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2011年4月 7日 (木)

国債暴落という迷信をいつまで信じるのか(No.63)

日銀の国債引き受けをせよという声が次々と上がっている。これは、国債という伝票を書いてお金を日銀から引き出すことであり、デフレに苦しむ日本にとっては、干ばつが続いた後の恵みの雨に例えることができる。しかし、心配症の人は、雨がふる前から洪水を心配するように、日銀の引き受けの前に様々な心配をするようだ。

筆者が高校生だった頃、物理の時間に、ある生徒が先生に質問していた。「自分が窓から飛び降りたとしましょう。そうすると重力で下に落ち始めます。しかし、空気抵抗は上向きの力なので、今度は上に上がり出します。そうすると空気抵抗は下向きの力なのでまた下に落ち始めます。一体、自分はどうなるのでしょう。」先生の答えは簡単だ。「空気抵抗は重力よりはるかに小さな力なので、下向きの力を若干弱めるだけであり、あなたは下に落ちるだけなのです。」

日銀の国債引き受けだって同じ事。デフレの際にお金が国民に渡れば、経済活性化に大きく貢献する。しかし、空気抵抗のように、その効果を若干弱める作用をもたらす変化が生じる。例えば金利上昇、つまり国債価格の下落だ。お金が国民に渡れば消費が伸び、景気がよくなり、企業の利益が拡大する。そうなれば、少々金利が高くても融資を受けて投資しようとするから金利は上がってきて、国債価格は下落する。

しかし、馬鹿な連中は日銀からお金を引き出すと、金利が上がり、中小企業が倒産、賃下げ、企業収益が悪化、住宅ローンの返済ができなくなり、国民は貧乏になると主張する。なんと、日銀からお金を引き出して国民に渡せば渡すほど、国民は貧乏になるのだそうだ。馬鹿かと言いたい。これは、笑い話だ!!上述の高校生の例と同じ結論だ。窓から飛び降りると、空気抵抗のために上向きの力がはたらき、天に昇っていくと結論する。物理が全く理解できぬ人の結論だ。国民にお金を渡せば国民は貧乏になると結論する人は経済が全く理解できぬ人だ。

筆者は最近、国会議員と次々会って経済の話しをしている。国債暴落を心配している人は多い。今は震災復興もあり、日銀からお金を引き出して使うべきだということは冷静に考えればすぐ分かることだ。例えば、あなたが100万円で国債を買ったとしよう。金利1.2%で10年後には元本と金利は確実に受け取れる。ある日あなたは日銀が国債を引き受けたというニュースをテレビで見たとしよう。「ヤバイ、このままでは国債が暴落する。50万円でもよいから今売っておこう」と思うだろうか。あなたは、日銀よりも自分の利益のほうが大切だから、売るかどうかの判断はどうすれば多くの利益が得られるかを考えるだろう。100万円で買ったものを今50万円で売ると50万円の損になるが、10年間待つと100万円に金利を加えた112万円が返ってくる。

それでも50万円で売ると決心する場合は、50万円を別なもの、例えば株などに投資して確実に112万円以上になると確信したときだ。しかし、現在の日本でそんな素晴らしい投資先は存在しないから、乗り移ろうと誰も思わない。1989年、日経平均は38915円まで上昇したが、今はその4分の1にまで下がった。国債はそこまで下がるのは非常に難しい。余程の高いインフレ率にならない限り無理だ。例えば50兆円程度日銀の国債引き受けがあったとし、それを全部公共投資に使ったとしたとき、内閣府の試算では消費者物価を0.7%押し上げるだけだ。まだデフレから完全に脱却できるとは言えない規模だから、国債の暴落など夢のまた夢といったところ。ましてや国債市場特別参加者制度なるものがあって、国債が下がらないような制度になっている。

こんな馬鹿な論理で、国民に必要とされているだけお金を渡す政策が否定されていることを国民は怒るべきだ。日銀はもっと国民にお金を渡せと要求すべきだ。

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント


東京株式大引け速報:全面高、首相発言契機に先物主導で
9700円台回復

サーチナ 4月8日(金)15時12分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110408-00000056-scn-brf

