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2013年3月16日 (土)

福島原発処理と除染を劇的に加速する方法(No.124)

3月13日の衆議院予算委員会で西田譲衆議院議員は、福島第一原発事故の放射能汚染について、「低線量セシウムは人体に無害だから、強制避難を解除せよ」と要求したという。ほとんどの人がこれを暴論と決めつけいるようだが、しかし、放射能を専門的に研究している人はむしろ西田氏の意見が正論だと思っているように思える。実際、WHOは福島原発事故による放射能程度では癌にならないと言っている。それなのに強引にしかも強制的に避難をさせたために、いわゆる震災関連死で千数百人もの人が避難中や避難先で死んだ。本当にこんな避難のやり方でよかったのだろうか。正しい放射能の知識を伝えなかったために無駄に命を落とした千数百人の方々に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

日本物理学会誌の今月号(2013年3月号)に放射線の人体への影響に関して、専門に研究を行っている泉雅子という人の論文が掲載されている。結論から言えば、低レベルの放射能は一般の人が考えているほど危険ではないということだ。泉氏は、放射能によりDNAがどのように破壊され、その大部分が人体の中で修復されるのかについて詳細に説明し、修復の様子を示す写真も掲載されている。ここに掲載されている内容の一部を紹介しよう。

広島・長崎の被爆者を対象とした調査から、100ミリシーベルトの被爆による死亡率は0.5%増加し、それ以上では線量に比例して、発癌率が増加することが明らかになっている。しかし、100ミリシーベルト以下では発癌率の上昇は見られていない。これは一気に放射能を浴びた場合だが、もっと低いレベルの放射能を長年浴びた場合は全く異なる結果となる。比較的高い放射能レベルの中で暮らしている人たちの調査で、累積600ミリシーベルトを超えても発癌率は上がっていない。

チェルノブイリ事故後、子供の甲状腺癌が増えたのは大量の放射性ヨウ素を取り込んだためだが、この地域は日頃からヨウ素が欠乏していたために、より効率的にヨウ素を取り込んでしまったためと言われている。福島の事故後、小児1000人を対象に行った調査では、甲状腺等価線量の最高値は35ミリシーベルトにすぎず、甲状腺癌のリスクが高まるとされている100ミリシーベルトを下回るし、チェルノブイリの小児があびた150~3000ミリシーベルトよりはるかに低いので甲状腺癌の心配はない。しかもチェルノブイリと違い福島ではヨウ素不足ではなかった。

DNAを壊して癌を発症させるのは、放射線だけではない。我々の体内では、酸素呼吸により反応性の高い活性酸素が常に発生しており、これが絶えずDNAを大量に破壊し続けている。1個の細胞あたり、1日に数千箇所~数万箇所も破壊しており、絶えず修復作業が続けられている。人体には約70兆個もの細胞があるから膨大な修復作業だ。修復に失敗すると癌の原因となる。つまり低レベル放射能より活性酸素のほうがずっと怖いがそれから逃れる方法はない。

一方で、爆発事故を起こした4基の原発は極めて危険で一刻も早い処理をしなければならない。それを阻害しているのが増え続ける汚染水だ。東電は新浄化装置「アルプス」を導入した。これまで検出された放射性物質63種類のうちトリチウムを除く62種類は除去できることとなった。

トリチウムは三重水素と呼ばれ、化学的には水素と同じ性質を持つ。陽子1個と中性子2個からなる原子核を持つ。化学的な性質は全く水素と同じだから、化学的な方法では分離できない。海水中に含まれ、トリチウムを集めて燃やして夢のエネルギー源にしようというのが核融合だ。トリチウムを海水から取り出すのに大がかりな設備が必要なように、汚染水からトリチウムを分離するのにも大がかりな設備が必要となり、東電がため込んだ汚染水からトリチウムを分離するには莫大な費用がかかり、現実的でない。我々は逆転の発想が必要だ。例えば塩水を海に捨てようとしたとき反対をする人はいない。よほど濃度の高い塩水を大量に放出しない限り魚介類には何の影響もない。どうせ海水には塩が含まれているのだから。これと同じだ。どうせ海水中にはトリチウムが存在するのだから、濃度が低いトリチウムを含んだ水を海に放出しても何の害にはならないのは明らかだ。早く海に放出して、事故処理のスピードアップをすべきだ。怖くないものを怖がって事故処理を遅らせるなど言語道断だ。トリチウムを含んだ汚染水の海洋放出はどの原発でもやってよいと認められていることである。

更に、除染も遅れている。広範囲にまき散らされた低レベルの放射性物質を集め、福島第一原発の近くの海岸を埋め立てて捨てるべきだ。今でも原発の下の地下水を通って高レベルの放射性物質が海に流れ出ているようだ。本日(3月16日)の日経新聞にも、福島第一原発の港湾内で捕まった魚類で過去最大値となる1キログラム当たり74万ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。

高レベル放射性物質が海へ流れ出るのをストップするには原発近くの海を除染で発生した大量の土壌で埋めればよいだけだ。それにより海に流れ出る放射性物質は激減するのは間違いない。これが福島の漁民も救う。除染で発生した土壌が海を汚すと考える人がいるかもしれない。しかし、汚染のレベルの桁が違うのだ。すでに述べたように、低レベルの放射能は人体には害にならない。しかし、高レベルの放射能は極めて危険だ。この区別がつかねば、福島は守れない。

この埋め立てにより同時に除染は飛躍的に進む。原発の廃炉が完了したずっと将来には埋め立てた土地は、汚染されてない土をかぶせて、公園にでもすることができる。土をかぶせれば、放射能は安全なレベルまで簡単に下げることができるのだから。

危険なものと危険でないものを明確に区別しよう。注射は痛い。腕に針を刺すのは怖いと思うかもしれない。しかし、そのディメリットより、それによる病気の治癒のメリットのほうがはるかに大きいから注射をする。上記の汚染水の海洋放出や汚染された土壌での埋め立てはこれに似ている。メリットのほうがディメリットよりはるかに大きいのだから、福島を救う救世主になり得る。

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コメント

 本日は珍しく経済とは関係の無いテーマです。興味深く読ませていただきました。自分は全くのど素人なので軽率に語るわけにはいきませんがこれだけは言えます。-曲学阿世の徒になる勿れ!-と。
 それでは決まり文句! お金が無ければ刷りなさい! 労働はロボットに!人間は貴族に!

投稿: higashiyamato1979 | 2013年4月 6日 (土) 15時17分

こんな話専門家は誰も信じていない
WHOは原発推進のIAEAに従属している事も知らないのか
アホらしい

投稿: | 2013年7月28日 (日) 06時24分

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