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2013年3月17日 (日)

安倍晋三氏はどのようにしてリフレ派に転向したか(No.125)

あまり知られていないが、アベノミクスの誕生に我々は貢献した。覚えておられるだろうか。「増税によらない復興財源を求める会」を発足させるために、我々は多くの努力をした。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/no-1c55.html
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/no82-6163.html
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/post-001f.html
この会が如何にして発足したかを説明する。東日本大震災の直後から、「今は非常時なのだから、増税に頼らず日銀に国債を買わせることにより復興財源にすべきだ」と我々は国会議員の説得を始めていた。それに協力的だったのが衆議院議員の山本幸三氏だ。彼は、彼の経済理論(アベノミックスそのものと言うべきかもしれない)を支持する国会議員をたくさんの紹介してくれ我々は次々会っていった。2011年4月25日には参議院議長の西岡氏と面会した。そのとき西岡氏は、そのような活動をしたいのなら5人または7人の本当に「やる気のある」国会議員をこの参議院議長公邸に来させて会議を開きなさいと言っておられた。

私は7人集めることにした。山本幸三氏とも相談しながら私が集めたのは西岡氏に加え山本幸三、小泉俊明、田村憲久、亀井亜紀子、金子洋一、松原仁の7人であり、5月2日に参議院議長公邸に集まった。ただし西岡氏が始めた会ということでは立場上まずいようで、西岡氏はマスコミに対して、この会は自分が始めたものではないと説明していた。

この会で復興財源は増税によるべきでないという声明文に署名してもらうことを決め、それぞれ党に持ち帰って署名を求めることになった。最初の声明文は筆者が書き、吉野氏が修正を加えた。その文は以下の通りである。

――――――――――――――――――――――――――――――――
日銀による国債引き受けを求める声明文

 3月11日の東日本大震災で被災された方々に対し、心よりお見舞い申し上げます。被災された方々の救済と共に、復興に全力を挙げるのが我々国会議員に課せられた責務であることは言うまでもありません。しかしながら、大震災から2ヶ月近くになろうというのに、復興財源の見通しさえ立っておりません。増税で財源を賄おうという案もありますが、その場合国民1人当たり数十万円にも上る大増税になる可能性があり、これでは十年以上もデフレが続いている日本経済へのダメージは計り知れません。経済を破壊しては、復興はあり得ません。被災者にとってもその負担は大きすぎます。

 我々は、以下の理由により日銀による国債引き受けで復興財源を確保するよう求めます。

1.財政法第五条は『すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。』となっており、今回の大震災は明らかに特別の事由がある場合に相当します。

2.日本には生産力は十分あり、かなりの需要増でも十分対応できます。外貨も十分保有していますから、輸入で補充することもでき、深刻な物不足になる可能性はありません。深刻な物不足にならない限りハイパーインフレはありません。国内に円での取引を停止する銀行や商店があれば、ほぼ間違いなく営業ができなくなりますから、円での支払いができなくなることはありません。つまり日銀の国債引き受けにより円の信認が失われることはありません。
  円売りが加速し、円安が進むかもしれませんが、円安は日本経済にとっては好材料です。
 
3.国債が暴落する恐れはありません。
  国債価格は需要と供給の関係で決まります。日銀の国債引き受けは市場を通しませんから、国債価格に直接的な影響はありません。国債を多く保有する国内の金融機関ですが、国債を売って現金に換えるのだけでは、何の利益にもなりません。現金で保有するより国債で保有しておいたほうが、安全でしかも金利が稼げて有利です。国債が暴落するときは、国債よりはるかに有利な金融商品が現れたときであり、日銀が国債を引き受けただけで、そのような商品が出現するわけではありません。

4.一度日銀の国債引き受けを行うと、歯止めが利かなくなるなどという心配は無用です。
  これは政府・日銀の中で財政金融政策を担当する人の資質に拘わる問題です。一度引き受けを行うと、それを止められなくなる人達が財政金融政策を担当しているのであれば、そうでない人達に替わっていただくしかありませんし、民主主義においては選挙で交替してもらう仕組みになっております。
5.国債を発行して復興事業などを行った場合は、国の借金は増えますが、GDPも増加します。どのような計量モデルを使って計算しても、現在の日本においては借金の増加率よりGDPの増加率の方が大きくなります。つまり国の借金のGDP比は下がり、次世代へのツケは減らすことができます。逆に増税したり、復興事業費の削減をした場合は、結果として国の借金のGDP比を増やすことになり、次世代へのツケを増加させることになります。

