2018年2月11日 (日)

ハイパーインフレ以上に怖い長期デフレ(No.290)

日本の借金が膨れあがり、やがてハイパーインフレになると言う人がいる。しかしハイパーインフレに共通するのは極端な物不足である。現在の日本は物余りの状態であり、物不足になりそうもない。需要が極端に伸びて、スーパーもデパートも百円ショップもコンビニも棚から物が消え、街の至る所で食料品を求める長い列ができるような状況になるわけがない。そもそもそんなに買いまくったら家が物で一杯になって寝る場所もなくなるだろう。しかも物不足になれば外国からどっと輸入品が入ってくるし、中国、米国などが総力を挙げても供給が追いつかないほど日本の需要が伸びるなど考えられない。
ハイパーインフレを恐れる余り、十分な景気対策ができず、デフレ脱却ができなくなっている。日本人はもっとハイパーインフレについて知る必要がある。ベネズエラやジンバブエなどのハイパーインフレは政府自ら自国産業を崩壊させ供給力欠如に陥り極端な物不足でありながら、輸入も困難な状況に陥らせたために生じている。ドイツのハイパーインフレについて詳しく説明してみよう。
第一次世界大戦に敗北したドイツは連合国と1919年ヴェルサイユ条約に調印した。ドイツの支払う賠償金が1320億金マルクと決定されたが、なんとこれはドイツの税収の十数年分に相当した。毎年の支払額も46億金マルク(歳入の約7割)という莫大なものだった。イギリスやフランスなどの連合国は戦争に勝ったものの戦争で莫大な被害を被っており、その費用をすべてドイツに支払わせるべきだと主張し、このような巨額の賠償金の請求となった。しかしながら、このような巨額の賠償金はドイツ経済を破壊し、ヒットラーの台頭を許したという意味で、連合国にとって害あって益なしという結果になってしまった。
そもそも、賠償金というものは多ければ多いほどよいというものではない。1320億マルクと言っても、例えば1億マルク紙幣を1320枚刷れば返済可能というものではなかった。賠償金も正貨(金貨)で払わなければならなかったからだ。そういう意味では、お金を刷っても意味はなかった。賠償金だけでなく現物納付の義務もあった。5000両の機関車、15万両の列車、5千台の貨物自動車、4万頭の牛、12万匹の羊などだが、一般社会の賠償請求とは話しが全然違う。これらをドイツが生産してフランスが輸入しようとすると、フランスの生産者には大打撃になってしまい、フランスの生産者が反対するなどして、物納による賠償も進まなかった。
賠償金にしても、もしこの規模の賠償金の支払いが実現するとしたら、ドイツ経済が大発展し、近隣諸国がドイツの工業製品を輸入して外貨を稼いだ場合だから、そうなれば近隣諸国の工業は破滅する。そのことを予知したケインズは、この賠償額に強く反対したが押し切られた。
当然のことながら、賠償金の支払いは滞るようになった。それに怒ったフランスとベルギーは軍を派遣し、ドイツでも有数の工業地帯であるルール地帯を占領してしまった。ただでさえ戦争で生産応力が落ちているドイツで、ルール工業地帯まで没収されたわけで、失業者は町にあふれ、物不足でインフレとなった。ここまでくるとフランス軍はやり放題で、帝国銀行が所有していた128億マルクの金を略奪し、ミュルハイム国立銀行支店に保管されていた未完成の紙幣をフランス軍が奪い、これを完成紙幣にして流通させた。
これに対してドイツ人は反発し、一切の協力を拒む『消極的抵抗』を行った。鉄道を破壊し、フランス軍の列車を脱線させ、船は運河で沈没させた。占領地域の労働者はストライキを行ったがドイツ政府は政府短期証券をライヒスバンクで割り引かせでストライキ中の労働者の補償も行った。

