2019年3月17日 (日)

ベーシックインカムvs解放主義(No.342)

将来AI/ロボットが雇用をすべて奪ってしまったら人はどうやってお金を稼いだらよいのか。国民全員に同額の給料を払えというのがベーシックインカムというアイディアである。しかし、もしもある会社で社長から平社員、パート、バイトまですべて同じ給料にしたらやる気を失ってしまう人も多いし同じ給料なら働いたふりをしてろくに働かない社員も出てくるのではないだろうか。旧ソ連や東欧諸国の失敗を繰り返すことになるかもしれない。

日本の生活保護制度は生活困窮者を必ずしも救っていない。財政難の問題があり受付担当者が生活保護を申し込みに来た人にできるだけ他の手段で収入を得るよう説得する。そのため受給資格があるのに諦めてしまう人も少なくない。その結果公平性に欠くことになるのだが、ベーシックインカムであれば、それがない。しかし財源は桁違いに大きくなる。やはりベーシックインカムの問題は巨額の財源をどうするのかということと、働かなくても一生の間一定の収入を得られるなら労働意欲が失われるのではないかということだ。

2016年、スイスでベーシックインカム導入の是非を問う国民投票が行われ、賛成23%、反対77%の圧倒的多数で否決された。次のように世界各地でベーシックインカムの導入実験が行われている。
2016年1月オランダのユトレヒト
2017年フィンランド
2017年カナダのオンタリオ州
しかしながら、国全体で、無期限に行われないと本当の意味のベーシックインカムの実験にはならない。国の一部だけで行われると、それ以外の地区から激しい不満の声が出るし、期間限定で行われると、本人はそれが終わった後の準備をするから、ベーシックインカムの実験にはならない。国民全体が無期限に生活費を支払ってもらえると分かったとき、国民の生活はどう変わるのかということは、実際にそういう環境にならないと分からない。

唯一、本当の意味のベーシックインカムに近い「実験」が行われたと言えるのは、ナウル共和国である。これは太平洋の赤道付近に浮かぶ人口1万程度の小さな常夏の島国である。

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もともとナウル人はココナツを採ったり漁に出たりして自給自足で生活していた。ナウル島はアホウドリの糞でできた島であり、リン鉱石が産出することが分かり、1907年、リン鉱石の採掘が開始された。ツルハシとバケツで採掘したのは中国人、島の先住人は海辺で釣りなどしてぼんやりと過ごした。

1970年リン鉱石の採掘権がナウルに完全譲渡、リン採掘事業の国有化しその収益のほとんどがナウルの国庫に収まりナウルのGDPは一人当たり2万ドル近くになり世界で最も豊かな国の一つになった。ナウル燐鉱公社が採掘と輸出を行い、利益の半分は国庫に、残りの半分は長老たちがつくるナウル地方政府評議会が管理した。評議会は採掘場の土地を持っている人に平等にお金を支払い、残ったお金は積立預金にしたり投資したりした。ナウル人のほとんどが土地の所有者だった。野菜や果物を作っていた土地を採掘場にし、食料は缶詰で輸入した。リン鉱石の採掘は外国人が行った。税金はタダ、教育、病院、電気代もタダになり結婚すると2LDKの新居を提供してもらえた。ナウル人はドライブや魚釣りを楽しみ海外へショッピングに行く人もいた。

ナウル人は公務員となった10%の人をのぞきほとんど働かなかった。つまり失業率は90%だったが収入は大統領まで含めほぼ同額であった。ナウル人の多くはこの生活が永遠に続くものと考えていただろうし、その意味でベーシックインカムの実験が始まったと言える。自炊もせず、食事は外国人が経営するレストランですませ、個人の住宅の片づけや掃除のため、国が家政婦を雇った。

ナウル人の肥満率は高く、成人の肥満率ランキングでは189か国中トップの71.1%(偏差値91.7)である。ちなみに日本は166位で肥満率4.5%である。また国民の30%以上が糖尿病を患っており、人口比の罹患率は世界一である。贅沢を覚え働かないと不健康になるのではないか。

