2022年8月 8日 (月)

【続】内閣府計量分析室(オオカミ少年)が経済財政に関する試算を発表した(No.472)

内閣府の試算には失望させられるばかりだが、希望はある。それはその試算の影響力の大きさだ。信頼性を疑う試算だが、それでも政府・マスコミ・経済評論家・国民に与える影響は絶大である。2008年1月17日に内閣府が発表した「日本経済の進路と戦略」という試算は特別だった。そこでは成長シナリオとリスクシナリオが計算してあるのだが、それに加えケースAとケースBも計算されていた。つまり成長A,成長B,リスクA,リスクBの4通りの試算が出されていた。ケースAとケースBの唯一の違いは歳出の規模だった。ケースAは緊縮財政、ケースBは積極財政だった。結果は積極財政の方が緊縮財政より名目GDPも実質GDPも大きく増加、物価は積極財政の方が、0.1ポイントだけ高くなり、失業率は積極財政の方が、低くなる。国の借金は積極財政の方が大きくなるが、GDPも増えるため国の借金のGDP比は逆に下がる。一方で基礎的財政収支は緊縮財政のほうが改善する。つまり積極財政では、国も国民生活も豊かになり、失業者も減り、物価は僅かに上昇する。唯一悪化するのは基礎的財政収支だが、これは国民の生活には関係ないしこんなものを国家目標にしている国は日本だけだ。

内閣府計量分析室に2回電話して質問した。

【第1回】
Q 先週末に中長期の経済財政に関する試算を出されましたが、これについて質問します。14頁から参考資料が示されています。そこでは半年前との比較が出ています。以前の発表には無かったのに今回出てきたのはなぜですか。
A 15頁、16頁の比較は今回が初めてなのですが、17頁、18頁の「コロナ前試算との比較」というところもあります。
Q 今までは潜在成長率は出ていませんでしたが今度は出ました。国・地方の公債等残高対GDP比は悪い方向に動いてますね。
A はい。
Q こういったものを敢えて出されたのはどうしてですか。
A 今まではこういったポイント資料を出していたのですが、今まで抜けていたものを参考資料として出しました。
Q どちらかと言えば悪い方向に、下方修正になっていますがその理由を教えてください。
A 年央試算で下方修正になったからです。
Q 確かに1月17日に発表された試算では2022年度の成長率は名目3.6%、実質3.2%となっていますが、7月25日の発表では名目2.1%、実質2.0%に下方修正されています。しかし2023年度から2031年度は計量分析室で計算したわけで、その部分も下方修正されていますね。
A はい。
Q 下方修正は今回だけではありません。20年近くの間、同様な下方修正を繰り返していますね。
A はい。
Q 名目3%成長、実質2%成長が政府の目標ですから成長実現ケースではこれに従わなくてはいけないのだという話を何回も聞きました。
二十数年前からGDPはほとんど成長していない、世界にこれだけ経済が停滞している国はないという位、世界最悪の状態が続いている。今回は31年度まで計算してありますが、過去のデータを見れば3%成長をするわけがない。余程思い切った政策をやらないと3%成長など夢の又夢です。今のままだとほぼゼロ成長がずっと続いていく。過去の経験からすれば今後もゼロ成長が続くのではないか。でも立場上そんな発言はできないということかもしれません。
A はい。そのような指摘を受けるところですが、政府が目指すところを描いているところでもあります。
Q 例えば自民党の中でも積極財政派と財政健全化派がいて鋭く対立していて骨太方針を決めるときもめました。基礎的財政収支黒字化は目標からはずそうという意見が強く、そうすることに一旦なりましたが、最終的には僅かに過去からの痕跡みたいな注釈が残りました。自民党の中でも積極財政派と財政健全化派が対立しています。どちらが正しいのかを内閣府の試算で財政を拡大する場合としない場合の計算をして比較すべきです。
A はい。
Q それはできないのですか。
A 私がお答えすることはできないのです。そういったことは難しいのかなと思っています。
Q 以前、基礎的財政収支がいつ黒字化するかということで、毎回計算しておられますね。
A はい。
Q 基礎的財政収支改善のために歳出を削減するという試算を内閣府でやっていました。大きく歳出を削減する場合をケースA、少しだけ歳出を削減する場合をケースBとして計算し結果が公表されました。相対的にはケースAが緊縮財政、ケースBが積極財政と言えます。発表された結果によると積極財政のほうが緊縮財政よりGDPが拡大し、失業率も減少、物価は0.1ポイントだけ上昇し、さらに債務残高の対GDP比も減少するという結果が出されています。こういった計算を再度行うべきだと思います。成長シナリオでケースAとケースBを計算して今の日本にとってどちらがよいのかは、政治家の方々や国民に判断してもらえばよいわけです。そういった計算はどう思いますか。
A そういったケースのどちらがよいかというのは、一概には言えないと思います。
Q そういった計算をして結果を出すと議員とか国民に考える材料を与えることになりますね。
A はい。そういった事でご意見を承っておきます。
Q 3%成長という線を引いておられますが、成長を助けるものは何かを見ると、やはりこの計算でも財政を拡大していますね。GDPが増えたら税収も増える、それに伴って歳出も増やす。上昇軌道に乗ると、来年度は税収が増えると見込んで歳出を増やすことになり、毎年毎年歳出が増えていくことになります。かつての日本は成長期ではそうしていた。60年代から80年代まで、歳出を決めるときに来年度の税収はこの位増えるだろうとして予算を組んでいた。そうすると増えていく。だから歳出は毎年増えていた。むしろ60年代は税収が増えすぎるから、様々な控除を設定して所得税減税を行っていた。そして減税をしながら税収は増えていった。成長するとそうなる。一方で現在は成長しないから、税収は増えない。だから歳出は増やせず、結果として極めて低成長になる。政権側から名目3%、実質2%、インフレ率2%となるようにせよとプレッシャーが掛かるのでしょうか。
A そういったことがないわけではない。
Q そういった自主規制のようなもので計算していますか。結果として3%成長しない。だから毎年下方修正せざるを得ない。3%成長すると言っておきながら、実際次の発表時には成長していない。しかたなく、下方修正をして今後は3%成長しますと言う。結局国民を騙し続けている。そろそろ考え直してみませんか。
Q はい、分かりました。承りました。
A 2021年度の歳出は144.6兆円、22年度は110.3兆円で34.3兆円減っている。素朴に考えればこれだけ歳出が減ったらGDPは大きく下がるはず。普通のモデルなら当然そうなりますが、ここでは逆に上がっている。これはなぜですか。
Q お答えできかねます。
A 歳出ですが2020年、21年で随分増えている。22年は大きく減っている。
Q そうですね。
A 普通のモデルなら34兆円も減らすと、GDPも大きく減少するはずなのに2.1%増えている。なぜか。
Q 予算の使い残しがあって翌年に繰り越されているのではないか。補正予算がどのように使われているのかを説明してください。
― 担当者は、まともに答える気があるように見えないので電話を切った。 ― 

