保有する人にはメリットはある。しかし現金配布(前論文No.428)の図11に比べれば株価上昇は限定的である。

図12

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税率が10%のままだと2021年のQ2には失業率は3.88%まで増加する。2023Q1になっても3.4%までしか改善しない。税率を0%にすれば、2023年Q1の失業率は2.69%まで下がる。

表1 2020年2月のデータで試算

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 これは2020年の1月から消費税率を変えた場合の試算である。この時期の日経データにはコロナ禍対策の自粛・休業要請で発生する消費の落ち込みは考慮に入っていない。消費税率0%の場合と5%の場合を計算し、10%の場合と比べた。2020年(年度ではなく暦年である)を考えて見ると名目GDPは消費税率が10%のままだと556兆円、5%に下げた場合は552兆円、0%に下げると547兆円にまで下がる。消費減税をすると消費が伸びて経済が活性化しGDPが伸びると普通の人は考える。しかし消費税というもの、例えば10%の税率だと物の値段が10%上乗せされ見かけの取引額は増える。だから見かけのGDPは増える。安倍前首相は経済発展させることに失敗した。本当の経済規模を見るには実質GDPに注目しなければならずそれを見ればGDPはちゃんと拡大しているかどうか確認できる。消費税率0%にしたとき実質GDPの押し上げ効果は初年度で2.84%、2年目は2年間の累積の押し上げ効果は5.16%となる。

 税率を0%にしてしまうと、元に戻すときに10%もの税率アップになるので大変だという意見がある。しかし消費税率0%はずっと続けて良い。このまま続けたらハイパーインフレになるという人がるかもしれない。とんでもない誤解である。0%にした後2年後でもまだ物価水準は5.57%PT押し下げられたままである。つまり消費税を廃止したら消費は拡大するが、物価にはほとんど影響がない。国債利回りは2年後にやっと0.2%にまで上昇しマイナス金利からの脱却に成功する。ただし金融機関の経営を立て直す目的にはまだまだ金利は低すぎる。

 2年後民間企業経常利益は55%も増加するが一人当たりの雇用者報酬は2.7%増加するだけだ。つまり利益が出ても企業は賃金を上昇させず、内部留保にしておくのである。このため国民を豊かにするためには国が直接国民に現金を配るのが良い。

 消費税減税を行うと代替財源は何かと質問される。国債を発行すれば十分だ。後で日銀がお金を刷って買い上げればよいだけであり、刷ったお金を使えば将来世代へのツケにはならない。そんな上手い話があるものかと疑う人もいる。しかし経済を拡大させるためには通貨を増やす必要があり、それを成長通貨という。今まで政府は成長通貨の供給を怠ったため日本経済が発展しなくなった。今後は適切なレベルの通貨発行を継続的に行うべきである。

 表2 2020年4月のデータで試算

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 表3 2020年6月のデータで試算

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 ただし、表3では税率変更は2020Q2から行って計算している。名目GDP(暦年)は2020年2月の日経の予測に比べて4月は3.8%.6月には6.8%落ち込んでいる。これは消費税率を0%に下げて景気を下支えしてもまだ足りないほどの大きな落ち込みであり余程思い切った景気刺激策でないと乗り切れない。特に観光がどの程度復活するのかで状況は変わってくるが観光が盛んになると感染を広げることとなる。輸出入は大きく落ち込んでおり、消費税減税をしても取り戻せない。コロナ禍により法人企業経常利益は30%以上下落する。例えば消費税率を0%に下げたらこの落ち込みは1年余りで取り返すことができる。

 4月発表のデータでは1年目で考えると消費税率10%のときは消費税収は24.8兆円で、消費税率を0%にすると税収合計では23.0兆円の減収となる。2年目には10%のとき消費税収は26.6兆円だが、消費税率0%にしたら税収合計は19.7兆円の減収になるだけだ。つまり消費税率を下げると法人税や消費税等が伸びるのである程度挽回できることを示している。

 コロナ禍対策で巨額の財政出動が行われているが、それによりハイパーインフレも、国債暴落も、円の暴落も起こらないし、そのようなことを心配する人もいない。ハイパーインフレや国債暴落、円暴落などの言葉を使って、積極財政に猛反対していた人達は完全に沈黙した。彼らはオオカミ少年であったことが証明されたのだから今こそ自らの間違いを認め謝罪をすべきである。日本よりケタ違いに巨額の財政出動を行っている米国も同様だ。

