2019年11月13日 (水)

資本主義社会から解放主義社会へ(N0.376)

(1)未来社会では労働はAI/ロボットが代替する

文部科学省の科学技術・学術政策研究所が専門家5300人への調査をした。過去予測は7割が実現しており、信頼性は高い。それによると
2029年  人間を代替する農業ロボット
2031年  無人で自律航行する商船
2033年  空飛ぶ車
2034年  完全な自動運転車(レベル5)
などとなっている。労働が次第にAI/ロボットで代替されてくる。将来、財・サービスの提供に人間が不要になったらどのような社会が人間にとって最も快適なのだろうか。それを考えるには「人は何のために生きるのか」「幸福とは何か」を考えることから始めなければならない。

(2)人は何のために生きるのか

時々人生がいやになることがある。世界最低水準の経済成長率で失われた20年と言われる日本経済。なんとか復活させようと努力している最中に、その努力をぶち壊すのが消費増税だ。このように、自分の思うように行かないとき「人は何のために生きるのか」と考え始める。不幸があったとき、毎日やりたくないことをやっているとき、将来のことを考えたときにもそれを考える。人の生きる目的が分からなければ、これからどのような社会システムを構築していけば良いのか分からない。

かつて筆者が大学生だった頃、心理学の講義で、フロイトによる無意識の世界の話を聞いた。本人が意識していなくても、意味不明の行動をとることがある。実は人間には心の奥底に無意識の世界があって、それによって行動が支配されている。詳しく分析するとその無意識の世界は性欲に関係していたというもの。フロイト学派は何でも性欲に結びつけようとした。それはおかしい。人間に限らず、どの生物であっても性欲ばかりに行動が支配されていたらその種は生き延びられなかったはずだ。現存している生物の行動は、どれも種の保存と整合的でなくてはならないはずだ。それが進化論の結論だ。ただし進化は遺伝子によって引き起こされるのだから遺伝子という言葉で説明しようとすると厳密には「種の保存」ではなく若干の修正を受けるのだが、それでも種の保存に整合的でない行動をする生物は生き延びられるわけがない。自分の遺伝子をできるだけ多く残そうとする努力が進化を引き起こすのだが、結果として生き残った生物は種の保存の能力に優れた種だったと言うことができる。

そのことから人の生きる目的は他の生物と同様に種の保存であるという仮説を立ててみよう。今から54年前、筆者のこの説に対し心理学者の宮城音弥は次々と厳しい質問をしてきた。詳細は拙書
『人間の行動を進化論』(1999)ナビ出版
を参照していただきたいのだが、その中の一部を紹介する。
【質問】なぜ人は自殺するのか
【回答】人は重い病気を患ったときとか、事業に失敗したときとか、自分はもはや種の保存に役立たないと感じたとき自殺する。死ぬことで種の保存に貢献する。
【質問】なぜ戦争をするのか。
【回答】人は太古の昔、数十人単位のグループで暮らしていた。時々干ばつなどで食糧が足りなくなったとき、隣の部落から略奪するしか生き延びる方法がないときがあった。このようなとき、生き延びたのは、知能が高く戦いの技術に優れ、仲間と協力して戦える個体が揃っていたグループだったから、そのような形質が進化で獲得された。
【質問】芸術とは何か
【回答】例えばミロのヴィーナスを見て美しいと感じる。それは裸の女性の像であり、生殖に関係するから種の保存に関係している。ただし、対象物は石であり本当は関係ない。だから次のように仮定する。人間は行動を制御するものを持っていて、それをディスクリミネーターと名付ける。種の保存にプラスになる行動ではディスクリミネーターはプラスになり、種の保存にマイナスの行動にはディスクリミネーターはマイナスになる。人間はディスクリミネーターをプラスにし、マイナスにならないように行動する。ミロのヴィーナスの場合は、ディスクリミネーターは間違えてプラスになってしまった。人為的にプラスにしたとも言える。このようなディスクリミネーターの作動状態を空作動(からさどう)と呼ぶ。

(3)ディスクリミネーターが人間を支配
人間の思考はディスクリミネーターに強く支配されている。次の例を考えて見よう。
「 動物を人間の食料にする」 ・・・ これは当たり前のこと。
「人間を動物の食料にする」   ・・・ どんな悪人でも絶対に考えない
ライオンであれば、人肉は食べても良いが、ライオンの肉は食べてはいけないと考える。
どの動物も種の保存に反する考えを持つことができない。絶世の美女がいたとしても、それは人間にとって美しいだけであり、空腹時のライオンにとっては単に獲物としか見えない。