【第2回】再び電話
Q 先週、中長期の経済財政に関する試算が出されました。日本経済は実質賃金は二十数年間下がり続けている。その間GDPも成長率はほぼゼロである。この試算は1年に2回出しておられますが、毎回、実質2%、名目3%ということが仮定されているみたいです。
A はい
Q 金利も毎年上がる予想が出ている。
A はい
Q 実績と比べてみると全然当たっていない。
A はい
Q どうして当たらないのですか。
A 当たる・当たらないという話はそうですね。結果的にはそうなっているのですけど。
Q 結果的にそうなっているということならば、成長実現ケースでの予測はどうせ当たらないと思われても仕方ない。国を動かすためにはある程度予測が正確でないと難しい。天気予報もだんだん正確になってきている。内閣府の試算は毎年進歩しているかと言えば、そうではなく同じ間違いを繰り返している。
A はい。
Q 例えば、今回参考資料が出ていて、半年前の発表に比べ今回は下方修正されているという比較がしてありますね。
A はい。
Q 十数年間、毎年下方修正をしながら出している。それよりも最初から下方修正をしておけばよいのではないか。
A はい。そういったご意見も受け止めながら今後も作成していきたいと思います。
Q 私も何回も電話してそのことを言うのですが、それは試算に反映されてないですね。覚えておられるかどうか分かりませんが2008年の1月17日の内閣府の試算はちょっと違っていました。成長実現ケースの中でもケースAとケースBを計算しておられる。ケースAとケースBでは歳出の額だけが違っている。Aの場合は緊縮財政、Bの場合は積極財政なのです。2つのケースを見たら積極財政の方がGDPは拡大し、失業率は減少、累積債務の対GDP比は減少しています。これは内閣府で乗数を出しておられるので言うまでもないことですね。唯一緊縮財政が良いのは基礎的財政収支が改善するということだけです。これは政治家やマスコミ、一般国民が判断する材料としてとても価値が高いのではないでしょうか。基礎的財政収支さえ黒字化すれば日本は潰れても良い、国民がどんなに貧乏になっても良いという考えもあるかもしれない。いやそうではなくて、積極財政で国民・国家を豊かにしたほうが良いと考える人もいるかもしれない。それは内閣府で判断するのでなく、政府・政治家・国民に考えてもらえばよいのではないか。これが私の率直な感想なのです。なぜか2008年だけその比較が示され、それ以外の年はその比較は行われていない。内閣府計量分析室の中の人でケースA、Bの歳出の額を決めた人を私は知っています。どうしてその後歳出の額だけを変えたケースを計算しなくなったのですか。
A ちょっと分かりません。2008年には私はここにいませんでした。
B 当時、誰がその方針を決めたのでしょう。当時はケースAとケースBの場合が新聞にデカデカ取り上げられて国民の関心も高かった。計量分析室の中のどなたかが、この2つのケースを計算してみようと決めたのだと思います。だからもう一度同様な計算をやって頂けないかと思います。自民党の中でも野党の中でも積極派と緊縮派が鋭く対立してますね。どちらが良いのかを考える時、こういう比較が内閣府から出されていれば、国民の生活を考える上で重要なヒントを与えることになります。参議院でも同様な計算が行われていますし、日経のNEEDS日本経済モデルを使った計算もあります。乗数を出しておられますので乗数を見ればどういう結果になるかは一目瞭然なのですが、でも内閣府計量分析室が比較試算を出せば非常に影響力が大きい。もしかすると停滞を続ける日本経済を救うかもしれないと思っています。どちらがよいと内閣府で決めつけるのでなく、中立な立場でディスカッションの材料を提供すると良いと思うのですがどうお考えですか。
A ご意見を参考にさせて頂きたいと思っております。
Q どうすればそれが実行されるでしょう。こういった判断は内閣府計量分析室でできるのか、あるいは政府・自民党などと相談するのか。誰がそれを決定できるのですか。
A 内閣府計量分析室単体ではできません。
Q だから上の方からの指示が必要ということですか。今の政策で本当に3%成長すると思いますか。あるいは0%成長が続くのでしょうか。
A 将来の姿は試算で書いてありますから、その通りです。
Q 2018年に乗数を発表しておられていて、大凡の振る舞いは分かるわけで、ゼロ成長がこれだけ長く続くということは歳出を増やしていないということ。歳出を増やさなければ成長するわけがない。韓国・台湾・中国なども急成長している。日本だけが成長しない。どこが違うのか。歳出を増やさない事に原因があると思います。
A はい。
Q 政府から要望があれば、出せますか。
A 必ず出せるというわけでもない。