  

この試算に協力して下さいました荒井潤氏と山下元氏に感謝いたします。

本試算では日経新聞社の承認を得てNEEDS日本経済モデルMACROQ79を使用しましたが、その推計結果に関しては日本経済新聞社が承認したものではありません。

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2020年10月 4日 (日)

【改訂版】政府がお金を刷って国民に配った時の経済を日経のモデルで調べた(No.428)

以前に同様の内容で書いた。これは日経新聞社が作成したNEEDS日本経済モデルMACRO79で計算したものであった。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2020/05/post-9b9dee.html
この内容に関して日経新聞社と様々な議論を行った。その議論を参考にして改良されたと思われるMACRO80が日経が出されたので、それを使い最新の経済データを使って計算し直した。

コロナ禍による日本経済の深刻な落ち込みに対する政府の対策が極めて重要になる。4月30日に令和2年度の第1次補正予算が成立し、1人一律10万円の特別定額給付金の支給が決定した。この決定には多くの国民は賛成している。国は国民に使用目的を限定せずにお金を配る。少数ではあるがこの政策に不満・不安を持つ人はいる。その理由を列挙してみよう。
①コロナ禍で収入が減った人を中心にもっと額を増やして欲しかった。
②このお金は国債発行が財源になっており、国の借金だから将来国に返さなければならない。
③激しいインフレになるのではないか。
④国債が暴落し、金利が急騰するのではないか。
⑤円が信認を失い暴落するのではないか。
⑥どうせ給付金は貯金に回るだけで意味がない。

この政策はベーシックインカムが将来本格的に実行されるときのための貴重なデータを提供する。『文春オンライン』では、緊急アンケートとして「新型コロナ緊急対策『1人10万円給付』に賛成? 反対?」を実施。5日間で総数905票、20代~80代から回答が得られた。結果は賛成が731票(80.8%)、反対が174票(19.2%)と圧倒的に賛成が多かった。つまり②~⑤についてはあまり議論になっていない。それなら、もっと支給金額を増やしたらどうなるのか気になる。そんなことをしたら大変なことになるのではないかと心配する人がいて、その理由は②~⑤だ。しかしよく考えて欲しい。本当にこれらの事が起きるのか、起きるとしたらどのタイミングか。あたかも「禁断の実」であるかのように捉え、食べたら死んでしまうと思っているのかもしれない。しかしこれは誰も確かめたことはない。もっと多くの現金を支給したとき、日本国民にとって大変な富をもたらし、コロナ禍で大打撃を受けた経済をV字回復させることができるという可能性はないのだろうか。

国の債務残高が増えると金利が急騰し国債が暴落するとの主張は1982年にも見られた。当時国債残高は今の10分の1しかなかったのだが、財政非常事態宣言が出された。しかし国債残高は増加し続けたが金利は逆に下がり続けた。このことから国の債務残高が増えれば金利が急騰するという説は現在の日本には当てはまらない。また激しいインフレになるという説も、これだけ債務残高が増えても激しいインフレになっておらずやはり当てはまらない。

一般に言われている説が本当に正しいのかを検証するために我々は日経NEEDS日本経済モデルを使って計算してみた。政府がもっと大規模に現金を給付する場合を考える。給付金額を年間40万円、80万円、120万円とし、全く給付しない場合と比べる。ただし、全く給付しないと言ってもすでに給付が始まっている10万円は給付が完了したものとする。給付は2020Q3から始まるとし給付金額は年4回に分け、Q1(1月~3月)、Q2(4月~6月)、Q3(7月~9月)、Q4(10月~12月)の4回配り、その合計額が上記の金額(40万円、80万円、120万円)になるようにし2023Q1まで支給は続けるものとして計算した。まず実質GDPと名目GDPを示す。計算の基礎となっているのが、日経新聞社が2020年9月に出したデータであり、これには第1次と第2次の補正予算の効果はすでに反映されている。