以上の理由により、復旧・復興財源は日銀の国債引き受けで賄うことを求めます。

             平成23年**月**日  日銀の国債引受を求める議員の会

―――――――――――――――――――――――――――――――――

しかしながら、日銀の国債引き受けという言葉に社民党が抵抗し、結局政府が震災国債を発行し、それを日銀が買い取るという形にするように修正された。修正された文章は以下にあるので比較して頂きたい。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/post-001f.html
結局この会の会長は安倍晋三氏になっていただき、230名以上の署名を得た。安倍氏はこの署名活動を通じて、財源は増税でなくともお金を刷ることで作り出せることを学んだのは間違いない。

2012年12月6日に安倍氏が演壇に立ち、リフレ政策に転向した経緯を語り、それが12月6日のニコニコ動画に掲載されている。
http://d.hatena.ne.jp/shavetail1/20121206
つまりこの手法で、お金を刷ってデフレから脱却できると安倍氏は学んだ。そしてアベノミクスを唱え始めた。

2011年8月30日に日本経済復活の会の定例会で安倍晋三氏は講演を行っている。その時、我々は彼に「お金がなければ刷りなさい」と教え、総理への再チャレンジを彼に促している。以上述べたことが我々のアベノミクスへの貢献である。

我々は十年以上、「お金がなければ刷りなさい」と政府に進言してきた。そんなことすれば、国債が暴落し、円も暴落して国家が破綻すると反論され続けてきた。今、その答えが出ようとしている。円安・株高で日本が一気に明るさを取り戻してきた。我々が言ってきたことが正しかったことが証明された。

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

安部TPP売国・亡国政権打倒のためあらゆる愛国者は決起せよ 
2013.3.17 
  3.17自民党大会は、売国・亡国のTPP交渉参加反対だった多数派の変節・裏切りで、採決もなく安倍のTPP交渉参加の売国・亡国路線を承認して、7月参院選で自公過半数獲得を目指すと決めた。だが、安倍の言う「国民への謙虚さで国益を断固守る」の美辞麗句は、邪悪な路線を強行するための単なる騙しのリップサービスの空文句に過ぎない。
  自由法曹団が暴露したように、自民党改憲草案は、売国天皇の君主化・天皇主権、国民主権廃止、基本的人権の廃止近い制限、批判・反対行動の断圧を見込む売国国家への国民の奉仕義務化、9条改悪・売国国防軍の増強、売国集団自衛権と米侵略戦争への参戦、言論・集会・結社・学問の自由・デモの禁止近い制限を予定している。これは日本の売国ネオナチ化の途である。
  その上今度は、参加9ヵ国協定以後のTPP交渉参加国は何も変えることが出来ないと決めているTPP交渉への参加で、日本の国家主権は剥奪され、産業保護の国内法無効化、全面的関税撤廃・所謂非関税障壁撤廃が強制される。
  その結果あらゆる分野で米独裁支配者ロックフェラー一族系とボスのロスチャイルド一族系の大資本、多国籍資本と米国家による日本乗っ取り、所得格差の極限化、日本人の貧困化と生存の脅威の急加速を来たす。つまり、これは売国・亡国の途である。 
☆ 安部売国ヒットラー政権打倒のためあらゆる愛国者は決起せよ。首相官邸・国会 包囲の1000万人以上のデモに立ち上がり、目的達成までこの抗議行動の直接民主主義を拡大せよ。
We are 99%のデモと歌:
https://www.youtube.com/watch?v=x-Ra5GILSKU&feature=youtube_gdata_player  

投稿: 前田 進 | 2013年3月18日 (月) 03時19分

リフレで構わないし、公共事業増で構いません。復活の会の働きかけを高く評価しています。

しかし、ご存じのとおり、昨年度復興予算の9割は被災地とは無関係な事業に費やされ、被災地をほとんど救済しておりません。
来年度の岩手県予算の歳入をみると、特例交付税(復興予算)の枠が当然新設されているわけですがほぼ同額、通常の交付税が減額されています。
それでも過去最大の予算を組むことが出来たのは、不十分ながらも復興が進み、工事で潤う建設業者や事業を再開した沿岸業者からの納税が大幅(25%増!)に増えたからです。
お金の面では岩手県はほとんど自力で復興を進めているのです。逆に言うと国の復興資金は交付税減額によって相殺され、流入していないのと同じ状態なのです。

この辺りは、実は震災直後から予想しておりました。
どうせその様に運営されるだろうと・・・
そこで、一昨年、二次会の最中に、地方で勝手に通貨をつくれないかとぼやいたのです。

直接、正式な通貨を発行するのは国家主権にかかわるとしても、安倍総理が国債の日銀引き受けを明言したように、県債を日銀が直接引き受け、その返済の保証だけ国がやってもらえれば、結局は安倍総理の主張・公約と同じになります。金の流れの順番が違うだけですから。

