2016年11月27日 (日)

トランプ氏の積極財政への期待でダウ平均株価は史上最高値を更新(No.226)

最近のテレビは物価が上がっても賃金が下がれば年金が減るという法案の話を何回もしている。政府も物価が上がり賃金が下がることを予測して、その時のための対策を練っているのだろう。これにより政府が自ら国民にデフレマインドを助長している。こんなことをしていると、ますます国民は将来不安を持ち、今のうち倹約しておかねばと思うようになる。物価が上がっても賃金が下がった場合の対策にこんなに力を入れている馬鹿な国は日本だけだろう。


米国はトランプ次期大統領が積極財政政策を発表しただけでダウ平均株価は史上最高値を更新した。日本だって同様に思い切った財政拡大策を出せば良い。そうすれば、日経平均も史上最高値の38915円を超えることができるに違いない。積極財政政策で金利も物価も上がる。実は米国にとってはこれは微妙な問題だ。金利が上がればドル高になるし、そうなれば製造業は競争力を失う。トランプは製造業を米国に取り戻すと約束して大統領になったのだから、日本や中国との貿易摩擦へと発展しそうだ。

一方、日本が積極財政政策を行う場合、金利が上がろうとすると、日銀が大量の国債購入で阻止するから金利は上がらない。物価は上がるが、それは諦めかけていたインフレ目標が達成されるということでこんなに嬉しいことはない。失われた20年に終止符を打つことができる。それだけではない。名目GDPの増加は国の借金のGDP比を下げ、実質的に国の借金を軽くする。そのことは、内閣府のシミュレーションで示されている。日本の景気が回復すれば、需要が拡大し米国からの輸入も増え日米貿易摩擦は解消の方向に進む。

財政に頼らず金融だけで経済を回復させようとして失敗した政府だが、その理論的な支柱であった浜田宏一氏は、その考えが間違いだったということを11月15日に日経新聞で明かにした。それはジャクソンホール会合の基調講演でノーベル経済学賞を受賞したクリストファー・シムズ氏(プリンストン大教授)が「金融政策が効果を発揮するには財政政策の裏付けが必要」と主張したことで浜田氏は自分の誤りに気付いたという。やっと我々の主張が理解されたということであり、今こそ政府は積極財政へ政策の大転換を行う時だろう。

「政府は国民の持つ将来不安の解消のための努力を怠っているのではないか。」と質問主意書で聞いてみた(正確には福田昭夫議員に聞いてもらった)。少しはまともな答弁が得られるかと期待したのだが、政府はひたすら「財政が厳しい。国債を増発すれば国債の信認が落ちるから緊縮財政を行う」という。

しかし国債の信認が高まれば高まるほど、金利は下がる。現在のマイナス金利が更に下がると、金融機関に更に深刻な悪影響を及ぼし、それが企業への融資の妨げになる。トランプ氏の政策のように積極財政であれば、国債の信認が落ちて金利が上昇しGDPを押し上げる。世界各国のマイナス金利を押し上げ、マイナス金利を解消し「正常化」に成功している。

 質問主意書の答弁書では成長戦略で改革をやっているんだと主張している。この程度の改革で失われた20年からの脱却ができると思っているのだろうか。トランプ氏は「改革案」を出しただけで、市場に好意的に受け止められ、米国の株は史上最高値を更新し続けている。

1982年の鈴木善幸内閣ですでに財政非常事態宣言が出ている。34年も前の国の借金がほとんど無かった頃から日本政府は財政が厳しいと言い始めた。トランプ氏は国の借金など全然気にしていないことに日本政府も注目すべきだ。

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政府は国民の持つ将来不安の解消のための努力を怠っているのではないかという疑問に関する質問主意書とその答弁書(No.225)

福田昭夫先生に提出して頂いていた質問主意書に対する答弁書が返ってきました。
私のコメントは最後に書きます。
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平成28年11月9日提出
質問第126号

政府は国民の持つ将来不安の解消のための努力を怠っているのではないかという疑問に関する質問主意書
                             提出者 福田昭夫
2%のインフレ目標、実質2%名目3%のGDP成長率目標のいずれも達成に失敗したアベノミクスだが、それは政府が国民の持つ将来不安の解消のための努力を怠っているのが原因ではないかという疑問が生じている。経済再生も財政健全化も国民の将来不安の解消が無ければ実現は不可能である。特に国の借金1000兆円が国民の将来不安を引き起こし、国民は節約に走り、それが経済再生を不可能にしているのではないか、そして結果として財政健全化ができなくしているのではないかという疑問が生じていることに関し質問する。

1 国の借金は家計の借金と同じと考えるか。

2 財務省のホームページには日本の財政を家計に例えた場合について説明がある。それによると月収30万円の家計でローン残高は5143万円なのだそうである。このような家計では、新たな借金をしようとしてもとても貸し手が現れないような印象を受ける。しかし、現実はそれでも政府は0%あるいはそれ以下で新たな借金ができる。ということは国の借金と家計の借金とは全く意味が違うと言えないか。

3 日銀はお金を刷って国債(国の借金)を買い取っている。これを家計に例えるとこの家庭ではお金を刷って使っても良いと認められていることになると思うが同意するか。

4 月収30万円の家計でローン残高が5143万円であれば、確実に自己破綻する。つまり借金踏み倒しである。国の借金もそれが起きると考えているのか。

5 一方で「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」と財務省のホームページに書いてある。これを家計に例えると、日本の家計でどんなに借金が多くなっても破産することはないということになる。このことから国の財政を家計に例えるのは無理があると言えるのではないか。

6 終戦直後には、国の借金は膨大であった。それを税金で返したのでなくインフレのお陰で実質的に激減した。実際、大多数の国々ではインフレのお陰で国の借金を実質的に減らしている。このことを家計に例えるとどのような借金の返済の方法に対応するのか。