ディスクリミネーターの作動状態
①正常作動:種の保存にプラスのときにプラス、マイナスのときにマイナス
      ⇒ 結婚、出産、子どもの成長
②異常作動:種の保存にプラスのときにマイナス、マイナスのときにプラス
      ⇒ 注射は痛いから子どもは嫌がる、麻薬
③空作動(からさどう): 種の保存には益にも害にもならないが、人為的な方法でディス
クリミネーターをプラスにする。
      ⇒ 芸術、映画、スポーツ、風俗産業
④作動抑止: 異常作動を止める。
      ⇒ 麻酔、心理療法

(4)幸福とは何か
幸福とはディスクリミネーターをプラスにすることであり正常作動と空作動のどちらでプラスにしても同じように幸福を感じることができる。人は何のために生きるかと言えば、種の保存のためであり、ディスクリミネーターをプラスにするためであると結論できる。このことから人類の未来社会がどのようなものかが見えてくる。詳しくは以下の拙書を参照。
「資本主義社会から解放主義社会へ」小野盛司、創英社/三省堂書店

未来のある日、AI/ロボットが労働を代替し、やることがなくなったとしたら、どのような社会システムが人間にとって最良かを考えなければならない。そのためには「人は何のために生きるのか」を知る必要がある。筆者の説によれば人間は他の生物と同様「種の保存」のために生きている。そして人間を「種の保存」と整合的に行動させるためにディスクリミネーターが行動を制御している。これが幸福とか快感を引き起こし、人の行動・思考を制御している。

ところでAI/ロボットが完全に労働を代替したとき、どうすれば人間は幸せになるのだろうか。それはディスクリミネーターをプラスにすることであり、そのためには種の保存にプラスになることをすることだ。太古の昔、狩猟時代の事を考えよう。種の保存がプラスになる行動とは、獲物や木の実を見つけたりして食糧を確保すること、綺麗なわき水を見つけ住み家まで水を運ぶこと、子育てをすること、外敵から家族を守ることなどである。しかしこれらのことの多くは、未来社会ではAI/ロボットがやってくれる。そうであれば人間はもはや幸せになれないのであろうか。そんなことはない。我々はディスクリミネーターを人為的にプラスにする方法を知っている。これをディスクリミネーターの解放、そしてそのような社会を解放主義社会と呼ぶ。

例えば野球が好きな人がいたとしよう。なぜ人は野球が好きかと言えば、狩猟時代には、石とぶつけたり、こん棒で殴ったりして獲物を捕らえていただろう。その時代に人間のディスクリミネーターはつくられたのである。今では肉はスーパーに行けば簡単に手に入るからその代わりに、野球でボールを投げたりバットを振り回したりしてディスクリミネーターの空作動を引き起こす。現代であれば野球で生計を立てることができる人は極めて少ない。長期間一軍で活躍できる人だけだ。しかしAI/ロボットが人間の替わりに働いてくれるような時代になり、社会システムがうまく構築されればずっと多くの人を野球選手として雇うことができるようになる。もしかしたら、希望者全員をプロ野球選手として雇うことができるかもしれない。その場合国が野球場を多数用意してたくさんの試合をさせてやり、生活するには十分な最低限の給料を支給する。もし野球選手として上達してきたら給料は上がっていく。野球をやっているうちに、自分は別の職業のほうが向いていると感じてきたら、そちらに転職可能であり、その場合であっても生活できる最低限の給料は確保される。こういったシステムを構築することで国民を十分幸せにすることができる。

これが理想社会である解放主義社会である。これはベーシックインカムの進化形と言える。ベーシックインカムでは全国民に一律に同一賃金を渡すのだが、お金をもらうだけで人は幸せになるとは限らない。できるだけ多くの人のディスクリミネーターをプラスにするにはどうすればよいのか本格的に研究すべきである。本来は獲物をこん棒で殴り殺し食糧として家族に運んだとき「幸せ」という信号をディスクリミネーターは発した。これこそが真の幸福かもしれない。しかし野球の試合でも人は十分喜べる。ホームランを打てばスカッとする。しかし種の保存とは無縁だからディスクリミネーターを騙して「幸せ・快感」という信号を人為的に発せさせ空作動を起こさせた。前者が真の幸福であり、後者は見せかけの幸福なのかというと、そうではない。ディスクリミネーターが幸福という信号を発すときが幸福であり、それが種の保存に関係しようとしまいと関係ないからである。

