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2014年2月11日 (火)

『米の対日歳出増圧力なぜ』という日経の記事(No.150)

『米の対日歳出増圧力なぜ』という記事が日経の2014年2月10日に載った。一部を以下に引用する。
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 「行き過ぎた財政再建はいかがか」。米政策当局者の一部が日本により柔軟な財政運営を促す「想定外」の動きが出ているという。国際通貨基金(IMF)内でも米側が日本に短期的に歳出を増やすよう求める動きがくすぶる。
 17年ぶりの消費税率引き上げにこぎ着け、基礎的財政収支赤字を2015年度までに国内総生産(GDP)比で10年度から半減させる目標の達成が「視野に入ってきた」と明言した安倍晋三首相。歳出要請は米政府の「総意」とはいえないが、健全化努力に水を差すような暗黙の財政出動圧力に違和感を感じる向きは多い。
 ある関係者は「余計なお世話だ」と憤慨しつつも、アベノミクスでも消えない「成長への疑い」が一因とみる。
 政府は昨年末の経済見通しで14年度の実質経済成長率を1.4%と予想した。平均0.8%程度の民間予測を大きく上回る。この見通しのカギを握るのは賃金増だ。だが、足元をみる限り、過度な期待はできそうにない。ワシントンでは、所得増が内需拡大につながる好循環シナリオに確信が持てない政策担当者が多いという。
 ここへきて米量的緩和縮小に伴いトルコなど新興国通貨不安の嵐が吹き荒れる。通貨当局者の頭をよぎるのは1997年の苦い記憶だ。同年春の5%への消費税率上げを追いかけるように未曽有のアジア通貨危機が進行。橋本政権の財政構造改革による急激な緊縮路線も追い打ちをかけ日本は98年にマイナス成長に転落した。当時とは国際的な経済環境も異なるが「いつか来た道では」との不安は尽きない。(以下略)
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安倍内閣の早すぎる財政再建路線に対して景気腰折れの懸念を抱くのは世界共通だ。景気が悪化したら財政も悪化するのは自明だ。安倍さんはこのことに早く気付いて欲しい。思い出すのは、9年前、米国財務省を訪問したときのことだ。当時の事を書いてみよう。

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日本経済復活の会では、会が行ったシミュレーションを説明し、積極財政の必要性を訴える手紙を米国のスノー財務長官に送りました。約3週間後にその返事が担当官Loevinger氏より来ました。その内容は、シミュレーションの必要性を理解し我々の考えを支持するというものでした。私は、米国財務省に電話し面会を申し入れました。米国財務省側からDohner氏と会って頂きたいと回答がありました。
Dohner氏の肩書きはDirector of the Office of East Asian Nationsです。Dohner氏は、Attache(大使館員)として日本に4年間いたことがあるとのことで、マクロ経済の観点から日本経済の現状について情報を集める中心人物と理解しております。
彼は日本経済を詳しく勉強しておられます。沢山質問して頂いたので、説明がスムーズにいきました。終始好意的で、これだけのことが分かっていながら、なぜ日本政府は積極財政にしないのかと言っておられたのが印象的でした。
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米国財務省訪問 2005年4月29日10:30