ライヒスバンク自体が賠償問題の解決の一貫と考えられていたから連合国により国際管理されていた。その審査機関である評議員会の14名のうち、半数の7名は外国人(英国、フランス、イタリア、ベルギー、米国、オランダ、スイスから各1名)が任命され、発券業務の監督機関としての発券委員も外国人評議員が任命された。そしてこのライヒスバンクが政府から独立し、お金を刷りまくってハイパーインフレになった。このような状況は、アメリカにおいて通貨強奪したロス・チャイルド等の国際銀行家の手口を連想させる。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/no22-c6e3.html
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/no-d68c.html
コーヒー一杯飲むのに、トランク一杯分の紙幣が必要だったとか、薪を買うのにリヤカー一杯の紙幣が必要だったが、それより紙幣を燃やした方が安くついたとか、笑い話のような話しが伝わっている。1923年1月には250マルクであったパンの値段が1923年12月には3990億円にまで値上がりした。
ライヒスバンクはドイツ政府が発行した国債を大量に買った。それだけでなく、私企業の手形の割引も行った。例えば、自分の会社で1億マルクの手形を勝手に作ってライヒスバンクに持って行けば、現金にしてもらえるのだ。こんなことをしていれば、ハイパーインフレになるのは当たり前だろう。金融業の得意なユダヤ人がここぞとばかり、混乱に乗じて荒稼ぎをしているのを見て、ヒットラーがユダヤ人に反感を持つようになったと言われている。当時はマルクをライヒスバンクから借りる事ができれば、インフレで借金はほとんど無価値になってしまうのである。国際銀行家がライヒスバンクから巨額のマルクを借り、そのマルクでドイツ国内で価値のあるものを買いまくったためにインフレが加速した可能性がある。1月に100倍以上のインフレになってくると紙幣が足りなくなって企業や地方自治体まで紙幣を刷りまくるようになり、紙幣が街にあふれるようになった。下の写真はある銀行の窓口である。企業の経理係は従業員の日当払いに必要な紙幣を受け取るため、大きな柳行李(ヤナギコウリ)を持って連日銀行へ押しかけた。

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このすさまじいドイツのインフレも、あっという間に収束してしまう。ドイツ・レンテン銀行が設立され、国内の土地を担保として1923年11月15日にレンテン・マルクを発行し、1レンテン・マルク=1兆マルクのデノミが実行された。インフレを収束させたのは、政府が財政健全化を発表したからである。レンテン・マルクの発行限度が320億マルク、政府信用限度が120億マルクとされた。またドイツ政府は通貨発行でファイナンスしていた財政政策を転換し、10月27日には政府雇用者数25%削減、臨時雇用者の解雇、65歳以上の強制退職を実施した。この政府の発表により国民が政府を信頼し、インフレは瞬時に止まった。これをレンテン・マルクの奇跡と呼んでいる。次の図は藤木裕(金融研究2000.6)から引用したものである。

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興味深いのは、インフレは政府のアナウンスで一気に収束したのだが、実際は政府はその後もしばらくお金を刷り続けているということがこの図から分かることだ。アナウンス効果が如何に絶大かということである。
確かに凄まじいインフレではあったが、生産活動へのダメージはそれほどでもない。下図は『現代ドイツ社会経済史』から引用したものである。
国民一人当たりの生産量

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このグラフより一人当たりの生産量は1923年のハイパーインフレ時と1932年の世界大恐慌の影響による落ち込みの2回生産の落ち込みがあったかこが分かる。ハイパーインフレによる落ち込みは小さく、しかもこれはルール地方の占領に対するドイツ人のストライキを含む抵抗によるものであり、1920年からの20年という長い目で見れば生産は順調に拡大していったことが分かる。デフレが続き失われた20年と言われる期間で生産が停滞した日本が受けたダメージはこれよりはるかに大きいことが分かる。
ハイパーインフレ時に名目賃金は激しく上昇したにも拘わらず実質賃金は大きな変化はなかったというのが以下の図から分かる。
       出所;『ドイツ資本主義』小原四郎著

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デフレ脱却ができない日本では実質賃金は下がり続けている。
次に失業者の推移を示した。

出所:現代ドイツ社会経済史

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失業率を3つの区間に分けて考えよう。1919年から1924年は敗戦の後インフレが進んでいた時期。紙幣の大量発行もあり『積極財政』と言える。敗戦で戦地から多数の兵士が引き揚げてきたが、時短労働も取り入れ失業者を低く抑えている。ただし1923年9月にそれを解除したこともあり一時的に失業者が増えた。1924年から1932年の間は緊縮財政で物価は安定したが、世界大恐慌の余波を受けたこともあり失業者は激増している。1933年にヒットラーが政権を執ると超積極財政が始まり、物価は安定させたまま失業者は激減、GDPは拡大していった。
現在の日本は積極財政を過度に恐れている。デフレはタンス預金が増加しお金が動かず経済が停滞する。消費増税は貧困世帯を苦しめ、お金は大企業の内部留保や海外投資に向かう。国の借金が増えることを恐れ、増税・歳出削減が進めば日本はどんどん貧乏になるばかりだ。

 

次にベネズエラのハイパーインフレについて簡単に説明する。

 

ベネズエラは原油確認埋蔵量は世界一であり世界全体の2割近い。チャベス前大統領による 『21世紀型社会主義』が失敗の始まりだった。石油収入を貧困層の医療や教育などに還元し、全国民を豊かにしようとした。物価を抑えるために、生産者に価格を無理に下げさせた。その結果経営が成り立たなくなり、 国内の製造業が衰退し、輸入品に頼る経済になった。マドゥーロ氏が政権を引き継いだ後、原油価格が半分以下に急落し外貨不足で食料品や生活必需品が買えなくなり、物不足がハイパーインフレを引き起こした。2015年の選挙では野党に敗北したが議会の権限を停止した。国民は国外へ逃亡している。