前回と前々回で人間の行動を制御するのはディスクリミネーターであり、それは人間の行動が「種の保存」と整合的であるように制御していると述べた。ある意味で人間は種の保存のために生きるという表現もできる。そうであれば生きること、あるいは子孫を残すことがその目的であるとも言える。もちろん、人間が種の保存のために努力したからその形質が進化で獲得されたのではなく、遺伝子の変化の結果生き残った生物は種の保存の性質を持つものであったということだけだ。

(5)解放主義社会への道
AI/ロボットの発展で、資本家は人を雇わなくても財・サービスを提供できるようになる。国民はその資本家の所有する会社にお金を払うのだから富はすべて資本家に集中するようになる。悪くするとその資本家が政治家と癒着し権力を握る。そうすれば独裁政権が誕生してしまい国民にとってみれば悲劇になる。

1000人の村があったとする。1人が資本家、それ以外が999人である。会社の利益はすべて資本家のものになるとする。ディスクリミネーターをDとしてその村のDの合計を計算してみよう。
資本家から税金を取り、それ以外の人に分配したとすると
資本家のD=-1
それ以外の人のDの合計=+1×999
全体では +999-1=+998
この村全体のディスクリミネーターの合計はプラスだから、この政策はこの村を幸福にする正しい政策であると分かる。

ベーシックインカムはこの村を最も幸福にするのだろうか。果たしてお金をもらうだけで人は幸せになれるのだろうか。村の各人はそれぞれ生き甲斐を感じることができるような職業がある。例えば作家、タレント、小説家、俳優、評論家、記者、料理人、デザイナー、科学者、哲学者、研究者、発明家、音楽家、カメラマン、芸術家、陶芸家、園芸家、棋士、落語家、プロスポーツ、教師、等である。十分な財源があれば、国がそれぞれの職を準備できる。

ディスクリミネーター(D)は状況により変化する。例えばある人が歌手になりたいと思ったとする。
給料だけをもらった場合                      ・・・ D=+1
給料ももらい更に歌手活動を助けてもらった場合           ・・・ D=+2
歌手活動も助けてもらい更に歌手としての才能も評価してもらった場合 ・・・ D=+3
この人が抜群の歌唱力を持ち、多くの人がその歌に魅了されたくさんのファンができたような場合は国としてはそれに応じた給料を払えば良いしそのときの給料は天井知らずで、Dもそれに応じた高い数値となる。

全国民のDを最大にするような社会システムが解放主義社会であり労働、貧困、失業から人を解放する。各国民が自分の希望する職業に就職できるように国が職を用意することを JoD (Job-on-Demand)と呼ぶことにする。死ぬまで公務員として給料をもらえるから解放主義社会では年金は不要である。解放主義社会では専業主婦、母子家庭の母親も正規の職業と見なされ公務員として雇われる。

資本主義社会では企業は利益を出すことが大前提であり、どんなに生き甲斐を感じられる仕事でも赤字が続けば倒産する。解放主義社会では、利益より国民にどれだけ喜びを与えることができるかを考えることが最も重要になってくる。

未来社会において、もし資本家が誰一人雇わず会社を経営しているのなら、会社は国有化し、その利益を財源とし希望する国民全員を公務員として雇い、生活ができる収入を保障すべきである。現在の日本でも日銀がETFという形で間接的に会社の株を買っている。2019年8月20日現在で保有残高は28兆8868億円で東証1部の時価総額に占める割合は4.7%になっている。
年金積立金管理運用独立行政法人GPIFが保有する国内株式の総額は38兆4122億円である。国は通貨発行権を持っており財源は無限にあるから、じわじわ買い進めれば国有化も可能である。ETF購入では間接的に株を買っているだけだが直接株を買ってもよい。日銀でなく政府が直接株を購入する案も考えられる。ただし国は「物言わぬ株主」になるべきである。企業経営者はその会社の経営を熟知しているが、国は各企業の経営を理解できるわけがないからである。

