2017年5月21日 (日)

基礎的財政収支ではなく債務のGDP比が新しい政府の目標に(No. 248)

NHKのニュースによると政府は、2020年度までに基礎的財政収支を黒字化するとした財政健全化目標を見直し、GDPに対する債務残高の割合に着目した、新たな目標を掲げる方向で検討に入ったそうである。従来は基礎的財政収支の黒字化ばかりに目を奪われていたために、増税と歳出削減の努力ばかり行っていた。その結果デフレが続き、経済が低迷、世界のGDPに占める日本の比率は18%近くあったものが6%以下にまで下がってしまい、経済における国際的な地位低下が止まらない。つまり日本が急速に貧乏になりつつあるということだ。結果として決して基礎的財政収支は改善しなかった。つまり、増税や歳出削減で基礎的財政収支を改善することは絶対にできないという結論がでた。

日本経済復活の会では、債務残高のGDP比を下げることを目標にすべきだと主張し十数年前から活動を始めた。債務のGDP比を下げるには積極財政でGDPを増やせばよく、それにより債務のGDP比を減らせると同時にデフレ脱却、景気回復も達成できる。2003年に我々は日本経済新聞社の日本経済モデルNEEDSを使い、実際それが実現可能であることを示した。そして内閣府のモデルでも同様な結果が得られることも示した。内閣府のモデルで実際にどのように国の債務やGDPやその比が変化するかをリアルタイムに示したのが次のサイトである。

http://www.tek.jp/p/

それを政治家・国民に知らせるために2004年にノーベル経済学賞受賞者であるローレンス・R・クライン氏を招きシンポジウムを開くと共に、議員会館で議員を集めクライン氏に講演を行ってもらった。また緊縮財政では日本が貧乏になるだけだと知らせるために、2007年10月26日の朝日新聞に全面広告を出し一人当たりのGDPが世界1位から18位まで下がったことを書いた。更に2010年6月22日の読売新聞の全面広告で積極財政を行えば、債務残高のGDP比は下がってくるのだというシミュレーションの結果を示した。

更に、日本経済復活の会と主張が近い国会議員を通じ、57回の質問主意書を通じて、基礎的財政収支を目標とするのでなく、債務のGDP比を目標にするよう説得してきた。今回遂にその説得の効果が出始めたのではないかと期待している。もし債務のGDP比を下げることを政府が目標に定めるとしたら、積極財政でGDPを増やすことをすればよいだけだということに気付くはず。それにより債務のGDP比は確実に減少し、デフレから脱却でき、2%のインフレ目標も達成でき、景気はよくなる。こんな素晴らしいことはないのだが、先程述べたNHKのニュースでは次のようなコメントもあった。

政府は、この指標(債務のGDP比)は債務残高が増えても、GDPが高い成長を続ければ改善するため、財政再建の取り組みを後退させるという指摘が出ることも予想されるとしている。

しかしこれは杞憂である。経済モデルを使って調べれば分かるように財政を拡大すれば、税収が増え基礎的財政収支は改善する。基礎的財政収支は必ずしも黒字化する必要はない。実際、基礎的財政収支が黒字の国は182カ国中52カ国(つまり28.5%)しかない。基礎的財政収支の黒字は景気にブレーキを掛けることであり、長く続くと失速しデフレに陥る。債務のGDP比が減り基礎的財政収支の赤字幅がある程度縮小すれば、それだけで十分財政が再建したことになるのだから、むしろ経済活性化に重点を移すほうがよい。

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2017年5月15日 (月)

財政拡大で国の借金のGDP比は減少するという驚くべき事実(No.247)

「財政拡大で国の借金のGDP比は減少する」と主張しても「そんな馬鹿な」と言って誰も信じてくれない。しかし国債を増発し財政を拡大すれば、名目GDPも国の借金も増加することは誰もが知っていることだ。では、このとき名目GDPの増加率と国の借金の増加率のどちらが大きいかと聞けば、ほとんどの人はそんなの分からないと答えるに違いない。そうであれば「財政拡大で国の借金のGDP比が増加するか減少するかは分からない」とほとんどの人は答えるべきである。同じ質問を別な聞き方にしただけだから。

