中国並みにお金を刷れば、日本経済は急成長する(No.15)
どの国がどれだけお金を刷っているかを見るには、中央銀行のバランスシートをくらべればよい。中央銀行が国債などを買うと、その引き替えにお金が出ていく。これが新しく刷ったお金で、買い取った資産を見ればどれだけお金を刷ったかが分かる仕組みになっている。図1は日本銀行のバランスシートである。
図1 出所:日本銀行
デフレを脱却するために、さぞやたくさんお金を刷ったのだろうと思いきや、むしろバラスシートは減っている。それでは中国はどうだろう。図2が中国のバランスシートだ。
図2 出所:中国人民銀行
日銀とは比べものにならないくらいお金を刷っていることが分かる。お金を刷るとインフレになるという人がいる。日本はデフレ経済なのだから「インフレになる」と言わずに「デフレを脱却する」と言うべきだろう。こういう人たちは、日本をいつまでもデフレにして国をどんどん貧乏にしたいということだろう。
アメリカでも11月3日FRBは70兆円の長期国債購入を決めた。これに対して日銀は11月5日は遅まきながら5兆円の資産買い取りを決めただけだ。これも日銀保有の国債の償還で一定の自然減が常に発生していることを考えれば本当に保有資産がネットで増えるのかどうか分からない。諸外国に比べ日銀の動きはお粗末というしかない。
中央銀行が金融資産を買い取ると言うと、その金融資産が将来値下がりしたときバランスシートが悪化し、円の信認が失われると批判する人がいる。しかし、中国人民銀行は元の値上がりで21兆円もの損失を出したと言われているが、人民元の信認は失われるどころか、値上がり確実な元を手に入れたいという人が後を絶たない。通貨の信認とは、国の経済状態で決まる。発展する経済であれば通貨の信認も高まる。
バランスシートを改善するということは、利益を上げるということだ。日銀がマネーゲームで利益を上げたいのであれば、株(というよりも平均株価に連動するETF)を大量に買えば間違いなく株は上がり巨額の利益が出る。個人では、株価全体を押し上げるほど大量に買うのは資金的に無理だが、日銀なら可能だ。必要なら株に投資すればいくらでも儲かるのだからバランスシートは全く気にしなくて良い。第一、日銀が民間から富を奪い取って金儲けをするなど本末転倒だ。中国にならって、自らは巨大な損失を被っても国を富ましたほうがはるかによい。自分でいくらでもお金を刷れる銀行は潰れることはないのだ。
中国並みにお金を刷るのであれば、年間50兆円の景気対策を5年間続けることができGDPは700兆円に近づくことは、日経モデルを使った試算で示した。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-bd0c.html
TPPに参加して、平成の開国を行うなどと政府は言っているが、景気対策をやり、農業にも金を十分使い、しっかり競争力をつけてから開国をすべきだ。今のままだと、お金を渡さず経済も農業も弱体化させた後に、開国することになり競争に勝てるわけがない。お金をいう武器を取り上げて、経済戦争の真っ直中に放り出そうという無茶な話しだ。
お金さえ確保できれば、消費税増税も不要だし、反対に大規模な減税ができる。医療、介護、教育、環境エネルギーなどの社会基盤整備等、国民が希望するものを、片っ端から実現でき、それがデフレ脱却を可能とするのだから、こんな素晴らしいことはない。
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コメント
日銀のB/Sは企業のそれとは似て非なるものですね。
どうしても気になるのならば、
発行銀行券を負債の部から資本の部に変更すれば良いですね。
自分で刷ったお金と他から出資したお金が別物と考えるのはおかしいですね。
こう言うと、
自力で資本を無限に増やせるのはおかしいと言う人もいるかもしれませんが、
元々日銀のB/Sを企業のそれとは別物ですからね
投稿: inadak | 2010年11月13日 (土) 18時17分
管理人 様
先日はトラックバックを認めて頂きありがとうございました。
デフレ脱却は、経済学的には簡単で政府が公共投資をリニアモータカーとか
道路・橋の補修や日本米の米粉で美味しいパンを作るなどの農業を今の倍位
行えば出来ます。これが行えないのは、無知というより政治的しかも国際政治の
項の影響だと考えています。具体的にはアメリカが日本経済の成長を望んでいない
のが理由です。
最後に、アメブロのリンクの仕方がまだ分からないので、もう一つのブログ
「政治の本質」http://yangkuma.blog81.fc2.com/
にリンクを張りました。
お暇な時に、ご確認下さい。
今後とも宜しくお願い致します。
投稿: ロベルト・ジーコ・ロッシ | 2010年11月21日 (日) 10時37分