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2016年3月25日 (金)

経常黒字国に財政支出の拡大を求める声が高まっていることに対する質問主意書(N0.193)

福田昭夫衆議院議員にお願いしていた質問主意書の答弁書が返ってきた。コメントから書いてみる。

〇財政政策に関する表現が変わってきた。今までは財政が厳しいという理由で否定的だったが、例えば「1について」で、「適切な財政運営をしていくことが重要」と書いている。

〇財政拡大によるGDP押し上げ効果について前回の答弁書では「一概には言えない」などと言っていた。今回は「2について」で補正の実質GDP押し上げ効果は0.6%だという内閣府の試算の存在を認め、前回の答弁書の内容を撤回している。しかし、GDPが押し上げられることにより国の債務のGDPが減るという内閣府の試算に関しては、「3について」で無関係な答弁をして逃げた。

〇「4について」で財政が厳しいなら、日本国債が安全資産とみなされるはずがないとの指摘には、「市場に無用の混乱を生じさせかなない」との理由で逃げた。自己矛盾しているのは明かで、答弁は無理と判断したのだろう。

〇「5について」「6について」消費増税に関しては、答えにならないが定型の文章があるようで、それをコピーしている。

〇「7について」消費増税は国際公約なのかとの質問で「その実施が国際的に法的拘束力を受けるといったものではない」と断言しており、事実上国際公約ではないと言っている。

〇「8について」先日の石破大臣のTBSでの発言「財政規律が緩んでしまったらハイパーインフレしかない」という発言に関して否定的な答弁書となった。つまり「戦争等を背景とした極端な物不足」の際でないとハイパーインフレは起きないと断言。つまり現在の日本ではハイパーインフレは起きないと断言した。

〇「9について」政府財政に対する信頼の喪失が生じれば、金利が急上昇するという政府の説はおかしいという追求に対し「市場の混乱をさけるためコメントしない」という苦し紛れの答弁となった。

〇「10について」「金利が高くなれば生活が破壊されるという政府の考えはおかしい。かつて景気がよかったときは、金利は高かった。」という質問に対して、無関係な答弁書の文章が並んでいる。

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平成28年3月8日提出
質問第174号

経常黒字国に財政支出の拡大を求める声が高まっていることに対する質問主意書

                          提出者 福田昭夫

昨年後半から続く世界的な株安や、新興国からの資本流出など、金融市場の混乱で、世界経済の先行き不安が高まっている。中国・上海で開かれていたG20では二月二十七日に機動的な財政政策を実施するべきだとする共同声明が出された。これに関連して質問する。

一、 G20の共同声明では、「金融政策のみでは、均衡ある成長につながらない。機動的に財政政策を実施する。」と明記された。経常黒字国であり、しかも巨額の対外純資産を持つ日本は、世界経済発展に貢献するためにも、2016年度補正予算を組んで景気対策をすべきではないか。

二、内閣衆質一九〇第一二三号(以下「答弁書」とよぶ)の一及び二についてで、政府は平成二十六年四月の消費増税により、日本経済は深刻な悪影響を受けたことを認めた。G20の共同声明でもあるように、経済成長率を確実に上げる方法は財政を拡大することである。例えば平成27年度補正予算(3.3兆円)の経済効果は実質GDPの押し上げ効果が0.6%であると内閣府により平成27年12月18日に発表された。名目GDPも同様に押し上げられるとして、この押し上げ効果は国の債務のGDP比を約0.6%押し下げる。これは1000兆円の国の借金の0.6%、つまり約6兆円に相当する借金を減らしたことに相当する。驚いたことに答弁書内の一及び二についてでは、財政支出が実質GDP成長率やインフレ率に与える影響については、内外経済状況など様々な要因に左右されるため、一概にお答えすることは困難であるなどと述べている。ということは、平成27年12月18日に内閣府が発表した0.6%の押し上げ効果は信頼できないと主張するのか。

三、日本には1000兆円を超える国の借金があるからこれ以上は財政出動は無理と政府は主張するのだろうか。しかし僅か3.3兆円の財政支出でGDPが増加し実質6兆円もの借金削減効果があることが示されている。計量モデルを使って求めた乗数は平成二十二年八月に内閣府計量分析室で発表されており、財政支出を拡大すれば、GDP成長率が上昇し、国の債務のGDP比は減少し国の借金は事実上軽くなることが示された。「全国民が一生の間、懸命に働き続けても返済は不可能なほどの巨額の借金がある」と誰もが錯覚し、絶望の果て、倹約に走るしかないと国民が思っている限り、消費の拡大もなければ、景気回復もない。しかし、財政を拡大すれば国の借金は実質的に減っていくことを国民が知れば、国民は自信を取り戻し、経済復活のきっかけになると考えるが、同意するか。