一度次のサイトを見て欲しい。
http://www.tek.jp/p/

ここでは内閣府が発表した計量モデルの試算結果を分かりやすく数字で示したものである。10兆円の追加景気対策をした場合としなかった場合の計算結果を示してある。予想通り、国の借金も名目GDPも増加している。問題はどちらの増加率が大きいのかということだから国の借金をGDPで割った値、つまり国の借金のGDP比を計算すればよく、その結果はこのサイトで見ることができる。このサイトで、国の借金のGDP比は、景気対策をしなければどんどん増加し続けるが、景気対策をすれば減少していくことが確認できる。

この結果は内閣府のホームページ
http://www5.cao.go.jp/keizai3/econome.html
に明確に示されているが誰も気がつかない。

2005年6月6日 財務省は「財政問題に関するシンポジウム」を開催し経済財政諮問会議の吉川洋教授もパネラーとして出席していた。筆者は「公共投資を減らすと国の借金のGDP比は増えると内閣府は発表している。それでも公共投資を減らすのか。」と質問した。丁度小泉内閣が公共投資を減らしている最中だったからである。これに対しパネラーの吉川洋東大教授は「そんな事はありません。」と言った。更に反論しようと挙手したのだが、財務省の職員が暴力的にマイクを取り上げ発言させなかった。シンポジウムの終了後、吉川教授は私の所へやってきて、内閣府に調べさせると約束した。後日内閣府経済財政諮問会議民間議員秘書室の浅田という人から、私の発言が間違いないことを確認する文書が郵送された。

このように国の借金のGDP比は財政を拡大すれば減っていき、財政は健全化するのであり、長年日本を苦しめた国の借金の問題は解決するのだ。このことをほとんどすべての国民も政治家も知らないから国の借金のGDP比を減らそうと逆に増税や歳出削減を行う。実際はそうすることによって国の借金のGDPは増えてしまうのだ。これは内閣府の試算に限らず、どんなマクロモデルの試算でも確かめられる。筆者は内閣府に電話したり、質問主意書という形で質問したりしてこの事実を政府に認めさせ、それにより国民全員に理解させようと努力を重ねた。しかし政治家や財務省・内閣府の官僚にとっては、これは過去の政策が過ちだったと認めることになり、隠蔽しておきたいことのようである。そこで内閣府が行ったのは毎年行っていた類似の試算結果(乗数)の発表を止めることだった。実際2010年以降は一度も発表していない。彼らの逃げ口上は「乗数はその後変化がないから」であった。その後「リーマンショックの後、変化が大きすぎて乗数が求まらない」という言い逃れに変えた。

皆さんに是非理解して頂きたい。国の借金のGDP比を減らすには、財政を拡大してデフレから脱却するしかないのだということを。

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2017年5月 1日 (月)

北朝鮮への最強の経済制裁はヘリコプターマネー(No.246)

米朝と北朝鮮が武力衝突するのか緊張が高まっている。トランプ大統領なら武力攻撃をやるかもしれない。そのとき、北朝鮮は核を使って反撃するのだろうか。

 

様々な憶測が飛び交う中、できれば経済制裁で北朝鮮の核を放棄させたいというのが誰もが考えることだろう。しかし、従来の経済制裁は北朝鮮の国民の生活を苦しくするだけで指導部など特権階級は少ないとは言え外貨を独占しているから困らないし核ミサイルの開発は続ける。このままだと北朝鮮は世界中を攻撃できる核ミサイルを開発し、それを脅しに使えば世界は自分の思うように動かせると自信を深めることになるだろう。世界を不安のどん底に落としてしまうならず者をこのまま放置すべきなのだろうか。

 

実はもっと強力な経済制裁はある。北朝鮮ウォンを大量に刷ってドローンを使って空からばらまくことだ。文字通りのヘリコプターマネーだ。通常の経済制裁は一般国民を苦しめるが、こちらは国民に大量のカネを渡すことになる。激しいインフレが起き、経済は混乱し、相対的に支配者階級も軍も没落することになる。カネと共に、政府を転覆させる方法も書いたチラシも入れておく。多額のカネを手にした民衆は役人や軍人達に賄賂を渡し反政府組織の仲間に入れる。これが小数の人数からなる組織であればすぐ潰されるが、全国にしかも大量にマネーがばらまかれれば、至る所で反政府の民衆が立ち上がり、政府も抑えきれなくなる。