ナウル人は1世紀近くにわたり、働かずに収入を得ていたため、ほとんどの国民が勤労意欲以前に労働そのものを知らないためである。政府が小学校の高学年で働き方を教える授業を行い、将来の国を担う子供たちの労働意欲を与えようという対策がなされた。

政府は漁港を開発し公営の魚市場が作られたが、魚師のなり手はいなかった。ナウル人にとって魚を獲るのはレジャーになっていた。魚が獲れれば自分で食べてしまう。レストランに行けばいくらでも魚料理は食べられる。せっかくの漁港も暑さしのぎのプールになってしまった。

巨額の収入をもたらしたリン鉱石の採掘だが、資源には限りがあり、1990年代には収入が目に見えて減ってきて電力不足や燃料不足、飲料水不足が深刻化した。収入が多かった頃に適切な対応がなされていたらナウルは末永く豊かな国でありつづけていただろう。あるいはノルウェー政府年金ファンドや日本の年金積立金の運用方法を真似て稼いだ資金を運用すべきだった。実際の資金運用は失敗続きだった。海外投資からはリターンは得られず元本さえも消えた。1986年からは大統領が次々入れ替わった。政治指導者は国家のお金と自分の財布を混同。閣僚の妻や子供をはじめとする親族が国家のカネをネコババした。銀行を次々設立、税金はタダ、財産が隠せるようにし、マネーロンダリングに手を貸した。国籍を2.5万ドルで販売しパスポートを発行、アメリカはナウルをならず者国家と呼んだ。アメリカの2001年9月11日のテロの後、世界中がテロリストに対する引き締めを行い、ナウル銀行は破綻しナウルは蓄積していた資金を失った。

2007年に日本テレビの『世界の果てまでイッテQ!』が「地球の歩き方」のナウル版を制作する企画で取材班が訪れた際には、日中の街中をうろつき回る多数の島民の姿が映し出されていた。これは1世紀近くにわたり、働かずに収入を得ていたため、ほとんどの国民が勤労意欲以前に労働そのものを知らないためである。かつては農業もあったのだが、リン鉱石を採掘して農地は荒らされ今は農業もできなくなっている。

お金がたくさんあれば、それを国民に配るだけでいいというベーシックインカムの考えが一つの国を破産へと導いたのではないか。お金があるから自炊せずレストランで食事をし、島の周りをぐるぐる回るだけ。国民がもっと生き甲斐を感じられる社会システムはなかったのだろうか。例えば、リン鉱石の年間の採掘量を制限し不必要に所得を増やすことを止め、国内の観光業を育てるため島をテーマパーク化したり、海水浴場やダイビングができる海として整備したりしていたらどうなったか。一部の国民に外国から専門家を招きノルウェー政府年金ファンドや日本の年金積立金の運用方法を勉強させ資金の運用をさせる。世界の金融制度を勉強させていたらナウル銀行の破綻もなかっただろう。様々な分野の専門家を海外から招き、学生に勉強をさせて専門家を育てていたらナウル経済の破綻はなかった。カネがあるから単に配るというのでなく、国民全員がより充実した仕事ができるようにするためにカネを使うのがJODであり、解放主義社会の精神である。もしナウル政府が国民に対し、「ナウルを近代国家にするために協力してほしい。協力してくれた人にはその貢献度に応じ奨励金を払う」と宣言していたら、ナウル人の協力者が多数現れたに違いない。それは明治維新の時の日本の事情に似ていただろう。

同じような事情はAI/ロボットが雇用を人間から奪ったときも遭遇するに違いない。その時人間は何をすればよいのか皆で考えなければならない。よいアイディアを出した人には報奨金を払うべきだ。全員が同額の給料を受け取るというベーシックインカムから一歩進んだ考えとなる。

ナウルの失敗はどこの国でも起こりうる。AI/ロボットが発展し一握りの資本家だけに富が集中すると資本家は国民の利益を無視し国を間違った方向に変えてしまう可能性がある。