7 国の借金を実質的に減らす方法は2つあるというのが伊藤元重氏が今年6月27日に読売新聞に載せた説である。第一の方法は例えば毎年借金を10兆円ずつ減らす方法で1000兆円の借金を半分にするのに50年かかるだけでなく、大恐慌を引き起こす。第二の方法は経済を発展させ毎年3%の成長をすればGDPは20年で約2.4倍になり、借金のGDP比は2.4分の1となる。伊藤氏は第一の方法は非現実的だが、第二の方法は現実的だと主張している。国の財政を家計に例えている限り、借金返済の方法は非現実的な第一の方法しかあり得ず、多くの国で採用されている第二の方法が見えなくしてしまうと思わないか。

8 国の財政を家計に正しく例えるならば次のようになる。借金は多いが、この家庭では離れでお札を印刷することが許されていて、大量に印刷し年間借金の10分の1程度を返済している。かなり返済が進んでいるが、貸し手である銀行はそのような返済を続けることを必ずしも望んでおらず、このペースでの返済はあと1~2年で困難になると考えられている。その理由としては銀行がこの家庭に貸出をし、それに対する利息が貴重な収入源となっており、それが無くなると銀行の経営が成り立たなくなる恐れがあるからである。またこの家庭から銀行に返済したお金の多くは、この家庭に預ける仕組みになっている。この家庭は銀行がこの家庭にそんなに多額のお金を預けて欲しくないと考えており、なんとこの家庭は銀行に対し、この家庭に預けたお金の一部にマイナス0.1%の金利を支払えと命令し銀行は強制的に受け入れさせられたのである。国の財政を家計に例えるなら、このように説明しなければ誤解を受けると思うが同意するか。

9 このような疑問に関する政府の正式な回答を財務省のホームページに書くべきではないか。

10 政府が国の借金を家計に歪曲した形で例えることで、国民に将来不安を生じさせ、節約に走らせる。それが消費を冷え込ませ経済再生を遅らせ、結果としてそれが財政健全化の妨げになっていると考えるが同意するか。

11 日銀の政策変更で今後国債の暴落は起こりえなくなったのではないかという疑問に関する質問主意書(質問第18号、以下質問1という)と政府が日銀の金融政策の有効性を疑っている事に関する質問主意書(質問第76号、以下質問2という)の質問の主旨は、国債の暴落という国民の将来不安を解消し経済再生と財政健全化を追求しようとするものであった。しかし両質問に対する答弁書はこの主旨を否定し経済再生と財政健全化を阻害しようとした。政府は国民の持つ将来不安の解消のための努力を怠っているのではないか。

12 質問1の7で、日銀の保有する国債を無利子・無期限の国債にコンバートすればどうかと提案した。無利子・無期限の国債でなくても政府貨幣(例えば500円玉とか1兆円玉等)にコンバートする案も考えられる。多くの識者からこのような提案がなされるのは、1000兆円という国の借金に対する不安で消費が抑えられ日本経済の再生が不可能になっている窮状を救い、日本人に自信を取り戻させ、経済を活性化させ、財政の健全化を目指すものである。しかし、答弁書ではこの提案を否定した。これは政府が国民の持つ将来不安の解消のための努力を怠っている現れではないか。

13 コンバートは通貨の信認を失わせると質問1の答弁書(以下答弁書1という)と質問2の答弁書(以下答弁書2という)では答えている。「通貨の信認が失われる」という事実を家計に例えようとしても無理である。そもそも家計の場合インフレに相当するものが無く、例えるのが不可能である。国の借金と家計の借金が似ても似つかぬものであるのに、無理に比較しようという試みは単に国民の持つ将来不安を増大させるだけであり、結果として経済再生と財政健全化を遅らせるだけではないか。

14 答弁書2の4についてで、成長戦略において、様々な分野で改革を断行してきたとある。確かに改革は必要であり生産性を高める努力はすべきである。ただし、国民の将来不安の解消を行わないままだと逆に不安の増大につながる可能性がある。貿易の自由化や生産性向上は、一部の労働者を切って捨てるということになりかねない。財政が厳しいという理由で「痛みに耐えよ」と言って弱者切り捨てを行えば、国民の将来不安は増大するだけだと思うが同意するか。

15 答弁書2の11及び13についてで、雇用は確実に改善しているとある。しかし改善したのは非正規だけである。いつでも解雇できる非正規の人しか採用しないのは、企業が将来不安を持っているからだと考えるが同意するか。

16 世界中で長期間デフレを続け名目GDPが上がらない国は日本だけである。その理由は政府が国の借金が多いと言って将来不安を煽っている事が原因で国民は消費を抑え、企業は国内投資を抑えているからだと考えるが同意するか。

17 国の借金が日本以上の速度で増加している国は世界中に数多く存在する。しかし、それらの国々の名目GDPの増加速度は借金の増加速度に匹敵するものであり、その結果借金のGDP比は日本よりはるかに低いものとなっている。このことが意味するのは、日本の問題は国の借金が増えることではなく、名目GDPが増えないことである。そしてそれは財政が厳しいなどと言って国民に将来不安を煽り、緊縮財政を行ったことが原因していると考えるが同意するか。

18 答弁2の一、五及び八についてで「国債の価格や長期金利は、金融政策のみならず、経済・財政の状況等の様々な要因を背景に市場において決まるものであるとした上で、日本銀行は、二パーセントの『物価安定の目標』の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、長短金利の操作を内容とする『長短金利操作付き量的・質的金融緩和』(平成28年9月21日日本銀行政策委員会・金融政策決定会合決定)を継続するとしている旨を述べたものである」とある。これは、インフレ率が2%になるまでは「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」による長短金利の操作が有効、すなわち、長短国債の価格操作が有効であるものの、インフレ率が2%を超えれば途端に無効となり、「国債の価格や長期金利は、金融政策のみならず、経済・財政の状況等の様々な要因を背景に市場において決まる」ため、いずれ国債が暴落することになる、つまり、いずれこのような操作は必ず破綻を迎えることになるという趣旨か。もしくは、このような操作によってインフレ率が安定的に2%を超えてゆくことになれば、公的債務GDP比が低下し、政府財政が健全化するので問題にならないという趣旨か。
右質問する。