次に多くの人が持つ疑問に答えてみる。
【質問】株式を公開しない会社はどうするか。
【回答】株式を公開しないままの経営も許される。ただしその会社が国の富の多くを占有するようになり、国を支配するほどの規模になれば、課税などの手段で富の一部を国に移す。
【質問】折角会社を育ててきても国に取られてしまうのか。
【回答】国が会社を奪うのでなく、物言わぬ株主として資金を提供するだけである。
【質問】国有化したら人は働かなくなり競争も無くなり経済が発展しなくなるのではないか。
【回答】中国を見れば沢山の国有企業が活躍して経済が発展している。ロボットしかいない会社が国有化されたからと言って、ロボットが働かなくなることはない。公務員は働かないというわけでもない。国立大学の研究者は世界の中で厳しい競争をしているわけであり、研究・開発は公務員であっても進む。国としてはそれを助けるための十分な環境を整えてやり成果が上がれば十分な報酬を払うのが重要である。
【質問】寝たきり老人も公務員として雇うか。
【回答】ベーシックインカムの考えであり、働けなくても給料は払う。寝たきりでも、テレビを観ることができる人であれば、例えば各番組に対する感想を話してもらったりして各種ビッグデータ収集に協力してもらうことができる。

(6)ベーシックインカム
解放主義社会が理想だが、今すぐ実現するわけではない。しかしベーシックインカムであればすぐにでも実現可能性はある。2009年管義偉、安倍晋三、木原誠二、山本ともひろなど20名超の有志議員が「政府紙幣及び無利子国債の発行を検討する議員連盟」(会長・田村耕太郎参院議員)を発足させた。管義偉(すがよしひで)氏が2009年2月1日フジテレビの報道2001で政府紙幣を発行し国民一人当たり20万円を配る案を示した。「菅さんが言えばぐっと現実味を帯びてくる」と出演者は言い、テレビ出演者は、20万円をもらえば使うと思うと局内で話していると発言した。国民全員に20万円を配るというアイディアはベーシックインカムと言えるだろう。 

ベーシックインカムを行った場合の日本経済への影響を日経のNEEDS日本経済モデルを使って計算してみた。

3761

このグラフは名目GDPの推移であり、0兆円とは何もしなかった場合の予測であり、その予測精度は内閣府の予測の10倍くらい高い。当時デフレ基調だったが、それが続くと予測したが、内閣府はすぐに高成長が始まると予測した。結果は日経モデルの予測がピタリと当たった。30兆円とあるのは、毎年30兆円を5年間国民に配った場合、名目GDPはどうなるかを計算したもの。何もしなかった場合よりはるかによいのだが、完全に成長軌道に乗せるにはまだ力不足と言える。この計算では金利固定ではないので金利が上がり成長に若干ブレーキが掛かっている。もし金利固定で計算したらもっとGDP押し上げ効果は大きくなる。

3762

こちらは実質GDPであり、物価の値上がり分だけ修正されている。

3763

これは消費者物価指数である。当時はデフレが進んでいたが今は僅かだが物価は上昇しているので、その物価を押し上げることになる。多くの識者は2%のインフレ目標は日本では無理だと言う。それはウソであることはこのグラフから明らかだ。適切な規模の財政出動でインフレ目標は容易に達成される。別の識者ハイパーインフレになるというがそれもウソだと分かる。

3764

これは一人当たりの雇用者報酬である。ベーシックインカムで消費が拡大し、景気が回復するので給料も上がり始めるということだ。給料は上がるし、国から一定のお金が配られるし、国民としては笑いが止まらないということになる。日本企業にとっても消費が拡大するから復活の足がかりになるに違いない。

なぜこのような素晴らしい構想が消えてしまったのだろうか。その事を調べていくと日本経済の復活を阻止しようとしている闇の世界があるのかもしれないと思わせるものに出くわす。高橋洋一氏は経済危機が深刻化するのを見て「政府紙幣を発行して景気対策に使えばいい」という政策を唱えていた。09年1月末に安倍晋三元首相と菅義偉自民党選対副委員長に会って直接提案した。高橋案を聞いた安倍・菅両氏は前向きに応じた。菅義偉氏は2009年2月1日にテレビ番組で国民全員に20万円を配る構想をぶちあげ、議員連盟を結成し2月10日に初会合をもった。この構想を阻止するために立ち上がったのが財務省だ。菅氏や高橋洋一氏のもとに財務省幹部が反対意見を述べるために訪れている。当時の財務大臣は中川昭一氏であり積極財政派であった。この議員連盟が中川大臣を説得すればこの構想は実現する可能性が大きかった。そこで起きたのが中川大臣の酩酊会見事件だ。