ナウルの状況と似ているところがあるのがベネズエラである。1950年頃から原油高のため西半球で最も経済的に繁栄する国となったが石油収入に頼り国内産業を育ててこなかった。富が一部の富裕層に集中した。2013年3月5日、チャベス大統領は癌により死去した後、腹心であったニコラス・マドゥーロ副大統領が政権を継承した。その後の数年間、暴力と飢えがベネズエラの象徴となり、ハイパーインフレが発生し、同国から脱出する移民の数がかつてないレベルにまで達した。ベネズエラ経済は政策の失敗や汚職により急激に悪化し、同国は危機の只中にあった。2018年5月のマドゥロ氏は再選されたが、抑圧・詐欺・不正選挙であると報じられ、大いに批判された。かつて裕福な国だったベネズエラだが、原油収入に頼り国内産業が育たず、富の集中が起こり、原油価格の下落で経済が破綻し極度の物不足となった事を考えればナウル共和国の失敗に共通するところがある。ただし豊富な原油や天然資源により莫大な貿易利益がありながら貧富の格差が大きく、政府の腐敗に反発した国民が暴動を起こしている点は異なっている。つまりベネズエラの場合はベーシックインカムとは程遠いのである。

ナウルとベネズエラで共通していることは、富と権力がごく一部の人たちに集中し民主主義が守られず国民のための政治ができなくなってしまっていることである。現在も格差拡大が問題になっている。労働がAI/ロボットに奪われると富はごく一部の資本家に集中することとなり、悪くすると一握りの資本家が政治にも影響力を及ぼすようになり政治が腐敗すると国民は悲惨な運命をたどることとなる可能性がある。それを防ぐには民主的な政府が続いている間に国が通貨発行権を行使し政府が資本家に集中しつつある富を買い取ることだ。具体的には例えば株式を徐々に買っていくことだ。ただし、原則的に経営には口出ししないほうがよい。政府はその企業の経営など分かるわけがなく、余計な口出しをすると経営がおかしくなる可能性がある。ただし企業の利益の一部を政府が吸収し、それを国民に配るようにする。国民から公正な選挙で選ばれた政府であれば、国民の生活を第一に考えるだろうから、このようなことができるはずでありこれこそが解放主義である。

解放主義においては、希望者全員を公務員として採用する。そして本人の希望を聞き適材適所で仕事を割り当てる。社会の発展、人の幸福に大きく貢献した人には多くの給料を払うが、最も給料の少ない人でも十分暮らしていけるようにする。この意味解放主義はベーシックインカムの考えを含んでいるし、その改良版であるともいえる。

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2019年3月11日 (月)

ナウル共和国はベーシックインカムで崩壊した(No.341)

ナウル共和国は南太平洋に浮かぶ人口約1万人、面積21k㎡の小さな国で、元々は漁業と農業で生計を立てていた。19世紀後半から始まったリン鉱石の採掘で莫大な収入があり、その半分を国民に均等に分配し残りを海外に投資するというベーシックインカムが実施され、一人当たりの所得は世界一になった。税金はなく、医療・教育は無料、年金保障など手厚い社会福祉を国民に提供した。労働はすべて外国人労働者が行いリン鉱石の採掘も外国人労働者に任せきりだった。その結果勤労意欲が失われた。失業率90%である。

2007年に日本テレビの『世界の果てまでイッテQ!』で番組の取材班がナウルに入った。日中の街中をうろつき回る多数の島民の姿が映し出されていた。これは1世紀近くにわたり、働かずに収入を得ていたため、ほとんどの国民が勤労意欲以前に労働そのものを知らないためである。食事は外食ばかりで働かない。学校では働き方を教え、新たな産業が生まれることを期待している。政府の家父長制化とともに支配者や特権階級への強権や富の集中が進んでいる。マネーロンダリングや不法パスポートの発行などが行われた。ナウルの政治・経済情勢は毎年のように続く政変、公務員への給料未払いなど混沌としている。20世紀末鉱物資源が枯渇、主要産業は崩壊。インフラ整備が後回しにされている。国民の肥満率が最も高い国、国民の71.1%が肥満で30%が糖尿病を患う。肥満率も罹患率も世界一である。

