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2014年9月 7日 (日)

日銀の黒田総裁の発言はおかしい(No.161)

黒田総裁は消費税を10%に再引き上げさせたいようだ。9月4日の記者会見で黒田総裁は「消費税を引き上げない場合、政府の財政健全化の意思、努力について市場から疑念を持たれ、政府・日銀としての対応のしようがないことにもなりかねない」と述べた。対応のしようがないということは、制御不能のインフレになるということだろう。これは緊縮論者が自分たちの無理な主張を通すためにいつも使う言葉だ。

そもそも先進国で制御不能なインフレなど起きたことがない。第一次世界大戦後のドイツやオーストリアのハイパーインフレや終戦直後の日本のインフレの例を見ても、政府が財政健全化の方針を示しただけでインフレはぴたりと止まっている。

下図はドイツのインフレ率だ。1兆倍になっても、政府が財政健全化の方針を打ち出した瞬間からインフレはピタリと止まった。

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次は、オーストリアのインフレ率だが、やはり同じ結果となっていて、通貨発行を止めるとすぐにインフレは止まっている。

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終戦直後の日本も日銀の国債引受でインフレが進んでいた。しかしドッジラインで1949年3月7日に日本経済の自立と安定とのために 実施された財政金融引き締め政策を行ったら、インフレはピタリと止まり逆にデフレに陥った。

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このように、インフレを止めるのは極めて簡単で制御不能なインフレなどない。一方日本で経験したようにデフレは止められない。それが失われた20年の原因だ。インフレを止める自信がないのなら日銀総裁の資格が無い。日銀は物価の安定を行う役目があり、物価安定ができない人は日銀総裁はできない。

今はどうやってデフレから脱却しインフレ率を目標の2%にまで高めるかという重要な課題に取り組んでいるところであり、制御不能のインフレを心配するときではない。42人のエコノミストに2年以内に2%のインフレ目標を達成できるかと聞いたところ「できる」と答えた人は2人しかいなかった。黒田総裁は自分の公約を守る必要がある。増税はインフレ目標をより難しくする。

さらに黒田総裁は、消費税を10%に引き上げた後、景気が下振れするリスクについては「予想以上に経済の落ち込みが大きくなれば、財政・金融政策で対応できる」と述べている。これは余りにも甘い見通しと言わざるを得ない。1997年の消費増税の際には、経済が落ち込み、財政・金融で景気を立て直そうとしたが失敗し、デフレが続き賃金も下がり続け「失われた20年」と言われる停滞期に突入してしまった。景気が悪くなっても何とかなるという甘い見通しが致命的な失敗となったが、それを繰り返そうとしている。

増税をすれば景気が悪くなるのは当たり前だ。実質成長率は2013年度には2.3%だったのに、消費増税のお陰で2014年度は大きく落ち込むことが決定的だ。42人のエコノミストの平均では0.48%にまで下落することになっている。これは予想以上に経済の落ち込みが大きくなった結果なのだから、黒田総裁の言うように今すぐに財政・金融で対応すべきだろう。つまり来年の消費増税を中止し、2%のインフレ目標が達成できるまで、きちんと景気対策を行わなければならない。増税は必ず景気を悪くし、その悪影響は一時的ではなく、税率を変えない限り永遠に続く。

景気対策を怠り、景気を冷え込ませてしまったら、景気を立て直すのに、それまで以上に多くの国債を買わなければならなくなり、出口戦略を更に困難にする。しかもどんなに多く国債を日銀が買おうとも、金利を低下させて銀行貸出を増加させない限り、景気浮揚効果はほとんどない。もちろん、日銀のバランスシートが拡大しているのを見て、海外投資家が円売りに走れば円安になるが、それにより輸出はほとんど増えてないから景気浮揚への効果はほとんどない。日銀の国債大量買い入れで「インフレが来るぞ」と思って,カネを他の物に変えようとする動きがあるかもしれない。偽薬効果だ。しかし、すでに日銀の国債保有残高は200兆円程度にまで増えている。今後多少買い増しても偽薬効果は限定的だ。こう考えると、景気浮揚の目的で日銀ができることはほとんどない。