四、答弁書七及び九についてで、「我が国の財政については、極めて厳しい状況になる」とある。そのような状況なら、日本円が国際的に安全資産を見なされることはありえないはずであり、この矛盾をどのように説明するのか。また財政が厳しければ金利は高騰しなければならないのではないか。財政が厳しければ、政府が国債を売りに出しても誰も買わないはずだが、実際はその逆で、国債が売り出されば買いが殺到する。これも財政が厳しくない証拠ではないか。

五、G20では、不安定化した世界経済を正常化するために協力して「機動的に財政政策を実施する」ということ一致している。このような時に、その流れに真っ向から逆らう形で消費増税を強行して、もしリーマンショック並の不況を招いてしまったら国の内外から厳しい批判を浴びるのではないか。

六、消費税収は社会保障の財源に充てるとされている。しかしカネに色はついておらず、消費増税により経済が停滞し、税収が落ち込んだら社会保障制度を次世代に引き渡していく責任を放棄することになるのではないか。

七、消費増税は国際公約なのか。もしそうなら、どのような法的拘束力があると主張するのか。もし、公約違反の際には、どのような制裁を受けるというのか。リーマンショック並の不況となって、消費増税延期、又は中止となった場合も国際的な制裁を受けるのか。

八、答弁書八について、では「財政規律が緩み財政運営及び通貨に対する信認が完全に失われるなど、極めて特殊な状況かにおいて、ハイパーインフレーションが起こる」とある。一方、内閣衆質百九十第三十九号の七について、では「戦争等を背景とした極端な物不足」の際にハイパーインフー-ションが起きるとある。両答弁書の内容は明らかに異なっている。現在のような物余りの時代にハーパーインフレーションが起きるのかどうか政府の見解を示して頂きたい。

九、答弁書の十についてで、「万が一、ご指摘の「政府財政に対する信認の喪失」が生じた場合には、金利が急激に上昇することなどにより、経済・財政・国民生活に重大な影響が及ぶと考えられる。」とある。
政府財政に対する信頼の喪失が生じれば、金利が急激に上昇(国債価格が下落)するのだそうだが、国債価格は需要と供給のバランスにより決まる。日銀がどんなに買っても国債は下落するというのか。それでは一体誰が日銀の買いを大幅に上回るほどの売りを出せるというのか。
現実には日銀はマイナス金利を導入した。日銀は国債を大量に購入しており、市場では国債は品薄状態になっており、これ以上、国債購入のペースを上げても間もなく限界に達する。つまり国債を買い尽くす勢いなのである。もし日銀が国債を買えなくなったら、インフレ目標を達成する前に、金融政策が限界に達したと市場が判断し、市場に不安心理が台頭してくる。マイナス金利は、金融緩和には限界はないことを示したかったと思われる。国債購入には限界があり、遠くない将来限界に達する。つまり現状では国債の売り手よりも国債の買い手(日銀)のほうが、圧倒しているのであり、近い将来金利が急上昇するなどということはあり得ないと考えるが同意するか。

十、政府は金利上昇は、経済・財政・国民生活に重大な悪影響を与えると考えているのか。例えば、1960年代から1980年代の日本では、金利は高かったが、日本は奇跡の経済成長を成し遂げたのであり、「高金利=悪」というわけではない。最近の「失われた20年」では低金利だが、経済は停滞した。問題なのは、次のようにして政府が消費や投資を冷え込ませる原因を作り出したことにある。
①国の借金が1000兆円を超えたという、特別問題にするべきでないことを、あたかも恐ろしいことであるかのごとくを宣伝した。
②我が国の財政は極めて厳しいという事実に反する主張をした。
③2014年の消費増税
④2017年予定の消費増税
クルーグマンの言うように、来年の消費増税を中止し、大胆に財政支出を拡大するなら、人はインフレを予想するようになり、現金の目減りを恐れ、個人も企業も投資を始める。インフレの際には、タンス預金で目減りさせるより、少々高い金利でも借りて投資したほうが、利益になるわけで、まさにそのような経済状態になれば日本経済は復活すると考えるが同意するか。

平成28年3月18日受領
答弁書第174号

  内閣衆質190第174号
    平成28年3月18日
                    内閣総理大臣 安倍晋三
  衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員福田昭夫君提出経常黒字国に財政支出の拡大を求める声が高まっている事に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

衆議院議員福田昭夫君提出経常黒字国に財政支出の拡大を求める声が高まっている事に関する質問に対する答弁書

1について
 平成28年2月27日の20カ国財務大臣・中央銀行総裁声明では、金融、財政及び構造政策の全ての政策手段を、個別にまた総合的に用いることに合意したところである。
 政府としては、経済と財政双方の一体的な再生を目指しており、我が国の極めて厳しい財政状況を放置すれば、財政の時速可能性に対する疑念の高まりが経済成長自体を阻害するおそれがあるという認識の下にそれぞれの国が置かれた状況を踏まえながら、適切な財政運営を行っていくことが重要であると考えており、一般論としては、財政支出の拡大を行うべきか否かについては、ご指摘の「経常黒字国であり、しかも巨額の対外純資産を持つ」という理由で判断されるべきではないと考えている。
 日本経済のファンダメンタルズは確かなものと認識しており、現時点で補正予算による経済対策を策定することは考えていない。政府としては、平成27年度補正予算を迅速かつ着実に執行するとともに、現在審議中の平成28年度予算の早期成立に努めてまいりたい。