これで分かることはベーシックインカムでは人は必ずしも幸せにならないということだ。動物園の檻の中のライオンのように意味もなくうろつき回るのと同様にベーシックインカムでは人は何をして暮らせばよいのか分からなくなる。それに対し解放主義社会(注)なら人は生き甲斐を感じる生活を送れる。AI/ロボットに仕事を任せることができる時代が来たら、希望者全員を公務員にして各自が生き甲斐を感じる仕事ができるようにする。例えば作家、タレント、小説家、俳優、評論家、記者、料理人、デザイナー、科学者、哲学者、研究者、発明家、音楽家、カメラマン、芸術家、陶芸家、園芸家、棋士、落語家、プロスポーツ、教師等である。国が仕事を作り出し、サポートする。これをJODとよぶ。例えば音楽家になりたい人が多数いたら全員を音楽家として雇う。演奏会場を多数準備し、演奏会を支援する。観客が少なすぎる時はロボットで補う。

何としても民主主義は守らなくてはならない。政治は公正な選挙で選ばれた代表者・政治家によって行われるべきだ。富が一部の資本家に集中したら、政治的影響力を持つようになるから、過剰な富の集中が起こらないように、国は通貨発行権を利用し、株や土地などを買い取り、国の主要な利益は国に入るようにし、その利益を国民に分配する。

また才能がある人、頑張る人にはそれなりの報酬を与えるべきだ。私企業の存続も私有財産制も維持し、頑張れば大金持ちになれるようにする。公務員として働く場合でも、その業績に応じて給料は決まる。大成功すれば、公務員として働いてもその給料で財を成すことができる。公務員なら最低でも十分生活できる給料を受けることができる。 

(注)解放主義社会
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2018/12/post-36a9.html 

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2019年3月 4日 (月)

明石順平の財政破綻論に反論する(No.340)

明石順平氏の『データが語る日本財政の未来』という本を読んだ。明石氏はこの本を読んでも「日本は絶対に財政破綻しない」と言えますかと聞いている。答えは簡単、もちろん「言える」である。

明石氏の主張1:日本には資産があるから財政破綻しないと言う人がいるが、これらは借金返済に使えない。資産というのは年金積立金の運用寄託金(121兆円)、道路・堤防等の公共用財産、外貨証券(82兆円)、財政融資資金貸付金(139兆円)、対外純資産だそうだ。
反論:もちろん、こんなもの借金返済には使えないし使う必要は全くない。日本の国の借金は過去130年間で500万倍になった。この間借金は増え続けており、借金の増加は流通する通貨量の増加と密接に関係している。経済を拡大するにつれ借金は増えていくのは自然の成り行きであり、明石流のやり方での借金返済は空想にすぎず無意味であり馬鹿げている。

明石氏の主張2:日銀がお金を刷って国債を買っても、日銀当座預金という負債に入れ替わるだけだから借金は無くならない。
反論:例えば日銀が日銀券を刷って国債を買ったとしよう。明石氏によれば日銀券は日銀の負債だから借金返済になっていないと言いたいのだろう。百歩譲って日銀券が借金だとして、無利子・無期限の借金であり放っておいて構わない。そもそもこれを税金で返済しなければならないわけがない。預金通貨も同様であり、日銀当座預金が借金だという主張には無理がある。主張1で述べられたような馬鹿げた借金返済方法などではなく、日銀が刷ったお金で借金を返済すれば何の問題も起こらない。それが財政が破綻しないと言える十分な根拠である。

明石氏の主張3:日銀当座預金残高が増えると、インフレを止められなくなる。
反論:これも物余りの日本経済の現状を無視した空想にすぎない。インフレが止められなくなった例はすべて極度の物不足の状況下であり、しかも財政規模が急激に拡大している場合だ。これと反対に日本は物余りの状況であり、しかも財政規模はむしろ減少気味で歳出は2009年度には101兆円だったものが、2018年度には97.7兆円にまで下がった。デフレ脱却を目指しインフレ率を上げたいなら財政規模を拡大しなければならない。実質賃金も減少しているから消費も低迷が続く。物価は需要と供給の関係で決まる。需要不足の今、インフレ率を高めようとしても無理だし止められなくなるほどのインフレなど論外だ。デフレ脱却を困難にしているのは、「財政破綻するぞ」という悪質なデマを流す連中(明石氏のように)の存在だ。騙されやすい人たちは、このようなデマに簡単に騙されてしまう。その結果、企業の経営者は設備投資を抑え、消費者は消費を抑える。

