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2011年1月

2011年1月30日 (日)

日本に安定した政治を取り戻す方法(No.41)

予想通り国会が紛糾している。筆者の持論(法則?)は「国会開会中は内閣支持率は下がり、閉会中は上がる」というもの。国会開会中は野党が次々政権批判をし、マスコミがそれを取り上げるために支持率は下がり、閉会中はマスコミは関係ない番組を流すから何が問題だったかを国民が忘れていくから、支持率は回復していく。

最近の国会の日程は
第174回国会 22年1月18日~6月16日   160日間
第175回国会 22年7月30日~8月6日    8日間
第176回国会 22年10月1日~12月3日   64日間
第177回国会 23年1月24日~6月22日   150日間
となっている。菅内閣が発足したのは、昨年6月8日であった。6月17日から国会は閉会となり、その後今年の1月23日までの221日の間に開かれた国会は合計で僅か72日だ。率にして僅か32.6%。この程度しか営業してない会社はどこにも無いだろう。

どうして、ここまで国会を開かないかと言えば、開けば野党の厳しい追及を受け、支持率がどんどん下がり、政権維持が難しくなるからである。ねじれ国会の第176回国会での法案成立率が37.8%と過去10年間で最低(日本国憲法下の国会の中でも最低)を記録したように難しい国会運営を強いられている。しかし予算もあるので逃げてばかりもいられない。国会は1月24日に開いたが、支持率が落ちないうちに、猛スピードで予算と予算関連法案を通過させようとしている与党と、解散に追い込もうとする野党が激しく衝突している。しかし、参議院で野党が過半数を握っている現状では、予算関連法案を成立させる目途が立っておらず、不成立の場合、解散もしくは内閣総辞職の可能性が出てきて、政治は混迷を深める。

民主党は「ねじれ国会」対策として、衆参の議決が異なった場合に両院の代表者が協議する両院協議会の改革案をまとめ、近く野党側に協議を呼び掛ける方針を固めた。衆参計20人の協議会メンバーを各院の議席構成に応じた比例配分に変え、協議会の成案を得る要件を現在の「3分の2以上」から「過半数」に緩和する国会法の改正を行うことを盛り込んでいる。これが成立すれば、政権は安定するが、野党がこれを認めるわけがない。

政治的混乱は、国債の格下げばかりでなく経済の低迷につながるわけで決して好ましいことではない。今は、与野党が歩み寄って安定した政権作りに努力すべき時である。民主党は野党時代に「直近の民意」を重視せよと主張してきた。主張の首尾一貫性を保つのであれば、昨年の参議院選が直近の民意なのだから、ここはそれを尊重すべきだ。現在の野党の主張は解散総選挙だから、できるだけ早期にそれを実現すべきだ。そして民主党の両議員協議会の改革案は、総選挙の後に実現するように努力するとよい。そうすれば安定政権の実現に一歩前進する。

予算関連法案を成立させることができない政権を持っていること自体、半ば無政府状態と言ってもよいくらいだ。その意味で今の与党は、本当の意味で政権を担当しているとは言えない。民主党のマニフェストに騙されたと思っている国民も多いだろう。嘘が余りにも多いからだ。借金だらけの財政運営も、特別会計から16.8兆円持ってきて健全化するのだと思っていたが、全く嘘だった。高速道路の無料化も実現していない。年金制度の改革も進まず、普天間を「最低でも県外」と言っていたのも、子供手当を2011年度からは2万6千円給付すると言っていたのも嘘だった。そうであれば、前回の衆議院選は国民に正しい情報が伝えられないで行われた選挙だから、もう一度解散総選挙で信を問い直すべきだ。

次の選挙では、是非各政党は具体的なマニフェストを出していただいて、そのマニフェストに従うと国の経済はどうなるのかを客観的に民間のシンクタンクに検討してもらい試算結果を出してもらうとよい。次に引用するのは、2010年6月2日の朝日新聞の記事の一部である。

国民が知りたい情報の1つは、各党のマニフェストに盛り込まれた政策を実施した結果、財政収支がどうなるのか、税負担がどうなるのか、経済成長率や失業率がどうなるか、といったマクロ的な分析である。こうした評価を行っているのがオランダである。オランダでは、政府機関として、経済政策分析局(CPB)という機関があり、政府の経済財政見通し等の分析を行っている。CPBは、政府機関であるものの、政治的に強い独立性が与えられている。CPBは選挙前に経済財政見通しを発表するが、全ての政党は、この見通しを政策提案の前提として使うことになっている。
 各政党は、選挙前に、CPBに対して、彼らの政策提言を提出する。これを受けて、CPBは、そのコストや経済に与えるインパクトを分析するとともに、しばしば、政党の政策提言の矛盾点を指摘する。その比較分析は、歳出・歳入・財政収支、税・社会保険料の負担、消費者物価上昇率、失業率、GDP成長率等、マクロ経済指標を広範にカバーするものであり、各党の政策のインパクトは一目瞭然である。

このような分析結果が出され、それを見て国民が投票するなら、前回の衆議院選のような結果はあり得なかっただろう。国民に正しい情報が伝えられ、正しい判断ができるなら、日本経済はデフレ脱却・景気回復に大きく前進するだろう。景気悪化をさせるような政党に誰も投票しないからである。デフレ脱却もできない政党は消えてしまうとよい。

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2011年1月28日 (金)

日本国債格下げは、景気を悪化させたのが原因(No.40)

米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は27日、日本の長期国債の格付けをAAからAA―に引き下げたと発表した。これに対し菅首相は「そういうことにうといので・・・」とコメントを控えた。これは、日本の信用が関わっていることであり、この意味が良く分からないということであれば、菅氏は首相の資質に欠くと言わざるをえない。

以下に日本国債の格付けの推移を示している。国債の発行残高は増え続けている。もし、国債残高が増えれば格付けが下がるという単純な仕組みであれば、一本調子で格付けは下がり続けただろうが、実際は下がったり上がったりしているから、そうではないことが分かる。

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国債発行額を増やし、積極財政を行っていた小渕内閣時代には国債の格付けは最高のAAAで、国債発行額を減らそうと緊縮財政に走った小泉内閣は景気を悪化させ、株価も発足当時13968円だったが、2003年には7000円台にまで大暴落させてしまった。その結果、小泉内閣では格付けが3ランクも落ちてしまった。結果として国債発行額を減らすことにも失敗した。

その後230兆円も発行残高が増えた2007年4月に国債は再び格上げされた。つまり、国債を多く発行すると、国債の信用が失われるというのは嘘で、経済状態が良ければ、国債の信用が高まり、経済状態が悪くなれば国債の信用が落ちるという、単純な仕組みであることがわかる。小泉内閣で、3ランクの格下げで止まったのは、その後30年に一度といわれる世界的な大好況で外需が伸び景気悪化を止めることができたからであるが、この期間に日本の1人当たりのGDPの国際ランクが大きく下がったことを見ても、日本は世界の好景気から取り残されていたことが分かる。