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【コメント】
近年は内閣府計量分析室の方々は非常に知識が豊富で丁寧な受け答えをして下さっておりました。今回は知識が貧弱で、丁寧な説明を拒んでいるように思えました。

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2022年8月 7日 (日)

内閣府計量分析室(オオカミ少年)が経済財政に関する試算を発表した(No.471)

内閣府は年2回「中長期の経済財政に関する試算」を発表している。日本には経済財政に関する試算を発表しているシンクタンクは多数あるが、その信頼性に関しては内閣府のものが最悪である。それは内閣府の担当者の質が悪いのではなく、きつい制約があるので自由な解析ができず、その制約の下で計算すると、全く現実離れした予測しか出せないのだ。その制約とは
① 名目成長率3%、実質成長率2%、インフレ率2%
② 発射台となる今年度の成長率は事前に定められ閣議決定されるので、これは決して動かせない。
つまりシミュレーションの出発点は事前に固定され、成長率も固定されているので内閣府計量分析室には身動きが取れなくなっている。もちろん、この制約が過去の日本経済と整合的であれば、問題はないのだが、現実は過去の成長率は世界最低でほぼゼロ成長が続いている。正常な判断力を持つ人間であれば、今後30年もやはり世界最低レベルの成長率が続き、やがて日本は世界最貧国に近づくと予想するだろう。しかし計算を担当している内閣府計量分析室がそのような悲観的な試算を出せば、国民の支持は失われ政権が維持できなくなる。これはかつての大本営発表と同じで、国民が嘘に気付いたときには国土は焼け野原になっていて多数の人命が失われていた。