政府が大量の紙幣を刷っているので下図のようにハイパーインフレが進んでいる。

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  国営石油公社PDVSAは非効率な投資、納入業者への支払いの遅れ、米国の経済制裁、給与への不満などで従業員が離職し大きな打撃を受けていて生産が落ち込み、外貨が稼げない。独占的な輸入業者が不当な輸入品価格のつり上げを行っているために、輸入品の価格が異常に高くなっている。

最後にジンバブエのハイパーインフレを説明する。
もともとはローデシアという豊かな国で少数派の白人が政治の実権を握っていた。
ローデシア紛争の後、1980年ジンバブエ共和国が成立し黒人大統領が誕生し
「植民地時代に強奪された土地資産を黒人に委譲せよ」という法律が成立。大半の高い技術を持つ白人が国外へ逃亡し農業技術の低下と干ばつで、食糧危機に陥った。
また「外資系企業は保有株式の過半数を譲渡せよ」という法律が成立し、外国企業は国外へ逃亡し、これにより物不足になり物の値段が高騰した。
「物資は安く売らなくてはならない」という法律が成立し、企業は利益が出なくなって次々と倒産。失業者が激増した。失業者は物資の強奪を始め無法地帯になった。そしてインフレが進み、高額紙幣が量産された。

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結論としてはベネズエラもジンバブエも同じように政府が自国の産業を潰す政策を行っているために、供給不足になり物不足が深刻化しハイパーインフレに陥っている。日本の政治家がここまで愚かだとは思えないという理由で日本ではこのようなハイパーインフレになるわけがないと結論できる。しかしデフレ脱却を目指しながら増税・歳出削減という重大な間違いを犯しており、国の経済を衰退させている。一刻も早く目を覚まして欲しいと願う。

 

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2018年2月 5日 (月)

国会は森友問題よりもっと国民生活に影響の大きい問題を議論せよ(No.289)

筆者は先週風邪で寝込んで、仕方なく国会論戦を見てた。相変わらず森友問題をやっていた。1日国会を開くのに3億円かかるという国会で本当にそれに相応しい議論がなされているのだろうか。評価額9億5600万円から地中のゴミ撤去費用など約8億円を差し引いた1億3400万円で学園に売却したのが森友問題とされている。しかし森友学園は開園に失敗し、現在民事再生手続き中であり契約に基づいて国は売却した土地を買い戻したとのこと。森友学園前理事長の籠池泰典被告と妻の諄子被告は補助金詐取などの容疑で昨年7月末に逮捕されている。昭恵夫人が籠池泰典前理事長に激励の電話をしたとする音声データが衆議院予算委員会に提出されたとのこと。詐欺容疑の犯人の発言の真偽をいちいち予算委員会で検討すべきなのか。国会はその維持のために巨額の税金を使っているのだから、その審議から生じる結果でそれに見合うだけ国民に利益がもたらされるかも示すべきだ。8億円の値引き分が戻ってくるというわけではない。取引の実態を明らかにすれば安倍政権が倒れるという話でもない。国民生活にも国民の安全にも全く関係無い議論を巨額の税金を使って行っているとしか思えない。

スパコン助成金詐欺事件も問題になっている。詐欺はよくないのは当然なのだが、齋藤元章容疑者はスーパーコンピューター(スパコン)開発の先頭を走る起業家である。2003年には日本人として初めて、米国コンピューター業界栄誉賞「Computer World Honors」を医療部門で受賞したしPEZY社とグループ会社の活動を通じて、スーパーコンピューター開発において天才的な手腕を持つ人物として注目を集めていた。スーパーコンピューター開発がこれからの日本に計り知れないほどの利益をもたらすことを考えれば、彼の行った少額の詐欺だけに目を奪われるのでなく、むしろ彼に十分な研究資金を国が提供し、同時に資金が不正に使われないように厳重な監視態勢をも国が提供するという可能性は検討できないか。

やはり国会で最も議論して頂きたい事は、世界の中で際立って低い成長率の日本をどうしていくかということだ。失われた20年で、世界の中で日本だけが成長していないのは、デフレが原因だ。1997年度に533兆円であったGDPだが、2017年度は550兆円にしかなっていない。平均成長率はなんと0.2%で世界最低である。デフレ脱却など簡単だ。1997年から財政拡大で成長戦略を行って名目3%成長を続けたとしよう。2017年度には80%増の963兆円にも達し、平均所得も2倍近くなっていて、国の借金も200%をはるかに下回る水準となり、成長する日本に国民も将来不安を持つ人は少なかったはずだ。