しかし、金の流れの過程で、査定や許認可などの権限が壁となって、復興予算の執行が怪しげなものになっているのが現実です。
金の流れについて被災県・被災市町村に主導権を持たせなければ、おそらく次年度も同じことが繰り返されると予想されます。

会長らの努力に水を差すつもりはありませんし、むしろ有難いと思っていますが、非常に残念ながら中央政府のやることなすこと、我々は全く信用できずにいるのです。それは我々が悪いからではありません。国の復興予算が目的外に流用されていることが悪いのです。

地元の状況について、会長はじめ会のみなさんから既に強い共感をいただいております。このことに深くかんしゃします。
だからこそ、次の段階として(アベノミクスによって景気拡大や予算確保の道が開けることを前提に)復興予算の執行について被災県・被災市町村に白紙委任状かそれに近い権限を付与することに、ご理解をいただきたいと思っております。

投稿: S | 2013年3月18日 (月) 11時44分

日銀引き受けやお金を刷って消費拡大させることが理解されているなら、もう少し地方に交付税などの予算を配分していただきたいです。
復興費にあてるため地方の交付税を削減するのは、デフレ脱却の精神に反している思えます。

投稿: | 2013年3月19日 (火) 19時58分

こんにちは。お久しぶりです。
チャンネルAJERを見たのですが、小野会長の「TPP交渉参加賛成論」には異議があります。TPPが「自由貿易体制」に基づくものならば会長のおっしゃる通りですが、TPPの貿易に関する協議項目は20以上ある協議項目のうちの2つしかありません。TPPは貿易協議ではなくかつての「日米構造協議」の発展版なのです。また目指すところは「自由貿易」ではなく、「米国中心のブロック経済」です。この件については、ぜひ三橋貴明氏とお話してみてください。本件で誤解をしているのは、失礼ながら会長の方だと思います。また、安倍政権の評価はまだこれからです。私は、やはり「消費税増税凍結」まで踏み込まなければ、安倍政権の支持はできません。「日本経済復活の会」としても、そこまで踏み込まなければ積極的支持はしない、という姿勢でいって下さい。

投稿: JAXVN | 2013年3月20日 (水) 20時36分

我々が日本経済復活の会で提唱しているのは、水掛論争ではなくきちんとしたシミュレーションで判断しようということです。TPPでどれだけの損失が発生するのかのシミュレーションが出ていません。出れば我々も判断の基準に取り入れるでしょう。今でてきているシミュレーションは
①GTAPによるもの。これは貿易の増減だけによる効果で日本のGDPを3.2兆円押し上げると結論。
②PECCによるもの。これは貿易以外も含むすべてを含めた結果。これは10兆円日本のGDPを押し上げると結論。
両モデルとも国際的に認められて、広く使われているモデルです。
今日(21日)の日経にも出てますね。韓国が対米FTAで成果を上げていると。対米輸出額は2012年には前年の2.3倍にもなったそうです!!農業への影響は限定的だったと!シェールガスの輸入も確約してもらってますね。

何度も言いますが、デフレが続く限り、貿易自由化はデフレを悪化させ日本経済には害になるという三橋さんの意見には全く同感です。デフレから一刻も早く脱却し、次に自由化交渉を急ぐべきです。

TPPだけでなく日中韓のFTA,日欧のEPA等もあります。貿易自由化の世界的流れの中で日本だけが保護貿易を続けるのは無理だと思います。

投稿: 小野盛司 | 2013年3月21日 (木) 10時04分

TPPの前にデフレ脱却させること。しかし、現在の新聞報道ではデフレ脱却の前にTPPが優先されています。これでは、国民も安倍政権に対し
不信感を抱くでしょう。全てGDPを押し上げている訳ではありません。地方交付税や生活保護削減。正社員の解雇自由化など・・・
デフレ脱却するなら、これらのことは後回しにすべしでしょう。

投稿: | 2013年3月21日 (木) 19時54分

>デフレ脱却するなら、これらのことは後回しにすべしでしょう。

いや、そもそもするべきじゃないし、必要もない。

地方交付税削減、生活保護削減、解雇自由化、どれも景気回復のためにはしてはならないことですし、景気回復すれば自ずと社会保障支出は減り、労働は流動化します。歳入は景気回復以上の割合で増えていくので地方交付税支出による歳出圧迫を心配する必要もなくなります。

投稿: S | 2013年3月21日 (木) 21時13分

4/20(土)「不可解な日銀の謎に迫る」出版記念講演会
http://www.junnihon.com/?p=4419

投稿: | 2013年3月23日 (土) 19時00分

 今日は。higashiyamato1979です。何も言うことはありません。社民党の醜態をのぞいて・・・ね。
 それでは決まり文句! お金が無ければ刷りなさい! 労働はロボットに!人間は貴族に!

投稿: higashiyamato1979 | 2013年4月 6日 (土) 15時29分

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