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平成28年11月18日受領
答弁第126号
    内閣衆質192第126号
      平成28年11月18日
                     内閣総理大臣臨時代理
                       国務大臣 麻生太郎
     衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員福田昭夫君提出政府は国民の持つ将来不安の解消のための努力を怠っているのではないかという疑問に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

衆議院議員福田昭夫君提出政府は国民の持つ将来不安の解消のための努力を怠っているのではないかという疑問に関する質問に対する答弁書

1,2,4から6まで、9、10及び13について
 御指摘の「月収30万円の家計でローン残高が5143万円」という例えは、平成26年度当初予算において我が国の税収及び税外収入の合計額が54.6兆円程度である一方、当時の国の長期債務残高が780兆円程度であることを分かりやすく示したものである。
 国の財政と家計に関して、それぞれの債務はいずれも期日までに返済する必要があるという共通点を踏まえ、我が国の財政状況について国民の理解を深めることを目的として、財務省のホームページにおいて我が国の財政を家計に例えた資料を掲載しているところであり、「国民の持つ将来不安を増大させる」とのご指摘は当たらない。
 また、このような趣旨に鑑み、政府として、御指摘の「インフレのお陰で国の借金を実質的に減らしている」ことを家計に例えて示すことは考えていない。
 我が国の財政状況は、極めて厳しい状況にあるが、政府としては、「経済財政運営と改革の基本方針2015」(平成27年6月30日閣議決定)に盛り込まれた「経済・財政再生計画」(以下「経済・財政再生計画」という。)に沿って引き続き財政健全化の取組を着実に進め、国債に対する信認を確保していくとともに、今後とも、財政について、国民に理解を深めていただくよう取り組んでまいりたい。

3及び8について
 ご指摘の「日銀はお金を刷って国債(国の借金)を買い取っている」及び「この家庭では離れでお札を印刷することが許されていて」の意味するところが必ずしも明かではないが、財政法(昭和22年法律34号)第5条本文においては、「すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借り入れについては、日本銀行からこれを借り入れてはならない」とされており、これに抵触する日本銀行による公債の引受け等については禁じられている。したがって、ご指摘のような例えを使用することは不適切である。

7について
 御指摘の「国の財政を家計に例えている限り、借金返済の方法は非現実的な第一の方法しかあり得ず」の意味するところが必ずしも明かではないが、我が国の財政は、極めて厳しい状況にあり、政府としては、経済・財政再生計画に基づき、平成32年度の財政健全化目標の達成に向けて、経済と財政双方の再生を目指す経済・財政一体改革に取り組むこととしている。

11について
 先の答弁書(平成28年10月7日内閣衆質192第18号。以下「18号答弁書」という。)1及び10について及び先の答弁書(平成28年10月28日内閣衆質192第76号。以下「76号答弁書」という。)1、5及び8についてでお答えしたとおり、国債の価格や長期金利は、金融政策のみならず、経済・財政の状況等の様々な要因を背景に市場において決まるのであると考えている。黒田東彦日本銀行総裁も、長期金利について、平成28年9月21日の記者会見において、「短期金利と同じように完全にコントロールできるかという議論であれば、それは短期金利と全く同じようにできるとは言っていません」と発言している。その上で、平成25年1月22日に政府及び日本銀行が共同で公表した「内閣府、財務省、日本銀行「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について(共同声明)」にもあるように、「持続的な財政構造を確立するための取組を着実に推進する」ことを含め、デフレからの早期脱却と物価安定の下での持続的な経済成長の実現に向け、政府及び同行の政策連携を強化し、一体となって取り組んでいくこととしており、「政府は国民の持つ将来不安の解消のための努力を怠っている」とのご指摘は当たらない。

12について
 76号答弁書6についてでお答えしたとおり、18号答弁書7についてでは、一般に、利子が付されておらず、かつ、元本の償還が約束されていない債券には経済的価値が認められないことを踏まえ、先の質問主意書(平成28年9月27日提出18号)7においてご指摘の「コンバート」を行えば、財政運営及び通貨に対する信認を著しく損なうおそれがある旨を述べたものであり、「政府が国民の持つ将来不安の解消のための努力を怠っている現れではないか」との御指摘は当たらない。

14について
 成長戦略において、国民生活を豊かにし、企業の生産性を向上させるため、必要な改革をちゅうちょなく断行してきた。
 例えば、農業協同組合法等の一部を改正する等の法律(平成27年法律第63号)により、農業協同組合制度を抜本的に改革し、企業が農業に参入しやすくした。環太平洋パートナーシップ協定では、原署名国になった。観光では、査証緩和措置に加え、継続的な訪日プロモーション、免税店や免税対象品目の拡大等観光客誘致のための取組等を実施しており、平成27年、訪日外国人観光客は、過去最高となった。加えて、電力の小売市場を全面自由化した。さらに、法人実行税率を20%台に引き下げた。
 こうした構造改革は、意欲ある者の創意工夫を促し、個人一人一人がその潜在力を開花する「生産性革命」につながり、日本経済の成長に貢献するものである。
 さらに、経済成長の果実を生かして、安心できる社会基盤を築き、成長と分配の好循環を強固なものとするものとしており、御指摘の「弱者切り捨て」を行うものではない。