消費増税などで消費を抑えている反面供給力は増している。辞書や地図帳や旅行ガイドなどはかつては本屋で買っていたが、今はネットでもっと良いものが無料で見ることができる。音楽CDもネットで無料で聞けるし、安くダウンロードも可能だ。AI/ロボットが次々と人の労働を奪いつつあるのも物価が上がりにくくしている。コメの供給過剰も続いており、減反政策も事実上維持されている。現代では昔と違い需要が増えても生産ラインを増やし生産を増強すれば、大量生産で逆に値段を下げることもできる。明石氏の言うように日銀当座預金残高が増えると、インフレを止められなくなるのであれば、もうとっくに2%のインフレ目標は達成されていなければならない。

今、日本で必要なのは、明石氏のようなデマで国民が不安に陥るようなことがないよう教育し、安心して生活ができるようにすることだ。

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2019年2月25日 (月)

山本太郎議員を招いて開かれた第151回日本経済復活の会定例会(No.339)

第151回日本経済復活の会定例会は平成31年2月17日、江東区文化センターにて開かれた。講師山本議員の演題は「金を刷れ、皆に配れ。」であったのだが、これに対して少なからず批判的な意見も寄せられた。この演題は筆者が20年前から主張している内容であり、もし政府が20年前からそれに添った政策を実行していたら、今でも日本は世界で最も豊かな国の一つであり続けていただろう。一見すると乱暴そうな意見に思えるかもしれないのだが、これはマクロ計量経済学に基づいたシミュレーションを行って有効性が確認された結論を一般に分かりやすく表現したものだ。ノーベル経済学賞を受賞したサミュエルソン、クライン、スティグリッツ等が主張する経済政策でもある。

では、今の日本でどのくらいお金を刷ればよいのだろうか。2002年、筆者は著名な経済学者である宍戸俊太郎氏と共にシミュレーションによりこの答を求めることにした。そのためには経済データとマクロモデルが必要となるのだが、最も信頼されている日本経済新聞社のNEEDS日本経済モデルを使用することにした。天気予報は気象庁だが、経済予測は日経が定評があるからだ。しかし、日経はお金を刷って国民に配ったらどうなるかという予測は発表しない。その理由は日経は国から各政策の経済効果などの計算などで巨額の受注を受けており、お金を刷って国民に配るというような「不謹慎な」政策の評価に手を貸すようだと今後政府から受注が受けられなくなるかもしれないからである。

そこで筆者は日経にお金を払い、大規模な減税をしたら日本経済はどうなるのか計算してもらった。経済音痴の人はお金を刷って国民に配れば直ぐにハイパーインフレになるから絶対にやってはいけないと言う。お金を配ると言ってもヘリコプターでばら撒くことを提案する人はいない。例えば減税すれば国民にお金を渡すことになる。しかし実際にシミュレーションで計算をしてみると大規模な減税でも簡単にはインフレにならない。5年間、減税を継続的に行った場合の5年間平均のインフレ率の押し上げ効果を計算してみた。結果は予想したよりはるかに小さく、10兆円の場合0.9%、20兆円の場合1.5%、50兆円の場合3.3%だった。ただし、減税による景気押し上げ効果は素晴らしく、消費が押し上げられGDPは実質も名目も大きく増加、民間設備投資は増加、企業利益も雇用者報酬も増加、失業率は減少ということで経済にとってすべてが良い結果となった。

この結果をサミュエルソンに送ったところ彼からの返事は
 大規模な減税が日本経済の著しい回復をもたらすのであればインフレ率が十分高くならないとしても、気にしなくても良い。インフレ率自身は政策の最終目標ではないからだ。重要なことは、流動性のわな等に起因される消費の欠如を取り除くことである。
ということだった。

