アベノミクスの足を引っ張る財務省(No.123)
野田前首相が解散表明をしてからもう少しで4ヶ月だ。この間、日本は明るくなった。株価は約4割も上昇、週刊誌には『株価18000へ』とか『20000年へ』とかの文字が躍っている。こういったアジテーションを見ると二十数年前のバブル発生当時を思い出す。一方では、アベノミクスを潰そうとする勢力が顔をのぞかせる。
3月6日に財務省が馬鹿な試算を発表した。3%成長をしても税収不足になるというもの。アベノミクスにケチを付けたいのだろう。ホームページに詳細が載っている。
http://www.mof.go.jp/budget/topics/outlook/sy2503a.htm
正直、この試算にはあきれて、思わず財務省主計局の担当者に電話をしてしまった。計算によると、国債費は金利上昇のお陰で、24年度には21.9兆円だったものが、28年度には28.7兆円になるのだという。しかし、大胆な金融緩和という黒田新日銀総裁なら、そうはならない。長期国債を大胆に買うということだから、金利は下がり、しかも必ず日銀が保有する国債からの、かなりの金利を受け取り、それを国庫に納めるはずだ。
FRBも2011年には5.9兆円、2012年には7.8兆円を国庫に納めている。金融緩和でどんどん長期証券を買っているから受け取る利子も多く、それを国庫に納めている。日銀だってFRBと同様な買い入れを行うはずだ。それが政府の収入になるのだが、財務省はそれを計算に入れない。しかも大胆な金融緩和で国債を大量に買えば、もちろん金利は下がる。それにより国債費は減っていくはずだが、この試算では金利が上がるものとして計算されている。要するに白川さんが日銀総裁を続投した場合の試算だが、それは非現実的だ。
更に、社会保障関係費の支払いがどんどん膨らむことがこの試算には考慮に入っているが、年金積立金の運用益は無視だ。実際、野田前首相が解散を発表してから12月末までで、運用益は約5兆円だ。3月8日までなら10兆円を超える。このように景気が良くなれば、様々な経路を通じて政府にもお金が入ってくる。
3月8日現在の株価は12283円であり、前首相の解散発表時には8664円だったから、42%上昇した。それによる時価総額の増加は約100兆円だ。それだけではない。地価もゴルフ会員権もすべて値上がりに転じている。日本人の保有する海外純資産は約250兆円だったが、対ドル円相場はこの間2割以上下落しているので、海外純資産は約50兆円増えたはずだ。財務省の保有する100兆円の外貨準備も20兆円程度増えたはずだ。様々なところからお金が生まれている。
この財務省の試算のいい加減さはこれだけではない。消費税の扱いが全くデタラメだ。消費税が上がっても、物価には影響しないという馬鹿な仮定をしている。小売り業者が一切値上げしないというのか。そのため名目GDPにも影響しない。またそれによる消費の縮小もない。税収だけが増える。そんな馬鹿な経済学はないし、そんな馬鹿な試算はないはずだ。厳重に財務省に電話で抗議し、電話に出た財務省の職員からの反論は無く、恐縮していた。
ロケットスタートで快調に走り続けるアベノミクスは何としても成功させたい。しかし、心配な事がある。トヨタは国内生産台数の減産計画を発表した。2013年は310万台だったものが、2014年には300万台、2015年には270万台にするというもの。消費税増税で大不況がやってくるということを予測しているのだ。安倍さん、消費税増税を延期しよう。そうでないと株価が暴落する。
先日テレビを見ていたら榊原英資と浜矩子がこの株高をバブルだと言っていた。外国のハゲタカがそのうち売り抜けで暴落するのだそうだ。そうならなかったら、この二人にはしっかりと責任をとらせよう。まだとてもバブルなんかではないことは、下のグラフからも明らかだ。
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コメント
消費税もそうだが、TPPもマスコミのミスリードやらで国民が困惑しています。
自民党のの反対派が強行に行ってほしいものです。
投稿: | 2013年3月16日 (土) 14時32分
久方ぶりです。higashiyamato1979でございます。長らく更新がなく、三橋氏のブログにあるリンクも切れていたので更新が再開されていたのに気づくのが遅れてしまいました。いつもながら本日の記事も大変勉強になる内容です。それにしても財務省と「財政破綻論者」の悪あがきがもはや怒りを通り越して哀れですね。彼らの言説が完全に効力を失うまでこちらも辛抱強く戦い続けなくてはなりません。
それでは久々に決まり文句! お金が無ければ刷りなさい! 労働はロボットに!人間は貴族に!
投稿: higashiyamato1979 | 2013年4月 6日 (土) 15時05分