2について
 内閣府においては、平成27年度補正予算について、一定の前提の下で予算額に基づいて試算した結果、実質おおむね0.6%程度押し上げる経済効果があると見込んでいる。ただし、一般論として、財政支出が実質GDP成長率に与える影響については、支出の内容や内外経済状況など様々な要因に左右されることに留意する必要がある。

3について
 我が国の財政については、極めて厳しい状況にあり、デフレ脱却・経済再生を図りつつ、その持続可能性を確保することが重要である。政府としては、「経済財政運営と改革の基本方針2015」(平成27年6月30日閣議決定)に盛り込まれた「経済・財政再生計画」(以下「経済・財政再生計画」という。)に基づき、平成32年度の財政健全化目標の達成に向けて、経済と財政双方の再生を目指す経済・財政一体改革に取り組むこととしている。

4について
 為替レート及び国債金利は、様々な要因を背景に市場において決まるものであり、それらの動向について言及することは市場に無用の混乱を生じさせかねないことから、ご指摘の為替レート及び金利水準の動向を前提としてお尋ねにお答えすることは差し控えたい。
 また、我が国の財政状況は、国・地方の債務残高がGDPの2倍程度に膨らみ、なおも更なる累増が見込まれるなど、極めて厳しい状況にあり、政府としては、国債の安定的な消化を図るため、経済・財政再生計画に沿って引き続き財政健全化の取り組みを着実に進め、国債に対する信頼を確保してまいりたい。

5について
 平成29年4月の消費税率の10%への引上げは、社会保障制度を次世代に引き渡していく責任を果たすとともに、市場や国際社会における我が国の信認を確保するため、リーマンショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り、確実に実施することとしている。その上で、政府としては、経済財政運営に万全を期してまいりたい。

6について
 消費税率の5%から10%への引上げによる増収分は全額、社会保障の充実・安定化に充てることとしている。その上で、消費税率10%への引き上げに当たって、政府としては、経済財政運営に万全を期してまいりつぃ。

7について
 平成29年4月1日の消費税率10%への引き上げは、その実施が国際的に法的拘束を受けるといったものではなく、所得税法等の一部を改正する法律(平成27年法律第9号)第18条の規定により改正された社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正刷る党の法律(平成24年法律第68号)に基づくものであり、リーマンショックや大地震のような重大な事態が発生しない限り、確実に実施することとしている。

8について
 ハイパーインフレーションは、戦争等を背景とした極端な物不足や、財政運営及び通貨に対する信認が完全に失われるなど、極めて特殊な状況下において発生するものであり、現在の我が国の経済・財政に状況において発生するとは考えていない。

9について
 国債金利は、需要と供給のバランスのみによって決まるものではなく、経済・財政の状況等の様々な要因を背景に市場において決まるものであり、その動向について言及することは市場に無用の混乱を生じさせかねないことから、国債金利の動向に関するお尋ねにお片江することは差し控えたい。

10について
 政府としては、長引くデフレからの早期脱却と日本経済の再生のため、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の3本の矢からなる経済政策を一体的に推進してきたところであるが、同時に、財政に対する市場の信認が喪失し、金利が急激に上昇するようなことがあれば、経済・財政及び国民生活に大きな影響が及ぶと考えている。
 我が国の財政については、極めて厳しい状況にあり、引き続き、財政に対する市場の信認を確保できるよう、経済再生と財政健全化の両立を目指すことが重要である。
 このため、平成29年4月の消費税率の10%への引き上げは、社会保障制度を次世代に引き渡していく責任を果たすと供に、市場や国際社会における我が国の信認を確保するため、リーマンショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り、確実に実施することとしている。

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コメント

コメントが遅れました。higashiyamato1979です。政府の答弁は・・・まあ予想できたこととはいえ相変わらずですね。まともなのは8番目くらいですね。流石に極度のデフレに加え国債がマイナス金利すなわち銀行の民間への貸し出しが増えない中でハイパーインフレになるなどと言えるわけが有りませんから・・・。
 それでは決まり文句! お金が無ければ刷りなさい! 労働はロボットに!人間は貴族に!

投稿: higashiyamato1979 | 2016年4月 3日 (日) 14時20分

>国債金利は、需要と供給のバランスのみによって決まるものではなく、経済・財政の状況等の様々な要因を背景に市場において決まるものであり

この答弁は おかしいですね。

正しくは、
「国債金利は、需要と供給のバランスによってのみ決まるものであり、経済・財政の状況等の様々な要因を背景に市場において決まるものであり」
ですよね。

答弁が 誤記ではないとしたら、市場価格の決定メカニズムを分かっていないということなので、非常に問題です。これ一事をもって内閣不信任に値します。

投稿: | 2016年7月 2日 (土) 10時21分

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