8日の東京株式市場は続伸した。朝方は米国株安や7日夜の
最大級の余震発生で不安心理が台頭し売り優勢で始まったが、
売り一巡後に押し目買いや買い戻しに上伸した。午後に入り
株価指数先物主導に一段高。一時は上げ幅は200円超となり
9800円台を回復する場面があった。大引けの日経平均株価は
前日比 177.15円高の9768.08円と9700円台を回復した。
ほぼ全面高。

午後の一段高の背景は、東京電力 が今夏の計画停電は
原則行わないことを発表したことや、菅首相が第2次補正予算に
ついて、「かなり大きなものになる」としたことで債券先物
売り・株価指数先物買いが出て、現物株指数を押し上げた。

円安も株価を押し上げ要因。ドル・円は朝方の84円82銭から
一時、85円39銭まで、ユーロ・円は121円31銭から一時122円
59銭まで円安が進行した。ECB(欧州中央銀行)の0.25%の
利上げのほか、米国の利上げ観測が円安要因となった。

国内証券では、「今後1年間を展望すれば震災前の生産体制
への復旧をほぼ達成、12年度のEPSは前年比32%増まで急回復
する」と予想している。その上で、
「アナリストが震災の影響を織り込む業績予想の引き下げを
終えた後は、企業による復旧努力にリフレ的な政策対応の
効果が加わり、業績見通し改善歩調が持続して株価は上昇基調を
たどる」としている。

投稿: fa | 2011年4月 8日 (金) 15時58分

日銀白川総裁の新聞記事。
国会議員から国債発行による日銀引き受けを求められているが、
これを行うと、国民の貨幣や国債に関する信頼度が落ちるので
引き受けには反対!と言い放っている。
この非常事態にもかかわらず、何らかの手を打とうとしない。
日本経済復活の会の顧問の先生方、白川総裁をきっちりと
追求してください。

投稿: | 2011年4月 8日 (金) 18時39分

投稿: fa | 2011年4月 8日 (金) 22時28分

経済音痴の老人です。デフレ脱却論、デフレ拡大論、その中間論等々。今回の大災害に国民はどう考え、何が出来るのか!4/8日付け日経紙の「大機小機」コラム欄では其のいずれでもないと・・・。↓
 「・・・国債の日銀引き受けも増税も不要だ。国富は2700兆円ある。銀行システムも健全だ。・・・」
無論、種々の前提ありの事でしょうが?解説をいただければ。

投稿: shihouen | 2011年4月 8日 (金) 22時42分

>国債の日銀引き受けも増税も不要だ。国富は2700兆円ある。銀行システムも健全だ。

どうしても我々を殺したい連中がいるわけだ・・・

投稿: S | 2011年4月 9日 (土) 00時15分

>4/8日付け日経紙の「大機小機」コラム欄

このコラムを検索してみたのですが「また、復興資金調達について、これ以上の国債増発は困難との見方があるが、経常黒字に相当する年間10兆円以上の国内余剰資金がある。3年間で30兆円だ。」とあります。年間10兆円程度ではぜんぜん足りませんね。震災がなかったとしても、そんなものではデフレ脱却には程遠いです。
ちなみに転載していたのは以下のサイトです。

http://emuzu-2.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/post-dcc0.html

投稿: JAXVN | 2011年4月 9日 (土) 10時12分

日銀の国債引き受けで通貨の信認が損なわれるなら、
円安誘導で良いのでは ?
更に格付け会社が国債を更に格下げしてくれれば円安誘導になる。

投稿: inadak | 2011年4月 9日 (土) 14時33分

今朝のNHK討論会で荻原博子サンが日銀引き受けを提案していました。
対極にある大田弘子サンの復興増税は相変わらず筋悪で御用学者といわれても仕方が無いかと。

ともかく、NHKで日銀引き受けが出たのは画期的なことであります。

投稿: jiro | 2011年4月10日 (日) 15時28分

>NHK討論会

挙句の果てにTPPへの参加を積極的にすすめるのが良いと言い切った。
被災地の第一次産業従事者を殺したいらしい。

人でなしだと思った。

復興国債でも政府通貨でも何でもいいから、失われた富の分、単純に通貨供給したらよい。

そうでなければ、二次的な被害が大きくなっていく。死者も増える。
政府の対応の遅れは、地震・津波そのものよりも人を殺す。
天災も恐ろしいが人災はもっと恐ろしい。

投稿: S | 2011年4月11日 (月) 00時34分

現代の”浜口雄幸”は、与謝野馨だけではなかったようです。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110410/elc11041022580051-n1.htm

