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2010年11月14日 (日)

TPPの前に農業の大規模化とロボット化を進めよ(No.16)

 政府は政府、TPPについて「関係国との協議を開始する」と言っている。残念ながら、政権交代以後、民主党政権は国民への約束をことごとく破っている。今回も協議はすれども、どうせ参加する気は全く無いのだろうと推測してしまう。TPPよりずっと条件が緩やかなFTAやEPAには見向きもせずにTPPを急に言い出したというのも、本当はやる気が無いのではないか。

 TPPに参加すれば海外の労働者の受け入れを大量に受け入れざるを得なくなる。ベトナム人等が大量に入ってきて低賃金で働き始めてもよいと考えているのだろうか。そうでなくても失業者だらけ、大学生の就職難を放置して大量の外国人を入れるというのは誰も納得しないだろう。

 しかしながら、鎖国をしていたらこれから競争の厳しい時代、日本はやっていけない。どうすればよいかと言えば、TPPでなくEPAやFTAで開国をすべきだ。すでにフィリッピンやインドネシアとのEPAは認めているし、その場合、労働者の流入も限られたものとなっている。

 ただしEPAやFTAを始めるにしても、その前に農業の大規模化とロボット化で国際競争力を強化する必要がある。この事に関しては、日本経済復活の会の中ですら賛否両論があるが、農業の国際競争力強化なしには、日本経済はお先真っ暗である。農業従事者の平均年齢は65歳を超え、老人には大変重労働である反面低収入を強いられている。農民を救うには、巨額の補償金を差し出して、大規模化に協力を求めるしかない。 

どれだけの補償金かと言えば、ほとんどの農家が喜んで協力するだけの補償金である。日本のGDPに占める農業の割合は僅か1.6%に過ぎないのだから、刷ったお金を使えば、その程度の資金は余裕で確保できる。日本の農業だけでなく、日本の経済を救うために協力してくれとお願いすれば、大部分の農家は協力するはずだ。現在耕作放置地は40万ha近くもあると言われている。棚田など大規模化に適さない所は、耕作放棄地で大規模化に適する場所に移動すればよい。

 農業の大規模化の目途が立ったら、次はロボット化だ。それは、北海道大学等で研究が行われている。
http://avse.bpe.agr.hokudai.ac.jp/
ロボット技術は日本のお家芸であり、政府が本気でこの分野に投資すれば日本の農業は一挙に世界一になれる。管制室で遠隔操作すれば、無人のロボットがすべての農作業を行ってくれる。GPS等によるポジショニングを行い、自律的に畑のすみずみまで農作業を行う。

 正確な作物の生育状況や土壌の状態を把握するために、衛星画像だけでなく、産業用無人ヘリコプターも使用する。それらのデータを使えば、最適の農薬や肥料の量を決めることができ、環境にもやさしい農業が実現する。
 様々な農作業を行うロボットが開発されている。①自律走行で土質を改良②耕うん機③きゅうりの収穫④接ぎ木⑤水田管理⑥果樹防除機⑦田植え⑧搾乳機器の自動装着などである。現在は、需要がないため開発がなかなか進まないが、政府が巨額の投資をし、大規模農業が実現すれば更に飛躍的な進歩が見込まれる。

 農業の競争力強化は、当然農業人口の減少を招く。余った労働力をどうするのかという問題も解決しなければならない。それは農業だけでなく、環境エネルギー政策として風力発電や太陽光発電への大規模投資、共同抗による電線の地下化、花粉の出ない杉の植林、高性能林業機械の導入、工場への直接販売、林道の整備等による林業の大規模化と育成、ハブ空港・ハブ港湾の建設、東京環状道路の建設など、刷ったお金を使えばいくらでも新しい雇用が生まれる。介護の現場は現在でも人不足だとも言われている。農民は十分な補償金をもらって新しい職場に移れば十分満足できるようにすればよい。

 かつて炭坑が次々と閉山になったとき、何十万人という労働者はスムーズに別な産業に移っていった。お金さえあれば何でもできるが、お金が無ければ何もできない。政府は財源不足を言うのでなく、中国を見習って国を豊かにするために、お金を刷るべきである。

 十分お金を使えば、ロボット技術もどんどん進歩させることができる。将来はロボットが、ほとんどの能力において、人間を上回るようになる。そうなった場合には、ロボットが人間の替わりに労働を行うようになる。ロボットは高価だと思っているかもしれないが、ロボットの製造はロボット自身が行うようになるから、人手は掛からない。ある意味でタダで何台でもロボットができてしまう。原料の調達から製品の完成までロボットがすべてを行うようになる。そうすると、ロボットは優秀でしかも安い労働力を提供するので、ロボットがほとんどの職場を人間から奪ってしまう。

そのような時代に、「働かざる者、食うべからず」などと言っていたら、人間は働き場を失い、「人間は食うべからず」ということになってしまう。このような時代に人間は何をすべきかということだが、そのときは物やサービスはあるのだから、その分配だけを考えればよい。お金はいくら刷っても良い。十分お金を人間に配っておけば無制限供給に近い状態が生まれる。そのとき、人間は好きなことをやっていればよく、貴族のような生活ができる。詳しくは「労働はロボットに、人間は貴族に ・・・ ロボット ウイズ アス」という筆者の拙書を参照して頂きたい。
http://tek.learning.jp/book/

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コメント

会長相手に釈迦に説法のようで恐縮なのですが・・・
ご挨拶代りにコメントを残します。

北大の試みは究極的なものですが、そこまでやらなくてもパワーアシストスーツを着用することで、従来通りの農法のまま労働軽減と効率化をはかると言う選択肢があるそうです。地元の農協や先進的な農家が既に考えているようです。
農場の管理と天候の監視をロボット化する試みは高校の農場レベルで既に行われています。農業高校は県の試験場の支部的な機能をもっているので、さまざまな先進的な試みが導入されています。
このような技術と取り組みは、十分な資本投入さえあればすぐに実現します。
農業は国の元ですか是非投資を増やしてほしい。
ただ、会長が書かれたように農業は今や技術集約型の産業です。農業を更に発展させることは重要ですが、それで雇用を拡大することは期待できないでしょう。

>農民は十分な補償金をもらって新しい職場に移れば十分満足できるようにすればよい。

完全なロボット化はあり得ませんから、これまでどおり兼業化するのが望ましいでしょう。
農業のロボット化による雇用は農業そのものではなく、その周辺分野で期待できます。
地元建設業者と農民は重なっていますから、地元建設業が農業への技術支援サービス業に転身すれば、雇用増・所得増につながり結構なことだと思います。実際、地方の建設業者は農業に回帰するケースが増えています。

それでは25日はよろしくお願いします。

投稿: S | 2010年11月15日 (月) 19時17分

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