« 増税と歳出減では財政再建ができないのではないかという疑問に関する質問主意書とその答弁書(No.185) | トップページ | 欺瞞的な官邸ホームページ(No.187) »

2015年9月 9日 (水)

実質GDPでマイナス成長になっても対策は必要ないのかという疑問に関する質問主意書(No.186)

質問主意書と答弁書が返ってきた、嘘だらけなのでまた質問しようと思う。
まずは、要点をまとめる。

【要点】
質問主意書とそれに対する答弁書 答弁第393号
             質問者 福田昭夫
【質問】マイナス成長でも景気対策は行わないのか
【答弁】景気は緩やかな回復基調が続いている。補正予算による経済対策を策定することは考えていない。
【質問】経済財政報告の「四半世紀ぶりの成果と再生する日本経済」という主張は不適当ではないか。
【答弁】経済の好循環が着実に回り始めており、不適当ではない。
【質問】昨年4月の消費増税前の試算では、消費増税の影響は極めて小さいとの予測を出していたが、経済財政報告ではGDPを1.2%押し下げたとなっていた。予測が大きくはずれたのはなぜか。
【答弁】前提となる経済状況が異なるから比較できない。
【質問】内閣府の試算は、大規模な量的緩和で出て行った大量の資金の流れを全く無視したずさんなものだ。無視できるなら誰も出口戦略など心配しない。
【答弁】出口戦略は日銀が適切な対応を行う。
【質問】日銀はETFを大量に購入しているが、株が暴落したとき破綻する恐れは無いか。
【答弁】日銀は銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律(平成13年法律第131号)第3条第1項に規定する「銀行等及びその子会社等」に該当しないため、同項及び同条第2項の規定は適用されない。

【本文】
平成27年8月26日提出
質問第393号
実質GDPでマイナス成長になっても対策は必要ないのかという疑問に関する質問主意書
                          提出者 福田昭夫

8月17日、4~6月期の実質GDP速報値は、前期比0.4%減、年率換算で1.6%減と発表された。一方では「四半世紀ぶりの成果と再生する日本経済」と題した平成27年度年次経済財政報告(以下経済財政報告という)が内閣府より発表された。これらについて質問する。

1.実質GDPでマイナス成長になり、株価も下落し、実質賃金も下がり、その結果節約傾向が強まり消費も落ち込んでいる。また中国経済の減速の影響で輸出も減少傾向にある。このような状況下では、緊急に補正予算を組んで景気対策をすべきではないのか。

2.安倍内閣の目標は2年で2%のインフレ目標を達成すること、実質成長率2%、名目成長率3%を達成することであったが、いずれも達成できていない。原油が下がったからインフレ率が落ちたという主張はおかしい。原油価格の下落はGDPを押し上げるのだから、成長率は予想以上に高くなければならないはずだがそうなっていない。これらのことを考えると、経済財政白書の「四半世紀ぶりの成果と再生する日本経済」という主張は不適当なのではないか。

3.経済財政報告によれば、2014年度の消費増税はGDP全体を1.2%ポイント程度下げたとしている。実質GDP成長率は2013年度2.1%、2014年度はマイナス0.9%であり、その差は3%であるのだから、1.2%ポイントという数字はまだ小さすぎるのではないか。平成24年1月24日に内閣府で発表された「経済財政の中長期試算」の12頁では、影響はさらに小さいとされていて、成長率の4年間の合計で比べたとき、消費増税を行ったときと行わなかったときで僅か0.1%の違いしかないとしている。経済財政報告は、この予測が間違いであったことを認めたということか。平成24年の予測が大きく外れたわけだが、その理由は何か。

