アベノミクスの中長期経済財政計画の批判(No.148)
これは宍戸駿太郎氏による記事の引用です
1.小泉政権/民主党政権/安倍政権と一貫して愛用してきた内閣府モデル(中期マクロモデル)の予測結果:
このモデルは‘狂った羅針盤’といわれ、構造的デフレの誘導的演出者として大きな役割を演じてきた。アベノミクスがいまだに目が覚めず、このモデルを使用して、3本の矢、特に財政と成長戦略を策定しているのは、背後に根強よい勢力がプレッシャーをかけ続けていると推測せざるを得ない。
2.重大な欠陥がこのマクロモデルに存在する。
1.生産と雇用のみで、マクロの需要サイドがすべて隠されている。
慢性デフレから脱出を熱望する国民が知りたがっている民間消費支出、住宅と企
業設備投資、教育・医療・福祉など政府経常支出、災害対策等の公共投資支出、
輸出総額などの需要変数が全く隠されている。供給のみ示して需要サイドを隠ぺ
いするのは、社会主義国家か開発途上国の経済計画で、高度先進国の指示的
誘導計画とはいいがたい。
お料理が出ると宣言して、ナイフ、フォーク、スプーン、お皿もそろって出てきた
が、肝心のお料理は待てど暮らせど出てこないという珍劇である。出すとあまりに
お粗末で、出せないのかと疑わざるを得ない。
2. 消費者物価が2%達成というが、政府・日銀との合意では、コア・コアの消費者
物価である。後者は賃金の顕著な上昇トレンドに乗って初めて実現できる。
DEMIOSのシミュレーションでは実質2%程度の経済成長では実現不能である。
内閣府モデルの欠陥といえよう。
3. 国土強靭型の積極的公共投資は全く影をひそめたようである。‘機動的財政出動’
だけでは、消費増税後のデフレ圧力を跳ね返すだけの意欲と計画性は殆ど感じられ
ない。
4. TFP(全要素生産性)をコンニャクのように上下させてシミュレーションを行うこと
自体がナンセンスで、このモデルの素朴性は、50年前、経済企画庁が行っていた需
要サイド無視の‘想定成長率法’の焼き直しで、この手法はその後、科学的なマクロ・
I-O連動モデルによって、お払い箱になった代物である。
結論はこのマクロモデルを即刻廃棄し、国民が要望する選択的情報の提供できる科学的な計量経済モデル(人口を含む)によって、ローリングシステムで中・長期予測を行ってゆくことである。
以上
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コメント
今日は。higashiyamato1979です。残念無念、市場原理主義にしがみ付いている連中がこれほどまでに多いのかと改めて思い知らされました。しかし、だからといって(朝日新聞か!)諦めては負けです。さもなくばお隣の国のようになってしまいます。此れほど愚かでみじめなことがあるでしょうか?
それでは決まり文句! お金が無ければ刷りなさい! 労働はロボットに!人間は貴族に!
投稿: higashiyamato1979 | 2014年2月 2日 (日) 12時49分
これは前回の定例会の一部でしょうか?
前々回は、潜在生産力について政府による計算手法の間違いを指摘されていましたが、その続き?
投稿: S | 2014年2月 3日 (月) 21時22分