名目3%成長など日本には無理だと主張する人がいるかもしれない。しかし、財政を拡大すれば必ずできる。様々な形で大量の資金を国民に流せば、必ず可処分所得が上がり、消費・需要が増えGDPが拡大する。それでも全くGDP拡大はあり得ないのではないかと心配する人がいれば、政府がお金を刷って税金をどんどん下げる場合を考えれば良い。それでも全く消費が増えなかったとしても、国民はしっかり老後の蓄えができて幸せになることは間違いない。GDPが十分増えなくても税金が全部タダであれば居心地は悪くない。国の借金が増えて将来世代へのツケが増えると心配する人がいるかもしれない。GDPが963兆円になったとき、国の借金が2000兆円を超えるというようなことはあり得ない。これはマクロ経済モデルで計算すればすぐ分かることだ。

減税・歳出拡大をするだけで、失われた20年から脱却できる。国会議員には、国をどうやって豊かにすることができるのかをしっかり議論して頂きたい。

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2018年1月28日 (日)

内閣府計量分析室(オオカミ少年)が新しい試算を発表した(No.288)

2018年1月23日に内閣府より『中長期の経済財政に関する試算』が発表された。成長率予測が高すぎると経済財政諮問会議から批判され、全要素生産性を下げて成長率を下げたようである。どれだけ下げたかは図1で分かる。

図1

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黒の実線が今までの名目GDP の実績であり、点線が今回の予測である。ほんの僅かの下げだと分かる。名目GDPは2027年度には757.9兆円にまで増大する予測だ。この図で明らかなように、3%成長するのだと政府が言っているからそれに忖度する義務があり、それ以外の結果を内閣府計量分析室は出せない。その結果3%成長の試算を出すしかないのだ。名目GDPは2001年度518兆円だったのだから、その後ずっと3%成長を続けていたら2018年度には857兆円になっていたはずだ。世界の中ではこれでも低すぎるくらいの成長率だから、如何に日本経済が停滞しているかが分かる。

成長率を高めるには減税や歳出拡大をすればよいだけだ。そうすれば基礎的財政収支が悪化するから反対する人がいる。今回の試算で基礎的財政収支がどうなるかを示したのが図2だ。2026年まで赤字は続く。しかし赤字でも債務のGDP比(右目盛り)は下がり続けるというのが試算結果である。

図2

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ここから重要な結果が導かれる。債務のGDP比は基礎的財政収支が赤字であろうと黒字であろうと関係無く下がり続けるということだ。逆に債務残高は基礎的財政収支が赤字でも黒字でも増え続ける。どこの国でも同じだ。日本以外は債務残高の増大をそれほど気にしていない。なぜなら名目GDPも同時に増え、債務残高のGDP比はそれほど増えないからである。ということは基礎的財政収支など財政健全化には関係ない。債務のGDP比を下げることだけ考えれば良い。

図3は長期金利の推移と内閣府の予測との比較である。実績は黒い実線、今回の予測は黒い点線で示してある。それと共に2002年以降、各年の試算で予測された金利も示した。

図3

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笑ってしまうのは毎年金利が急騰すると予測し、実際はジリジリ下がり続け遂にゼロにまで下落したということだ。この試算が如何に馬鹿馬鹿しいものか、もしこんな失敗を気象庁がやったらどうなるだろう。天気予報で「明日から1週間程度は急激に気温が上がり続けるでしょう」と予報を出し同じ予報が17日間も連続で出されたとする。実際はこの17日間ジリジリ気温は下がり続けたら国民は何と言うだろう。どうしてこんな馬鹿な予報を出し続けるのかと問うと「総理大臣が気温が上がって欲しいと願っているからその願いに添うような予測しか出せないのです」と答える。各省庁はこの予測通りになると仮定して政策を策定し、マスコミもこの予測が正しいとして論評する。

これが気象庁の予報であれば、税金を使ってこんな予報など出さなくて良いと言われるに違いない。しかし経済予測の場合、国民もマスコミもこの試算が何か意味があるものと思い込んでしまい、緊縮財政が必要だと勘違いし20年もの間デフレから抜け出せなくなってしまい経済を衰退させてしまった。このままでは日本はどんどん貧乏になる一方だ。財政健全化と景気回復を同時に実現する方法を内閣府では示している。次のサイトの6頁を見て頂きたい。
http://www5.cao.go.jp/keizai3/econome/ef2rrrr-summary.pdf
公共投資を5兆円増やせば債務のGDP比は1.65%PTだけ減ると書いてある。これは公共投資だけに限らず、あらゆる政府支出について言える。内閣府にこのことを言うと、5年後には逆に債務のGDP比は増えると言う。図1を見て頂きたい。内閣府の5年後の予測は全く当たらない。信頼できるとすれば1年後だ。1年後にまた同じ検討をすればまた同じ結論に達し、それを5年間続ければよいだけだ。つまり減税・歳出拡大をすれば景気が回復するだけでなく財政も健全化する。