 

過去には第二次世界大戦中の1943年にドイツが英国の経済的混乱を狙ってナチスが極秘にイギリスポンドを刷って、スパイへの報酬、秘密工作資金、武器調達用などの海外の秘密工作用に使用したことがある。今回の提案は公然とお金を刷ってばらまくという案だ。国際法違反と非難されるかもしれないが、罪もない人を大虐殺する可能性がある北朝鮮に対し強い制裁を加えることに大きな反対意見は出ないのではないか。北朝鮮が米国のドル札を偽造して反撃してくるかもしれないが、北朝鮮の印刷技術は新100ドル札を偽造するほどには達していないだろう。

 

国民にカネが流れれば、様々な物資、電力などの消費が増え、物不足となり、その分軍事のための物資も集まりにくくなる。物不足の北朝鮮が物資の豊富な国々と戦争をしようとしている。これがどれだけ悲惨な結果を北朝鮮の国民にもたらすのか、北朝鮮の国民に十分理解させる必要がある。それは北朝鮮が核を使おうと使うまいと同じである。北朝鮮が如何に貧しい国かを説明するのに例えば北朝鮮上空から夜に撮影した衛星写真を見せると効果的だ。韓国等の隣国は光に溢れているのに、北朝鮮は真っ暗だ。勝つ見込みの無い貧乏な国が世界最強の米国と戦って、惨めな敗戦を喫することが北朝鮮の国民にとってどのようなものか、戦争がどれだけ悲惨かを北朝鮮の国民に知らせれば良い。もちろん、その際には指導部は全員責任者として死刑になるか殺害されることも教えるわけである。米国単独でドローンを使って大量の印刷物とお札をばらまけば北朝鮮も米国に報復するしかないが、相手がドローンであれば、例え撃墜できたとしても、また別のドローンが飛んでくるだけで無力感の漂う戦いとなるだろう。

 

金正恩やその側近達は果たして米韓を相手に負けが分かっている戦争を挑むのか。これは小犬がライオンに噛みつくようなものだ。休戦状態にある南北朝鮮の戦争が再開したら、中国軍が入ってくるということなら、米軍も北朝鮮に対し何もできないかもしれないが、北朝鮮の体制崩壊を目指すことはせず、北朝鮮から核を排除することだけが目的であり、そして中国もこれを黙認するということなら米国は手を出しやすいのではないか。

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(続)北朝鮮への最強の経済制裁はヘリコプターマネー(No.245)

前回、北朝鮮ウォンを大量に刷ってドローンを使って空からばらまくことを提案した。北朝鮮は核を持っているから北朝鮮を攻撃すると反撃に合い甚大な被害が生じるという議論が多い。金正恩という男は殺人鬼だ。マレーシアのクアラルンプール国際空港で金正男を暗殺し、ナンバー2だった叔父の張成沢・党行政部長を処刑し、張成沢に関係のあった幹部の粛清を続けている。その数は2000人とも、3000人とも言われている。彼は殺人が楽しくてたまらないのだろう。核攻撃をして数十万人が死んでも、ケラケラ笑って見ているのかもしれない。

 

彼が大量虐殺を平気でするが、自分は殺されたくないと考えているのだろうか。もし、死んでも構わないと考えているのなら自爆テロと同じだ。世界の安全を守ろうとするのなら、一刻も早く断首作戦を決行すべきだということになる。しかし、彼が自分は死にたくないと考えているとしたら話は別だ。彼が核のボタンを押したり、ソウルを火の海にしたとすれば、強烈な反撃を受け、間違いなく彼は殺害される。彼もそれを知っているから、死にたくないのなら何があろうとそんなことはしない。

 