この事件は不可思議だ。酔って会見に応じたということで海外から非難が殺到し、中川大臣は失脚せざると得なくなり財政緊縮派の与謝野氏に交替させられた。しかし中川氏は酒を飲んでいなかったと証言した。何者かに毒物を盛られたかもしれないのだが、そのとき中川氏に付き添っていたのは財務省の職員だけだ。その後10月に中川氏は原因不明の急死している。もう一方の当事者である高橋洋一氏は3月24日に不可解な事件で逮捕され大学教授の職を失っている。この事件について聞いても彼は決して答えようとしない。

これら一連の動きを見れば、日本経済を復活させるような気配が見えれば財務省が動き出し、ストップを掛けてしまう仕組みができあがってしまっているのではないかと疑ってしまう。もう一度政府紙幣及び無利子国債の発行を検討する議員連盟を動かして構想を実現したらどうだろう。

 

 

 

 

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2019年11月11日 (月)

第156回 日本経済復活の会の定例会のお知らせ(No.375)

講師  中谷一馬 衆議院議員
デジタルハリウッド大学大学院 在籍
神奈川県議会議員(史上最年少当選、当時)、
立憲民主党 青年局長、国対委員長補佐
第94代内閣総理大臣 菅直人秘書
(株)gumi(東証一部上場)創業メンバー(執行役員)
中谷先生は10月4日に「MMT(現代貨幣理論)に関する質問主意書」を提出しておられ10月15日に安倍総理からの答弁書を受け   取っておられます。大変興味深い内容でネットでも参照可能です。

    小野 盛司 日本経済復活の会会長 
会の活動報告、『日本経済復活への道』
残念ながら10月から消費増税が行われてしまいました。世界的な不況下、世界各国で景気刺激策が行われている時に、唯一日本だけ   がなぜこのような正反対の政策を行わなければならないのか理解できません。アベノミクスも期待されたときもありましたが、異次元の金融緩和と称して大量の国債を買い上げる金融政策もほぼ限界に達し、国債買い入れ額も黒田緩和以前の水準に戻り、2%のインフレ目標は達成される見込みがありません。世界で際立って低成長を続けているという意味で、日本は貧乏な国になりつつあるわけで、アベノミクスは失敗だと言えるのではないでしょうか。MMTに基づけば、政府は減税・歳出拡大を行うことが可能であり、それによりデフレ脱却・経済活性化が可能になり、国を再び豊から国にすることが可能になります。

○ 日時 令和元年11月27日(水)午後6:00時~午後9:30時(開場6:00、講演開始6:15)
この後、希望者で二次会(食事会)に行くこともあります。
○ 場所 東京都文京区春日1‐16‐21 文京シビックセンター 5階 会議室A
TEL 03-3812-7111
○ 会費 1000円(資料代を含みます。)当会合に関する一切の問い合わせと、御来会の可否は小野(03-3823-5233)
宛にお願いします。須田(090-2170-3971)、メール(sono@ajer.biz)でも結構です。ご協力お願いします。

Photo_20191111211901

東京メトロ後楽園駅・丸の内線(4a・5番出口)南北線(5番出口)徒歩1分
都営地下鉄春日駅三田線・大江戸線(文京シビックセンター連絡口)徒歩1分
JR総武線水道橋駅(東口)徒歩9分


日本経済復活の会のホームページと連絡先    

担当 小野盛司   

http://www.ajer.biz/
TEL:03-3823-5233
FAX:03-5685-3317

 

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2019年10月20日 (日)

日本の緊縮財政でGDPが伸びず、結果として債務のGDP比が増大する(No.374)

台風19号が日本列島を直撃し多くの河川が氾濫し大きな被害が生じた。一方で首都圏では、地下神殿と呼ばれる首都圏外郭放水路や調整池・彩湖などの整備もあって被害は最小限に食い止められた。もっと全国的に災害対策を行っていれば、被害はずっと少なかっただろうし、たくさんの人命が救われただろう。政府は国の借金が大変だからという理由で国民の命を守ろうとしない。国の借金と言っても自国の通貨での借金であり、必要ならいつでも全額を通貨発行で返済できるのだから本来借金と呼ぶべきではない。また財政赤字は通貨発行により成長通貨を経済に供給するという意味で経済発展には必要不可欠なものである。