今回、再び国債が格下げになったのは、民主党政権が経済政策の失敗により、日本の経済状態を悪化させたことによる。ここで増税により、更にデフレを悪化させれば、もちろん、格付けはさらに下がる。

下図は、みずほ総合研究所の中島厚志氏が作成したマネーの伸びの国際比較だ。各国がどれだけお金を刷って経済拡大に努力しているかを示している。右に行くほどリーマンショック前にたくさんお金を刷っていたことを示し、上に行くほどリーマンショック後にたくさんお金を刷ったことを示す。この図からも日本は、経済拡大のための努力が足りないことが分かる。世界中でデフレであるのは日本だけであるということは、日本が最もお金を刷らなければならない時期であるのに、それをやっていない。

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中国は人民銀行がお金を刷りまくっていて、今やバランスシートは300兆円で日銀の2~3倍。しかも銀行もお金を刷りまくり前年より銀行貸し出しは100兆円も増えている。そして、S&Pは中国の国債の格付けを1ランク上げて日本の同等のAA-にした。お金を刷れば経済が強くなり、国債の格付けも上がる。日本も中国に学ぶべきだ。

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2011年1月26日 (水)

国家戦略室の「財政破綻リスク」に対する驚くべき認識(No.39)

平成22年6月22日に、平成23〜25 年度の歳入・歳出の骨格を示す「中期財政フレーム」を含む中長期的な財政健全化の道筋を示す「財政運営戦略」が閣議決定された。そこに財政運営戦略概要が示されている。
http://www.npu.go.jp/policy/policy01/pdf/20100622/220621_zaiseiunei-gaiyou.pdf

そこに次のような一文がある。
2.財政破綻リスクへの断固たる対応
現状を放置して、ギリシャ等のように財政破綻に陥るようなことがないようにしなければならない。仮に、そのような状態になれば、財政自主権が失われ、社会保障サービス等の水準が大きく低下し、経済や国民生活に多大な悪影響。

この文章の意味を聞くために、内閣府の国家戦略室に電話した。詳しいことは、この文章を書いた石崎氏でないと分からないということで、石崎氏が現れるまで待って質問した。

小野:財政破綻ということは、国債が売れなくなることか。
石崎:そうだ。
小野:国債が売れなくなれば、日銀が買うのではないか。
石崎:それは日銀が判断することで、政府が判断することではない。
小野:国債が売れなくなるということは、国債が紙くずになるということか。
石崎:そうだ。
   《え!政府はそんなに無責任なのですか!》
小野:国債がそんなに危険な金融商品であれば、国債を売るとき、これは将来紙くずになる可能性がありますと言って売らなければ、詐欺ではないですか。
石崎:そうですか。
小野:今年の1月21日に内閣府から出された経済財政の中長期試算では、将来財政が破綻するとはなっていません。戦略室の記述と矛盾するのではないですか。
石崎:その試算は分かりません。
    《そのくらい勉強して下さい!》
小野:菅首相は1月8日に「このまま赤字国債を発行するような状態は。2年先は無理だ」と発言している。そのくせ、1月21日に発表した試算では、2年どころか、2023年まで問題なく赤字国債を発行できることになっている。自己矛盾しているのではないか。
石崎:赤字国債の発行を抑える努力をするということだ。
     《そのような努力で、過去の内閣は逆に財政を悪化させているのに》
小野:財政運営戦略概要には、現状を放置すればギリシャのようになって、財政自主権が失われると書いてある。これはIMFの管理下に置かれるということか。
石崎:まあ、そういったものです。
小野:IMFの仕組みを知っているか。IMFは外国からの借金があって、それが返せなくなった国に対し、まず自国のお金を刷らせ、そのお金をドルや円などの国際通貨に交換することになっている。
石崎:知ってます。
小野:まず自国の通貨を刷るのが絶対条件だ。日本の場合、円を刷ればそれだけで借金は返せる。外貨はたくさん持っているし、円自身が国際通貨なので円と円を交換してもらっても仕方ない。日本は外貨もたくさん持っているし、IMFに世界第二位の額を出資しているのだから、援助を受ける方であって、IMFの支配下になるわけがない。
石崎:はい。そのことはよく知っています。
    《知っていながら、増税を国民に認めさせるために、国民を騙そうとしている!》
石崎:でも、お金を刷ればインフレになります。
小野:インフレということはデフレ脱却ということでしょう。財政危機だの、ありもしないことを書けば、国民は大変だと思い、危機に備えなければならないと思い、節約するから消費が減り、景気が悪化し、財週が悪化する。政府としては、このような無責任なことは書くべきではありません。
石崎:すいませんでした。

日本の国家戦略がこんなお粗末なものでよいのだろうか。

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2011年1月21日 (金)

経済政策の失敗のお陰で、日本はGDPで中国に抜かれ第3位に(No.38)

 2010年のGDPが日本は中国に抜かれて世界第三位に下がった。中国の2010年のGDPは5.8895兆ドル(約483兆円)、日本は5.4778兆ドル(約449兆円)ということで抜かれたのだという。しかし、内閣府の発表では日本のGDPは2009年度274兆円、2010年度279.2兆円であって新聞に書かれている449兆円とはほど遠い。しかし、いずれにせよ、中国に抜かれたのだろう。テレビでは、「中国におめでとうと言いたい」という主旨の発言が相次いだ。

 しかしながら、今はお祝いを言っているときではない。1997年に513兆円もあったGDPを、479兆円にまで減らしてしまったのは、政府の失政によるものであり、政府は深く国民に詫びるときだ。もし過去において正しい経済政策が行われていたらどうなっていただろうか。例えば毎年50兆円規模の景気対策を5年間行っていたらどうなっていたかというシミュレーションを、日経新聞社のモデルを使って行った。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-bd0c.html

2000年~2004年の5年間、毎年50兆円の景気対策を行っていたら2004年には679兆円になっていたはずだという予測になっている。その後、名目で5%成長し続けていたら2010年にGDPは910兆円ということになる。5%成長など無理と思うかも知れないが、3%のインフレ率に2%の実質成長率を加えれば5%になり、全然無理な数字ではないし、そうなっていれば、まだまだ中国ははるか下ということになっただろう。成長しているときは、税収は増える。GDPが910兆円なら税収は100兆円を大きく超えていただろう。

 大規模財政出動というと、財源が無いというのが政府の口癖だが、しかし金融機関に金が余っていることは誰もが知っている。次の図は長期金利の国際比較だ。OECD Economic OutlookNo.87 から引用する。

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日本の金利だけが極端に低いことがわかる。これは、日本だけが極端に景気が悪いことを意味している。これだけ金利を下げも、お金を借りて商売できないほど悪い経済状態であるということだ。国内に投資先が見つからず、ゆうちょ銀行も海外投資を急増させており、10兆円に迫る勢いである。また国内投資家の外国債券買越額は21.9兆円にものぼっている。企業の内部留保も206兆円もあり、行き所の見つからない巨額の資金が、今にも海外に逃げ出しそうだ。そうであれば、唯一できることは政府が国債を発行することでその資金を借りて、財政で使うことだ。財政が破綻しそうだと言えば、心配で誰もお金をつかわないからデフレは悪化するが、お金はいくらでもあるから、皆さん安心して下さいと言えば、お金を使い出し、景気がよくなってくる。