図1

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図2

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120万円の場合、2022Q4と2023Q1のデータは示していないが、これはこのモデルでは計算不能ということである。ここですぐ気付くのは2020Q2で落ち込んでいることだ。これはコロナ禍で自粛させられたために経済活動が停滞したことが原因となっている。ただし、この見積もりは9月に日経が発表したデータを使った。0円の場合はコロナ禍による落ち込みからなかなか脱却できないでいる。支給金額を増やしていくとV字回復が鮮明になってくる。支給額が増えれば増えるほどGDPは拡大していく。120万円を配る案では、1年半後にはGDPは600兆円を超し、夢の世界の実現である。国民に現金を支給するとなぜGDPが増大するのかと言えば、それは消費が伸びるからでありどの程度伸びるかを次に示す。

図3

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【注】120万円の場合2022Q4と2023Q1は計算不能。

このように、国民は支給されたお金を使うので消費が伸びることが分かる。ここで気になるのはインフレが起きるのではないかということだ。もしそうならお金をもらっても何にもならない。以下に消費者物価指数をグラフで示す。
 

図4

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【注】120万円の場合2022Q4と2023Q1は計算不能。

このグラフで分かることは物価の値上がりは最初の2年間は少ないということだ。120万円のケースでさえ物価指数はやっと2年後にやっと2ポイント上昇するだけであり年平均1%のインフレ率となる。まとまったお金を受け取れる国民にとっては嬉しい。消費は伸びるが物価は上がらないということは、需要の伸びに対し供給は対応できるということだ。ただし供給を大幅に増やす事は容易ではないと思われる分野もある。例えば住宅投資だ。例えば5人世帯の場合支給されるので年間600万円であり、2年間で1200万円だ。それだけ収入が増えれば改築、増築、新築の需要は一気に増えることが考えられる。住宅投資のグラフは以下に示す。

図5
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【注】120万円の場合2022Q4と2023Q1は計算不能。


120万円の場合、2022Q3では投資額は急増している。このような爆発的な需要増加に対応するのは至難の業であり注文してから長時間待つことになるに違いない。現在建築業界では深刻な人手不足である。低賃金で長時間労働で肉体的な負担も大きく危険を伴うこともあるため若い人が入ってこない。そこで外国人を入れて補充しようとしている。しかしコロナ禍のためスムーズにそれが進むかどうか分からない。建材の需要も急増するだろうし、住宅建設には多くの熟練工が必要となり、短期間で養成は無理だから注文してもそれなりに待たされることになるだろう。AI/ロボットを導入して省力化することも試みるだろう。需要が急増すれば賃金を上げなければ人は確保できないから建設コストは上昇するに違いない。

ただし全ての業種でこのような事態になるとは思えない。日本は慢性的な需要不足が続いている。次にGDPギャップを示す。このグラフが示しているのは、もし支給金額がゼロならGDPギャップがずっとマイナスであり需要不足が続くということだ。かなりの額を支給し続けてもインフレにならないということは、供給に余裕があるとうことだし、需要が増えれば製造ラインを増やしたり輸入を増やしたりして対応できるということだ。

図6

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【注】120万円の場合2022Q4と2023Q1は計算不能。

 


次に長期金利(10年物国債利回り)を示す。金利は非常に低いレベルに留まっていることが分かる。2018年度の内部留保は463兆円にも達しておりコロナ禍であっても資金不足にはならないかもしれない。日銀は市場に大量に資金を提供しており、ここで計算した範囲内では国債の暴落(金利の暴騰)はあり得ない事が分かった。

図7

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【注】120万円の場合2022Q4と2023Q1は計算不能。

消費や投資が拡大することから経済は活性化し企業の利益は大きく拡大する。

図8
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【注】120万円の場合2022Q4と2023Q1は計算不能。

 


これで分かるように現金給付は個人に大きな利益があるだけでなく企業にも大きな利益をもたらす。例えば2022Q3で120万円の場合を見ると経常利益は0円の場合の約2.6倍にもなる。そのような巨額の利益が発生するのなら設備投資も巨額になると考えるのが自然である。

図9
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【注】120万円の場合2022Q4と2023Q1は計算不能。

 

しかしこのグラフで分かるように設備投資は2022Q3で120万円の場合0円の場合に比べて約18%増えただけだ。国内需要が大きく伸びているのだからもっと設備投資が伸びてもよいかと思うのだがそうなっていないようだ。企業業績が好調なのだから当然株価は上昇する。