次のグラフを見れば分かるように日本は国の借金をあまり増やしていない。
 図1                   出所:OECD Economic Outlook
3741  

日本は国の債務が世界最悪だと主張する人がいる。国の債務のGDP比が237%であり、世界最悪だというのである。しかし日本人は債務のGDP比の意味を理解していない。日本の債務と言っているのは自国通貨での債務であり、これはいつでも日銀がお金を刷って全額返済可能であり、実際日銀は国債を大量に買い取っており、市場から買い尽くした感があり事実上返済完了が近くなっている。
以下のサイトでアルゼンチンの例を述べた。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2019/10/post-cd69bb.html
アルゼンチンのように外貨を借りている場合は自国通貨を刷っても返済できないので財政破綻する。2001年、債務のGDP比が50%にまで上昇したときすでに破綻した。日本のように自国通貨で借金しているときなら、例え外国人から借りていても、お金を刷って返せば良いだけで絶対に破綻しない。債務のGDP比が237%になっても過度のインフレが進まない限り何の問題もない。

 図2                      出所:Economic Outlook
  3742


図2で分かることは債務のGDP比が大きい国は経済が発展しない国である。GDPが増えないと分母が増えないから債務/GDPが増えてしまうのだ。つまり日本が債務のGDP比を減少させたいのであればGDPを増やせば良いだけだ。GDPを増やすには歳出を増やして経済に成長通貨を供給する必要がある。

 図3               出所:OECD Economic Outlook
3743

図3で分かるように、日本の歳出の伸びは極端に低い。その結果図1で示されたように国の借金の伸びも少なくなっている。そうなると経済成長に必要な成長通貨が供給されていないことになり、経済は停滞する。それを示したのが図4のGDPの推移である。

 

図4                   出所:OECD Economic Outlook
3744

日本だけがGDPが増えない。しかし借金はジワジワ増えていくから債務のGDP比は増え続け世界最悪の状態になっている。ではどうすれば債務のGDP比を減らす事ができるか。それは他の国をお手本にすればよいだけだ。歳出を諸外国並の割合で増やしていけばよい。そうすれば当然のことながら名目GDPは増え始め、国の借金も増えるのだが、増加率の違いから債務のGDP比は減ってくる。歳出を増やして何をするかは、国土強靱化もあるしハイテク産業など、将来の日本経済の牽引役になってくれる産業の育成などたくさんある。今こそ国民的議論を巻き起こすべきである。

最大の問題は、緊縮財政のお陰で日本が急速に貧乏になっていくことだ。図5は一人当たりの名目GDPの推移を示した。

図5                         出所:IMF

 3745

  

GDPが増えないために日本だけ一人当たりのGDPが増えていない。かつて日本は一人当たりのGDPにおいて世界トップレベルの豊かな国だった。諸外国は財政支出を拡大しGDPを伸ばし豊かになっていき日本を追い越していった。今や日本は26位に沈み間もなく韓国にさえ抜かれそうである。このままだと貧乏な日本人が近隣の豊かな韓国、台湾、中国などへ出稼ぎに行かなければならなくなってしまう。日本をそんな貧乏な国にしてしまってよいのだろうか。

 

 

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2019年10月14日 (月)

第155回日本経済復活の会定例会開催のお知らせ(No.373)

講師 安藤裕衆議院議員
  昭和40年 神奈川県生まれ
  昭和62年 慶應義塾大学経済学部 卒業
  昭和62年 相模鉄道株式会社入社
  平成10年 安藤裕税理士事務所開設
  平成24年 衆議院議員初当選
  平成30年 内閣府大臣政務官兼復興大臣政務官
  令和元年  内閣府大臣政務官兼復興大臣政務官退任
  「日本の未来を考える勉強会」を主宰しておられ、デフレの今必要なのは「財政出動による財政再建」であると主張しておられます。

小野 盛司 日本経済復活の会会長 
  『日本経済復活への道』
  アベノミクスに対する期待は大きかったが、異次元の金融緩和でもデフレ脱却に到らなかった。財政出動で国の借金を増やすことに対する国民の抵抗が大きいのだが隣の韓国ではそれがない。その結果国の借金は20年前に比べて韓国では9.4倍、日本では2.1倍であり、10年前に比べると韓国は2.3倍、日本は1.4倍となっていて、韓国は積極的な財政出動でGDPが急拡大している。その結果、一人当たりの名目GDPでは間もなく日本を抜き去ろうとしている。一方GDPの拡大のため韓国の国の借金のGDP比は40%であり日本の200%よりはるかに低い水準となっている、