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2011年1月18日 (火)

TPPに参加するかしないか、正しい戦略は何か(No.37)

TPPに参加すべきかすべきでないか、まず情報を得ようと色々調べてみた。経済発展のためであれば、間違いなく参加を選択するだろう。しかし、今の政府にTPP参加を強行させると、財源不足を理由に露骨に農家切り捨てをやってしまうのではないかと心配している。

 

TPPに参加した場合の経済への影響に関しては、内閣府と農水省と経産省でそれぞれ試算がしてあり、それを内閣府が『EPAに関する各種試算』というタイトルでまとめたものを発表している。
http://www.meti.go.jp/topic/downloadfiles/101027strategy02_00_00.pdf
しかし、この資料は説明が意味不明で、内閣府に問い合わせてみたら、たらい回しにされたあげく、更に分からなくなってきた。

(注:その後、新しい試算が公開されている。https://selectra.jp/sites/selectra.jp/files/pdf/101027strategy02_00_00.pdf

そこで今度は農水省に電話して、試算の内容を聞いた。今度は明快な説明があったので、まずTPPの農業への影響から説明することにする。

 

農水省の試算は、TPP(参加国はシンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイ、米国、オーストラリア、ペルー、ベトナムなど)というのでなく、全世界を対象に今すぐ関税を撤廃し、何らの対策を講じなかった場合である。
http://www.maff.go.jp/j/kokusai/renkei/fta_kanren/pdf/shisan.pdf
このとき、生産額は4.1兆円減少、自給率は40%から14%に減り、農業と農業関連産業への影響はGDPにして7.9兆円の減少となり、340万人程度の就業機会が減少する。これは、それぞれの農産物について競争力を検討し計算したもの。4.1兆円の減少額の内訳は次のグラフで示されている。

 

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それでは、全世界を対象とせず、TPPに限定したらどうかということだが、ほとんど変わらないとのこと。つまり、TPPまでできれば、もう全部解放したのとほぼ同じということ。そうであれば、TPPと言わず、もっと広くFTAAP(21カ国)とかEUとかにも拡大すればよく、世界中恐いものは何も無くなることになる。

 

GDP7.9兆円減ということだが、これに対応する戦略とは
①農家が犠牲にならないよう十分な対策を講じる
②農水省の試算は、何も対策を講じない場合で、一気に市場開放する場合であり、準備をすれば当然GDP減少幅は縮小する。大規模化、大型機械化、ロボット化を推進し、農業が産業としての国際競争力をつける。これに関しては、すでに説明した。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/tppno16-ea86.html
③農業の大規模化、大型機械化、ロボット化を推進すれば、当然人手が余る。その人手を他の産業で有効利用する。

 

経産省の試算では、TPPに参加せず、韓国が米韓FTA,中韓FTA,EU韓FTAを締結したとき、10年後には10.5兆円のGDPを失うことになるとのことだ。経産省は10年後のGDPは680兆円程度を考えている。また内閣府では、TPPに参加したときのトータルでの影響は、GDPを2.4兆円~3.2兆円増加させるとの試算を発表している。

 

これらの試算は、簡単には比較できない。忘れてはならない事はデフレ脱却をどうするのかということだ。市場開放すれば、外国製品がどっと入ってきて、農業を始め国際競争力のない産業は一掃され、失業者が増加し、デフレは悪化する。デフレ脱却をした後ならTPPも検討に値するが、それをおろそかにしてTPP参加など論外だ。それは経済政策の失敗に対する非難を避け、国民の目をそらすための策略にすぎない。

 

デフレ脱却・財政健全化は50兆円の景気対策を5年間続けることにより達成できるという試算をすでに示した。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-bd0c.html
もしこの政策が実行されたときのGDP押し上げ効果は、初年度で36兆円、5年後は141兆円である。景気対策をやらなければ141兆円失うのである。GDP押し下げ幅として農水省試算の7.9兆円や経産省試算の10.5兆円も、この1割にも満たないことが分かる。それは日本のGDPの大部分が外需でなく内需だからである。民間消費だけでGDPの55%を占める。

 

少子高齢化の時代、大規模景気対策を行えば、人手が足りなくなるという意見がある。だからこそ市場を開放し、農業の大規模化・ロボット化で340万人の人手を確保し国際的に競争力のある産業に人手を回せば、日本は豊かになっていく。貧しく、重労働を強いられる農業に固執することはないではないか。50兆円も景気対策に使えるのだから、そのうちの一部を農業とその関連産業に従事する人たちへの十分な援助に使えばよい。

 

農水省の試算では340万人で7.9兆円のGDP、つまり1人当たりのGDPは232万円となる。日本のGDPは490兆円で全就業者数が6252万人だから1人当たり平均783万円のGDPを稼いでいることになる。これにより農業が如何に非効率かが分かる。農業は働いても働いても金にならない。それなら、農業は大型機械やロボットなどに任せ、十分な転職支援金を受け取って、もっと快適な職場に移ったらどうだろう。もちろん、日曜菜園など園芸を趣味として楽しむのもよい。それは生活費を稼ぐのでなく、人生を楽しむための娯楽としての農業がやれるようになるのが理想だ。クラインガルテンと言って、ドイツではすでに200年の歴史を持ち、日本でも滞在型市民農園として盛んになりつつある。

 

市場開放の問題は農業に限ることではない。生産性の低い分野の産業を国の助成金でいつまでの支え続けていることはない。他にもっと快適で高収入の職場があれば、移るべきだ。そもそも、日本の製造業が育ち国際競争に勝ってきたということは、他国の製造業を潰してきたということであり、市場が開放されていたことの恩恵を受けたからである。国際競争に勝てない自国の産業を保護しながら、他国の産業を潰してはいけない。常に我々は諸外国の発展にも寄与する形で自国の発展を考えるべきである。大規模景気対策は自国の発展のみならず、世界経済の発展に貢献するのだということをすでに示した。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/no-e743.html

 

最も重要なことは、デフレを脱却し、失業者を減らし、常に人手不足の状態にしておくことだ。そうすれば、非効率な産業から高付加価値の産業への転職が容易になる。これぞ真の構造改革である。小泉氏は「構造改革なくして景気回復なし」と言ったのだが、これはまちがいで「景気回復なくして構造改革なし」が正しい。好景気のときの市場開放は、構造改革を推進するが、デフレ下での市場開放は経済を崩壊させるだけだ。

 

TPPに対する不安材料は人的交流だ。ベトナムあたりから安い労働力がどっと入って来ると困るということは、ほとんどの人が同意するだろう。TPPでは、労働者の受け入れをどの程度まで要求してくるのか分からない。人の受け入れに関する主な要望の例として内閣府が発表しているのは次の通り。
①インドネシア、フィリピン: 看護師・介護福祉士候補者受け入れ制度の改善
②タイ: スパセラピスト・介護福祉士
③ベトナム: 看護師・介護福祉士
④インド: インドネシア、フィリピンと同様の看護師の受け入れ、
資格相互承認(医師・歯科医師・看護師・会計士・建築士)
⑤韓国:  国家技術資格(放送通信技士・自動車整備技士・電算応用機械製図技能士等)
の相互承認
⑥中国:  訪日査証発給の円滑化、技術実習生協力の推進