試算を出す度に厳しい批判を受けているので、今回は半年前の発表より経済が悪化していることを認め、参考資料としてどの程度悪化したかを示した。2022年の実質GDP成長率では半年前は3.2%となっていたが、今回は2.0%にまで下方修正された。同様に名目GDPは3.6%から2.1%に下方修正された。このような下方修正が2~3回程度なら特別追求すべき事でもないが、同様な下方修正を実に20年も繰り返している。

次に示すのは内閣府が予測した名目GDPと実績値との比較だ。実績はゼロ成長なのだが、毎年3%成長になるように現実離れをした予測を出している。小学生にグラフをみせて、将来どうなるかを予想してもらえばよい。ほぼゼロ成長の予想をするだろうし、内閣府の予想より遥かに精度が高いだろう。

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金利の予想も実績と比較してみよう。

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実績値は下落気味で2016年度からはほぼゼロに固定されている。右上がりの線は2002年度から2022年度までに内閣府が発表した予測である。こちらも小学生のほうが内閣府よりはるかに高い精度で予測するだろう。本当に多額の税金を使ってこのような馬鹿な試算を出し続ける価値があるのだろうか。内閣府計量分析室は2018年に乗数を発表した。歳出を減らしたらGDPも減少すると予測。詳しくは以下のサイトを参照して頂きたい。
https://www5.cao.go.jp/keizai3/econome.html
ところが今回の発表では次のグラフのように歳出が減っても名目GDPが増えている。

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内閣府計量分析室によるとこの件に関しては別な部署に責任があると主張して理由を説明しようとしない。

本来なら景気が悪化し成長率が世界最悪レベルになれば、政権は吹っ飛び、経済を建て直すと主張する野党が政権を取るだろう。2009年、政権交代した民主党はマニフェストで約束した事は実行せず景気回復どころか東日本大震災の対応に失敗し、更に復興資金として所得税を増税し、更に消費増税まで決め株価も低迷した。しかも外交でことごとく失敗し、真に地獄の世界で国民は二度と民主党は嫌だという強い拒否反応が出てきて自民党の一党支配を許す結果となっている。

今回の予測も今までと変わりはない。過去に出された予測がすべて間違いだったとして、今年度の成長率を下方修正し将来的には名目3%成長しますというもの。オオカミ少年は2回までは信じてもらえたが、3回目は信じてもらえなかった。内閣府の試算は「今年度は大はずれで下方修正をしますが、今後は名目3%成長をします」という嘘を20年前から言い続けているのだ。今こそ国民は偽りの試算で国民を騙すのは止めろと抗議すべきだ。そして実質2%、名目3%の成長率にするには、財政規模をどこまで拡大しなければならないかを示させるべきだ。財政赤字は悪だという社会通念を打破し、財政支出を拡大した場合、日本経済はどの程度発展するのかを計算し発表すべきだ。社会通念の打破はコペルニクス的な発想の転換が求められる。財政赤字の拡大はモラル低下でも腐敗でもなく、事実上政府が通貨を発行し、経済拡大のための成長通貨の供給を行っているだけである。企業なら赤字が続くと破綻するが、国は通貨発行権を持っていて破綻はせず、いつでも通貨発行はできるし、発行しなければならない。通貨発行でかつて世界を驚かせた経済復興を再現しようではないか。
参考文献:『毎年120万円を配れば日本が幸せになれる』『ベーシックインカムで日本経済が蘇る』

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2022年7月28日 (木)

ベーシックインカムの導入が及ぼす日本経済への影響(No.470)

ベーシックインカムが日本に導入されたとき、日本経済にどのような影響が出るのかを日経新聞社が開発したNEEDS日本経済モデルを使い調べた。全国民に20万円を年4回、つまり合計80万円を毎年給付する場合、様々な経済データがどの程度影響を受けるのかを示す。その影響を明確にするために、現金給付をした場合としなかった場合の差を示した。そうすることにより、季節的に変化する場合とか、為替に影響する場合とかという種類の効果が差し引かれ、純粋に現金給付による影響のみが明らかになる。例えば経済対策を今年始めても、来年始めても、例えばGDP押し上げ効果はほぼ同じと思われる。現金給付の財源は国債発行とし、これに伴って社会保障費を減額したり、増税をしたりしないものとする。

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2022年6月 6日 (月)

基礎的財政収支黒字化目標を撤回し積極財政政策に転換せよ(No.469)