15について
 企業がどのような雇用形態の者をどの程度採用するかは、個別の事情によって様々であることから、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。なお、正規雇用労働者数は、平成27年に8年ぶりに対前年比で増加に転じていることから、「改善したのは非正規だけである。いつでも解雇できる非正規の人しか採用しない」とのご指摘は当たらない。

16及び17について
 我が国においては、安倍内閣の経済財政政策によって、名目GDPは増加している。
 また、我が国の財政状況については、国・地方の債務残高がGDPの2倍程度に膨らんでいることは事実であり、「国の借金が多いと言って将来不安を煽っている」及び「将来不安を煽り、緊縮財政を行った」との御指摘は当たらない。一般論としては、経済再生を実現しGDPを拡大することと債務残高を抑制することが債務残高対GDP比の安定的な引き下げにつながることになる。したがって、経済再生と財政健全化の両立に向けて、引き続き、基礎的財政収支の黒字化を目指し、その改善に取り組んでまいりたい。

18について
 76号答弁書1、5及び8についてでは、日本銀行は、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のために、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、長短金利の操作を内容とする「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」(平成28年9月21日日本銀行政策委員会・金融政策決定会合決定)を継続する旨を述べたものであり、お尋ねのような、インフレ率が2%を超えれば途端に金融政策が無効となり、国債が暴落することになることやインフレ率が安定的に2%を超えていくことにより財政が健全化する旨を述べたものではない。なお、政府としては、今後とも、財政健全化の取り組みを着実に進め、国債に対する信認の確保に努めてまいりたい。

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コメント
最近のテレビは物価が上がっても賃金が下がれば年金が減るという法案の話を何回もしている。政府も物価が上がり賃金が下がることを予測して、その時のための対策を練っているのだろう。これこそがデフレマインドであり、政府が自ら国民にデフレマインドを助長している。こんなことをしていると、ますます国民は将来不安を持ち、今のうち倹約しておかねばと思うようになる。物価が上がっても賃金が下がった場合の対策にこんなに力を入れている国は日本だけだろう。

財政に頼らず金融だけで経済を回復させようとしている政府だが、その理論的な支柱であった浜田宏一氏は、その考えが間違いだったということを11月15日に日経新聞で明かにした。それはジャクソンホール会合の基調講演でノーベル経済学賞を受賞したクリストファー・シムズ氏(プリンストン大教授)が「金融政策が効果を発揮するには財政政策の裏付けが必要」と主張したことで浜田氏は自分の誤りに気付いたという。やっと我々の主張が理解されたということであり、今こそ政府は政策の大転換を行う時だろう。

1,2,4から6まで、9,10及び13について
家計と国の財政はこれだけ違うということを具体的に質問主意書で指摘した。そのように指摘されるのが余程いやだったのだろう。いや、反論できなかったのだろう。なんと1,2,4,5,6,9,10、13の8つの異なる質問に対して、たった1つの答弁しかしなかった。
 要するに「期日までに返さなければいけないところだけは共通でしょ」と言いたいようだ。

3及び8について
 この答弁は明かに間違えている。質問主意書では「この家庭では離れで(つまり日銀が)お札を印刷することが許されていて、そのお金で借金を返している。」と例えた。答弁書では日銀による国債引受は財政法で禁止されていると主張したが、日銀が市場から国債を買うことはもちろん許されているわけであり、この答弁は間違いである。

7について
 この件に関しては伊藤元重氏の議論をもう一度読んで下さいと言うだけでしょう。

11について
 答弁書では長期金利は市場で決まるんだという主張をまだ続けている。一方で日銀は11月7日、ホームページ上で公表していた金融政策と長期金利の関係に対する見解を修正した。
 これまでは長期金利について日銀の金融市場調節で誘導することは「容易ではない」としていたが、マイナス金利と大規模な国債買い入れの組み合わせが「長短金利全体に影響を与えるうえで有効」と証明されたとし、9月に長期金利(10年国債金利)を誘導対象に含めた「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入したと説明している。
 ちなみにFRBは、国際利回りが上昇することを抑制するために、1942年から1951年まで米国債を買い支えた。これによって米国の長期金利は概ね2.5%以下に抑制された。つまり国債暴落の阻止ができないわけがない。

12について
 無利子無期限の国債が無価値だと言うのなら、500円玉のような政府貨幣はどうかと質問した。それも無価値だという答弁なのか。ええ!?

14について
  成長戦略で改革をやっているんだと主張している。この程度の改革で失われた20年からの脱却ができると思っているのだろうか。トランプ氏は「改革案」を出しただけで、市場に好意的に受け止められ、米国の株は史上最高値を更新し続けている。日本だって同様に思い切った財政拡大策を出せば良い。そうすれば、日経平均も史上最高値の38915円を超えることができるに違いない。

15について
 正規雇用労働者数は、平成27年度に8年ぶりに増加しているが、7年間下がり続けたのであり、平成19年には3449万人だったのに対し、平成27年はまだ3304万人であるから、以前の水準には遠く及ばない。また比率で見ると平成27年度は正規の割合は前年比でも減少している。

16及び17について
 政府は緊縮財政でGDPを拡大していくと主張している。そんなことができるなら失われた20年はなかった。緊縮財政ならGDPは増えない。逆に積極財政ならGDPも増えるし、国の借金のGDP比も減っていき財政は健全化する。

18について
 国債の信認を高めていきたいとのことですが、国債の信認が高まれば高まるほど、金利は下がる。現在のマイナス金利が更に下がると、金融機関に更に深刻な悪影響を及ぼし、それが企業への融資の妨げになる。トランプ氏の政策のように積極財政であれば、国債の信認が落ちて金利が上昇しGDPを押し上げる。

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2016年11月16日 (水)

第138回 日本経済復活の会定例会 (No.224)