 

一部に移民を大量に受け入れてGDPを拡大せよという意見もある。しかし、日経モデルで示したように移民を受け入れなくても大規模財政出動で十分GDPは伸びる。移民を大量に受け入れると、犯罪が増加するし、日本国内で民族間の紛争が始まる。TPPで、人的交流も制限が掛けられないとなれば、TPPでなく個別のFTAやEPAの推進も検討すべきだと思う。発展する中国と言え、まだ1人当たりのGDPは日本の10分の1にすぎない。

 

国境を開けば、すさまじい数の移民・難民がなだれ込むのは間違いない。限られた国土で人口を増やせば、食糧自給率も下がってくるし、CO2排出量を下げるのも苦労する。無理に人口を増やさなくても、むしろ1人当たりのGDPを増やして、日本をゆったりと生活できる場所にしたいものだ。

 

本稿を書いた後で、内閣府の試算をした川崎氏から電話があり、丁寧に説明していただいた。内閣府の試算はGTAPという経済モデルを使っている。TPPに参加した場合のプラスの効果とマイナスの効果を総合的に考慮し、その様々な波及効果まで計算してある。それによると、TPPに参加し100%自由化した場合のGDP押し上げ効果は2.4兆円~3.2兆円である。予測値に幅があるのは、TPPの加盟国がどこまで広がるかによって変わるという意味である。ところがGDP押し上げ効果だが、日中EPAが実現するとそれだけで3.3兆円でありTPPを上回る。日米EPAなら1.8兆円、日欧なら1.3兆円である。何も、融通の利かないTPPにこだわることはなく、日中・日米・日欧のEPAを確実に進めていけば、そのほうが効果が大きいのだから、そういった方法とも比較検討も行うべきだろう。それ以外の国も同時並行で2国間で進めることもできる。

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2011年1月16日 (日)

「経済が破綻する」などと言って金を騙し取った会社社長を逮捕(No.36)

1月16日のNHKニュースによると「経済が破綻する」などと言って金を騙し取った会社社長を逮捕したそうである。これは架空の投資話で顧客から金を集めた話しだが、ここまで露骨にやらなくても、財政が破綻するとか、国家破産とか、預金封鎖とか、国民に恐怖を起こすような言葉を並べて、新聞・雑誌・書籍の売り上げをのばそうという悪徳業者が日本中にあふれており、それが日本人に不安を募らせ、自信を喪失させ、将来不安を引き起こしている。このため将来へのそなえをしなければと国民全体が考えているから消費が減退し、いつまで経っても不況脱却・デフレ脱却ができない結果を生み出している。

パソコン、携帯電話、テレビ等を見ても、目覚ましく進歩しており、技術の進歩によって我々の生活には、ゆとりが出て当たり前のはずである。しかし、実際は逆になっている。それは次の内閣府の国民生活基礎調査の結果でもはっきり表れている。

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このように国民生活を苦しくさせたのは、財政が破綻する・経済が破綻するなどと言って国民に恐怖を煽り、耐乏生活を強いた政府・マスコミ等に責任がある。国の借金が大変だというが、国は通貨発行ができるのであり、国の借金は何の意味もない。通貨発行なしには国の発展はあり得ないし、国民の生活を守ることはできない。

今から28年前で、すでに政府は財政非常事態宣言を出している。非常事態宣言を出すこと自体、国は自由を束縛され、発展に重大な障害になることを忘れてはならない。防空壕で不自由な生活を強いられることを考えれば、国に非常事態宣言を出すときは、本当に実害が伴う危機がせまったときにごく短期間だけ出すべきである。政府の発言からすれば、いまだ非常事態宣言は解除されていないように思える。28年間も非常事態宣言が出ているような国が厳しい国際競争に勝てるわけがない。具体的に何が危機で何が危機でないのかをしっかり見極める必要がある。当時はこれ以上国債を発行すると金利が上がって景気が悪くなるということだった。実際は上がるどころか下がっていった。

362

政府は、非常事態宣言が誤りであったと謝罪すべきである。この非常事態宣言が与えた国民生活への悪影響を考えれば、政府の犯した罪は、NHKニュースで報じられたあの会社社長よりはるかに重い。

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2011年1月14日 (金)

デフレ下で消費税増税をさせてはいけない(No.35)

与謝野氏が経済財政担当大臣として入り、自民党党首の谷垣氏組んで、いよいよ消費税増税に向かってまっしぐらに進むつもりかもしれない。しかし、消費税はもちろん、いかなる増税も、デフレに陥っている日本経済には深刻な打撃になることを 、日本経済新聞社の経済モデルを使って説明しよう。このモデルに関してはすでに以下で説明した。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-bd0c.html

消費税を5年間、ある一定の税率に固定する場合を考えよう。図1で示したのが、消費税率を0%~11%の間で変化させた場合の実質GDPである。例えば0%と書いた線は、現在消費税5%であるものを0%にまでに下げて5年間(実際は2000~2004年で計算してある)続けた場合、11%と書いたグラフは、一番下のグラフであるが、これは消費税率を11%に固定したと仮定したときの実質GDPである。

図1 

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11%以上の税率で計算しなかったのは、NEEDS日本経済モデルが止まってしまい計算が不能だからである。消費税率変更した後、5年経過したときの雇用者報酬がどうなっているかを図2で示した。

図2

352

この図で分かるように、消費税を上げれば給料は下がる。それにより社会保険料も下がり、年金も下がる。国民を貧乏にしては、少子高齢化に耐えられないし、900兆円の国の借金は返せない。

 図3では、各消費税率に対し物価指数がどのように変化するかを示した。消費税率を0%にしても、まだデフレは止まらない。このグラフより消費税率11%だと物価の下落率は年率約1.7%である。

図3

353

図4で示したように、景気悪化は失業率の増大をもたらす。消費税10%を5年間続けると失業者は2.3%増加する。今の日本の中小企業で、売り上げの10%もの税を払える企業がどれだけあるだろう。全企業の4分の3は赤字決算で法人税を払っていない。デフレ下で、どこも儲かっていない。だから倒産は激増、恐らく経済的な理由で自殺する人は年間3000人~5000人は増えるだろう。こんなに多くの罪もない人を殺してもいいのかと政府に聞きたい。

図4

354

消費税を上げると、税収が増えて国の借金が「返せる」のではないかと勘違いしている人はいないだろうか。残念ながら、図5で示したように、経済モデルで計算すると、消費税を上げることにより、GDPが下がり、更に景気悪化で消費税以外の税収が減るために、国の借金のGDP比はほとんど変わらないことが分かる。消費税を上げると、デフレは加速し、国は急速に貧乏になっていく。貧乏になった国民に900兆円もの借金返済をさせようとしても無理なのだ。どんなに消費税を上げても国の借金は決して返せないことが、マクロモデルの計算で分かる。消費税を社会福祉目的税にするなどという聞こえの良い言葉に騙されてはならない。増税で経済を縮小させ、増え続ける社会保障費を払えるわけがない。今やるべきことは、国の経済を立て直し、パイを大きくして社会保障費を確保することだ。

