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2011年11月 3日 (木)

TPPや復興増税より経済成長を議論せよ(No.102)

最近、超多忙でなかなかブログを書いている暇が無く、申し訳ありません。

10月30日に、尾道で講演をしてきた。私の出身校である尾道北高の同窓生が集まってくれ、経済の話をたっぷりして来た。大変よく理解して下さっていて、日本経済復活の会の尾道支部を作りたいくらいだ。

近頃のマスコミはTPPの話や、増税の話ばかり。民主党の成長戦略は2020年までにGDPを650兆円にするということだったが、この調子では、650兆円どころか、1997年の513兆円のレベルにも達しないのではないだろうか。TPPに入ればGDPの押し上げ効果は10年で僅か2.7兆円だそうだが、今のGDPは14年前のGDPより約40兆円も少ない事に何も感じないのだろうか。

TPPは賛成と反対で世論も国会も意見が真っ二つに割れている状態で、しかも警戒感が極めて高い状態で、野田さんがTPP交渉参加に突っ走っても、結局はTPPがまとまらなくなるだけではないか。TPPの日本が参加を望んでも、国民を説得してから出直して来いと言われるだけではないか。環太平洋連携協定(TPP)交渉について、米通商代表部(USTR)の高官が、日本の参加を認めるには米政府・議会の非公式な事前協議が必要で、参加決定に時間がかかるため「受け入れが困難になりつつある」との認識を示したそうだ。

ノーと言えない日本だから、TPP交渉に一旦入ると、アメリカの言いなりになってしまうのではないかと言う人がいる。もしそうなら、海部内閣時代、アメリカの要求に応じて10年間で総額430兆円の公共投資を行うという約束を守っただろうし、とっくに農産物の自由化を行っていただろうし、普天間問題も解決していただろう。ノーと言えない日本どころか、イエスと言えない日本、米国に従わない日本と言ったほうがよい。そんなTPP交渉に邪魔になることが明らかな日本を、米国が交渉に参加させる可能性が本当にあるのか。もちろん、人気に陰りの見えるオバマ大統領にとっては、日本をTPPに参加させたいだろうが、下手に交渉参加を認めて逆にTPPをぶち壊す結果になってはやぶ蛇というものだろう。

このままで、貿易立国日本は大丈夫なのか。輸出入のグラフを次に示す。

                   出所:内閣府

1021

これで分かるように、小泉、安倍、福田内閣の時代に世界的好況のため輸出入が激増した。特需というべきで、本来なら普通の政策を行っていれば、この時期にデフレを完全に脱却できたはずだ。しかし、これらの政権が行った緊縮財政のため景気にブレーキがかかり、デフレ脱却ができなかった。麻生内閣では、規模は不十分だったが景気対策を行い景気は上向きで、デフレ脱却のチャンスはあった。不運なことにそこで政権交代があり、麻生内閣の景気対策の一部を凍結し、景気回復もデフレ脱却もストップした。このグラフで分かるように、巨額だった貿易黒字もジワジワと減り続けている。民主党政権下での経済環境は最悪だ。高い法人税、円高、デフレ等、国内の経済環境悪化のため、企業は次々と海外へ逃げていっている。原油高や電力不足や震災の影響も加わり貿易赤字になることすらある。国内で生産していた企業が工場を海外に移せば、当然GDPは下がり、国内の職は失われ、海外で生産した製品を逆輸入するとなれば、輸入が増え貿易収支も悪化する。

こんな状態が続き国内産業が弱体化すれば、日本もギリシャのようになる可能性だってある。もちろん、すぐにそうなるということではない。日本企業が海外生産を行えば少なくともロイヤルティーは入る。海外から受け取るロイヤルティ-や利子や配当等の収入の推移を次のグラフで示す。

                       出所:内閣府
1022


こういった、過去からの遺産があるから、日本は簡単には外国からの借金を心配する必要はない。これがギリシャとは違うところだ。海外純資産が約250兆円もある。本来、これらは日本人の努力の成果なのだから、日本人に還元されるべきだ。しかし、日本に持ち帰ると税金も掛かるし円高になり、ますます国内産業は衰退する。現状では、海外で稼いだ金はドルなど外貨のままで保有され、投資され、海外の経済を潤す。

この海外に移った富を日本に取り返す方法はある。日銀からお金を引き出して景気対策をやればよいだけだ。減税、震災からの復興、放射能除染、農業の大規模化・近代化、環境エネルギー対策、教育、医療、福祉などお金の使い道はいくらでもある。毎年50兆円規模でよい。こうすれば、内需は一気に拡大する。日本の市場拡大を諦め海外に逃げていた企業も日本に帰ってくる。需要拡大ということは、国産品のみならず、輸入品の消費も伸びるということだから、貿易赤字になるかもしれないし、円安に向かう。それは海外に保有して海外でしか運用しなかった日本の財産を取り戻すことだ。もちろん、やりすぎて貿易赤字が続き、外国から巨額の借金をしなければならない状態にすべきではないが、内需拡大により、日本企業の国際競争力は格段に強化されるのであり、これこそ我々の世代が将来世代に残すべき遺産だろう。円安になれば、海外に保有する資産も外貨準備も価値が増えるのだし、メリットは大きい。原油価格など、輸入品の値段は上がる。しかし、日本の人件費が下がることは、貿易立国日本にとっては、極めて重要だ。

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

sign03
TPP参加は平成の不平等条約(ISD条項)であり重要問題と思います!

誤魔化しバレバレ醜いな! 小宮山厚生大臣=まさに詭弁そのもの、それとも頭が逝かれているのか!?
  upwardleft
http://7fukuzin.at.webry.info/201111/article_9.html

TPP参加したら庶民は、アメリカ並みに、日帰り出産、盲腸240万円、虫歯治療10万円等々で、病院にもおちおち行けなくなる可能性大だぞ!

TPP断固反対!!!


投稿: | 2011年11月 3日 (木) 12時32分


米銀がギリシャ債などの保証引き受け増加-デフォルト時リスク膨らむ
↓↓↓
http://7fukuzin.at.webry.info/201111/article_10.html

投稿: | 2011年11月 3日 (木) 13時58分

 今晩は。higashiyamato1979でございます。ようやく良識派の言説がマスゴミで採りあげられる様になってきたとはいえまだまだ予断を許しませんね。今日は体調不良に付短文で失礼致します。
 それでは決まり文句! お金が無ければ刷りなさい! 労働はロボットに!人間は貴族に!

投稿: higashiyamato1979 | 2011年11月 3日 (木) 18時13分


なぜ、カナダ政府もメキシコ政府も賠償金を払う嵌めに成ったのか!
punch
ISD条項とは各国が自国民の安全、健康、福祉、環境を自分たちの国の基準で決められなくする「治外法権」

日本も、難癖裁判に引っ張り出され、勝ち目なし!

東京裁判と同じ、やつらの都合の良い判決しか出ない事は、
すでにカナダ、メキシコの事例を見れば明らか!
http://7fukuzin.at.webry.info/201111/article_1.html

投稿: | 2011年11月 4日 (金) 15時52分


TPP(NAFTA)の、国民に対する悪影響は十分承知の上!
オバマは変節からしても操り人形である証左!」
↓↓↓
http://7fukuzin.at.webry.info/201111/article_26.html

投稿: | 2011年11月 8日 (火) 10時47分

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