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2010年10月25日 (月)

国の借金はそれほど増えていない (No.4)

 国の借金が増えたことを日本中が嘆き、それが日本人の自信を失わせている。日本は外国に金を貸している立場なのだからおかしな話しだ。しかし、実際は次のグラフで分かるように、借金はそれほど増えてはいない。

図1               出所:OECD Economic Outlook 87, 2010

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 このグラフから分かることは、日本が飛び抜けて借金を増やしているわけではなく、増加率から言うと諸外国と比べて、平均的な伸び率だ。では、よく見せられる借金のGDP比のグラフと比べてみよう。

図2            出所:OECD Economic Outlook 87, 2010

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借金のGDP比で見ると日本だけが激増している。図1と図2のグラフだが、通常国の借金と言うとき、99%の人は両方のグラフを混同して話している。全く別物なのに、違いを理解していないと言ったほうがよいかもしれない。ここに日本の悲劇があった。両者がしっかり区別できていたら、つまり分数の意味が日本人にちゃんと理解されていたら、日本経済はここまで落ち込まなかったと思われるからだ。

図1は借金、図2は借金のGDPに対する比率(以下『比率』という)だが、

借金

―― = 比率

 GDP

という関係である。日本以外の国は、比率はほぼ一定ということは、借金はほぼGDPに比例しているということであり、借金が増えることを問題にしていない。借金が増えても次世代に負担になるとは考えていないし、考える必要もない。「日本人よ、しっかりせよ!借金はそんなに増えてないぞ!!」と言いたい。

日本も借金の増加率は諸外国並なので、増えても問題はないはずだが、なぜこのように騒ぐのだろう。この式を

借金=比率×GDP

という形に変形してみよう。借金の伸びは諸外国並なのだが、実はGDPの伸びが諸外国並でない。諸外国よりはるかに伸びが低い。図3は2000年~2010年の名目成長率の伸びである。日本だけがマイナスになっている。際だって低い事が分かる。

図3            出所:OECD Economic Outlook 87, 2010

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 図4でも名目GDPの推移の国際比較を行った。ここでも日本だけが際だって低いことが分かる。これらの図で分かるように、比率が日本だけが群を抜いて増加率が高くなっているのは借金の増加というよりも、むしろGDPの伸びの低さが原因であると言うことができる。しかし大多数の日本人は分数が理解できないために、借金が増えすぎたと誤解している。比率は分子だけで決まるのでなく、分母も重要であることに誰も気付かない。どうも日本人は分数は分子だけ注目して、分母には目もくれない習性があるようだ。それならば、図2の分子と分母を逆にして、GDP/借金をグラフにしてみよう。それが図5である。

図4

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図5

45

 これを見れば明らかだろう。借金に対するGDPの割合が下がっている。それが際だっているのがこの図だ。これをみれば、日本はGDPを伸ばす努力が必要だと明らかになる。

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コメント

「GDP/国の借金」比の向上を妨げているネックは、プライマリーバランス目標ですね。

プライマリーバランス目標を破棄させるために どうしたら良いか?
私も考え続け、行動し続けようと思います。

投稿: | 2016年7月 2日 (土) 23時27分

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