図5

355

少子高齢化で年金財政が大変だと思っているかもしれない。日本の年金制度は異常だ。国が社会保険料を取るだけで、それを貯め込んで、国民に年金として十分払おうとしない。そのため、国はなんと数年分の年金を貯めてしまった。こんな馬鹿なことをやっている国はどこにもない。まず国民に返させるとよい。
デフレとは、経済発展のために必要に十分なお金が国民に与えられていない状態だから何らかの形でお金を国民に渡す必要がある。社会保険料の引き下げ、減税、歳出拡大など様々な形が考えられる。財政赤字を拡大させれば、国民の側では、黒字が拡大することになり、経済が諸外国並に発展が可能となる。通貨管理制度の下では、日銀は国債を買い取る形で通貨を発行でき(つまり国の借金を日銀が買い取ることができ)その買い取り額は無制限である。国の経済が発展すれば、円の信用も増してくる。緊縮財政を続けて、経済を没落させれば、円の信用も落ちてしまうのだ。

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2011年1月13日 (木)

計量経済学は「デフレ経済において増税は悪、減税は善」ということを証明(No.34)

与謝野氏が入閣し、これから民主党政権は大増税の道を歩もうというのだろうか。政府に、もっと経済を勉強して欲しいという願いを込めて2005年にグローバルモデリングセンター所長の大西昭氏と共に計算した結果を以下に示す。 結論は、デフレの時には減税をすべきであり、増税は決して行ってはならぬということである。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 当時(2005年)、検討されていた増税政策と、逆に減税を行う政策を FUGI global modeling system を使い比較検討した。FUGI global modeling system(フジグローバルモデリングシステム)は国連機関で利用され、国際的に知られた先端的な世界経済予測システムである。世界を200の国・地域に分類し、各国・地域モデルが世界的規模で相互依存している超複雑系モデルである。詳細は ONISHI(2003&2005)を参照。

 日本経済は外需、特に米国と中国向けの輸出のお陰で景気が上向いたことはよく知られている。日本経済は地球的相互依存の世界経済の影響を大きく受けている。FUGIグローバルモデルは輸出入、資本移動、ODA、為替レート、株価、輸入関税などの波及過程を分析が可能である。また世界レベルでのエネルギー消費量の予測が可能となり、世界人口の増大や人間活動の規模拡大のもたらす地球環境への影響の予測にも使われている。

 ここでは、次の2つのシナリオを比較する。 
1.増税シナリオ(baseline) 
  1) 2005年度から定率減税を半減、2006年度から全廃 
  2) 2007年度から消費税率を10%に引き上げる 
 定率減税全廃で3.3兆円の増税となり、消費税を10%に引き上げると約10兆円の増税となるから2007年度からは合計約13.3兆円の増税になる。これが、ほぼ現在の政府が考えている経済政策であると思われる。

2.減税シナリオ 
  1) 2006-2013年に毎年個人所得税および法人税を5兆円、合計10兆円減税。2014年以降は、減税を行わない。 
  2) 公共投資は2006年レベルを持続。 
  3) 所得税の定率減税は恒久化。 
 両シナリオ共、公定歩合は内生変数となっており、過去の実績から判断し、景気の状態、物価、為替、アメリカの金利に応じて変化している。

 図1に、実質GDPの推移を両シナリオに対して示した。現在の効果が現れるには時間が掛かるものの、2020年度までの15年間で実質GDPの伸びは減税シナリオのほうが増税シナリオの約3倍であることが分かる。減税シナリオにおけるGDPの大きな伸びは、債務残高のGDP比を減少させるのに極めて有効である。

<図1>
 
341

 図2a,bでは、2つのシナリオの場合の経済成長率を示した。比較のために、全世界と米国の成長率のグラフも加えてある。成長率が世界的に大きく変動をしているのは、景気変動サイクルがあるためである。図2aから分かることは増税シナリオでは、成長率は1~2%で低迷するということである。世界経済あるいは米国経済に比べても際立って低い成長率になることが分かる。それに対して図2bは減税シナリオでの実質成長率を示した。この場合、次第に成長は加速し、世界の標準レベルに追いつき、2010年頃には追い越すことができることが分かる。

<図2a>
 
342a

<図2b>
 
342b

 図3では、名目GDPを示した。名目GDP成長率は2011年以降は2%前後となる。

<図3>

343

 一般に誤解されて信じられていることは、この財政が厳しいときに減税すると国の借金が増えて大変だろうということだ。しかし、実際計算してみると逆だと分かる。図4で新規国債発行額を示した。

<図4>
 
344

 確かに、2012年までは減税シナリオのほうが、多く新規国債を発行しなければならなくなるのだが、その増加額は減税幅よりはずっと小さい。それは税収が大きく増加するためである。減税シナリオのほうが名目GDPが大きく伸びるために債務残高の名目GDPは増税シナリオより低く抑えられることになる。

 2014年からは「減税シナリオ」で減税をうち切ることもあり、減税シナリオのほうが、新規国債発行額が少なくてすむ。増税シナリオでは、2020年まで高水準の新規国債発行を続けなければならないのだが、減税シナリオでは2012年頃から新規国債発行額は激減を始め、2019年からは発行しなくてもよいということになる。

 同様な結果は、異なるシミュレーションプログラムを使って得られている。宍戸・小野(2003)はEconomate、宍戸(2004)はDEMIOS、小野(2003)は日経NEEDSをそれぞれ用いて、積極財政のほうが緊縮財政よりも債務のGDP比が少なくなり財政が健全化することを示した。

<図5>
   

345

 図5には石油価格の推移を示した。減税シナリオと増税シナリオとで大きな違いはない。一時的な投機的な動きは別として、2020年まで、石油価格の暴騰はあり得ないことを、このモデルは予測している。

 図6、図7はそれぞれ対ドル円相場と対ドルユーロ相場で、これらは減税シナリオで計算したものである。これらも減税シナリオと増税シナリオで大きな違いは見られなかったので1つのグラフにした。

<図6>
 
346

<図7>
 
347

 次に日本経済と世界経済との関係を調べる。図6は両シナリオの元での世界経済の実質成長率である。予想通り、減税シナリオのほうが、増税シナリオよりも世界経済は成長率が高くなる。日本経済と世界経済とは相互に依存しているということであり、日本経済を発展させるということは、世界経済の発展に貢献することであり、それがまた日本経済の発展に貢献するという、いわゆるブーメラン効果を生み出すことになる。