今からでも遅くない。減税・財政拡大をして消費を拡大し、デフレ脱却、経済活性化を実現し豊かな国の再建を始めようではないか。

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2018年1月26日 (金)

内閣府試算の詳細を内閣府に説明してもらいました。(No.287)

2018年1月23日に内閣府より『中長期の経済財政に関する試算』が発表されました。これに関して更に詳しい内容を内閣府の方に説明して頂きました。

Q 来年の消費増税をした場合としない場合の比較の試算は出しているか。
A 出していない。法律で消費税は上げることが決まっているから。
Q 2014年の5%から8%への引き上げの際は出した。
A 当時は引き上げが決まっていたわけでは無かったから。
Q 今回の試算で実質成長率は
2017  1.9%
2018  1.8%
2019  1.4%
2020  1.5%
というように、消費増税を行った結果成長率は下がっている。消費増税による消費の落ち込みによるインパクトか。
A 17年度の補正予算が18年度にかけて執行される。その先補正予算が無くなるので公需の剥落という面がある。消費税の影響は大きくないとは思うが切り離すことは難しいので何%分と示すことは難しい。
Q 今後補正予算は無いということは決まっているのか。
A 無いこともあることも決まっていない。18年度は当初予算しかないので無いとして計算した。
Q 景気を落ち込ませないように補正を組もうという動きはありますね。
A 我々には分かりかねる。18年度の当初予算で続いていくという絵を置いている。
Q 半年前の試算の実質GDPは
2017  1.5%
2018  1.4%
2019  1.8%
2020  1.9%
こちらは消費増税をしたら実質成長率は上がってしまった。
A 17,18年度に関しては政府経済見通しを使っていて低く出ていたが、17年度の7-9期の数字が出てきて上方修正されたから今回の試算でもそれが反映された。我々は「見通し」からデータをもらっているだけ。19、20に関しては、潜在成長率が高すぎるという御指摘を頂いた関係で下げた。その関係で成長率が下がった。成長率は全体的に下がっている。
Q 今後潜在成長率はずっと下がると仮定したのか。
A 上がり方を少し弱めるということです。夏の試算だと2.4%まで上がっていくとしていたが、今回は2%に留まるとしている。
Q 潜在成長率を変えればそんなに大きく実質成長率が変わるのか。
A はい。大きく変わります。
Q 2.4から2.0に下げたのは未来永劫下がると言うことか。
A 試算期間ではそう仮定している。一定の前提を置いた場合どうなるかを示した。
Q 潜在成長率を下げる客観的な理由はあったのか。
A 潜在成長率を決めるものとして資本、労働、全要素生産性の3要素がある。全要素生産性は経済財政諮問会議の議論に使って頂くために出しているが、経済財政諮問会議から上がり方が急では無いかというご意見を去年頂いた。そこで今回見直した。
Q 全要素生産性を下げたということは、過去のデータがいつも上振れしているということ、なかなか3%成長にはいかない。過去20年間遡って考えて内閣府では3%いくんだということを想定して作っているが実際はとてもそこまで行っていない。20年間名目GDPはあまり変わっていない。そういうことを考えてもっと全要素生産性を抑えた方がよいということだったのか。今まで全要素生産性をサバ読んでた?
A 経済財政諮問会議の意見に従う。今経済がどうであり、これからどうなる、その場合これからの財政状態をどうするというためのものですので、諮問会議の議論を踏まえて見直していくと言うことは結構あるということです。
Q 過去のデータを組み入れてということはしないのか。
A もともと過去のデータを組み入れて、例えば物価ですとバブル前の生産性に戻りますというような置き方をしたんですが、それぞれ過去のデータを参照していたということですが、参照方法を少し変えたということです。
Q 戻りますといいながら根拠なしに戻りますと言ってますね。しかしずっと戻らなかったですよね。戻らないんだからもう戻らないよと言った方が、ほとんど成長しないと言ったほうが当たっていたんですけどね。本当はね。
A まあ、当たっている部分と当たっていない部分はあるんですけど。
Q 当たってないですよ。3%成長はなかなかしなかった。
A 名目3%成長は ・・・ 2015年は名目3%成長したけど
Q 15年は原油価格が下がったから。原油価格の下落でGDPが押し上げられてますよね。
A その通りです。
Q あれはたまたまであってあれを持ち出すのはちょっとまずいと思う。
A そうです。