黒田氏よ、金融政策を過信するな!!景気を悪化させてしまったら、日銀は景気回復にやれることは何もない。

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コメント

お晩です。テレビで「ハイパーインフレがー」などと叫ぶ連中は朝日新聞と同じ道を辿るでしょう。(本日、決まり文句は省略)

投稿: higashiyamato1979 | 2014年9月11日 (木) 18時02分

黒田日銀総裁に続き、
日本経済復活の会顧問の 高村正彦・自民党副総裁さんも
「10%への消費税率引き上げが必要」「経済の落ち込みには対応できる」と発言されましたね。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11923720461.html

でも、経済の落ち込みには もう金融政策では対応不能。
財政政策で対応=現状では国債増発による財政出動。 これをやればいいと考えているんでしょうね。

「消費増税の痛みを和らげるために 一時的な国債増発・財政出動をして景気回復すれば、
 以後、高い消費税率によって恒常的な歳入増が得られるから、トータルで見ると財政の為に良い」
と考えているのでしょう。

この考えが間違っている、と 高村副総裁あるいは安倍総理に説明して納得を得ない限り、
消費税率引き上げは止められない気がしてきました。

投稿: | 2014年9月13日 (土) 08時39分

黒田は、統合失調症
殺せ

投稿: | 2014年9月27日 (土) 12時18分

ブラック黒田さんは頭が悪い。恐らく債権価格の暴落(国債金利の上昇)を危惧して財政を健全化(増税)させようとしてるのだろうが、
市場に解き放った金は、最終的に国民の手から銀行に預けられ、銀行はその金で債権が買える(買い支えられる)のだから、債権価格暴落は一時的である。初動では金利の上昇は一時的にあっても、長い目で見れば、国債以外に大量の資本をジャブジャブ投資できる場所は無いから、金利の上昇には限界がある。市場で必ず折り合いがついて発行した国債は必ず売れる。

むしろ、お金刷るのを政府が正当化したら、日銀が国債を必ず買ってくれるという訳だから、市場では債権の買い争いになるかもしれない。買った全員が買った値段以上で日銀に売れば、丸儲けできるから、世界中の資本が日本に集まってくる。円が必要とされ過度な円安傾向にもブレーキがかかる。
むしろ、円高ドル安になるかもしれない。
世界中の金が日本に集まるという事は、他国の資本が無くなる訳ですから、グローバル経済上海外が不利になる。その影響で日本が経済的優位に立つ。

現状、各金融機関が保有してる債権について、マネーゲームの理論構造上価格が下がるから、怯えてる。でも、そんなのは民間銀行のいち意見でしかない。
簡単な投資物件である国債に頼ってる損出すような銀行は、むしろ、つぶしてしまった方がいい。他に沢山銀行あるし、ペイオフ制度もあるし
銀行の種類が無駄に多すぎるのもそもそも問題なのだから。

投稿: | 2014年10月 9日 (木) 11時53分

各銀行が損したら、それこそ通貨を刷って銀行を救済したらいい。(と思ったが、当年度の予算案に取り入れれて無いから政府として無理なのかもしれない)また、その様な計画を発表した段階から、、
通貨供給を見越してあらゆる物が投機物の対象になり物価が上がる。これは仮に日銀法を変え、政府から国債を直接引き受けできる様にしても同じかも知れない。
計画を立案、国会に提出した段階から、あらゆる物が(ドルやユーロも含め)投機対象のリスクに晒され、スーパーインフレを起こさせるかもしれない。
制御可能なインフレだろうけれど、インフレ率が所得上昇においつかない可能性がかなり高い。

投稿: | 2014年10月 9日 (木) 12時04分

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