この試算から明らかなことは、もし10月に予定されている消費税10%への増税を止め、逆に5%に減税して景気を刺激してもまだインフレ目標2%には届かない。要するに景気刺激をするならもっと大規模にしなければ効果は限定的ということだ。米中のように大規模景気刺激が理想的だが、安部さんにそんな勇気がないとしても、小規模刺激策でも国民にとっては可処分所得の増加で物が多く買えるようになるし、企業も利益が増し未来への投資ができるようになり国際競争力を増す。経済力が増せば少子高齢化に耐えられるだけの国力がつくし年金も安定する。こんなによいことはない。

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2019年2月19日 (火)

日銀は米国債を買ったらどうか(No.338)

日銀は異次元金融緩和で2%のインフレ目標達成に失敗している。毎年80兆円の公債保有残高を増やす目標だったが、最近では保有残高の増加ペースは大きく低下しているし、財政では逆に消費増税でブレーキをかけようとしている。このままでは日本経済の復活はおぼつかない。そこで提案したい。

日銀は米国債を大量に買うべきだ。

為替誘導と言われるかもしれないけど、トランプさんは国債を大量に発行しており、買い手が本当に現れるのか内心心配になっているのではないか。中国と喧嘩しているので中国に買ってほしいとは言えない。最後の買い手は日銀だろう。米中貿易戦争の現在、漁夫の利を得ることができる。円安で割安になった日本株も上がるだろうし、日本製品も売れるようになるし、日米貿易交渉にも有利にはたらく。米国債が暴落したらどうするのかとの意見もあるのかもしれないが、トランプさんが米国債を暴落させるわけがない。GAFAと言われる超優良IT会社が稼ぎまくっている状況ではドルは暴落しない。世界の時価総額ランキングの上位企業は軒並み米国企業でドルは世界一魅力的な貨幣で万一暴落したらGAFAを買ってしまえばよい。

通常の為替操作はまず財務省が国債を発行して円を取得し、それを使ってドルを買うのだが、それでは国の借金を増やし、将来世代へのツケを残すと批判する人がいる。しかし日銀がタダでお金を刷ってアメリカに貸してやる方式では、借金はアメリカ国民が行って日本国民はタダで貸主になり逆に将来世代への債券を残すことになるので、歓迎すべきことだろう。「国の借金=1062兆円、国民一人あたり:837万円」と言われるが、そこに「米国に貸したカネ=200兆円、国民一人当たり:160万円」などの記述が加われば日本人のプライドは少しは回復するのではないか。タダで調達したカネをいくらでも米国に貸せる。長年世界一を保っている対外純資産も、一人当たり30万円と追加すべきだ。それに国の借金の大部分は日銀や政府系金融機関に貸しているのだからこれを国民が返すというのは納得できない。借金は借りた人に返すべきだから国民が国に返すのではない。国民一人当たりの借金を計算するには国または政府系から借りた金を除いた額にすべきだ。そう考えると国民一人当たりは何分の1かに減る。

もちろん最良なのは積極財政に政策変更をすることだ。減税して財政を拡大する。そして超一流IT企業を育て、AI/ロボットの技術開発で世界トップに躍り出る。それがとても日本の将来にとって大切かが分かっているはずなのに、日本人はそれが理解できない。刷ったお金を日本で使うと、日本在住の外国人にまで使われてしまうから反対と言う人までいる。でも私を含め多数の日本人は海外に旅行したり滞在したりしていて、それなりに恩恵を受けている。日本に在住の外国人の利益になってはいけないから日本を貧乏なままにしておけという論理はいただけない。日本人も外国人も日本にいる人すべてが豊かになることはよいことではないか。ただし移民は増やすべきでない。

民主党政権だった2011年ごろ、デフレ脱却の難しさを知った政権は日銀にお金を刷らせる案を色々画策していた。その中で、前原氏は日銀の国債引き受けをさせその資金で米国債を買えと主張していた。当時宍戸俊太郎氏はアメリカを怒らすようなことはやらないほうがよいと言っておられた。今はトランプ大統領は米国債の売却で藁をもつかむ思いかもしれない。そうであればチャンスだ。タダでアメリカに貸をつくることができる。

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2019年2月11日 (月)

第151回 日本経済復活の会 開催のお知らせ (No.337)