 最初、私が復活の会やそのメンバーや日経NEEDSなどによるシミュレーション、日本経済の現状の説明を行い様々な書類を渡した。Dohner氏は日経NEEDSのシミュレーションはよく知っておられ、日経新聞社がどの程度情報を開示してくれたのかについてまで質問をしておられました。
Ono:昨年、復活の会でシンポジウムを行い、この本を出版しました。(本を手渡す)
この本とは『積極財政で財政が健全化する』編者日本経済復活の会
http://tek.jp/?page_id=74
Dohner:知った人の顔が並んでいる。クー氏は良く知っている。
Ono:Bernanke教授の論文
http://c-faculty.chuo-u.ac.jp/~toyohal/JSME/pdf03s/03s100-bernanke.pdf
は極めて重要で、我々の考えと完全に一致している。(特に重要なポイントを説明)
Dohner:その論文は読んだことがあるが、内容はよく覚えていない。
Ono:財政拡大で日本の経済は極めて良い状態になる。(シミュレーションを詳しく説明)
Dohner:そうなんですか。これで一挙解決じゃあないですか。
Ono:そうです。
Dohner:どうして日本政府はやらないのですか。
Ono:財政規律を気にしています。積極財政でハイパーインフレになると言う人もいます。
Dohner:インフレ率は計算しましたか。
Ono:(インフレ率のグラフを示した。)
Dohner:2から4%のインフレ率にするには相当の財政支出が必要ですね。ハイパワードマネーが2倍になりますね。
Ono:国債は発行しますが、ハイパワードマネーは増やしません。米国は日本が構造改革をやれば、日本の景気刺激となると考えているのですか。
Dohner:我々は日本がアグレッシブな金融政策を取れば経済が良くなると考えています。
Ono:金融は役に立ちません。ゼロ金利が続いています。それ以下に下げようがありません。量的緩和も銀行の貸し出しが減少し続けている現状では効果がありません。これは資産デフレのためです。(貸し出しが減少しているグラフを提示)日本ではお金を借りようとすると担保を求められます。担保価値が下がっていると借りることができる金額が減ってきます。さらに企業のバランスシートも悪化しており、貸し出しが減っており、これでは金融政策が役に立ちません。
Dohner:財政と金融の協調というわけですか。日本は随分景気対策をやりましたね。
Ono:バブル崩壊で資産価値の減少は千数百兆円です。それを補うために行った景気対策は140兆円にすぎません。つまり、少なすぎたというわけです。
Dohner:金利が上がると、国債の利払いだけで大変な財政負担になるのではないですか。
Ono:国債を日銀が買い取ればよいのです。そうすれば利子は一旦日銀に払っても国庫に返ってきます。
Dohner:どうしてそうしないのですか。
Ono:日銀が勝手に自主規制を作っているのです。国債を一定限度以上持ってはならないという規制で、バーナンケ氏もこれは廃止すべきだと主張しています。
Dohner:金利上昇はどうですか。クラウディングアウトが起きる恐れはないですか。
Ono:金利上昇はありますが、3%程度です。むしろ正常に戻るといったらよいでしょう。クラウディングアウトは日本では起きていません。国債が発行されたら、むしろそれは奪い合いになっているというのが現状でしょう。他に買うものがないのです。下落している株を買うわけにはいきません。BIS規制がありますから下手をすると自己資本比率が下がって業務に支障がでます。だから国債を買うしかないのです。
Dohner:減税と公共投資で財政を拡大するというシミュレーション以外に、減税だけ行うとどうなるかも計算しましたか。
Ono:はい、行いました。
Dohner:減税はどの減税のシミュレーションをしたのですか。
Ono:法人税減税、所得税、消費税の3種類です。
Dohner:その効果に違いはありましたか。
Ono:今日はもって来ませんでしたが、結果は法人税減税が一番効果的で、その次が所得税減税、一番効かないのが消費税減税でした。
Dohner: 私は今年度中にはまた日本に行く機会があると思います。そのときまた会えると思います。これらの資料をこれからゆっくり勉強したいと思います。本日はどうもありがとうございました。
Moghtader:本日は、わざわざ説明に来ていただいて有難うございました。とても刺激的な内容で良くわかりました。

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積極財政でデフレ脱却できれば、財政再建が可能になるのにも拘わらず、マスコミは無責任にも歳出削減と増税をやれと主張する。それをやればデフレは脱却できず、国の借金のGDP比は増えるばかりではないか。国民はそろそろ目を覚ました方がよい。

1989年から1990年までの間日米構造協議が行われた。アメリカの対日貿易赤字を食い止めるためであったがアメリカは、「(日本は)輸出につながる産業分野への投資より、公共分野に投資するほうが賢明」であるとし、日本に対しGNPの10%を公共事業に配分することを要求した。海部内閣はこれに応え、10年間で総額430兆円という「公共投資基本計画」を策定した。これが実行されていれば、デフレは克服され、災害に強い国土、そして渋滞の大幅緩和で効率的で豊かな社会が実現し、今頃日本のGDPは1000兆円程度まで拡大し、適度なインフレ率のお陰で国の借金も諸外国の平均レベルに収まったに違いない。しかも米国等諸外国との均衡の取れた成長が実現していただろう。

今からでも遅くはない。大規模財政拡大でデフレを脱却し、世界と共に発展しようではないか。

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コメント

 お晩です。higashiyamato1979です。久しぶりの連続の投稿です。この米国政府高官の証言は重要です。ネットや口コミなどで拡散させる必要がありそうですね。
 それでは決まり文句! お金が無ければ刷りなさい! 労働はロボットに!人間は貴族に!

投稿: higashiyamato1979 | 2014年2月12日 (水) 17時39分

経常収支黒字でも破綻デフォルトが起きた過去を無視する三橋貴明のデタラメぶりhttp://blog.livedoor.jp/nnnhhhkkk/archives/65795960.html

投稿: | 2014年2月12日 (水) 20時38分

しったかマン三橋を瞬殺 
http://blog.livedoor.jp/zwawawa/archives/15285522.html

投稿: | 2014年2月12日 (水) 20時40分

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