日本の財政は本当に厳しいのかという疑問に関する質問主意書とその答弁書(N0.184)
福田昭夫先生にお願いしていた質問主意書の答弁書が返ってきました。
質問1はCDSによって日本国債が安全という格付けを行っていることについて、政府は「これは民間企業がやってるのだから政府はコメントをしない」とのこと。ところが質問2に関しては、民間格付け会社に「日本国債は安全なはずだ」と政府として抗議したお話。相変わらず、二枚舌、支離滅裂。二枚舌であり支離滅裂であることは政府もよく分かっている。
質問3と4の答え
「国債の新規発行額は、政府の財政需要や税収等を考慮し決定されるものであり、国債金利を含めた市場の動向によって決定されるものではない。」だそうだ。財政需要という言葉をネットで調べると基礎財政需要として解説がありました。
基準財政需要額」とは、各地方団体の財政需要を合理的に測定するために、当該団体 について地方交付税法第11条の規定により算定した額とされています(地方交付税法第 2条第3号)。
ということは地方財政しか考えないということか。なにやら怪しげな言葉を使いますね。煙に巻くためでしょうか。 再質問してもろくな返事はもらえないことは分かっています。
「財政が厳しいから」という理由で財政を拡大しません。財政が厳しいかどうかは国債の金利とは無関係??
質問5
甘利大臣の発言について、経済と財政の一体改革だと言ってごまかしました。
質問6 答弁なし
質問7 二階ペーパーは「分からない」でごまかした。
質問8,9 財政赤字が大きければ債務の対GDP比が大きくなるというものではないという具体的な例示に対し、「一般論ではGDP比は大きくなる」といってごまかした。日本の場合一般論では片付けられないという指摘なのだが何と馬鹿な答弁か。
平成27年7月17日提出
質問第332号
日本の財政は本当に厳しいのかという疑問に関する質問主意書
提出者 福田昭夫
政府は我が国の財政状況は、国・地方の債務残高がGDP(以下債務のGDP比という)の2倍程度に膨らんでいるから極めて厳しいと考えているようである。このことに関して質問する。
1 アメリカS&PキャピタルIQが世界70の国・地域の財政の「破綻確率」とそれに関連したCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)を発表している。国債のデフォルトリスクを意識する投資家が増えるほどCDSは増加する。発表されたデータによれば、CDSと債務のGDP比には相関は見られない。日本のCDSは43で債務のGDP比は246%だが、債務のGDP比が僅か35%の韓国のCDSは日本より高い53である。同様に債務のGDP比が90%のエジプトもCDSは330である。一方、債務のGDP比が104%と比較的大きい米国でも、CDSは16.5にすぎない。このように債務のGDP比が小さいからと言って、財政破綻の確率が低いとは言えないし、債務のGDP比が大きいからと言って、財政破綻の確率が高いとも言えないと思うか同意するか。
2 「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」と財務省のホームページに書いてあるがこれは政府の見解か。
3 もし国債のデフォルトが考えられないのであれば、国債を増発し減税とか財政支出の拡大が可能なのではないか。
4 財政が厳しいという意味は、国がこれ以上借金をするのが難しいという意味であり、それなら貸し手は高い金利を要求するはずである。しかし、現在10年物の国債は0.4%台と異常なほどの低金利であり、短期金利はマイナスになることさえある。マイナス金利ということは金利を払ってでも貸したい貸し手がいるということである。むしろ市場では国債の品不足が深刻化している。金融取引を正常化・円滑化するには、国は国債の品不足を解消する義務があり、政府はもっと多く国債を発行すべきではないか。こういう状況を考えると財政は厳しいどころか、たっぷり余裕があるのではないか。
5 ブルームバーグの7月7日の記事によると「国際通貨基金への債務返済が6月末に滞り事実上のデフォルトに陥ったギリシャについて甘利明経済再生相は、増税と歳出減では財政再建ができない証しだとして経済成長による税収増の重要性を示した。」とのことである。これは政府見解か。
6 政府は基礎的財政収支の黒字化を達成することを目標としている。例えばギリシャは緊縮財政を続け、経済を縮小させ基礎的財政収支を黒字化した。政府は日本をギリシャのようにしたいのか。