                                                              日本経済復活の会 会長 小野盛司
○日時 平成31年2月17日(日)午後3時~午後6時30分
               (開場2時30分、講演開始3時)
    ※この後、希望者は二次会(食事会)にご参加下さい。
○場所 江東区文化センター 第一、第二研修室
    〒135-0016 東京都江東区東陽4丁目11-3 TEL:03-3644-8111
○会費 1000円(資料代を含みます。)
○講師 山本太郎 参議院議員 自由党共同代表
  「金を刷れ、皆に配れ。」
山本太郎。1974年兵庫県宝塚市生まれ。 1990年高校1年生時に『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』の「ダンス甲子園」に出場し、芸能界入り。91年、俳優デビュー。映画『バトルロワイアル』(2000年)、『GO』(2001年)など数々のヒットドラマ、映画に出演。また、俳優の仕事以外に『世界ウルルン滞在記』などでの体当たりレポートでも人気を博す。『光の雨』、『GO』で2001年度日本映画批評家大賞助演男優賞を、『MOONCHILD』、『ゲロッパ』、『精霊流し』で2003年度ブルーリボン賞助演男優賞を受賞。最近では、山本太郎を追ったドキュメンタリー映画『ビヨンド・ザ・ウェイブス』(ベルギー、2018年 )に出演。
2011年3月11日に発生した東日本大震災の後、4月より反原発活動を開始。13年7月、参議院議員選挙に東京選挙区より出馬、666,684票(11.8%)を得て当選。14年12月 政党 「生活の党と山本太郎となかまたち」 に合流し、共同代表。16年10月 政党名を「自由党」に改称、共同代表。18年11月文教科学委員会、東日本大震災復興特別委員会、資源エネルギーに関する調査会に所属。
現在、原発問題、被曝問題、TPP問題、労働問題、社会保障制度改革、人々のための経済政策、表現の自由に関わる問題等に特に深く関わり活動中。
■主な著書
「母ちゃん ごめん 普通に生きられなくて」(ぴあ)1998年11月「山本太郎 闘いの原点: ひとり舞台」(ちくま文庫) 2016年(「ひとり舞台 脱原発-闘う役者の真実」(集英社)2012年を文庫化))、「みんなが聞きたい 安倍総理への質問」(集英社インターナショナル)2016年などがある。

○スケジュール 
  14:30     受付開始
15:00~15:20 日本経済復活の会小野盛司会長挨拶
15:20~16:30 山本議員講演
16:30~16:45 休憩
16:45~18:00 質疑応答
18:00~18:30 議員から皆さんへ「逆」質問とディスカッション
○申し込み方法 
  フォーム:こちら https://1lejend.com/stepmail/kd.php?no=JqOrDpwIRnMqs
    メール:seminar@ajer.biz
※満席によりお断りする可能性がありますので事務局から参加の可否を返信致します。
○問い合わせ先 090-2170-3971(幹事須田)
日本よりはるかに景気が良いアメリカも大型の減税が実施される一方で、デフレ脱却ができていない日本は消費増税に加え次々と増税案が出されています。2014年度の消費増税で景気は後退したという反省はありません。実質賃金は下がり続け、景気回復を国民は感じておりません。一人当たりの名目GDPは1990年頃世界トップレベルであったのが、最近では先進国では最低に、アジアでもどんどん追い抜かれているのが実情で、日本は急速に貧乏になりつつあります。失われた20年がこのままでは失われた30年へと進んで行きます。世界経済を牽引し始めたAI技術においても日本は周回遅れといわれています。財政を拡大すればデフレ脱却・景気回復・財政健全化が一挙に達成されるのに、なぜそれが理解できないのか。我々の戦いはまだまだ続きます。

【ご案内図】   
地図

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【交通機関】 地下鉄 東京メトロ 東西線「東陽町」駅 1番出口より徒歩5分
    
  バス利用の場合?JR「錦糸町」駅または都営新宿線「住吉」駅より1.東22系統「東京駅丸の内北口」⇔「錦糸町駅前」「江東区役所前」下車徒歩3分
  バス利用の場合?都営新宿線「東大島」駅より2.門21系統「東大島駅前」⇔「門前仲町」「江東区役所前」下車徒歩3分
 
【誰でも参加できます。皆様のご参加をお待ちしております】


連絡先
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