<図8>
 
348

 先進国は、ODA拠出をGNPの0.7%にするという努力目標が1970年の国連総会で採択され、その後国連環境開発会議やモンテレイ開発資金国際会議などの国際会議の場でも繰り返し言及されている。しかし、日本は財政難を理由にその半分にも満たない額しか拠出していない。景気を刺激し日本経済を発展させることができればODAを増やせるようになるし、日本経済の発展自体が世界経済の発展に寄与するのだということも忘れてはならない。つまり減税は日本の納税者だけのためでなく、世界経済全体の発展のためということができる。日本がODAを増やし途上国への援助を行うと、それが途上国の経済発展を助け、その結果として日本から途上国への輸出が増加することとなり、日本はODAの額以上の利益を得ることを忘れてはならない。また世界から貧困を無くすることができれば、テロの脅威からも解放されることになる。

 ここで試算した以上の大規模な財政出動に関しては、小野(2003)を参照して頂きたい。アメリカは約30兆円もの所得税減税で景気を刺激しており、日本も負けずに思い切った減税策を行うことも検討課題だろう。そのような強力な景気刺激策により、日本経済はここで示したものよりずっと早期に成長軌道に乗りゼロ金利解除も早期に行える可能性もでてくる。しかし、その際の国債の暴落、円の暴落があるのではないかという問題に議論がすり替えられ、減税か増税かの検討が本格的に行われていないのが現状である。そうであれば、ここに示すような国債の暴落、円の暴落の心配が全くない小規模な減税策と、政府が検討している増税策とを比較して欲しいという願いからこのレポートをまとめたわけである。

 スノー米財務長官は世界の貿易不均衡に関連して、日欧に対して、景気を刺激し内需を拡大するよう繰り返し要求している。また2005年2月のG7で谷垣財務大臣は自律的な内需拡大型の経済成長拡大を公約した。バブル崩壊後十数年が経過し、その間構造改革による内需拡大型の経済成長拡大を唱えられてきたが、構造改革だけでは経済が低迷し続けるということは、現在の経済成長率の低さを見れば明らかである。現在求められているのは、その場しのぎでない長期的展望に基づいた持続的な財政出動である。

 債務残高のGDP比ではなく、債務残高の絶対額が問題だという主張があるかもしれない。そうであれば、日本も米国も債務残高は700兆円程度でありアメリカも大規模な減税策を行っているのだから、日本も債務残高を気にせずに同様に減税を行ってよいことになる。

 結論をまとめると
1. 減税シナリオのほうが増税シナリオに比べ大幅にGDPの成長速度が増す
2. 減税シナリオのほうが国の債務残高のGDP比も低くなり財政の健全化の速度が速まる
3. 対ドル円レートに関しては減税シナリオでも増税シナリオでも大きな影響はない

 結果としてこのレポートで使用したデータは常に変動しており、それに従ってここで記載された結果のデータも日々変化するものである。それ故に、データの詳細にまで立ち入る議論は意味が無く、2005年現在の日本で減税と増税でどちらが正しい選択かを判断する材料としてこのレポートは使われるべきものと考える。


【文献】

Akira Onishi (2003) Integrated Global Models for Sustainable Development、Technology, Information and Systems Management Resources, Volume III, EOLLS Publisher, Oxford, UK . Knowledge for Sustainable Development: An Insight into the Encyclopedia of Life Support System, UNESCO; http://www.eolss.net.

Onishi A (2005) Futures of global interdependence (FUGI) global modeling system, Integrated global model for sustainable development, Journal of Policy Modeling, Vol. 27/1 published February 2005, pp101

宍戸駿太郎・小野盛司(2003) AJER 03-12
宍戸駿太郎(2004) 日本経済成長の「ベストシナリオ」を探る
エコノミスト2004年8月24日号
小野盛司(2003) 『これでいける日本経済復活論』ナビ出版

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2011年1月10日 (月)

昭和恐慌に学ぶデフレ脱却法(No.33)

昭和恐慌の前には、やはりバブルがあった。下の物価指数のグラフを見ていただきたい。1914~1918年の間、第一次世界大戦参加国が輸出する余裕を失ったことや、参戦国からの軍備品需要のため、日本の商品への需要が急増し、輸出が大幅に伸び、経常収支は大幅な黒字となった。これに対応し、生産力は飛躍的に増大、わが国経済の画期的発展の好機が到来した。原敬内閣(高橋是清蔵相)の財政拡大、金融緩和政策もあり、日銀券の発行も激増、年率30%を超す経済成長が続いた。ただし、物価の値上がりも激しく、実質成長率は年率2%程度だった。商品投機・土地投機・株式投機が発生した。日本の商品は、欧米に比べ競争力は劣ったが、戦時中は欧米はアジアに出てこなかったので、中国などに進出できた。そこで設備投資計画も十数倍に増加し銀行も積極的に融資に応じた。1990年前後で起きたバブルにそっくりだ。

1920年株式市場が大暴落し、反動恐慌が勃発した。戦後欧米企業が進出してきて、売れなくなった。そこで輸出が減少し、生産設備が過剰となり遊休化した。大量の不良債権も発生。1923年の関東大震災も事態を悪化させ、1927年には金融恐慌も発生した。

出所:長期経済統計 国民所得 東洋経済新報社

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「失われた10年」の最後に、昭和恐慌を引き起こした浜口内閣は、小泉内閣と非常によく似ていると言われている。両者とも国民に対し「緊縮財政の痛みに耐えよ」と訴え、デフレ下の緊縮財政を強行した。浜口首相は1929年8月28日に「全国民に訴う」という署名入りの宣伝ビラを全国1300万戸に配布した。同日午後七時すぎには、全国中継放送で首相は国民によびかけた。「・・・今日までの不景気は底知れない不景気であります。前途暗澹たる不景気であります。これに対して、緊縮、節約、金解禁によるところの不景気は底をついた不景気であります。前途に皓々たる光明をのぞんでの一時の不景気であります。・・・我々は国民諸君とともにこの一時の苦痛をしのんで、後日の大なる発展をとげなければなりません。」

デフレ下での緊縮財政が成功するわけがなく、それに対する多くの批判があった。例えば三土忠造は『経済非常時の正視』の中で次のように批判している。

「一般国民は、経済上の知識が乏しく、唯古来の道徳上の教訓によって、節約と言えば無条件に誠に結構なもののように考えるのは無理もないことである。即ち自分だけ節約した場合と国民挙って節約した場合とを混同したのである。世間一般の人は従来の通りの生活をしていて自分一人節約した場合には、その節約しただけ懐に余裕ができることは言うまでもないが、世間一般が挙って節約した場合には、これとは全然相反する結果を来すのである。・・・国民挙って節約すれば、他人の生産した物を買うことが減少すると同時に、自分の生産した物の売行も減少する。従って売買の中間に立つ取引運搬等も減少して結局生産消費取引の減退、言い換えれば経済生活全体の縮小に終わって、国民の多数は消費節約による支出の減少よりも、生産品の売行不振・価格の下落・商取引の減退による収入の減少の方が大きくなって、国民全体の懐具合が悪くなるという結果になるのである。有益無益を問わず、ただ消費の節約と言うことは、道徳場から言っても意味を為さず、又今日の経済生活から言っても決して産業の振興、貿易の発展を促す所以ではない。」