企業の利益が拡大すると雇用者報酬も上昇するはずだから、グラフにしてみよう。グラフからわかるように雇用者報酬の上昇率は経常利益の上昇率よりはるかに小さい。

図10

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【注】120万円の場合2022Q4と2023Q1は計算不能。

2022Q3においては企業の経常利益は0円に比べて120万円の場合26兆円多くなっている。設備投資においてはその差は4兆円であり、雇用者報酬ではその差は4兆円である。つまり企業に大きな利益が出ても雇用者の手に渡るのは僅かだと分かる。この傾向は例えば公共投資や減税で景気刺激を行っても労働者の所得の増加額は僅かであることはすでに示した。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2020/04/post-ebaa09.html

しかし、例えば120万円を国民全体に給付する場合、給付自体ですでに年間150兆円の現金が国民に渡っているのであり、それに加え4兆円が雇用者報酬の増加という形で国民に渡る。その意味で国民を豊かにするという観点からは、現金給付という方法が最良の方法である。

図11

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【注】120万円の場合2022Q4と2023Q1は計算不能。


企業の業績が向上すると株価は大きく上昇する。しかし1989年につけた最高値38,915円には届かない。それでも2022Q3頃には120万円給付の場合株式時価総額は1000兆円に近づく。株価上昇で家計も企業も資産残高を大きく増やす。

ここで見たようにコロナ禍による経済の落ち込みは極めて深刻であり、戦後経験したことがないほどの規模である。これに対する対策は想像を絶するほどの大規模なものでなければならないことをここで示した。毎月全国民に10万円を2年間給付するのが適切な規模であることをこの試算は示唆している。もちろん特に困っている人々に重点的に給付するということも重要だが、大規模で行わなければならないことを忘れないで頂きたい。

最後に失業率を示す。2020年8月の完全失業率は3.0%まで上昇したとの発表があった。日経の予想だと2021Q1の失業率は3.88%まで上昇し2023Q1になっても3.4%までしか下がらない。しかし毎年80万円給付する場合だと2023Q1には失業率は2.52%まで下がる。

図12
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【注】120万円の場合2022Q4と2023Q1は計算不能。


ところで120万円給付の場合、このモデルでは2022Q4以降計算不能になる。そこで何が起きるかを断定的に言うことはできない。取りあえず120万円給付を1年間続ければこのモデルがどの程度正確に予測できるのかが判定でき、その後の経済データを更に正確に予測できるようになると思われる。2022Q3で大変な事になりそうだから、給付はすべきではないということにはならない。給付から1~2年は素晴らしい結果が予想され、他の先進国並の経済成長が期待できるのだからこの給付は検討すべきである。

 

 

 

 

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2020年9月29日 (火)

もし政府が全国民に毎月10万円を給付することにしたら(No.427)

これは仮定の話だが、もし政府が全国民に毎月10万円給付することにしたら何が起きるだろう。自分の年収が120万円も増えるのだから大喜びの人は多いだろう。生活苦で自殺を考えていた人も救われる。生活に困っていなかった人も、旅行するかもしれないし、それまで買いたかったものを買うかもしれない。親子5人暮らしの家庭では毎月50万円の収入増だからインパクトは非常に大きい。しかしそんなうまい話はあるわけがないと思う人がいるかもしれない。ハイパーインフレになると言ったり、国債や円の暴落があるといったりする人もいるだろう。

先日特別定額給付金として10万円が国民全員に給付された。これで何か悪いことが起きたという話は聞いていないし、むしろ多くの国民を救ったのは明かだ。管総理は10万円の再給付を考えているとの報道がある。では全国民に対し毎月10万円の給付を続けたら何が起きるのだろうか。この事に関しては日経新聞社のNEEDS日本経済モデルを使って試算を行った。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2020/05/post-9b9dee.html
2~3年間10万円給付をした場合を計算してみたが、ハイパーインフレも国債や円の暴落もなく、経済が穏やかに拡大することが示された。景気回復で給料も上がる。これは夢のような世界であるが、完璧に実現可能である。

