消費税を15%に上げても国の借金は増え続ける(No.49)
2月20日の毎日新聞に内閣府のシミュレーションについての記事がトップ記事として大きく載った。昨年5月上旬に鳩山由紀夫氏と菅直人氏が内閣府から報告を受けていた。内閣府が作成した「消費税増税シミュレーション」だ。それによると、消費税率を15%にまで引き上げても、国の借金のGDP比は増え続けるというもの。このグラフを見て、彼らは「うーん」とうめいたまま、言葉を失ったそう。我々が日経新聞社の経済モデルを使って行ったシミュレーションの結果と同じだ。
しかし、彼らは驚くべき事に、この事実を公表させなかった。そして菅首相はその2ヶ月後の参議院選では「消費税10%」を唱え民主党は大敗した。菅首相は消費税を10%にすれば、景気は悪くなり、デフレは悪化し、失業率は増え、自殺者も増え、国は貧乏になるだけでなく、国の借金も増えてしまうことをよく知っていたのだ。それでも消費税増税を唱えるということは、国を破滅に導こうとするテロリストと同じではないか。そうでないというなら、消費税増税が何のためか国民に説明すべきだ。当然の事ながら内閣府が作成した「消費税増税シミュレーション」は公表すべきだ。自分にとって不都合なシミュレーションを隠すということは、国民に背を向け、ひたすら首相という身分を守ろうとしているということだ。
このシミュレーションの結果から毎日新聞は「日本には明日は無い」とでも言いたそうだ。シミュレーションというものは、そういうものではない。一般論で言えば、シミュレーションの中の1つの変数(例えば税率)をプラスの方向に動かせば悪い方向に進むのであれば、マイナスの方向に動かせば良い方向に進む。どうやっても悪い方向に進むばかりというシミュレーションなど無い。つまり増税が悪い方向に進む場合は、逆に減税をすれば良い方向に進む。実際、減税を含む大規模財政出動により国の借金のGDP比は下がっていくことはすでにNo.7で示した。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-bd0c.html
消費税さえ増税すれば、何とかなるというとんでもない迷信が広まっている日本だが、もう一つ、やっかいな迷信がある。それは人口が減っているからGDPが伸びないのだという説だ。これも全くの誤解だ。本日(2月25日)国勢調査の速報値が出た。その速報値を加えて人口の推移をグラフにしてみる。
国際調査は5年ごとであり、それ以外のデータは推定だ。国際調査だけを並べると
1995年 12557万人
2000年 12693万人
2005年 12777万人
2010年 12806万人
となり、じわじわ増え続けている。外国人が入ってきて人口が増加している。このことから、人口が減るからGDPが伸びないというのは真っ赤な嘘であることが分かる。次のGDPのグラフを見て欲しい。この間イギリスやアメリカはGDPが2倍以上になっている。人口がそんなに増えたわけではない。
日本の経済停滞が「人口の減少」によるものではないことは明らかだ。デフレにしているから経済が停滞している。原因はそれに尽きる。増税でなく減税に、歳出削減でなく歳出拡大にすれば、GDPは一気に伸びる。財源が無いというが、霞が関で埋蔵金を探しているからいつまで経っても見つからない。日本橋に行って捜すと良い。そこには日銀があり、日銀にはずっと多くの埋蔵金があり、それを使えば日本経済は一気に復活する。日銀にあるお金を引き出せばよいのだ。日銀からお金を引き出すには国債という伝票を作って提出するだけでよい。伝票が日銀の中で何枚積み上がろうとそれは将来世代へのツケとはならない。将来世代も何枚でも伝票を作ってお金を引き出せるからだ。
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コメント
増税(消費税やその他)によって、デフレが悪化するということが、これだけ明確なのに、どうして増税を主張する人々が、こんなに多いのでしょうか? 理解できません。我々の生活を守ることが政治家や政府の仕事ではないのでしょうか。
投稿: stcm | 2011年3月 4日 (金) 09時48分
消費税(15%)ノーとんでもない。
投稿: あんトキのえのき | 2017年9月13日 (水) 22時33分