財政施策の指針を決める2022骨太方針が明日6月7日に決定しようとしている。これまで骨太方針には、いつまでに基礎的財政収支(PB)を黒字化すると明記してあった。今回はこのことに関して自民党の中で紛糾している。自民党の財政政策に関する二つの本部が出来上がっている。
① 財政健全化推進本部
  岸田首相の直属の組織であり麻生副総裁、額賀福志郎氏などが入っており財政再建の
旗を降ろさない
② 財政政策検討本部
  安倍晋三元首相や西田昌司参議院議員などが属しており積極財政を求めている。

5月19日 財務省の小野平八郎総括審議官(緊縮派)は6月上旬に閣議決定される「骨太の方針」について自民党との調整に追われていた。その夜、小野平八郎氏は酔って電車内で乗客を殴ったとして警視庁に逮捕された。以前には財務省では森友学園案件に関わる決裁文書が改竄された。自殺者も出た。このように財務省の権威が失墜してきているのは明かだ。日本経済が30年間停滞したのは財政健全化を重視し緊縮財政を続けたから。財務省がそれを牽引してきた。そろそろそれが変わる時が来たのかもしれない。

例えば2021年の骨太方針では2025年度のPB黒字化目標を堅持し債務残高のGDP比を安定的に引き下げると明記されていた。ところが2022年の骨太方針では「2025年度のPB黒字化目標は本文中には明記せず、小さな文字で脚注に付記する。目標は維持するが検証する。」とする案が出され、新聞各紙は「収支黒字化「堅持」から後退」という見出しが躍った。しかし緊縮派がその後巻き返し「令和5年度予算において、本方針及び骨太方針2021に基づき、経済・財政一体改革を着実に推進する」と書き加えるよう主張した。これでは元に戻ってしまうと西田昌司議員は激怒した。

PB黒字化目標が決まってしまうと、目標達成のため最大限歳出を削減し増税を行わなくてはならなくなる。要するに国民からお金を取り上げ、国民を貧乏にすることだ。PB黒字化目標を放棄すると激しいインフレになると緊縮派は言う。激しいインフレになるということは需要が爆発的に増加し、供給がそれに追いつかなくなり、極度の物不足になるということだ。IMFによれば日本のPBは1993年以降、一度も黒字化したことはない。そうであればもうとっくに激しいインフレになってなければおかしい。むしろPB黒字化目標があるために、歳出削減、増税などを行って国民からお金を取り上げるために、消費が落ち込み景気が落ち込み税収が増えないからPBが黒字化しないということだろう。

IMFによればPBが黒字なのは183カ国中30カ国だけであり黒字国は資源産出国が多い。だから日本もPB黒字化をしなければならないという理由はない。

そもそも内閣府試算を信頼してそれを国の目標にするのは危険過ぎる。次のグラフはPBの対GDP比と内閣府の予測との比較である。黒い線が実績であり、それ以外の線は内閣府が各年度に予測したものである。

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2008、2009年度の落ち込みはリーマンショックによるもの、2022年と2023年の落ち込みはコロナ禍によるものである。実際は1993年以降PB黒字化になることはなかったのだが、内閣府は毎年のように「あと数年すれば黒字化するからもっと緊縮財政を続けよ」と主張しているのである。デフレ脱却ができていないのに緊縮を続けたために世界に例がないほどの低成長に陥り、実質賃金は下がり続けるという悲惨な結果となっている。そもそもこのグラフは予測ではなく、政府の願望であり自作自演である。このシミュレーションの担当者がそのことを明言している。なぜこのような馬鹿げたグラフを内閣府の予測にしたのかと言えば、それはデフレでも緊縮をやりたくてたまらない財務省の意向を受けたものだからである。


内閣府の試算が欺瞞的であるのは、名目GDPの予測でも明確に理解できる。
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黒い線が実績であり、それ以外はそれぞれの年に発表された内閣府の予測だ。実績ではほとんどゼロ成長が続いているのに、内閣府の予測はいつも3%成長である。モデルの担当者に聞くと、自分たちは政府に雇われた身分なので、政府の命令どおり3%成長のグラフを描くしかないのだという。PBにせよ、成長率にせよ、ふざけた田舎芝居にすぎない。こんなものに振り回されるのは一刻も早く辞めるべきだ。つまりPB黒字化目標は撤回すべきだ。

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2022年5月28日 (土)

第158回日本経済復活の会の定例会(No.468)