Q あの調子で今後も原油価格は下がりますか。
A 下がらないですね。原油価格がゼロになっちゃいます。おっしゃる通りでございます。
Q ありえないんで、あれはたまたまラッキーなのであって、アベノミクスの成果とは言えない。
A そういう面はあるかもしれない。
Q そういう外的要因がないと仮定すれば3%成長しないと客観的には見える。
A それは将来への目指すべき姿、政策効果が出ればと言うことで、成長実現ケースと今回名前をちょっと変えてますけど、昔は経済再生ケースと言ってました。3%成長するというケースです。こちらはそれを目指して政策をやっていく、それが発現した場合というケースいうことでして、もう一つ成長しない、全く成長しないというわけではないのですが、足下程度続きますというベースラインケースもお示ししておりまして、隠し続けたということではない。
Q まあ、2つ出してますが、自分はこう思うというもの、例えば気象庁の予測はあたっている訳です。
A 気象庁も幅を持って見てますけど。
Q 気象庁はいちばんありそうなケースだけを示しているわけですね。
A まあ、そうですかね。
Q 最大限こうなりそうだという予測を出すのも必要なのではないか。こうなりたいなという願望も出してもよいけど、最大限正しい予測も出して欲しい。
A 予測という品質では必ずしもない。
Q そう見えます。
A ええ、見えちゃえば仕方ないですけど。
Q 政府も各省庁もこれをベースに政策を作っているでしょう。だから将来こうなるという予測が欲しいですね。昨日の読売新聞にももっと信頼できる予測はできないのかと社説にありました。こうなるという信頼できる予測があれば安心して消費ができる。20年間、3%成長したかといえば全然3%成長していない。零点何%という低い成長率であるのに、毎回3%成長だという勇ましいことを言ってきた。金利を見てもすぐ上がるんだと言いながらずっと上がらない。今回はだいぶ修正されている。予想が外れてる。
A 予想しているわけでは無い。
Q 予想しなければダメです。政府の願望はこうだと言ってもらったって、それは今まで願望が実現してませんから。実現しない願望を何度言ってもしょうがない。
A まあ、そうでしょうけど。
Q 願望じゃあなくて見込みも出して欲しい。
A なるほど。
Q 願望ケースと見込みケースを出して下さい。
A 願望ケースと見込みケースですか。なるほど。
Q そうすれば、政府はどうやれば願望に近づくか分かるから真剣に考えると思うんです。今のように出してしまうと何もしなくても願望が実現するのかと誤解してしまいます。
A 御指摘有り難うございます。
Q ところで基礎的財政収支は半年前から悪化しているように見えるのですがなぜですか。
A 新しい経済パッケージで消費税を19年に10%に引き上げるときに人造り革命例えば幼児教育の無償化とかの政策になります。そのための財源として消費税増収分の一部を充てましょうということが決まってます。今回それを織り込みまして19年度以降歳出が出て行くようなことになっていて歳出が増えている。あとは成長率が下がると税収が少し下がる。その分で下げている分というのはあります。この2点になると思います。
Q 2018年に限ると、1.4%から1.8%に成長率は上がっている。人造り革命も関係無い。
A 18年度に関しましては17年度の補正予算が編成されて、執行のタイミングで、公共工事などはすぐにはなかなかできない。3か月で物を作れと言われてもなかなかできない。翌年度に執行される。歳出はいつかということ、成長率は上がっていてもそれほど工事は進んでいない。その点PBは成長がよくなっても悪化するということが起きている。
潜在成長率が下がれば成長率も下がり税収も下がる。
Q 基礎的財政収支の黒字化目標は何回も延期されている。最初は小泉さんが2011年度に黒字化すると言っていたが実際は2011年度は大赤字だった。それを2020年度にまで延期した。それも達成できないことが明らかになったので2025年度に延期し、それも達成できないから今度は2027年度だというんですね。
A 目標自体は2011年度と2020年度になっている。今回消費税の使途変更もあり2020年度は難しいですね、だから次の目標を考えて下さいということになっているのが事実です。試算での黒字化と黒字化目標とは必ずしも一致しない。
Q ただ試算結果は2027年度でなければ黒字化しないということですね。
A 歳出は、例えば公共事業は物価で伸びますとか、医療費・介護費とかは物価と共に年寄りが増えると医療費が上がるといった効果を織り込んだざっくりした試算になっている。我々は歳出自然体と呼んでいる。歳出改革を今進めている。その効果は入っていない。
