景気を良くしたら金利が上がり、国は利払い増加で財政破綻するか??(No.20)
これは先週の日本経済復活の会の定例会でも話題になったことだ。我々は大規模景気対策で景気を良くする提案を行っているが、景気が良くなれば当然資金需要が出てきて金利が上がってくる。それは日本経済にとって大変良いことだ。しかし金利が上昇すれば国が払う金利は膨大になるのだが、それに対してどう対応すればよいのかも示しておくべきだという意見がある。多くの政治家、官僚、エコノミスト等は、金利の急上昇つまり国債暴落を恐れて大規模景気対策を躊躇している。つまり景気は良くならない方がよいと考えている!!
「国家破綻」の空想をしたい人は勝手にやればよい。馬鹿な連中が集まって経済運営をすればそうなるだろう。しかしながら、技術的に金利上昇に伴う混乱を避ける方法はいくらでもある。例えば長期金利がいきなり5%にまで跳ね上がったとすると、単純計算では、銀行だけで13兆円程度の含み損がでる。生損保、郵貯、かんぽ、日銀、年金積立金にも大損害が出る。混乱が出ないようにする方法をここで示す。
第一は、日銀が国債を買い支えることだ。つまり大規模な買いオペをやるということである。例えば米国では1942年より「国債価格支持政策(Pegging Operation)」を採用した。財務省短期債券の買いオペ金利を0.375%に固定、長期債も金利2.5%で買い支えた。この政策は1951年まで続けられた。中央銀行が買い支えれば金利はそれ以上にはならない。
第二は、政府が固定金利で発行した国債を変動金利のものに変えてやることだ。これなら金利が上昇しても国債が暴落することはない。金利が上がれば、それに合わせて金利も上がってくるので、急いで売る必要がなくなるからだ。この提案(ボンドコンバージョンン)は、経団連が行っている。
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2003/044/honbun.html
第三は、国債を保有する金融機関には、同時に株も保有するように指導することだ。景気が良くなれば、必ず株は上がってくる。万一上がらなければ、日銀にETFとして間接的に株を買わせればよい。しかし、景気回復局面では必ず利益の少ない国債から株に乗り移る。だから株は急騰する。実際、株と国債の両方を持っていれば、株の値上がりによる利益のほうが、国債の下落による損失よりもはるかに大きい。
これが景気回復による経済の拡大というものである。下図のように、2007年と比べ、現在の株式時価総額は約300兆円減っている。
景気がよくなったときは、この失われた300兆円を取り戻すだけでなく、それ以上の株価上昇が見込まれるのは当然だ。2007年でも事実上のゼロ金利だったのだから、金利が上昇するような景気回復の局面では、2007年の株価レベルよりずっと高い株価になるのは間違いない。そうなれば、上記で示した国債の下落による損失を補って余りある利益が出るのは間違いない。
国がどうなるかと言えば、GDPが増えて国の借金のGDP比が下がって財政は安定する。また税収も増えるので新規国債の発行額も減ってくる。詳しくは以下を見ていただきたい。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-bd0c.html
国債はいくらでも発行できるのだから、財政破綻はあり得ない。お金はいくらでも刷れるのだ。
国債を日銀が買うと度が過ぎたインフレになるという心配をする人がいるが、これは中国流で対応すればよい。つまり預金準備率を上げるという方法である。これなら日銀から出された資金が日銀に戻ってくるのだからインフレは抑えられる。このように、増えすぎた国債残高に恐れをなしているばかりでなく、緊急事態への対応を事前に十分準備しておけば恐れることは何もない。
景気が良くなって損をするのは、「国家破綻」という本を売って稼ぐ悪徳業者だけだ。
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