○ 日時 令和元年10月29日(火)午後5:00時~午後8:00時(開場4:30、講演開始5:00)
    参加希望者は1階で通行証を受け取って下さい。

  この後、希望者で二次会(食事会)に行くこともあります。
○ 場所 東京都千代田区永田町2-2-1 衆議院第二議員会館第8会議室

  電話番号 (代表)03-3581-5111

Photo_20191014113901
東京メトロ/有楽町線、半蔵門線、南北線【永田町駅】徒歩5分
東京メトロ/南北線【溜池山王駅】徒歩8分
東京メトロ/千代田線・丸ノ内線
【国会議事堂前駅】徒歩5分

○ 当会合に関する一切の問い合わせと、御来会の可否は小野(03-3823-5233)
宛にお願いします。須田(090-2170-3971)、メール(sono@ajer.biz)でも結構です。ご協力お願いします。
定員(42名)に達し次第締め切りますので早めに申し込みをお願いします。

日本経済復活の会のホームページと連絡先    

担当 小野盛司   http://www.ajer.biz/
TEL:03-3823-5233
FAX:03-5685-3317

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2019年10月13日 (日)

債務のGDP比を減らす唯一の方法はGDPを増やすこと(No.372)

   台風19号が日本列島を直撃し多くの河川が氾濫し大きな被害が生じたようである。被害に遭われた方々には心よりお見舞い申し上げます。我々日本経済復活の会では2003年に発足して以来、公共投資・国土強靱化の重要性を主張してきた。インフラ整備で国の借金は増えても、将来世代へのツケ(債務のGDP比)は逆に減るのだと説明してきた。

財務省のホームページを見ると「日本の財政を家計に例えると、借金はいくら?」として計算している。それによると月収50万円の世界がひと月80万円使っており、不足分は30万円の借金を毎月増やしている。その結果ローン残高は8400万円になっている。だから増税・歳出削減が必要だと主張するのだが、こういった世帯にゼロ金利でカネを貸す銀行などないからとっくにこの世帯は破綻しローンの踏み倒しが行われている。最近注目を集めているMMT理論では、自国通貨を持つ国ではインフレ率が上がりすぎない限り債務を増やして良いということだ。財政を家計に例えるときは、その家計はいくらでも自分でお金を刷る権利を与えられていることを前提にしなければならない。

そもそもほとんどの人が債務のGDP比の意味を理解していないし、どうやれば減るのかも理解していない。確かに債務のGDP比が増えると危険になる場合がある。例えばアルゼンチンの経済を考える。1980年代は年率5000%という超インフレに見舞われ、それを抑えるため1ペソ=1$という固定相場制にし、通貨の信認を得て外資を入れ経済発展をした。しかし国の債務のGDP比が約50%に達したとき、財政破綻を予感した外資が一斉に逃げ出し、2001年に財政破綻した。ちなみにこのときの基礎的財政収支は黒字だった。
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1ペソ=1$という固定相場は維持できなくなり変動相場制になると一気に3ペソ=1$まで通貨は暴落した。
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通貨の価値が3分の1に下がったということは名目GDPは3分の1に下がったということであり、国の債務のGDP比は3倍の150%になった。

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要するに分子の債務は変わっていないが、分母が3分の1に下がったために債務のGDP比は3倍になったのだ。その後も債務は増加を続けるのだがGDPはもっと増えたために債務のGDP比は2011年には38.9%にまで減少している。
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アルゼンチンの例で、債務のGDP比を大きく変動させているのは、分子の債務の大きさではなく、分母のGDPであることが分かる。日本の政治家は増税や歳出削減を行って債務を減らせば、債務のGDP比も減ると思っているがそれは全くの誤解であり、増税や歳出削減を行えば景気が悪化しGDPは減少し、結果として債務のGDP比は増加するのである。このことは内閣府の試算で確かめられている。
https://www5.cao.go.jp/keizai3/econome/ef2rrrrr-summary.pdf