4.政府は「平成29年4月の消費税率の10%への引き上げについては、社会保障制度を次世代に引き渡していく責任を果たすとともに、市場や国際社会における我が国の信認を確保するため、経済環境を整える中で、実施すること」としている。しかしながら、失われた20年といわれるほどの世界でも例を見ない大不況の中で、消費税率を更に上げて実質所得を更に下げ、その結果国民が倹約志向を強めれば、消費は減退し、経済は縮小する。2012年10月から2014年12月の期間の年金積立金の運用益は35兆円もある。現在積立金は145兆円にまで膨れあがっていて、社会保障制度は破綻寸前という状態ではないし社会保障制度を守るために緊急に大増税をする必要はない。一方でデフレ脱却は緊急を要する。そう考えれば、平成29年4月の消費税率の10%への引き上げは中止すべきではないか。そうでないと、衰退を続ける日本経済を次世代に引き継がせることになってしまうのではないか。

5 政府は「「中長期の経済財政に関する試算」(平成27年7月22日経済財政諮問会議提出)においては、名目長期金利は、均衡実質金利及び期待インフレ率並びにGDPギャップなどに基づいて試算された短期金利に一定のリスクプレミアムを加えることで試算した結果、2020年度までに経済成長等に伴って3.9%程度まで上昇する結果となっている。」としている。つまり、異次元の量的緩和によって日銀から出て行った大量の資金の動きを完全に無視するということである。こんなずさんな計算でよいのなら出口戦略など全く心配しなくてよくなるのではないか。政府は危機対応に対する備えを怠っているのではないか。

6 日銀の営業旬報(2015/8/20時点)の資産側を見ると、
(以下、単位:千円)
金銭の信託(信託財産株式)    1,351,077,924,000円
金銭の信託(信託財産指数連動型上場投資信託)    5,882,038,708,000円
金銭の信託(信託財産不動産投資信託)    244,831,155,000円
以上、個別株、株式指数ETF、REIT計7.5兆円
となっているが、それに対して純資産(自己資本)が、2015/3/31時点の財務諸表の貸借対照表を見ると3.9兆円しかない。また、貸借対照表を見ると、個別株、株式指数ETF、REITについては、債券や外国為替のように損失引当金を積んでいない。日銀がこのような財政状態であるときに、仮に世界的な株式市場大暴落が起き、それにつれて日本市場でも大暴落がおきれば、個別株、株式指数 ETF、REIT計7.5兆円(簿価)が半分以下になれば財務諸表の「重要な会計方針」に従って減損処理を行う必要も出て来る可能性があると思われる。そうすると、損失額が純資産(=自己資本)を上回り、日銀が債務超過に陥る可能性があるように思われるが、そのようなリスクについて内閣は認識しているか。また、もしそのようになった場合はどのような対策をするつもりか。なお、この問いに関しては仮の話だから答えられないという回答は避けて頂きたい。仮の話だから答えられないという回答であれば、内閣は万が一の場合において無策であると認識するがそれでよいか。

またそもそも、一般の市中銀行は「銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律」
第3条1項によって、自己資本に相当する金額を超える金額の株式等を保有できないことになっている。これは銀行が債務超過に陥ることを防ぐための法規であると考えられるが、この法律は日本銀行には適用されないと理解してよいか。
あるいは、同条2項において「銀行等及びその子会社等は、合併その他の政令で定めるやむを得ない理由がある場合には、前項の規定にかかわらず、あらかじめ主務大臣の承認を得て、株式等保有限度額を超える額の株式等を保有することができる」とあるが、この規定を適用して日銀が自己 資本を超えて株式等を保有することが認められているという認識でよいか。

右質問する。

―――――――――――――――――――――――――――――

平成27年9月4日受領
答弁第393号
  内閣衆質189第393号
   平成27年9月4日
                    内閣総理大臣  安倍晋三
  衆議院議長 大島理森殿
衆議院議員福田昭夫君提出実質GDPでマイナス成長になっても対策は必要ないのかという疑問に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