もしこのような現金給付がなかったなら、3年間程度は経済が低迷し、居酒屋、飲食店、カラオケ店、キャバクラ、クラブ、イベントを主催する会社、旅行業者、アパレル関連業など、廃業・倒産が相次ぐ。それより月10万円現金給付の方がずっとよいと思わないか。そんなお金を政府は持っていないだろうと思っている人がいるのだろうか。国は自国の通貨をいくらでも発行する権利を持っているので、月10万円給付を続けることが可能だ。実際は政府が国債を発行し金融機関が買い、その後その国債を日銀がお金を刷って金融機関から買う。外国からクレームがあるのではないかと心配する人がいるのかもしれないが、これは日本国の固有の権利でありどの国も犯すことができない。そんなうまい話があるならどの国もお金をどんどん刷って国民に配れば国は豊かになると考えるかもしれない。今の時期、コロナで経済が落ち込んでいる国は多いのである程度成功する可能性がある。しかし経常赤字が続いていて外国からの借金が膨らんでいる国は、消費が拡大すると外国からの借金が返せなくなるのでは無いかと多くの人が考えるようになり、その国の通貨を急いで手放そうとする人が増え、その国に投資されている海外資金がその国から逃げ出し、外国からの借金返済不能になり通貨危機になる可能性がある。

幸いにして日本は外国から借金をしているどころか、多額のカネを外国に貸しているので、そうなる可能性が最も低い国である。つまり29年連続で対外純資産世界一なのだ。世界一お金を貯め使わない国民だと言っても自慢にはならないから、そろそろみんなで使いましょうよというのが今回の毎月10万円給付構想であり日本だからこそできるのだ。国民がこれを使えば消費が伸び、企業は大喜びで生産を増やし新しい時代に向けての投資ができ、世界的な競争力も増してくる。20年以上没落が続く日本企業が復活の兆しが見えてくる。我々の次世代の活躍出来る社会を築くためには、今消費を伸ばすことが必須条件となる。お金の一部は株式にも流れ、株価を上昇させそれが企業の投資意欲に拍車を掛ける。今の状況を放置すれば、韓国は間もなく日本より豊かな国になる。日本人のプライドを大切にするのであれば、思い切って毎月10万円給付を実行し、せめて韓国並みあるいはそれ以上の経済成長率に戻すべきである。

 

 

 

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2020年9月13日 (日)

一人当たりのGDPで韓国が日本を抜いてもいいのですか(No.426)

国の豊かさを比べるには、GDPそのものではなく一人当たりのGDPを使う。1994年頃日本の一人当たりのGDPは世界一だと内閣府が発表し、日本はそんなに豊かな国なんだと思っていた。ところが小泉首相が「痛みに耐えよ」と言いだし、日本がどんどん貧乏になり始め2006年には18位にまで下がった。我々の前の世代あるいはその前の世代の人達が頑張って世界一豊かな国にしてしまったのに、間違えた経済政策のお陰で日本が一気に貧乏な国へと変わっていくのは見るに堪えなかった。我々は仲間と金を出し合って2007年10月26日朝日新聞の1面を使って意見広告を出し「日本はここまで貧乏になった」と訴え、このタイトルで本も出した。

これを出してからマスコミの論調は一気に変わった。それまで好景気と構造改革をばかり言っていた論調が、このままではいけないという論調に変わった。これ以上日本が貧乏になるのを防ぐには積極財政がよいというNEEDS日本経済モデルを使ったシミュレーションの結果も示したが財政政策を転換させることはできなかった。日本を貧乏にする経済政策はアベノミクスでも変わっておらず、遂に日本が韓国よりも貧しい国になる日が来たようだ。

IMFの世界の1人当たり名目GDP 国別ランキングによれば2018年の日本は39,304US$で26位、韓国は33,320US%で28位なので辛うじてまだ日本の方が上だ。しかし猛烈な勢いで発展し続ける韓国に対し、日本は世界最低レベルの経済成長率を過去20年以上続けているからこのままだと近く韓国が日本を抜き去るのは確実だ。2019年は1999年に比べ何倍になっているか日韓で比較してみよう。

       日本      韓国
名目GDP  7%増     221%増
実質GDP  20%増    121%増
財政支出   25%増    328%増
国の借金   1.94倍   7.95倍