そもそも国の借金とは増え続けるものであり、途中で完済するものではない。以下の図で分かるように日本の国の借金はこの130年間増え続け500万倍になっている。

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アルゼンチンは債務のGDP比が50%に上昇したとき財政破綻したが、日本は237%まで上昇しているのにまだ破綻していない。その違いは明かだ。アルゼンチンはドルなどの外貨で借り入れをしているから、返済が求められたとき外貨を十分持っていない場合は破綻するしかない。自国通貨を刷っても誰もそれを外貨に交換しようとしなければ意味が無い。日本の場合、国債はすべて円建てで発行されている。外国人が保有していたとしても、円で返済すればよいだけであり、円はいくらでも発行できるわけだから返済に困ることはあり得ない。

 

債務のGDP比は、日本のように自国通貨で借りているならいつでも通貨発行をして返せるわけで、いくら増えても問題ない。しかし財政を拡大してGDPを増やす事により債務のGDP比は減らすことができる。国土強靱化し未来への投資をしGDPを増やし、それによって債務のGDP比が減少するのだからこんな良いことはない。

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2019年10月10日 (木)

労働者を中小企業から大企業へ移動させることができたら(No.371)


日本の労働者の約70%は中小企業で働いているが、アメリカやイギリスでは中小企業で働く労働者は約50%である。一方、中小企業は大企業に比べ労働生産性は低く、賃金も低い。中小企業庁の調査では大企業の労働生産性は中小企業の1.38倍~2.41倍である。諸外国に比べ日本の労働生産性が低い理由の一つは、日本は中小企業の割合が多いということにある。今後AI/ロボットを利用して生産性を高めようとしたとき、中小企業の多さが障害になる。

「労働はロボットに人間は貴族に」ということで、日本を変えていくには、労働者を中小企業からもっと賃金の高い大企業へ移動させるのがよいことは明かだ。そうすれば平均賃金も上昇し国民は全体としては豊かになる。しかし政治家は「大企業から税金を取って、中小企業を助けたい」とよく言う。そんなことをすれば大企業は労働者を減らさざるを得なくなり、低賃金で廃業直前だったゾンビ企業が息を吹き返し労働者を増やすこととなる。全体としてみれば国民を貧しくすることになるのだが、一見すると貧しい人達を救うように見えるので票の獲得には有利かもしれない。低賃金の外国人労働者を受け入れることもゾンビ企業救済になる。

ではどうすれば労働者を中小企業から大企業へ移動させることができるかを考えて見よう。人手不足が深刻な現在、最低賃金を上げれば、低賃金でしか成り立たないゾンビ企業は労働者を増やせなくなる。しかし全体としては雇用が減る可能性があるから、増やすために強力な財政出動が必要だ。まず減税で消費を伸ばすことにより、企業の経営を助け、雇用の増大を促す。労働生産性を上げるには技術革新が必要となり、政府の積極的な財政支援で日本企業の国際的な競争力も向上させるべきである。以下でいくつかの例を挙げてみる。

①ヤマトとベルによる「空飛ぶトラック」は時速160kmで32kgの荷物を積載して飛行できる。2020年代前半までにオンデマンド物流サービスの提供を目指している。
②ZMP/ローソン、慶応大学がスマホで注文して自動運転で届けてもらうという宅配ロボットの実証実験をした。2020年までに実現したいとのこと。
③船の自動運転をめざし富士通が海上交通マネジメントソリューションについて、シンガポールでの実証実験を実施した。2025年までに自動運転船の実現を目指している。
④ジェット機の自動運転としてボーイングはパイロット不要のジェット旅客機をつくろうとしている。現在飛んでいる飛行機もすでにほぼロボット操縦になっている。全くの無人化でなくとも、自動化を進め、パイロット1人でも長距離運行が可能な操縦室にする試みも行われている。2025年の就航を目指している。

このような生産性を上げる試みは数限りなくあるし、そういった技術開発に国は思い切った財政支援をすべきだ。自動化が進めば人は要らなくなると思う人がいるかもしれない。財・サービスの提供がどんなに拡充されても、それを消費する人がいなければそれらは無駄になる。どのようにAI/ロボットが進歩しても最も重要なのは人間による消費である。労働が完全にAI/ロボットに代替されても、人間は貴族のような生活ができる社会を「解放主義社会」と呼んだ。詳しくは以下のサイトを参照して頂きたい。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-53b969.html
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2019/06/post-51995b.html

 

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