日本経済復活の会 会長 小野盛司

講師 小野 盛司 日本経済復活の会会長 
会の活動報告、『日本経済復活への道 -刷ったお金は使いなさい-』

   会長以外の登壇者は未定です。
   また日本経済等の事柄に関し、ディスカッションの時間もあります。
    

○ 日時 平成28年12月23日(金、天皇誕生日)午後3:00時~午後6:30時
                 (開場2:45、講演開始3:00)

○ 場所 東京都文京区春日1‐16‐21 文京シビックセンター 3階 区民会議室 会議室A
TEL 03-3812-7111

○ 会費 1000円(資料代を含みます。)当会合に関する一切の問い合わせと、御来会の可否は小野(03-3823-5233)宛にお願いします。メール(sono@tek.jp)でも結構です。ご協力お願いします。

224


東京メトロ後楽園駅・丸の内線(4a・5番出口)南北線(5番出口)徒歩1分 都営地下鉄春日駅三田線・大江戸線(文京シビックセンター連絡口)徒歩1分 JR総武線水道橋駅(東口)徒歩9分

日本経済復活の会のホームページと連絡先    担当 小野盛司   

http://tek.jp/p/

TEL:03-3823-5233 FAX:03-3823-5231

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2016年11月13日 (日)

米国大統領選は本当に公正に行われたか、トランプの積極財政には期待(No.223)

米国大統領選挙はトランプの勝利で終わった。元々クリントン優勢と伝えられていただけになぜそうなったのか驚く。選挙直前、トランプ氏はもし自分が負けたら、選挙で不正が行われたのではないかとして訴訟を起こす可能性をほのめかした。ただし自分が勝ったら結果を受け入れると、なんともご都合主義の男だ。

こんなデタラメな男であれば、陰で何か不正をやったのではないかと疑いたくなる。例えば接戦州でカネをばらまいて票を買収するとか、公共工事で儲けさせてやるから票を取りまとめてくれとか、方法はいくらでもあるのではないか。彼は高速道路、橋、トンネル、空港、学校、病院などインフレを整備することは最重要課題だと言った。トランプが大統領になったら、あなたの町に***が建設されますと運動員が戸別訪問で言って回ったりツイートで広めたりしたら、それなら投票してもいいと思った人がいるのではないか。

得票数ではクリントン氏がトランプ氏を上回っているのに、獲得選挙人ではトランプ氏が上回ったことを考えてもなんだか怪しい。もともとクリントン氏はカリフォルニア等の大票田では確実に取れるので、票割りではむしろ有利だと言われていて、事前調査では獲得予想の選挙人数では大差でクリントンリードだった。

トランプ氏は自らが設立したトランプ大学の学生から詐欺罪で集団訴訟を受けている。選挙での発言の多くは田舎芝居であって国民を騙しただけではないか。

①「メキシコとの国境に壁を造る」「費用はメキシコに支払わせる」という公約だが、8月にメキシコのペニャニエト大統領と会談した際はこの話は持ち出さなかった。つまりやる気が無い。

②日本が攻撃を受けたら我々は即座に助けに行かなければなら ないが、米国が攻撃されても日本は我々を助ける必要はないというのは不平等だと主張。守ってもらいたければカネを払えという。選挙後に安倍総理と話した様子では、そのような激しい要求をしていたようには見えない。

 

これは筆者の推測だが、選挙前の様々な発言は単なる選挙対策であり、本気ではないだろう。自由貿易を否定し、関税を上げて国内産業を保護しようと主張する。しかしそれをやれば、貿易相手国も米国に対し関税を上げるから、国全体を衰退させてしまう。これは1930年頃から始まった保護貿易の結末であり、トランプ氏も理解するだろう。TPPも米国が参加しないなら米国抜きで発行できるよう条項を見直す提案がメキシコのゲハルド経済相が提案しており、そうなれば米国経済には大打撃となる。

 

暗い話ばかりになってしまったが、一つ明るい話題がある。保護貿易を唱えるトランプ氏が大統領になったら株が大暴落するかと思いきや、ダウ平均は逆に上昇した。それはトランプ氏が当選が確実となった後の演説で大規模な減税や高速道路、橋、トンネル、空港、学校、病院などインフレを整備するなどと具体的な積極財政政策を打ち出したのが、景気浮揚効果ありと受け止められたからだ。もともと共和党は小さな政府を目指していて、トランプ氏の政策は共和党の従来の政策とは正反対のものである。

以前、筆者は米国経済をシミュレーションを使って研究している経済学者の試算を見て、もっと財政を拡大すればもっと成長できるのではないかと聞いたことがある。彼は、これ以上財政を拡大したら共和党が反対すると言っていた。「緊縮」「健全財政」という途方もない厚い馬鹿の壁をトランプは破ったのかもしれない。この点だけは日本政府もしっかり注視して欲しい。

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2016年11月 8日 (火)

展望レポートもホームページも支離滅裂だと日銀が認め書き直した(No.222)

No.220で日銀展望レポートが支離滅裂だと指摘した。同様の追求はNo.221とNo.218で質問主意書で厳しく追及した。直接日銀や内閣府に電話し同様に追求した。その結果遂に日銀が白旗を揚げホームページを11月7日書き換えた。このことを本日11月8日、新聞各紙が報じている。

書き換えの前:
長期金利の水準は「人々の予想や将来の不確実性に左右される」として、操作が難しいとしていた。また長期金利は「なるべく市場メカニズムに委ねることが望ましい」とも書いていた。