名目GDPの推移を見ると韓国は日本を成長率において圧倒していて今後もこの傾向は変わりそうもない。

             出所:IMF
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実質GDPでも韓国は日本を圧倒している。
                     出所:IMF
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日本経済の停滞に関しては様々な識者が様々な屁理屈を使って「説明」をしているが、それらが全部嘘だということが日韓の比較で分かる。
経済は成熟すると成長しなくなる?? ⇒ 韓国は成長を続けている
少子高齢化だから発展しない??  ⇒ 韓国は日本以上に少子高齢化が進んでいる
韓国は猛スピードで成長しているが、日本は恐ろしく停滞している。経済成長するかどうかは財政支出を拡大するかどうかで決まっている。韓国は日本の10倍以上の速度で財政支出を拡大しておりそれが高い経済成長を支えている。財政を拡大すれば、国民にそれだけ多くお金を渡すことになり、需要を拡大し経済を拡大する。財政を拡大すれば財政赤字が拡大し国に借金が増え将来世代へのツケを増やすと考え日本は財政を拡大せず、消費増税などを行って国民からお金を取り上げる。しかし結果として20年間で国に借金は日本は1.94倍になったが、韓国は7.95倍になっている。韓国のように借金が増えるのを恐れず、財政を拡大したら、日本も高い成長が期待できる。

日韓の歳出の推移
                      出所:IMF
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韓国は日本とは比べものにならないほどの速度で財政支出を増やしている。その金が国民に渡り、その資金を使って国民は経済活動を活発化させる。今後もこの傾向は続くのだから、これは勝負にならない。財政拡大なしでは日本人がどう頑張っても韓国のように経済発展をさせることはできない。これは簡単な話だ。日本も韓国のように財政を拡大すれば韓国と同じように経済成長が可能になる。しかしそれを猛烈に反対する人達によって日本の政治もマスコミも支配されている。彼らによれば、財政赤字が拡大したら、財政は破綻しハイパーインフレになり国債は暴落し円の信認は失われるという。こういった考えで緊縮財政が続けられ、結果として国民からカネを取り上げることとなり、日本は世界最低レベルの経済成長率が続いている。

韓国が快調に経済成長を続けていられるのは、財政を拡大し続けているためだ。日本は国の借金が増える事を「次世代へのツケを残す」と言ってひどく嫌がる。1999年から2019年までで国の借金がどれだけ増えたかを日本と韓国で比べてみると日本は1.94倍になったのに対し韓国は7.94倍になっている。つまり国の借金を韓国は日本の約4倍の速度で増やしている。日本の場合は国の借金と言っても自国通貨での借金なので、いつでも全額日本銀行がお金を刷って返済可能だ。韓国は外国からの借金も多くて返済に苦労している。1997年に返済不能となり韓国政府はIMFに救済を申請している。2008年にも韓国通貨危機が起きたが日本、中国、米国が通貨スワップ協定で助けた。韓国は日本に感謝するどころか「恩着せがましい」と日本を侮辱した。

カネのやりくりで苦労している韓国に比べ、日本はたっぷり外貨を貯め込んでいるので、日本のほうが韓国より金持ちと思うかもしれない。しかし韓国はカネを国民が積極的に使うから経済が発展するのだが、日本はカネが動かないから外貨も貯まるとも言えるしカネは動かなければ経済は発展しない。

やはり一人当たりのGDPで韓国に抜かれたくなかったら、韓国並みに財政赤字を拡大すべきだ。

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2020年9月 9日 (水)

アベノミクスは日本を貧しくした(No.425)

2020年9月14日に自民党総裁選が行われる。菅義偉官房長官、岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長の3者が立候補している。これは次期総理大臣を選ぶ選挙であり、米国の大統領選に対比されるべきものだろう。米国では1年以上前から候補者選びが進んでおり候補者達が様々な政治課題に関し活発に議論しそれを元に国民が大統領を選ぶ。これこそが民主主義だ。一方で今回の自民党総裁選では菅義偉が立候補する前に多くの派閥の支持を得て管氏の当選が決まったようだ。これは国民が全く関与できない世界であり、ほとんどの国会議員も知らないうちに当選者は決まってしまった。これは民主主義ではなく、どこかの独裁国家の手法である。緊急事態と言いながら国会も超長期休暇に入っていて、政府は国民の声を聞く機会を持とうとしない。自民党総裁選は数少ない国民の声を聞く機会だったはずだ。せめてこの3候補に次のような日本の課題について議論して欲しかった。
次は2007年に朝日新聞に出した意見広告である。
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当時は小泉政権で景気がよいと宣伝されていたのだが、それは違う。実は一人当たりのGDPは世界で1位から18位までに転落した。緊急に財政を拡大しGDPを伸ばせと主張した。