本物と全く区別の付かない北朝鮮ウォンを大量に刷ってドローンを使い北朝鮮全土にばらまくとよい。そうでなくても物不足の北朝鮮の物不足に拍車をかける。カネを受け取った民衆は買い溜めに走り、軍や指導部、支配階級達の経済的地位を下げる。すでにガソリンが欠乏しているそうで、ガソリンが無ければ戦車も動かないだろう。カネ以外にも、チラシをばらまく。核戦争になっても、通常兵器での戦争になっても、北朝鮮は米国に勝てないので、悲惨な敗戦になることを、そして武器を捨てれば諸外国のような繁栄が待っていることを国民に知らせるとよい。最終的には、国民は金正恩に従わないということも考えられる。例えば、彼が核のボタンを押せと命じたとき、それをやれば核戦争になり、自分たちは死ぬのだと考えれば、核ミサイルの担当者はわざと失敗させるようトリックを仕組ませることも考えられる。実際、最近の北朝鮮によるミサイルの発射はやけに失敗が多いのは、技術者がわざと失敗する原因をミサイルに仕組んでいるという可能性も考えられるだろう。勝つ見込みの無い戦争をやりたくないと本心では北朝鮮国民は考えているのではないだろうか。

 

そのような北朝鮮国民を救うためにもヘリコプターマネーは有効である。北朝鮮政府は新紙幣を発行し、旧紙幣は使用禁止にする可能性もある。そのときはまた新紙幣をばらまけばよいだけだ。それに紙幣の総入れ替えは時間が掛かるし、その間に起きる経済的混乱に政府が持ちこたえられないかもしれない。

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2017年4月18日 (火)

人口減を案ずるより、ITやAIに大規模投資を考えよ(No.244)

厚生労働省は4月10日、将来推計人口を発表した。それによると50年後の2065年には日本の人口は8808万人に減少し、働き手は4割減少するのだそうだ。マスコミが大きく報じるから、さぞ大変な事が起きようとしていると思いがちだ。2015年から50年間で日本の人口は1.27億人から0.88億人に減少するということで減少幅は31%だ。一方働き手ということになっている15~64歳の人口割合はこの間、60.8%から51.4%に減少するから僅か9.4%PTの減少にすぎない。

2065年に8808万人にまで減少するがこれは60年前つまり1955年のレベル(8942万人)である。この60年間で実質GDPは47兆円から516兆円まで、つまり10倍以上に拡大した。この間の人口増加率は42%だがGDP増加率は約1000%であり、GDPの増加率は人口増加率の約24倍であり人口増加の影響はほとんど無視できると言えるくらいだ。GDPの増加は主に機械化、IT化によってもたらされ当時より現代ははるかに豊かになった。技術進歩は大きく加速しており今後50年間では第4次産業革命とよばれる産業革命が進行中である。これからの50年間ではるかに豊かになるのは間違いないが、GDPの定義は変わる可能性がある。

野村総合研究所のレポートによれば15~20年以内に日本で働いている人の49%の仕事が人工知能(AI)やロボットで代替可能になるとのこと。単純に考えればAIやロボットが仕事に協力するようになるから働き手は約2倍になる可能性がある。これが15~20年以内にすでに起きるのである。

コンピュータ技術が、今のペースで発達し続けるとある地点で、地球全人類の知能を超える、究極の人工知能が誕生する。これがシンギュラリティーと呼ばれ、これが起きるのが2045年と言われている。そのAIが自分以上に優秀なAIを作り、更にそれ以上のAIを作るというように、AIの知能が果てしなく優秀になっていくからテクノロジーの進歩は果てしなく速くなる。つまり各種事務員、受付係、レジ係、コールセンター、運転手、通訳などの仕事は容易にAIでできるようになる。

このように、ITやAIは人間の替わりに働いてくれる。例えばテスラモーターズの自動運転車は2017年中にロサンジェルスからニューヨークまで自動運転で走破する計画である。このように技術進歩があっても、その現場での利用を妨げるものがいくつかある。
①自動運転車は「運転手なしの車は公道を走れない」という規則
②運転手のいない車は怖いという先入観
③職を奪われることになる労働者による反対運動

このように克服しなければならぬ課題は山積するとはいえ導入されれば、メリットは極めて大きい。運転手なしのタクシーは料金が10分の1以下だし、事故率も10分の1になる。車同士が電子的に連結されれば渋滞は著しく緩和され、誰もが車の保有を止め共有するなら駐車場がいらなくなり好きな所で乗り捨て可能となる。各種事務員、受付係、レジ係、コールセンター、通訳など多くの職業はAI,ロボットに置きかわる。人口減少で働き手が足りなくなるどころか、人間に残された職場が無くなってしまい、お金さえうまく循環する仕組みをつくれば『労働はロボットに、人間は貴族に』という世界が出現する。大切なのはAIに政府が巨額の投資をすることだ。