7 「プライマリーバランス目標は債務のGDP比を悪化させている」という自民党総務会長二階敏博氏の論文(二階ペーパー)の主張に同意するか。
8 政府は財政赤字が大きければ国の債務の対GDP比も大きいと誤解しているのではないか。例えば、財政赤字のGDP比が188カ国で最悪はリビアの-43.55%で、債務のGDP比は39.30%、次はベネズエラで財政赤字のGDP比は-14.77%、債務のGDP比は45.62%、その次はエジプトで財政赤字のGDP比は-13.40%、債務のGDP比は90.47%にすぎない。
このことから、財政赤字が大きければ、国の債務の対GDP比は大きくなるというのは間違いだと認めるか。
9 政府は財政赤字が大きい限り、国の債務の対GDP比は増え続けると誤解しているのではないか。
例えばベネゼエラは大きな財政赤字が続いているのに債務のGDP比は大きな増加はない。財政赤字のGDP比の2010年から2015年までの値(%)は-10.36,-11.59,-16.48、-14.58,-14.77,-19.92であり、それに対する債務のGDP比(%)はそれぞれ36.30,43.31,45.97,55.38,45.62,39.64である。つまり、財政赤字のGDP比は-10%~-20%という大幅であるにもかかわらず、債務のGDP比は36%~55%の間に留まっている。
エジプトも2002年~2015年の14年間、財政赤字のGDP比は平均で約-10%という大幅な赤字が続いたにもかかわらず、債務のGDP比は70%~103%の範囲に留まっている。
ただし、2015年はIMFの予測を使った。
このことから、大きな財政赤字が続いても、通常は国の債務の対GDP比は増大し続けるということではないことを認めるか。
平成27年7月28日受領
答弁第332号
内閣衆質189第332号
平成27年7月28日
内閣総理大臣 安倍晋三
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員福田昭夫君提出日本の財政は本当に厳しいのかという疑問に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員福田昭夫君提出日本の財政は本当に厳しいのかという疑問に関する質問に対する答弁書
1について
ご指摘のスタンダード・アンド・プアーズが発表している「クレジット・デフォルト・スワップ」については、民間企業が公表しているものであり、需給等、様々な要因によりその水準が決まるものであることから、お尋ねの「クレジット・デフォルト・スワップ」と債務残高対GDP比との関係については、政府として見解を述べる事は差し控えたい。
2について
ご指摘の外国格付会社宛ての財務省の意見書については、平成14年に日本国債の格下げが行われたことに対して、より客観的な説明を求めるため、同省より外国格付会社に送付されたものである。
3及び4について
国債の新規発行額は、政府の財政需要や税収等を考慮し決定されるものであり、国債金利を含めた市場の動向によって決定されるものではない。
政府としては、国債に対する信認を確保し、国債の安定的な消化を図るため、「経済財政運営と改革の基本方針2015」(平成27年6月30日閣議決定)第3章に定めた「経済・財政再生計画」(以下「経済・財政再生計画」という。)に沿って引き続き財政健全化の取組を着実に進めてまいりたい。
5及び6について
お尋ねの記事については、甘利内閣府特命担当大臣(経済財政政策)は、経済と財政双方の一体的な再生が重要である旨の発言をしたものであり、政府としても、経済と財政双方の一体的な再生を目指しており、経済・財政再生計画に沿って「デフレ脱却・経済再生」、「歳出改革」、「歳入改革」の3本柱の改革を一体として推進することとしている。
7について
お尋ねの論文が具体的に何を指すのか必ずしも明かでないため、お尋ねにお答えすることは困難であるが、政府としては、国・地方を合わせた基礎的財政収支の黒字化を目指し、その改善に取り組んでいるところであり、当該改善は、債務残高の増加幅の縮小に資すると考えている。
8及び9について
お尋ねの財政赤字対GDP比と債務残高対GDP比との関係については、GDPの動きなどに左右されるため、一概には言えないが、一般論としては、財政赤字の拡大は債務残高の増加につながることとなる。
政府としては、経済・財政再生計画に沿って、引き続き、経済と財政双方の一体的な再生を目指してまいりたい。
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