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書籍としても2007年に出版している。当時、日本は世界の中で急激に没落しつつあったが、アベノミクスはその没落を継続しただけだ。

安倍氏が総裁辞任を表明した今、アベノミクスを評価する人もいるし、アベノミクスの初期には筆者も支持していた。しかし2回の消費増税もあり、結局アベノミクスは金融緩和だけであり、財政拡大を行ったから日本が更に貧乏になった。次の問題は次期総裁候補の皆さんとのディスカッションで是非取り上げて頂きたい。
①本当にアベノミクスでよかったのか。 
           アベノミクス発足時          現在
実質GDP   498兆円(10~12月期) 485兆円(4~6月期)
実質賃金指数         104.5          99.9
国・地方の長期債務残高    932兆円        1182兆円
成長率に関しては日本より韓国のほうが遥かに高い。間もなく一人当たりのGDPで韓国は日本を追い越す。日本は先進国から発展途上国に格下げされたのではないか。失われた20年は続いている。日本の成長率が低いことを示す。
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つまり日本経済はアベノミクスの前から世界最低水準の経済成長率だったし、アベノミクスもそれが続いた。次期政権はどん底の経済を救って欲しい。

②コロナ対応は正しかったか。
(1)3月2日からの全国の小中学校の一斉休校は正しかったのか。受けを狙っただけでは。感染者が出た学校だけ休校にすべきだったのでは??
(2)アベノマスクは必要なかったのでは?このお金を使ったら1千万人程度のPCR検査ができたのではないか。
(3)PCR検査数は世界最低レベルでよいのか。
希望者も受けられない。受けられないまま死んだ人もいる。韓国が日本にPCRキットの無償提供を検討していたのに、日本政府は提供を受けなかった。例えば、台湾、中国、韓国、タイなどのように検査をちゃんとやっている国は経済が発展している。PCR検査数が少ない日本のGDPは年率28.1%減、と過去最大の落ち込みになった。
(4)GoToキャンペーンは感染が収まってからすべきではないか。
(5)4月7日に緊急事態宣言が出され、5月25日に解除されたが解除が早すぎたので
はないか。また感染者が増えたので再度緊急事態宣言を出すべきではないか。感染者が減ったときに徹底してPCR検査をしていたら、感染はほぼ収束できていたのではないか。
(6)緊急事態宣言の出し方に問題はないか?
  (a)業種を絞り、地域を絞った出し方のほうがよかったのでは?
  (b)5月25日に完全に解除するのでなく、クラスターを発生させやすい業種は解
除すべきではなかったのでは?
    (c)新宿に巨大クラスターが発生してたのだから、徹底して検査・隔離すべきだっ
たのでは?
  (d)休業を要請した所はしっかり補償をすべきだったのでは?

ところでこれから日本経済を復活させるには次のような方法が考えられる。
【1】全国民に一定額のお金を配り続ける
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2020/05/post-9b9dee.html
1年間の給付額が40万円、80万円、120万円の3つの場合を給付額0万円の場合と比べた。
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【2】消費減税を行う
消費税率を0%、5%、8%、10%の4通りで計算する。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2020/03/post-055de9.html
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【3】公共投資を増やす

http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2020/03/post-2ef90f.html

公共投資を増やす。増加額は年間10兆円、20兆円、30兆円とし、増やさない場合と比べた。

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これら3つの方法は財政を拡大することによって日本経済を復活させる。これらを行う事により、激しいインフレが起きるのではないか、国債が暴落するのではないかなどという疑問に対しては、NEEDS日本経済モデルのシミュレーションによって完全に否定された。

この試算に協力して下さいました荒井潤氏と山下元氏に感謝いたします。
本試算では日経新聞社の承認を得てNEEDS日本経済モデルMACROQ79を使用しましたが、その推計結果に関しては日本経済新聞社が承認したものではありません。

 

 

 

 

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