書き換えの後:
マイナス金利と大規模な国債買い入れの組合せが、長短金利全体に影響を与えるうえで有効だとわかった。

この書き換えは「長期金利を0%程度に誘導することを金融政策の目標とする」という新たな枠組みを決めたのだから当然である。そうであれば、今後金利の暴騰、つまり国債の暴落はあり得ないと日銀が宣言しなければならない。そうすれば、政府も安心して財政を拡大できる。なぜなら財政を拡大しない理由は「国債が暴落する」ということと「ハイパーインフレになる」ということだった。ハイパーインフレにならないことは政府はすでに質問主意書で認めており、国債暴落なしならもう財政拡大を阻止する理由はなくなった。

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2016年11月 4日 (金)

政府が日銀の金融政策の有効性を疑っている事に関する質問主意書とその答弁書(No.221)

福田昭夫先生に提出して頂いていた質問主意書に対する答弁書が返ってきました。

私のコメントは最後に書きます。

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平成28年10月20日
質問第76号

政府が日銀の金融政策の有効性を疑っている事に関する質問主意書

                  提出者   福田昭夫

日銀は、長期金利を0%程度とする金利目標を発表したのだから、もはや国債暴落は起こり得ないのではないかという質問主意書(質問第十八号)に対する答弁書(答弁第十八号、以下答弁書という)の答弁は、長期金利は日銀ではなく市場が決めるということであった。これについて質問する。

一 答弁書の一及び十についてでは、国債の価格は、金融政策のみならず、経済・財政の状況等の様々な要因を背景に市場において決まるものと述べている。これは日銀の金融政策は無効であり、日銀の目標にも拘わらず、金利が暴騰し国債が暴落する可能性を述べたものか。

二 例えば外資が長期国債の売りを仕掛けたとしたら、日銀は対抗して買うことができず、金利は三0%とか五0%とかにはね上がるということか。日銀が買うことができる限界は何兆円までと考えているのか。

三 答弁書の二についてで、我が国の財政については、極めて厳しいとある。これは政府が国債を売っても、誰も買い手がつかず、財政が破綻するという意味か。しかし、財務省のホームページには「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。」との記載がある。実際には長期国債までも0%以下の金利となっており、事実上タダでいくらでも資金が調達できる状態である。それでも財政が厳しいとは、何を意味するか。

四 答弁書の三についてで、かつて構造改革と称して様々な改革を行ってきたが、潜在成長率は上がってきていないのはなぜか。今後も同じ失敗を繰り返すつもりか。

五 答弁書の四、八及び九についてで、「経済財政モデル(二0一0年度版)」(平成二十二年八月内閣府公表)において公表している乗数表では、御指摘の「国債の発行を増やせば増やすほど、国の借金の対GDP比は減っていく」とのケースは示していないとなっている。しかし、この六頁の②には公共投資を五兆円継続的に削減した場合の乗数があり、増やす場合は符号を変えれば良い。この場合、公債残高のGDP比は一.六五%PTだけ減少するとなっている。金利固定ならもっと減る。更にこの当時より債務残高は更に増加していることから、現在はもっと減少幅は大きくなる。
 「長期金利は、経済・財政の状況等の様々な要因を背景に市場において決まるものである」と答弁してあるが、日銀が、長期金利を0%程度とする金利目標を発表したが、それは全く金利に影響を与えない、つまり日銀の金融政策は無効だという主張か。それでは二0一四年に始まった大規模金融緩和で長期金利さえもマイナスになったのはどう説明するのか。

六 答弁書の七についてで、無利子・無期限の国債は価値が無いと述べている。政府発行の国債が価値が無いと発言してもよいのか。政府発行の貨幣も日銀発行の紙幣も無利子・無期限だから価値が無いと言えば価値が無いし、誰もが価値があると思えば価値がある。国債も同様である。無利子・無期限の国債も政府が価値を認め、必要ならいつでも額面で買い戻すと宣言すれば価値がある。日銀が市場に売る場合でも、何年後に一定の利子をつけて買い戻すと言って入札を行えば買い手は出るのだから通常の国債と、価値の面では何ら変わらないのではないか。

七 答弁書の十一についてで、日銀の財務の健全性に関しては日銀に丸投げをし、また日銀のイールドカーブコントロールや十年物国債の利回り0%維持方針を否定しており、日銀は無能であると宣言しているが、日銀総裁・副総裁は、日銀法二十三条に基づき、国会の同意を得て内閣が任命しているわけで、内閣が全く責任を負わないというのはおかしくないか。

八 本主意書冒頭で「日銀は、長期金利を0%程度とする金利目標を発表したのだから、もはや国債暴落は起こり得ないのではないかという質問主意書(質問第十八号)に対する答弁書(答弁第十八号)の答弁は、長期金利は日銀ではなく市場が決めるということであった」と述べた。これに関して、答弁書の答弁は内閣の日銀に対する不信の表れであり、すなわち、黒田日銀総裁の任期が満了する平成三十年四月以降、内閣には黒田総裁を再任する意思がないことの表れであると受け止めて良いか。

九 答弁書の十三についてで行われた答弁は問題のすり替えである。アベノミクスで名目GDPが二十七兆円増加したという主張は国民を欺くものである。例えば平成二十八年五月十八日に内閣府から発表された平成二十八年一~三月期四半期別GDP速報を見ると、平成二十七年度の名目GDP成長率は二・二%だが、そのうち外需が一.七%、内需が0.五%となっていて、外需の大部分は原油価格の値下がりからくる。よってこの年の名目成長率の多くは原油価格の値下がりからくるのであり、アベノミクスの成果ではない。また平成二十七年十二月二十二日に内閣府から発表された「平成二十八年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度の八頁には「物価関係指数の変化率」が示めされており、消費税率引き上げの影響を機械的に除いたものも示してある。消費税率引き上げにより税率分だけ物価が上がり、その分だけGDPが膨らむ。これは国民にとっては、迷惑な膨らみであり、アベノミクスの成果として自慢すべきものではないと考えるが、同意するか。アベノミクスで名目GDPが増えたと自慢したいなら、消費増税による迷惑なGDP増加分と原油価格の下落によって生じたGDPの増加分を除いた数字を示さなければ国民を騙したことになると思うが同意するか。当然のことながら、将来消費税率の引き下げがあったり、原油価格の上昇があったりすれば、見かけ上増えているように見える部分は消えるのである。