日本のために東京が貧乏になったら、日本中が貧乏になるとしか思えないのですが・・・
これはつまり、日本の大消費地である東京が、消費しなくなるということですよね。
節電は確かに大切ですが、今こそ代替エネルギーの促進を東京都が更に盛り上げなければならないのではないでしょうか。

>我欲を抑えて生活をつましくする決心をしないと日本はもたない。
何ていうのは、まさしく「緊縮小唄」的なフレーズではないでしょうか。

こうした精神論に訴える緊縮・抑制ムードが、震災に痛む日本経済を更に沈滞させそうです。

それにしても、平沼さんの周囲には、何故ここまで緊縮派ばかりが纏わりつくのでしょうか。ご本人は積極財政派だったように思うのですが。ここまで来るとサスガに疑ってしまいます。

投稿: MI | 2011年4月11日 (月) 01時31分

震災後(つい最近)平沼さんは復興債日銀引受を
発言していました。ソースは見つからなかったですが。

投稿: fa | 2011年4月11日 (月) 18時47分

小野先生の熱意溢れる経済政策提案には
いつも感服しつつ先生のブログを
拝見いたしております。

私達国民はバブル崩壊後
世界でたった一つのデフレ国家の国民として
政府、財務省、日銀の無為無策に
20年間苦しめられてきましたので
日銀の国債引き取りまたは
目が回るほど輪転機を回転させて
お札を刷って国民に配るのが筋だと思います。

大体、円建て国債の95%を国内消化で
済ませ尚且つ借り換え可能という
事実が厳然として横たわっているのに
どうして日本経済が破綻するんでしょう。
財務省、日銀の悪どもはともかくとして
政府関係者の経済音痴ぶりには閉口します。
いや経済音痴というよりも単なる勉強不足と
言った方が適切です。

先生のおっしゃるマクロ計量経済は少し勉強すれば
誰でもアウトラインを掴む事が出来て日本経済は
至って健全だということが分かる筈です。
デフレによる税収の激減と政府債務の積上げには
相関関係があるということが簡単に分かります。

与野党問わず多くの政治家には猛省を促したいと
思います。

投稿: t | 2011年4月12日 (火) 14時31分

小野先生がいつも訴えている、積極財政についてですが、新聞によりますと、
どうも政府は復興税を考えているようです。
復興のための費用を国民に負担させようという魂胆でしょうか?
震災がなくてもこれだけ不景気なのに、さらに景気を悪化させるのでしょうか?
経済が理解できないのか、政治家に利害がからみ、積極財政をしたがらないのか、
全く理解できません。もう馬鹿としか言いようがありません。

投稿: | 2011年4月15日 (金) 20時44分

震災国債発行により復興財源を確保するという検討がされている。
ここまではよいが、震災復興税により、計画的な償還計画をたてる。
これは厳しい財政状況をふまえ、国債発行に対する市場の信頼を確保
するのがねらいという。また、国・地方の借金は900兆円になっており、
安易な国債増発は長期金利の急上昇など市場への悪影響が懸念されると
慎重な構えである。復興構想会五百旗部防大学長は復興税導入に」積極的で
ある。
これでは、国債増発しても、経済は成長しない。国債発行による市場への悪影響
とはいったいなんでしょう?経済を理解していない人たちが勝手に走るのはやめて
もらいたい。増税ではさらなる経済の停滞を招くと思います。政府関係者に積極
経済のイロハを教えてください。

投稿: | 2011年4月17日 (日) 17時22分

>経済を理解していない人たち

彼らは経済を十分理解した上で、人々が苦しむようにわざと間違った選択をしているのだと思います。

投稿: S | 2011年4月19日 (火) 08時19分

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