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講師  ①阿蘇 伸生先生 株式会社トリウムテックソリューション取締役
    1981年 3月早稲田大学大学院理工学専攻科博士課程前期修了
    1995年 6月衆議院議員佐藤静雄の政策担当秘書に就任、その後計4名の国会議員の政策担当秘書を務める
    2019年 4月株式会社トリウムテックソリューションの取締役に就任し,現在に至る
    演題:「日本の真の自立と経済復活の切り札〜トリウム溶融塩炉」
    要旨:
    福島原発事故災害以降、日本は有効なエネルギー政策を取ることができず、今や電力供給逼迫のためいつブラックアウトが発生してもおかしくない状況にあります。
台湾有事や尖閣有事において、日本はシーレーンを確保できず、経済活動はおろか国民生活の維持さえままならない状況にあります。
トリウム溶融塩炉は、日本が抱えるエネルギー問題を解決するのみならず、日本のエネルギーの自立を実現します。また、トリウム溶融塩炉は、エネルギー不足に悩む世界各国の経済発展に貢献し、莫大な外貨を稼ぐ輸出品となりえます。
トリウム溶融塩炉が実現できれば、まさに、20年以上に及ぶ日本経済の長期低迷を一挙に解決し、日本は本当の意味で自立することができます。
冒頭で、以下の動画を見ていただき、後半で上記の趣旨を説明致します。
トリウム溶融塩炉とは
https://www.youtube.com/watch?v=jvxqwvHz4Ww
ホルムズ海峡封鎖に備えて日本が取るべき選択肢
https://www.youtube.com/watch?v=U5xllglbZmI

②小野 盛司 日本経済復活の会会長 
会の活動報告、『日本経済復活への道』
国債発行を財源とした景気刺激策①現金給付②消費減税③公共投資増額などが日本経済に与える影響については日経新聞社のNEEDS日本経済モデルを使って計算したものを拙書『これでいける日本経済復活論』(2003)で発表した。ベーシックインカムの結果は国民にお金が行き渡るので、消費が増大し、経済は著しく改善しデフレからの脱却がすみやかに可能となり、景気がよくなるので給料も上がっていくはずだったが、政府はそれを行わなかった。その結果このモデルが予想したとおり、経済成長率は世界最低レベルで、2十数年間実質賃金が下がり続けているという悲惨な状況になっている。
我々は日経モデルで再計算を行い、前回と同様な結果を得て次の2冊の本にまとめた。
『毎年120万円を配れば日本が幸せになる』(2021)『ベーシックインカムで日本経済が蘇る』(2022)
積極財政を行えば日本経済は復活するという結論はこの20年間、変わっていない。政府がこの計算の意味を理解し、積極財政政策に舵を切れば日本経済は再び成長を始める。

○ 日時 2022年6月19日(日)午後3時~午後7時
         7時以降も有志の方々が議論を続ける可能性はあります。
○ Zoom ミーティングですので、次のサイトから入って下さい。
https://us02web.zoom.us/j/81335414575?pwd=UVY3SkVUcXd6YUZwbm1DMHA3Rkxtdz09
ミーティングID: 813 3541 4575
パスコード: 185594

○ 参加費 無料 
〇 当会合に関する問い合わせ先:小野(03-3823-5233)、須田(090-2170-3971)

 

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2022年5月23日 (月)

積極財政が日本国民を救う(No.467)

現状では消費者物価は上がるが賃金は上がらない。実質賃金の下落で国民は貧乏になる。
図のように実質賃金は30年近く下がり続けている。

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科学的に経済予測をする方法がある。それはマクロ計量経済モデルでありローレンス・クライン(ノーベル経済学賞受賞者)などが始めた。その一つの例が日経新聞社のNEEDS日本経済モデルである。1974年から予測を開始し予測を行い日経新聞に発表している。日経は日本最大の経済データを保有しており、それを駆使している。以下で示す計算結果に関する説明は次のサイトで詳しく述べられている。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2021/03/post-a5b8c7.html
以下のグラフは、①~③の経済対策の押し上げ効果または押し下げ効果のみを示したものである。

ここでは次の4種類の場合を計算する。
①現金給付
年間80万円(3ヶ月ごとに20万円)を国民全員に給付する。
②消費税減税
消費税率を0%に下げる。
③公共投資の増額
公共投資を年間20兆円増額する。
④現状維持
我々の計算を2人のノーベル経済学者Paul A. SamuelsonとLawrence R. Kleinが高く評価して下さった。

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«PB黒字化目標の欺瞞