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2011年1月 4日 (火)

国民のための政治を放棄するなら現政権にNOを言おう(No.31)

新年おめでとうございます。
本年も宜しくお願いします。

2006年1月に自民党政権は、2011年度に基礎的財政収支の黒字化を目指すという目標を立てた。内閣府のシミュレーションでは2011年度黒字化可能ということだった。しかし翌年の2007年1月には状況が悪化し、14.3兆円の歳出削減をすればやっと2011年度の基礎的財政収支は黒字化(0.2%の黒字)すると下方修正した。2008年1月になると更に悪化し14.3兆円の歳出削減を行っても、まだ0.1%の赤字だと言い出した。2009年1月には状況は更に悪化し、2.9%の基礎的財政収支の赤字の見通しを発表した。そして現在の見通しでは更に悪化し、2011年度、約23兆円(4.8%)の基礎的財政収支の悪化を見込んでいる。

どうして、毎年毎年見通しが悪化するかと言えば、内閣府の見通し(シミュレーションの結果)が、そもそも大本営発表のものだからだ。「日本軍の快進撃」を発表し続けて、国民がおかしいと気付いたときは日本は焼け野原になっていた。国民よ、目を覚ませ、我々は騙されているのだぞと、すでに警告した。

http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/no17-6a82.html

基礎的財政収支がどんどん悪化する政府の発表を真に受けて、マスコミは政府が緊縮財政をやらないからどんどん財政が悪化するのだと言い続けてきた。それは違う。悪いのは、内閣府が国民を騙そうとして作った経済モデルだ。実際はデフレで緊縮財政をやれば、景気が更に悪化して財政も悪化する。自民党は大本営発表を繰り返すことで、自分たちの政策を正当化しようとして失敗した。経済は政府発表の通りに改善しなかったからだ。民主党は更にひどい。彼らは経済モデルによる試算はほとんど無視し、まるでどんぶり勘定の発表をし、目標を立て、半年も経てば、自分たちの目標が何であったか忘れている。

例えば民主党は2020年まで平均で名目3%成長でGDPを650兆円にまで拡大するという目標を立てた。驚くことに民主党は、その目標を実現するための努力を全く行っていない。昨年12月22日の閣議決定で、名目成長率は平成22年度1.1%、平成23年度は1.0%の見通しであることを了解した。3%成長という目標は全く無視した(忘れた)ということだ。デフレーターは2011年度までマイナスのままであり、デフレ脱却のための努力も全く行わない。

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上図を見ていただければ、如何に成長率が遅いかが分かるだろう。この調子で成長していけば、1997年度に514兆円だったGDPのレベルまで回復するのは、何と2017年度、つまり20年も掛かってやっと元のGDPを取り返すという前代未聞の悲惨な経済政策ということになる。過去の経済データを正確に再現できる経済モデルを使えば、財政健全化の方法が見えてくる。その1つが日経新聞社の開発した経済モデルだ。それによれば、50兆円の景気対策を行えば、1年で40兆円のGDPの拡大が見込め、リーマンショック以降に失われたGDPを一気に回復できる。

http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-bd0c.html

国の借金も増やさなくてもすむ。つまり民主党と連立を組む国民新党の景気対策をそのまま受け入れればよいだけだ。

国の借金が増えるのは、景気が落ち込んで、歳入が減ってしまい、さらに景気の下支えのために大量の国債を発行しなければならなくなったためだ。大規模な景気対策を行って景気を良くすれば歳入は激増し、しかも景気の下支えのための国債発行は不要になるのだ。そのよい例が中国だ。日本とほぼ同じGDPなのに、歳入は100兆円を超している。国債発行をしなくても経済は自立的に拡大する。本格的な景気回復をすれば、日本も中国と同様の状況になってくる。

昨年2010年度の日本の経済状態がどれだけ悲惨なものだったかを日経新聞が12月29日に特集していた。それを以下で引用する。鉱工業生産も失業率も変化率において日本は最悪。しかも円高を進めてしまい日本は1人負け状態。名目GDPは日本だけが危機前の状態にまで回復できていない。

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もちろん、財政がどんどん悪化し国の借金が増え続けている。日本だけがデフレであることに変わりはない。閉塞状態を打開するために政府は何もやっていない。何かやろうとして野党に反対されてできなかったというならまだ応援のしようもあるが、経済再生のための努力を全く何もやらないし、来年度の見通しもその怠慢さにより国が更に没落することが確実である。財政が厳しいから更なる財政出動はできないと言うならそれは逆だ。大規模財政出動を行えば、財政は健全化するというシミュレーションの結果が出ているのだから。政府が何もしないなら、我々は政府にNOと言うべきである。

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