 デフレの下で、歳出削減と増税を検討している今の政府は、この批判をよく読んで教訓にすべきだ。すでに述べたように1920年代から続く「失われた13年」に終止符を打ったのは、高橋是清蔵相の大規模な景気対策であった。
出所:長期経済統計 財政支出 東洋経済新報社

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高橋蔵相による積極財政は1936年度まで続き、デフレは終わり、世界大恐慌から世界最速で景気回復したと高く評価されている。しかし、1936年、2・26事件で高橋是清は暗殺され、その後は軍部の独走で、行き過ぎた国債発行により過度のインフレ経済へと移っていく。

下図は、国の債務のGNP比である。高橋蔵相による積極財政で巨額の赤字国債の発行により、国の債務は激増した。しかし、GNPも同時に激増したわけで、債務のGNP比を見ると、むしろ増加が止まり減少が始まっていた。それ以前、緊縮財政で借金を減らそうとして昭和恐慌を引き起こした時代には、GNPが減ってしまい、債務のGNP比は増えてしまったことが分かる。参考までにだが、第一次世界大戦では、日本は輸出が急増し、成金が続出、銀行も設備投資に積極的な貸し出しを行い、経済は拡大しバブルが発生しインフレになった。財政拡大によるインフレではなかったために、国の債務のGNP比は逆に減少している。その後、バブル崩壊後の「失われた13年」では、デフレの中、国の債務のGNP比は増加を続けているのも、平成のデフレと共通している。

出所: 明治以降本邦主要経済統計 日本銀行統計局編

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以下に名目GNPを示す。第一次世界大戦をきっかけにバブルが発生し、GNPが急激に増大し、その後1919年~1931年の間不況が続きGNPが伸びなくなっている。「失われた13年」である。14年目には高橋是清の積極財政が始まり見事GNPは急増し始めている。

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それに対して、現代は失われた20年の後に、行われているのは増税論議だけであり、このままでは更に20年失われ、結果として日本は果てしなく貧乏な国へと変わっていくことになるのではないか。

最後に株価指数のグラフを示す。昭和恐慌まで急落し、積極財政が始まってから急騰が始まっている。平成は、株価の下落ばかりの20年だったのだが、積極財政でこれを反転させようではないか。

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2011年1月 6日 (木)

日本がIMFの管理下に?? ネバダレポートに騙される馬鹿な日本人(No.32)

ネバダレポートは、「IMFに近い筋の専門家?」がまとめたとされるレポートで、もし日本がIMF管理下に入った場合、IMFが実行する財政再建プログラムだそうだ。経済の知識のある者なら一笑に付すだろうが、何とこれが2002年の国会予算委員会で真面目に議論されたそうだから驚く。

「公務員の人員の総数を30%カット、給料も30%カット ボーナスも全てカット、公務員の退職金は100%カット 、年金は一律30%カット、国債の利払いは5~10年間停止、消費税は15%引き上げて20%へ 」などと全く馬鹿馬鹿しい内容だ。冗談でしょうと笑えばよいところだが、それを国会で真面目くさって馬鹿な質問をしているのが五十嵐文彦、馬鹿な答弁をしているのが塩川正十郎と竹中平蔵だ。

http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/001815420020214010.htm?OpenDocument#p_top

日本がIMFの管理下に入るなどということは、全くあり得ないことだが、この3名は、IMFを全く理解していないようだ。国が借金をして、その返済ができなくなったらIMFに頼めば何とかしてくれる。だから日本も将来的にはIMFに頼らなければならないとでも思っているのだろう。しかし、それは全く違う。IMFは外国からお金を借りているとき外貨が足りなくなって困っている国を助ける。お金に困っている国に対して金を貸してやるのではない。具体的には、IMFは外貨不足で困っている国の自国通貨をドル、ユーロ、円などの国際通貨と交換してやるということだ。危機が去れば、その国は自国通貨を国際通貨で買い戻さねばならない。

ここですでに日本がIMFによる支援の対象外だと分かるだろう。日本円は国際通貨であり、日本がIMFに交換してもらうとしたら、自国通貨である円を国際通貨である円と交換するだけだから、何の意味も無い。要するに、国際通貨を持つ国は、国際市場で他国の通貨との自由な交換が可能なのだから、何もIMFに交換を依頼する必要は無く、中央銀行間でも自由に交換ができる。

アルゼンチンやギリシャのような国が破綻(又は破綻の危機に直面)するのは、自国通貨をドルや円などの国際通貨に交換してもらえず、自国の通貨を発行しても外国から借りた借金返済ができない場合だ。その場合IMFにお願いして自国で発行した通貨を国際通貨に交換してもらい破綻を免れることができる。ただし、他国に助けてもらう条件として、二度と同じ過ちを起こさないようにと、つまりまた同じように他国から借金をしないようにと、IMFから指導を受ける。日本のように自国通貨の発行をいやがる国はIMFでも助けようがないのだ。もちろん、日本は自国の通貨を発行すれば、つまり日銀が国の借金を市場から買い取れば、IMFの力を借りなくても国の借金の問題は一挙解決する。「神は自ら助くる者を助く」であって、結局IMFの助けはいらないのだ。

IMFからすれば他国に巨額の債権を持つ日本は模範生であり、経常赤字を続けている国と同じ指導をするのはおかしい。経常収支の赤字国も黒字国も緊縮財政をせよという主張は、世界大恐慌を引き起こせということであり暴論である。倒産しかけている会社を更生させるための法律が会社更生法であり、税金を使って会社を助ける。この場合黒字化のために人員整理や賃金カット等厳しい融資条件がつくのは当然であり、IMF管理下に置かれた国も同様な扱いだ。一方で、外貨や海外純資産で世界一であり、経常黒字が続いている日本は、会社で言えば巨額の利益を出す超優良企業だ。会社更生法の適用を受ける必要はないのだ。

笑い話として読んで欲しいのだが、日本の国の借金である908兆円をIMFから金を借りて返そうとしたとする。IMFは円を貸してくれるわけではない。円と国際通貨のどれかと交換してくれるだけだが、それは巨額の外貨を持つ日本にとって何の意味もない。全く馬鹿げた話しだが、IMFが世界中の国の外貨準備のドルを奪い取ってきて日本に持ってきたとしよう。世界の外貨準備の合計は670兆円程度、そのうち6割がドルだから400兆円、ここから日本の外貨準備を引くと300兆円余りしかない。日本の借金の908兆円を完済するには余りにも少ない。しかも、日本には外貨準備が約100兆円と海外純資産260兆円を持っている世界一金持ちの国だ。その金持ちの国を、外貨不足で困っている国まで含め、全世界が有り金をすべて出して日本を援助するほど理不尽なことはない。IMFでなく、日銀がいくらでも援助してくれるのだから。言ってみれば大富豪のビルゲイツが、銀行に預けている自分の金を使いたくないと言っているから、みんなでお金を出し合って助けましょうと言っているようなものだ。

もちろん、IMFの融資残高も日本の国の借金である908兆円に比べ桁違いに少ない。2003年末 1064億ドル、
2007年度末 155億ドル、
2008年11月~2009年5月の間に行った融資 1500億ドル(約12兆円)
といった程度である。日本の国の借金である908兆円には遠く及ばない。