十 答弁書の十五についてで、「我が国の財政状況については、国・地方の債務残高がGDPの二倍程度に膨らみ、なおも更なる累増が見込まれる」という表現は適切でないとすでに以前の質問主意書で指摘した。二倍が三倍、四倍に増えていくことを意味しているように思えるからである。それに対して答弁書の五についてで、「先の答弁書(平成二八年五月一三日内閣衆質一九0第二五五号)八についてでは、累増が見込まれるのは国・地方の債務残高であることを述べたものである。」と答弁している。そうであれば、誤解が生じないような表現になぜ変えないか。全く異なる質問に全く同じ文で答えるのは不誠実と思わないか。しかも表現が適切で無いと指摘を受けた文を再度使うべきではないと考えるが同意するか。

十一 日銀は「量」で失敗し「金利」に金融政策の目標を転換したが、その長期金利の制御は不可能だと政府は主張し、また政府の経済財政諮問会議では歳出削減を検討しデフレを加速しようとしている。このことで、第一の矢も第二の矢も失敗に終わり、アベノミクスは失敗を宣言したらどうか。

十二 石原伸晃経済財政・再生相は十月五日「消費税は十%では賄いきれない。次は十二%、十四%、十五%という形で上げることを国民に問いかけていかなければならない」と発言したが、この考えに同意するのか。

十三 外国人投資家による株の売越額は六兆円を超え、一~九月としてはこれまでの最高だった。これはアベノミクスに失望したからだと言われているが、このことをどのように考えるか。

十四 日銀は十月三十一日~十一月一日に開く金融政策決定会合で物価見通しを下方修正しようとしている。これにより黒田日銀総裁の任期中に物価上昇率二%の目標は難しくなった。これもアベノミクスの失敗を意味しているのではないか。

十五 九月の総括的な検証の直後、日銀内から黒田日銀はレームダック(死に体)だという声がもれたが、これに同意するか。

十六 FRBのフィッシャー副議長は十月十七日のニューヨークでの講演で、先進国が低金利・低成長から脱するには「政府支出の拡大と減税による財政政策が重要だ」と指摘したが、これに同意するか。
右質問する。

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答弁書第76号
 内閣衆質192第76号
   平成28年10月28日
                 内閣総理大臣 安倍晋三
 衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員福田昭夫君提出政府が日銀の金融政策の有効性を疑っている事に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

衆議院議員福田昭夫君提出政府が日銀の金融政策の有効性を疑っている事に関する質問に対する答弁書

1,5及び8について
 先の答弁書(平成28年10月7日内閣衆質192第18号。以下「前回答弁書」という。)1及び10について及び4,8及び9についてでは、国債の価格や長期金利は、金融政策のみならず、経済・財政の状況等の様々な要因を背景に市場において決まるものであるとした上で、日本銀行は、2パーセントの「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、長短金利の操作を内容とする「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」(平成28年9月21日日本銀行政策委員会・金融政策決定会合決定)を継続するとしている旨を述べたものである。したがって、お尋ねのような「日銀の政策は無効であり、日銀の目標にも拘わらず、金利が暴騰し国債が暴落する可能性」や「日銀の金融政策は無効だという主張」を述べたものではなく、また、内閣の「日銀に対する不信の現れや」「黒田総裁を再任する意思がない事の表れ」とは認識していない。

2について
「外資が長期国債の売りを仕掛けたとしたら」とのお尋ねについては、仮定の御質問であることからお答えすることは差し控えたい。「日銀が買う事が出来る限界は何兆円までと考えているのか」とのお尋ねについて、日本銀行による金融政策の具体的な手法については、同行の金融政策運営に関するものであり、同行の自主性を尊重する観点から、お答えすることは差し控えるが、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に沿って、同行が適切に対応されるものと認識している。

3について
 前回答弁書2についてにおいて「我が国の財政については、極めて厳しい」とお答えした趣旨は、国・地方の債務残高がGDPの2倍程度に膨らみ、なおも更なる累増が見込まれるなどの状況にある旨を述べたものである。

4について
 お尋ねの「様々な改革」の意味するところが必ずしも明かではないが、これまで成長戦略において、様々な分野で改革を断行してきた。
 例えば、農業協同組合法等の一部を改正する法律(平成27年法律第63号)により、農業協同組合制度を抜本的に改革し、企業が農業に参入しやすくした。環太平洋パートナーシップ協定では、原署名国になった。観光では、査証緩和措置に加え、継続的な訪日プロモーション、免税店や名税対象品目の拡大等観光客誘致のための取り組みを実施しており、昨年、訪日外国人観光客は、過去最高となった。加えて電力の小売市場を全面自由化した。更に法人実行税率を二十%台に引き下げた。
 今後の潜在成長率を向上させるための焦点は、働き方改革と第4次産業革命を通じた「Society5.0」の実現である。国民生活を豊かにしながら、企業の生産性を向上させるため、必要な改革をちゅうちょなく断行してまいりたい。

6について
 前回答弁書7についてでは、一般に、利子が付されておらず、かつ、元本の償還が約束されていない債権には経済的価値がみとめられないことを踏まえ、先の質問主意書(平成28年9月27日提出質問第18号)においてご指摘の「コンバート」を行えば、財政運営及び通貨に対する信認を著しく損なうおそれがある旨を述べたものであるが、御指摘の国債の価値については、仮定のご質問であることから、お答えすることは差し控えたい。

