大本営発表に騙されるな ・・・ 経済は成長しているのか??(No.17)
7~9月期のGDP実質3.9%成長というニュースがマスコミで大きく取り上げられた。これで日本経済が成長していると決して思ってはいけない。今回同時に発表された名目GDPの値をグラフにしてみよう。
出所:内閣府
確かに、2010年7-9月期は、その前の期に比べて3兆円だけ増えているが、2008年1-3月期に比べれば37兆円も減っているのだ。むしろ大不況が続いていると言うべきだ。しかも今回の成長もエコカーの補助金の打ち切りやたばこ増税の直前の駆け込み需要や猛暑といった一時的な要因によるものであり、10~12月期にはマイナス1.7%成長に落ち込むだろうと(民間エコノミスト10人の予想)予測されている。
民主党が約束した名目3%成長の実現はどうなったのだろう。経済の低迷がよく分かるのはGDPデフレーターだ。
出所:内閣府
GDPデフレーターはデフレであるかどうかを判断する重要な指標である。このように、7-9月期では-2.0であり、プラスに向かいそうもなく、全くデフレ脱却の気配がない。駆け込み需要で需要が伸びたが、この程度では供給は全く問題がなく、需要に牽引されたインフレにはならないということだ。需要増によるゆるやかなインフレでデフレ脱却を目指すには、これよりもはるかに大規模な景気対策が必要だということである。このデータと、毎年内閣府から発表されているGDPデフレーターの予測とを比べていただきたい。
GDPデフレーターの予測は内閣府が毎年発表しているもので、今年は6月18日に発表された。このグラフでは2002年~2010年の9年間の予測データを、グラフにしてある。これで分かるように、予想はいずれも右肩上がりで、現在の政策を続ければ1~2年後にはデフレから脱却できるだろうと見込んでいる。実際の値はその下の黒い線で、デフレがずっと続いている。
9回の発表があり、それがすべて大本営発表だったと分かるだろう。政府は毎年のように、来年になればずっと経済がよくなるだろうと国民に言い、翌年になって全然よくならないと分かると、「1年前には予測できなかった事態が発生した」として下方修正し、来年こそは良くなるからと言う。これを9回も繰り返してきたのだから呆れるし、それを信じているマスコミもいい加減なものだ。
戦争中の大本営発表と同じだ。それを信じてきた国民は、気が付いてみれば国土は焼け野原になっていた。是非、皆さんに知っていただきたい。我々は政府に騙されているのだと。このままの政策では、日本はデフレが続き、我々の財産は失われ、貧乏になっていくだけ。国の借金がどんどん重くなり、我々の未来は悲惨なものになるのだということを。
何をやればよいのか。答は簡単だ。お金を刷ればよい。刷ったお金で大規模な景気対策をすればデフレは脱却でき、経済は素晴らしく成長する。このことはすでにシミュレーションで示したので以下を参照して頂きたい。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-bd0c.html
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