衆議院議員福田昭夫君提出実質GDPでマイナス成長になっても対策は必要ないのかという疑問に関する質問に対する答弁書

1について
 景気は、このところ改善テンポにばらつきもみられるが、穏やかな回復基調が続いているものと認識している。
 現時点で補正予算による経済対策を策定することは考えていない。政府としては、平成26年度補正予算や平成27年度予算に基づく施策を着実に実行するとともに、より力強い賃金上昇を促し、過去最高水準の企業収益からの投資を喚起することにより、経済の好循環を更に拡大・深化させていく。いずれにせよ、経済動向を引き続き注視し、経済財政運営に万全を期してまいりたい。

2について
 内閣府が平成27年8月14日の閣議に配布した「平成27年度年次経済財政報告」では、デフレからの脱却と経済生成に向けた取組が進み、デフレ状況ではなくなる中、経済の好循環が着実に回り始めた結果、企業活動や雇用を含む幅広い分野で、およそ四半世紀ぶりとなる良好な経済状況がみられるようになった旨を記述しているところであり、「不適当」とのご指摘は当たらないものと考えている。

3について
 「平成27年度年次経済財政報告」では、平成26年4月の消費税引き上げに伴う駆け込み需要の反動減が、平成26年度のGDP全体を前年度比1.2%PT程度押し下げたとの試算をお示ししている。
 他方、「経済財政の中長期試算」(平成24年1月24日内閣府公表)では、社会保障・税一体改革を考慮した場合としない場合の平成25年度から平成28年度の実質GDP成長率について、年平均で0.1%PT程度の差が出るとの試算をお示ししている。
 それぞれの試算においては、試算の考え方や、前提となる経済状況等が異なることから、ご指摘の計数をもって単純に比較することは困難である。

4について 
 我が国の財政状況は、国・地方の債務残高がGDPの2倍程度に膨らみ、なおも更なる累増が見込まれるなど、極めて厳しい状況にある。安倍内閣としては、経済と財政双方の一体的な再生を目指しており、「デフレ脱却・経済再生」、「歳出改革」、「歳入改革」、の3本柱の改革を1体として推進することとしている。平成29年4月の消費税率の10%への引き上げについては、社会保障制度を次世代に引き渡していく責任を果たすとともに、市場や国際社会における我が国の信認を確保するため、経済環境を整える中で、実施することとしている。引き続き、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「3本の矢」からなる経済政策を一体的に推進することにより、経済の好循環を確かなものとしてまいりたい。

5について
 「中長期の経済財政に関する試算」(平成27年7月22日経済財政諮問会議提出)は、経済・財政・社会保障を一体的にモデル化した内閣府の計量モデルに基づき試算を行ったものであることから、金利の上昇が経済に与える影響等も織り込まれており、「ずさんな計算」とのご指摘は当たらないものと考えている。
 なお、お尋ねの金融緩和の「出口戦略」について、日本銀行総裁は、平成27年7月15日の記者会見において、「出口について具体的に議論するのはやはり時期尚早であると思っています」と発言したと承知している。政府としては、日本銀行が、その時々の経済・物価情勢や市場動向を踏まえつつ、適切な対応を行うものと考えている。

6について
 お尋ねについては、仮定のご質問であること、また日本銀行の金融政策運営に関するものであり、同行の自主性は尊重されなければならないことから、お答えすることは差し控えたいが、一般論として申し上げれば、同行の財務の健全性については、まずは同行において関係法令の規定に則して適切な運営が図られるべきであるものであると考えている。
 また、同行は、銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律(平成13年法律第131号)第3条第1項に規定する「銀行等及びその子会社等」に該当しないため、同項及び同条第2項の規定は適用されない。

|

« 増税と歳出減では財政再建ができないのではないかという疑問に関する質問主意書とその答弁書(No.185) | トップページ | 欺瞞的な官邸ホームページ(No.187) »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/566837/62248417

この記事へのトラックバック一覧です: 実質GDPでマイナス成長になっても対策は必要ないのかという疑問に関する質問主意書(No.186):

« 増税と歳出減では財政再建ができないのではないかという疑問に関する質問主意書とその答弁書(No.185) | トップページ | 欺瞞的な官邸ホームページ(No.187) »