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2011年5月 4日 (水)

日銀の国債引受を支持する国会議員が急増中(No.71)

多くの国会議員と話していると、日銀の国債引受に対する抵抗感が少なくなっていることが感じられる。また、その実現のために次々と会合が開かれている。今はステルス作戦で静かに活動が進んでいるように思える。しかし、第二次補正の財源が決まる前に大きな動きがあるのではないか。少なくともその前に行動を起こさねば意味がない。表だった動きは4月27日のデフレ脱却議連の会合だ。金子洋一氏のホームページから引用すると
http://blog.guts-kaneko.com/2011/04/post_563.php
ここで日銀の国債引受を求めるアピールが行われた。民主党から小沢鋭仁前環境大臣(デフレ脱却議連特別顧問)、石田勝之衆議院財金委員会委員長(デフレ脱却議連顧問)、松原仁デフレ脱却議連会長、宮崎岳志デフレ脱却議連衆議院事務局長と金子洋一。自民党からは中川秀直元幹事長、山本幸三元経済産業副大臣、公明党からは遠山清彦氏、みんなの党代表の渡辺喜美氏、国民新党政調会長亀井亜紀子氏、オブザーバー参加の社民党阿部知子氏。
阿部知子氏はオブザーバー参加なので、このアピールに参加したのかしなかったのかが不明だが、それ以外の国会議員は日銀の国債引受に賛成だろう。

4月28日の新聞各紙には、4月27日夕方に民主党のグループ横断の若手議員45人は「増税なき復興」を求める緊急会合を開催したとある。増税なく復興財源を確保するとなると国債発行しかないだろう。

日本経済復活の会も議員達の動きに最大限協力しようとしている。自民党以上に民主党議員に危機感が感じられる。今、総選挙になれば民主党大敗は確実だからだ。何とかしなくてはという焦りが感じられる。菅さんでは、震災対応ができないから、早く首相を交代させなくてはならないと思っている民主党議員は多い。とは言っても次は誰と口にする人はいない。早く参議院で首相の問責決議案を可決し、その勢いで衆議院の不信任案を出す。それが引き金になって政界再編というのが、1つの可能性か。

震災が無かったら、この春にも解散総選挙があっただろうが、震災で投票ができなくなったから、総選挙は秋以降だ。と言っても野党は無制限に延期を認めるわけでもない。被災地の地方選は9月22日までしか延期を認めないことになった。ということは9月22日になれば投票が出来る状態にするということで、それ以後は、解散総選挙はいつでもあり得るということ。

もちろん、第二次補正の財源が決まるのは、それよりずっと前だ。菅内閣の震災対応を巡って、政府方針に反対する勢力は非常にエキサイトしている。こんなに激怒している議員を見たこと無い。ここで政府が増税案を持ち出すなら、菅内閣はもたないのではないかと思うし、そうあって欲しいと期待する。

東電は賠償金を集めるために電気料金を値上げするという。5月3日の朝日新聞は政府内の試算だとして、原発賠償は4兆円で、東電分はそのうち2兆円とし、電気料金を16%値上げだそう。冗談ではない。今回の原発事故は東電と政府の過失によるものであり、これを国民に負担させるのは筋違いだろう。電気料金値上げは、事実上増税と変わらない。貧富に関係なく負担を増やし、また企業にも負担させるから法人税増税と変わらないだろう。政府は法人税が高すぎるから日本企業が国際競争に勝てなくなり、海外流出が続くと言っていたことを忘れたか。風評被害もあり、最終的には賠償金は10兆円程度になると予測が出ていた。デフレに苦しむ日本経済に、大震災のダメージが加わり、しかも電力不足、部品工場が生産停止してまともな操業ができない企業、原発事故での風評被害など、何重もの苦しみがある中で更に、電気料金値上げ、増税までやるつもりか。

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コメント

今の政府のやっていること、震災復興、電力対策として、とにかく、増税、各種料金
値上げ、など国民に負担させることしか考えていないのか。選挙公約でも国債の日銀引き受けなど一言も触れていない。庶民のささやかな千円高速道路料金なども犠牲にして
どれだけ復興資金が作れるの。また、これで、国の借金が増えたといって、増税案でも出すのでしょうか。公務員給与もしかり。復興支援に日夜奮闘している公務員、世論はそんなに喜ぶのでしょうか。公務員だったら文句も言わずに働くと思っているのでしょうか?
こんなに馬鹿にされたら、公務員だって働かなくなりますよ。若者の雇用や高齢者の介護、老人ホームの増設など、お金を刷れば国民は幸せになれますよね。これを、本気で
取り組むのが国会や地方議員の役目ではないでしょうか。本気に取り組んだ議員が本当に有権者に評価されますよ。マスコミ等にきちんと見せてください。

投稿: | 2011年5月 5日 (木) 20時38分

増税はもちろん駄目ですが、積極財政でよい、という意見にも満足できなくなりました。

皆の支出は30万円で、しかし皆の収入は40万円、こんな感じでずっとやって来たのです。
収入の全てを使う人なんてほとんどいませんからね。
そして、支出より収入が多い状況を成り立たせてきたのは企業や国が借金して使うお金です。
誰かが借りて使うお金でさえ受け取れば収入です。
そんな収入が大勢にあって、それでやっとお金がまともに回り続けます。
借金はいい、悪い以前に、増えていく必要のあるものだったんです。

どこかの時点で、新たに資産となるものを増やさなくてもお金が回る、
または、納得して増えた資産を減らしてもらえる仕組みを考えるべきではないのでしょうか。
資産の合計が増えながらでないとお金が回らない、など、明らかにバランスが悪そうです。

そして、最近になって積極財政とか言い出した政治家にはここまで心配することができそうに無く、その事が頼りない。

投稿: | 2011年5月 6日 (金) 19時13分

日銀総裁も問題ですが、
個人的には国債の日銀引き受けよりも、
政府紙幣の方が良いと思います。
なぜなら、
日銀や財務省は自己の保身に熱心すぎるからです。
政府紙幣なら彼らにいちゃもんを付けられないし、
彼らも責任を取らなくても良いので満足でしょう。
政治家はころころ辞任するし、
選挙に落選すれば明日は無い。
政治主導が宜しいかと思います。

投稿: inadak | 2011年5月 7日 (土) 12時53分

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