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2017年4月11日 (火)

豹変するトランプ氏と変われない日本(No.243)

入国禁止令で失敗し、オバマケア代替法案も取り下げ、メキシコとの国境の壁も建設費のメドが立たぬという状況で、元々低かった支持率が更に落ちているトランプ大統領だ。やりたいことが何もやれないと言って大統領を辞任してしまうかもしれないとさえ噂されていたが、突然シリア政府軍をミサイル攻撃した。シリア軍が毒ガスを使ったことに対する制裁だが、これは「世界の警察官はやれない」といい「米国ファースト」という彼の立場とは相容れない。米国議会も国連も無視したトランプ氏の単独行動ではあるが、いやな雰囲気の漂っていた世界情勢に希望を与えたかもしれない。シリア軍の毒ガス使用のみならず、北朝鮮の核ミサイル開発、中国の南シナ海の人工島を軍事拠点化しようという動きなど、無法者がやり放題な行動を取り始めている。これに対してアメリカが力の外交に回帰してくれたとしたら、無法者にストップを掛けてくれるのではないかとの期待が生まれる。尖閣の問題も同様で尖閣を中国が占領したら、米兵投入なくてもミサイルやドローンによる攻撃だけで簡単に奪還可能だ。

米国が北朝鮮を攻撃すれば、北朝鮮はソウルを火の海にすると言った。北朝鮮による米韓への攻撃は、それが先制攻撃であれ反撃であれ、犬がライオンに噛みつくようなものだ。頭がおかしくなった犬でなければ絶対にやらない。米国が北朝鮮に核を放棄せよ、さもなくば攻撃すると言えば北朝鮮は従わざるを得ないように思えるが、果たしてどうだろう。

豹変するトランプ氏とは対照的に、衰退する日本の政治家は変わらない。4月7日内閣府は12年12月の安倍内閣発足と同時に始まった景気拡大局面は51か月となり、バブル期と並ぶ戦後3位の長さに達したことを発表した。しかし、消費増税前の2013年度は順調に消費は伸びていて、2014年1~3月期には307兆円あった実質消費は消費増税で急減し、2016年10~12月期になっても297兆円と落ち込んだままである。「景気拡大」と言われても消費縮小であれば、国民にとっては嬉しくない。

本当の意味の景気拡大は消費拡大が不可欠だ。そのためにはノーベル経済学賞受賞者であるシムズ氏、スティグリッツ氏、クルーグマン氏などの提言に従って財政拡大をするだけでよい。しかし7月5日の日経「大機小機」ではこれを「広がる悪魔のささやき」と称した。かつて与謝野馨氏が7年前「悪魔の手法」と言ったことが思い出される。要するに正統派の経済学者と議論したら太刀打ちできないことが明かだからまともに議論するのを避け、相手を悪魔だと言って国民を騙し、自分の無理な論理を押し通そうとしている。この手法は現在の政府でも変わらない。理詰めで政府の間違いを指摘した福田昭夫氏の質問主意書に対し、まともに答弁が不可能とみた政府は彼に質問主意書を出さないよう圧力をかけた。

政府は「財政を拡大したら通貨の信認が失われハイパーインフレになる」と主張する。あるいは「日銀保有の国債を永久国債に替えたらハイパーインフレになる」「それでも需要は伸びない」という無茶苦茶な答弁をして財政拡大を阻止する。これにより日本は20年を失い豊かな国から貧乏な国へと没落し、未だに変われずにいる。その間、米国や中国では巨大なIT企業が生まれ、かつて世界に誇っていた日本の製造業を圧倒している。

通常の経済であれば人手不足なら賃上げをして人を募集するのだが、将来不安を抱える日本では、賃上げをせず、営業時間を減らしたりして切り抜けようとする。不況の思考法から抜けきれない。それを打破するには、政治家は増税を唱えてきた過去を捨て去り、豹変して減税をし、そして財政拡大に踏み切るべきだ。

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