Q 歳出改革と言いますが、歳出を削減すればするほど財政は健全化するのかという点に疑問に思っている。歳出改革と称して歳出削減をするといつまで経ってもデフレから脱却できない。そうなると税収も増えないしGDPは伸びないから債務のGDP比も下がらない。デフレ脱却をしようと言っているのに歳出を削減するのは本末転倒ではないかという気がする。
A 歳出を減らすことによってGDPは下がる。歳出改革とは単に減らしましょうということではない。
Q 減らすこともやりますね。減らせば借金が減るのではないかと誤解している人がいる。GDP比で減るのかというとなかなかそうはいかない。以前は乗数としてそれを出していた。公共事業を減らせばGDPも減り、債務のGDP比は逆に増える。
A そういう乗数は出していなかったと思います。
Q 出しています。2010年に出しています。
A 確かに初年度は債務のGDP比は増えます。5年目を見ると減っている。GDPを減らしても民需がカバーして戻ってくる。
Q 内閣府の試算をみれば5年後の予測など今まで当たったことがない。まるでデタラメな結果だ。ということを考えれば1年づつ計算したほうがよい。1年間だけ考えれば間違いなく公共投資を増やした方が債務のGDP比は減る。1年後にまた乗数を計算し直してみるとやはり公共投資を増やした方が債務のGDP比は減ると分かる。
A それは同じ結果になると思いますよ。
Q 同じにはなりません。毎年新しく計算すれば公共投資を増やしたままにしておいたほうが債務のGDP比は減っているという結果になります。乗数というのは毎年そんなに大きく変わりません。内閣府の文書にも書いてあります。長期予報は当たらないと。気象庁でもそうです。
債務のGDP比は今後下がって行くというのが内閣府の予想ですね。
A はい。
Q 基礎的財政収支は赤字が続いていくが、債務のGDP比は下がって行くのだからもう基礎的財政収支は関係無いのではないか。今後基礎的財政収支は無視していいのではないか。
A そういう御指摘ですね。どうでしょう。債務残高は増えますね。
Q はい。でもGDPのほうがもっと増えます。
A 金利はどうでしょう。
Q 金利は抑えることになったのでしょう。
A はい。でもそれは2%のインフレ率になるまでです。
Q 金利は最大限抑える。そうすると基礎的財政収支は気にしなくて良い。イケイケドンドンで財政を拡大せよ。何かまずいですか。デフレ脱却が簡単に実現できます。
A 金利ゼロですか。金利は基本的には市場で決まっていく。
Q でも日銀はゼロ程度に金利を誘導すると黒田総裁は言っておられる。
A それもいつまでもというわけではない。
Q 当分の間です。実際今回の試算では0%程度に下げることにしたのですね。2009年度まで0%、2020年度に0.4%というようにがんばるのですね。
A がんばるというか物価が上がってこないのでがんばらざるを得ないということですね。
 インフレ率が2%になるまでは金利を抑えるようにしてますが、それ以降はモデルで金利を決めている。日銀が使っている金利決定ルールに従うというようにしている。
Q デフレ脱却がずっと達成されない。小泉さんのときからずっとデフレ脱却を言ってましたね。デフレ脱却が願望に終わって夢が実現しない。だからここで一気にやってしまう。それをやらず、増税や歳出削減をやる。ぐずぐずやってたらずっと続くわけでしょう。なかなか可処分所得が上がらない。だから消費が伸びず本格的な景気回復ができない。これをずっと続けている。そろそろこのへんで終止符を打ったらどうですか。
A 試算は政府の方針を続けたらこうなりますというもので、各論というか何をすればこうなりますということはお答えできないということになります。
Q どういう政策をすればよいかを教えるのがこの試算の役割だと思う。政府の今の政策を続けていたらいつまでたってもデフレ脱却はできない。ではどうすればよいのかというときに、こうしたほうがよい方向に向かいますよというのを示す必要があると思います。新しい乗数をだしたらどうですか。乗数を隠しているのは問題ですよ。狂った羅針盤と言われているので、それを修理して正しい羅針盤を出して欲しいです。
A はい。検討しています。
Q 消費増税の税収の一部を歳出に使うと言っているのでその分が拡大するのかなと思ったがそうなっていない。
A 2020年度の社会保障関係費に入っている。
Q 歳出は前回に比べ減らす傾向がある。
A 予算がこうだったからこうなったということ。
Q 潜在成長率を下げた分、全部が下がったということか。歳出も歳入も
A まあそうですね。歳出は下がったし歳入は下がった。PBは悪くなった。
  ご意見のほうは承りました。
Q 乗数は出して欲しい。もう随分だしていない。
A はい。検討はしています。