逆に日本は2009年2月13日、IMFの融資財源を暫定的に補完(最大で1000億アメリカドル)すると表明した。IMFへの出資比率が世界第2位の日本はIMFの管理下に入るというよりIMFが日本の管理下に入ると言ったほうが、現実に近いのではないか。

よく言われるのが、日本が通貨発行を行うと円の信認が落ち、日本から資金が引き揚げられ、円が暴落し経済がマヒするということだ。アメリカや中国など諸外国も通貨発行は行っているが経済はマヒしていない。他の国からドル建てで多額の金を借りていて返済に困っているとき、国が通貨を発行すれば混乱が起きることがある。例えば日本が他の国からドル建てで300兆円(3兆ドル)の借金をしているとしよう。通貨発行により円が暴落して円の価値が10分の1になったとすると、もちろん外国は3兆ドルを返してくれという。しかし円の暴落で300兆円でなく10倍の3000兆円も返さねばならなくなり、とても返せないし利払いも大変ということで返済不能(デフォルト)となる。これが問題なのだ。

しかし、現在の日本は逆なのであり逆のことが起きる。他の国に金を貸している。ドル建てで300兆円(3兆ドル)貸している場合は、円の価値が10分の1になれば、貸している額は10倍になるから3000兆円も貸しがあることになる。利子収入だけでも大変な額になる。輸出企業は笑いが止まらないだろうし、諸外国は国内産業が日本からの輸入拡大で大打撃を受けるから真っ青になるだろう。そもそも日本国内の資金が海外に逃避するということは、円売りドル買いが発生するということ、これがまさに、円安誘導であり、通貨安競争を各国がしている現在、喉から手が出るほど日本政府が望んでいることである。それが自然発生的に起きるなら、日本にとっては、これほど嬉しいことはない。資金が海外に逃避した後、資金不足になるかと言えば、その穴は通貨発行で埋めれば良いだけだ。日本を元気にする最良の方法だ。

実際、通貨発行で景気が良くなれば、経済が拡大を始めるから、日本が有望な投資先となる。経済が停滞しているからこそ、日本が投資先として有望でなく、資金はもっと有望な海外に逃げていき、円キャリートレードが盛んだったので円安になった。リーマンショック以降は海外も景気がわるくなったので、その資金が戻ってきて円高になった。日本がきちんと経済を立て直せば、世界中から資金は流れ込む。

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2011年1月 4日 (火)

国民のための政治を放棄するなら現政権にNOを言おう(No.31)

新年おめでとうございます。
本年も宜しくお願いします。

2006年1月に自民党政権は、2011年度に基礎的財政収支の黒字化を目指すという目標を立てた。内閣府のシミュレーションでは2011年度黒字化可能ということだった。しかし翌年の2007年1月には状況が悪化し、14.3兆円の歳出削減をすればやっと2011年度の基礎的財政収支は黒字化(0.2%の黒字)すると下方修正した。2008年1月になると更に悪化し14.3兆円の歳出削減を行っても、まだ0.1%の赤字だと言い出した。2009年1月には状況は更に悪化し、2.9%の基礎的財政収支の赤字の見通しを発表した。そして現在の見通しでは更に悪化し、2011年度、約23兆円(4.8%)の基礎的財政収支の悪化を見込んでいる。

どうして、毎年毎年見通しが悪化するかと言えば、内閣府の見通し(シミュレーションの結果)が、そもそも大本営発表のものだからだ。「日本軍の快進撃」を発表し続けて、国民がおかしいと気付いたときは日本は焼け野原になっていた。国民よ、目を覚ませ、我々は騙されているのだぞと、すでに警告した。

http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/no17-6a82.html

基礎的財政収支がどんどん悪化する政府の発表を真に受けて、マスコミは政府が緊縮財政をやらないからどんどん財政が悪化するのだと言い続けてきた。それは違う。悪いのは、内閣府が国民を騙そうとして作った経済モデルだ。実際はデフレで緊縮財政をやれば、景気が更に悪化して財政も悪化する。自民党は大本営発表を繰り返すことで、自分たちの政策を正当化しようとして失敗した。経済は政府発表の通りに改善しなかったからだ。民主党は更にひどい。彼らは経済モデルによる試算はほとんど無視し、まるでどんぶり勘定の発表をし、目標を立て、半年も経てば、自分たちの目標が何であったか忘れている。

例えば民主党は2020年まで平均で名目3%成長でGDPを650兆円にまで拡大するという目標を立てた。驚くことに民主党は、その目標を実現するための努力を全く行っていない。昨年12月22日の閣議決定で、名目成長率は平成22年度1.1%、平成23年度は1.0%の見通しであることを了解した。3%成長という目標は全く無視した(忘れた)ということだ。デフレーターは2011年度までマイナスのままであり、デフレ脱却のための努力も全く行わない。

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上図を見ていただければ、如何に成長率が遅いかが分かるだろう。この調子で成長していけば、1997年度に514兆円だったGDPのレベルまで回復するのは、何と2017年度、つまり20年も掛かってやっと元のGDPを取り返すという前代未聞の悲惨な経済政策ということになる。過去の経済データを正確に再現できる経済モデルを使えば、財政健全化の方法が見えてくる。その1つが日経新聞社の開発した経済モデルだ。それによれば、50兆円の景気対策を行えば、1年で40兆円のGDPの拡大が見込め、リーマンショック以降に失われたGDPを一気に回復できる。

http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-bd0c.html

国の借金も増やさなくてもすむ。つまり民主党と連立を組む国民新党の景気対策をそのまま受け入れればよいだけだ。

国の借金が増えるのは、景気が落ち込んで、歳入が減ってしまい、さらに景気の下支えのために大量の国債を発行しなければならなくなったためだ。大規模な景気対策を行って景気を良くすれば歳入は激増し、しかも景気の下支えのための国債発行は不要になるのだ。そのよい例が中国だ。日本とほぼ同じGDPなのに、歳入は100兆円を超している。国債発行をしなくても経済は自立的に拡大する。本格的な景気回復をすれば、日本も中国と同様の状況になってくる。

昨年2010年度の日本の経済状態がどれだけ悲惨なものだったかを日経新聞が12月29日に特集していた。それを以下で引用する。鉱工業生産も失業率も変化率において日本は最悪。しかも円高を進めてしまい日本は1人負け状態。名目GDPは日本だけが危機前の状態にまで回復できていない。

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もちろん、財政がどんどん悪化し国の借金が増え続けている。日本だけがデフレであることに変わりはない。閉塞状態を打開するために政府は何もやっていない。何かやろうとして野党に反対されてできなかったというならまだ応援のしようもあるが、経済再生のための努力を全く何もやらないし、来年度の見通しもその怠慢さにより国が更に没落することが確実である。財政が厳しいから更なる財政出動はできないと言うならそれは逆だ。大規模財政出動を行えば、財政は健全化するというシミュレーションの結果が出ているのだから。政府が何もしないなら、我々は政府にNOと言うべきである。

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