7について
 前回答弁書11についてでは、日本銀行法(平成9年法律第89号)第5条第1項において、「日本銀行は、その業務及び財産の公共性にかんがみ、適正かつ効率的に業務を運営するよう努めなければならない」としており、同条第2行において、「この法律の運用に当たっては、日本銀行の業務運営における自主性は、十分配慮されなければならない」とされていること等について述べたものである。
 また、金融政策について、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」は、平成25年1月22日に政府及び日本銀行が共同で公表した「内閣府、財務省、日本銀行「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について(共同声明)」」(以下「共同声明」という。)を踏まえて、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するために必要な施策として決定されたものと認識している。
 デフレ脱却と持続的な経済成長の実現は、政府及び同行共通の重要な政策課題であり、引き続き、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現に向けて、同行とも緊密に連携しつつ、金融政策、財政政策及び構造改革を総動員し、一体となって取り組んでいく。
 
9について
 消費税率引き上げや原油価格の変動が名目GDPに与える影響については、消費税率引き上げや原油価格下落等による物価変動だけでなく、それらに伴う需要の変化や政策対応による変化等が複合的に影響し合って発生すると考えられることから、一概にお答えすることは困難である。

10について
 先の答弁書(平成28年5月13日内閣衆質190第255号)8についてでは、国・地方の債務残高がGDPの2倍程度に膨らみ、なおも更なる累増が見込まれることを述べたものであり、「表現が適当でない」とは考えていない。

11及び13について
 政府としては、共同声明にもあるように、デフレからの早期脱却と物価安定の下での持続的な経済成長の実現に向け、政府及び日本銀行の政策連携を強化し、一体となって取り組んできたとことであり、こうした安倍内閣の経済財政政策により、デフレではないという状況となり、雇用・所得環境も確実に改善していると考えている。
 また、ご指摘の外国人投資家の認識について政府としてお答えすることは差し控えたい。

12について
 お尋ねの発言については、石原国務大臣が政治家としての見解を述べたものであると承知してお答えする立場にない。

14について
 ご指摘の「10月31日~11月1日に開く金融政策決定会合」で議論される内容を前提としたお尋ねについてお答えすることは差し控えたい。
 「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」は、総括的な検証を行った上で、金融緩和強化のための新しい枠組みとして導入されたものであり、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するために必要な施策として決定されたものと認識している。
 政府としては、共同声明にもあるように、デフレからの早期脱却と物価安定の下での持続的な経済成長の実現に向け、政府及び日本銀行の政策連携を強化し、一体となって取り組んでまいりたい。

15について
 ご指摘の「日銀内から黒田日銀はレームダック(死に体)だという声がもれた」との事実を承知していないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。いずれにせよ、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、長期金利の操作を内容とする「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続するとしており、平成28年10月12日の衆議院予算委員会において、黒田東彦日本銀行総裁は、経済、物価及び金融情勢を踏まえ、必要な場合には追加緩和を行う旨の答弁をしているものと承知している。

 16について
 安倍内閣としては、経済再生と財政健全化の両立を目指しており、成長戦略の実行等を通じて、民需主導の持続的な経済成長を実現していくとともに、財政健全化の取組を進めることとしている。

答弁書に対する以下は私のコメントです。

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「1,5,及び8について」と「2について」
金融緩和の目標が長期金利が0%程度とするとなったのに、なぜか政府は長期金利は市場で決まるという。11月1日に出された 日銀レポートにですら、財政の信認が失われたら金利が上がるのだと言う。金利上昇が止められないなら日銀は無能ということを自ら認めることではないか。内閣府に電話して聞いても、金利はこれからどんどん上がるのだという。一方で市場関係者は「泣く子と日銀には勝てぬ」と言っているのですが。不思議な光景ですね。

3について
内閣府は国・地方の債務のGDP比はこれから下がると言っているのだから、極めて厳しいとは言えないはず。「財政は厳しい」を連発すれば、日本中が節約に走るし、それにより景気は悪化し財政は更に悪くなるという悪循環に陥るのだが。

4について
成長戦略で自慢したいのですね。
「構造改革」によって生産性が上がるかもしれないけど、それによって職を失う人も出てくる。その場合に政府は十分な対策を行っていると言えるだろうか。財政が厳しいなどと言って弱者切り捨てをやっているだけではないか。

6について
無利子無期限の国債が価値がないというなら、政府貨幣、例えば500円玉はどうか。1兆円の政府貨幣を必要枚数つくって日銀保有の国債とコンバートするのはどうだろう。

7について
2%の物価目標の達成時期が5回も延期され、実現のメドが立っていない。何が悪かったのか政府に考えさせることが必要ですね。

9について
「アベノミクスで名目GDPが27兆円増えた」という政府の主張が嘘だと具体的に詳しく説明したのに対して、それについて一切反論できなかったということです。「お答えすることが困難である」だそうです。

10について
今後国の借金は増えるが、国の借金のGDP比は減少する。だけど財政は厳しいのだと主張する。おかしい。でも政府の「国・地方の債務残高がGDPの2倍程度に膨らみ、なおも更なる累増が見込まれる」という文章を読んだ国民は、そのような矛盾は読み取れない。官僚が考案した国民を騙す絶妙の作文。そんな悪知恵をはたらかせるより、もっと日本経済を復活させる知恵を出して欲しい。

11及び13について
雇用は改善したか。非正規が増えただけ。企業は一時的な円安で、一時的に稼いで一時的に非正規を増やした。本当の改善ではない。所得環境は改善したとは思えない。

12について
これも大臣の失言か。

14についてと15について
2%のインフレ目標の達成時期が5回も延期されたのに何の反省もなく「できるだけ早期に実現」を繰り返すだけか。

16について
民需主導でと主張する。自分たちの失敗を民間のせいだと言うのだろうか。

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