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2018年1月22日 (月)

デフレ下の緊縮財政政策は間違いだった(No.286)

日経平均は1989年12月29日に38915円の高値をつけたが、その後暴落し一時6994円まで下がった。最近やっと23000円台にまで回復したが、これでは失われた30年だ。名目GDPもこの20年間ほとんど変わっていない。政府はアベノミクスの成果を強調するが、経済予測の41人の専門家(機関)による2019年度実質成長率の平均が僅か0.77%でしかなく、世界中で際立って低い成長率だ。全く情けない。

 

一方アメリカ経済は好調で、経済音痴で構造改悪とも言える保護主義を唱えているトランプ大統領だが、大規模減税など積極財政で経済を刺激し高成長率であり、株価も史上最高を次々更新している。日本でも大規模減税や歳出拡大をすれば、同じように好景気になるし、インフレ目標達成、デフレ脱却、賃金上昇、税収増大は簡単に実現できる。なぜやらないかと言えば、国の借金におびえ、間違った経済理論が蔓延してしまっているからである。間違いが証明された例は数多くあり列挙してみよう。

 

①クラウディングアウト説:政府がカネを使うと民間の資金を奪い金利が上昇すると言われていた。日銀がお金を刷って国債を買えばよいだけで、今は日銀も政府も金利は制御可能であると認めているから明かに間違いだった。

②日銀券ルール:2001年に日銀券ルールなるものが設定された。これは日銀が保有する長期国債の残高を 日本銀行券の流通残高以下に収めるという政策上の自主ルールであり世界的に例が無い。日銀がお金を刷って国債を買う。これがある限度を超えて行うとハイパーインフレになるのではないか心配してこのような規則をつくって守ってきた。しかし、黒田日銀総裁はこのルールを停止し大量の国債買い入れを始めた。2018年現在、このルールの限度額を大きく超して日銀は国債を購入したが、ハイパーインフレどころかインフレ率1%にも達していない。明かに間違った政策だったことが証明された。

③2011年3月2日当時の日銀総裁の白川氏の財政金融委員会で国債を大量に日銀が買うとハイパーインフレになると発言したが、間違いだったことが証明されている。

④2013年9月6日黒田日銀総裁は増税を先送りして金利が急騰するリスクについて「万が一そういうことが起こった場合の対応は限られる」と発言、「どえらいリスクになる。」と言ったが、これも間違いだった。

⑤1982年、鈴木善幸総理は「財政非常事態宣言」を出したが、国の借金は現在の10分の1程度で全く非常事態ではなくこの非常事態宣言は間違いだった。

 

日本人は通貨増発を過度に恐れ、国の借金が怖くてたまらない。上記の①~⑤は明確に間違いだったことは誰の目にも明かだ。冷静に考えれば恐れるものは何もなくて、国の借金も現在日銀がお金を大規模に刷って一気に返済しているところだ。後は、国債をもっと発行し減税・財政拡大をすれば、経済は成長軌道に戻りかつての繁栄していた頃の日本が戻ってくるのだが、借金恐怖症がそれを許さない。国の財政を家計に例える話がいつも出てくる。日銀がお金を刷って借金返済を行っている事はその話の中には絶対に出てこない。中学公民の教科書にすら国債は国の借金だからいつか返さなければならないと教えている。国債を政府が発行し日銀がお金を刷って市中から国債を購入することは、通貨を増やす役割があり、それは経済を拡大するための成長通貨を供給するという役割もあるのだということも教えるべきだ。

 

財政健全化をいう言葉で日本経済を20年間も衰退させて来た。今こそ積極財政政策に転換し、成長する経済を取り戻すべきではないか。

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2018年1月 9日 (火)

三橋貴明逮捕の報道は悪質で異常(No.285)

三橋氏逮捕の報道が大げさに新聞各紙、テレビ等で一斉に流れた。しかし実態はどこにもある夫婦喧嘩にすぎず、喧嘩でカッとなって警察に電話し被害届を出したが、その後妻はそれを取り下げ一件落着しただけ。あのような大げさな報道は相応しくない。「夫婦喧嘩は犬も食わぬ」ということわざがある。何でも食う犬でさえ見向きもしないという意から、夫婦間の細かい内情などは 知りがたいものだし、すぐに元に戻るようなことなのだから、ほうっておけばよいということ のたとえだ。

夫婦喧嘩は通常夫婦で解決すべきことであり、警察も外部に漏らしてはいけないはずだ。ましてやこのように日本中に大げさなニュースとして報道されるべきものではない。あらゆる夫婦喧嘩をこのように扱うのであればまだしも、三橋氏だから意図的に情報をマスコミに流したのではないか。夫婦間の事は余程詳しく事情を知るのでなければ、外部の者は推測で口出しすべきではないのではないか。

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«政府も日銀も国債暴落はあり得ないと言っている(No.284)