日本人が楽観的になるだけで、デフレ脱却・経済成長・財政健全化は実現する(No.210)
奇跡の経済成長を実現した日本だが、根拠のない悲観論が一気に経済を悪化させてしまった。2014年度の消費増税のお陰で消費が落ち込み、賃金の伸びはイマイチだ。社会保障負担は増えるが、社会保障制度に信頼できず、将来に備え今は節約しなければならないと国民は考える。2019年度には消費増税が待っているから尚更である。節約志向が続けば、企業は売上げが伸びないから設備投資など増やさないし、賃金を積極的に上げることもない。それが需要を冷やし、ますます景気が悪化するという悪循環である。
ヘリコプターマネー(ヘリマネ)なら、需要を増やし国の借金も増やさないということで、日本にとっての希望の光と思え、脚光を浴びたが、悲観論者が次々と反論する。
【法政大学の小峰隆夫教授】
そんなうまい話があるなら、世界中の国が既に実行しているはず。
【反論】
世界中の国の経済は穏やかなインフレであり経済は拡大している。そのような国でヘリマネをやれば、単にインフレ率が上乗せされるだけで、実質GDP成長率は上がらない。日本のように20年間需要不足・デフレで経済が停滞している国では経済立て直しの特効薬になる。
【翁邦雄京大教授】
ヘリマネならデフレから脱却できる。そのとき金利は上昇、国民はタンス預金を銀行預金に、銀行はそれを日銀に預ける。日銀は利払いが大変になる。
【反論】
日銀は損失を出しても潰れない。日銀の損失が気になるなら、国債を発行して得た資金で日銀を「救済」すればよい。ヘリマネでなくても、景気が回復してくれば必ず金利が上昇する。このとき日銀の損失をどうするかという問題は必ず出口戦略で検討しなければならない。問題を深刻化させないためには、一刻も早く景気を回復させる必要がある。
【年金運用5兆円の赤字だから年金が心配?】
年金積立金の運用で2016年4~6月期の運用収益は5。2342兆円の赤字だったので、我々の年金は果たして大丈夫かという報道があった。実は2001年からの累積収益は40.1898兆円の黒字なので、むしろ逆に年金は多くもらえるのかと期待する報道があってもよさそうなものだ。年金の一部は海外の株式や債券で運用されている。それ以外にも日本の外貨準備は126兆円、海外純資産は339兆円ある。例えば10%円高になれば、これらの資産価値は数十兆円目減りし、10%円安になれば10%増える。もちろんドルに換算すれば為替の変動があっても変化しない。
このように、日本には誤った悲観論が蔓延している。財政を拡大すれば、再び経済は成長を始め悲観論は吹っ飛んでしまうだろう。それを阻んでいるのが時代遅れのハイパーインフレのトラウマだ。1931年に始まった国債の増発と1945年の終戦直後から始まったインフレを結びつけようとする。当時は国民の6割もの農民が、やっと米を供給できていたが、今は農民の数は国民の僅か3%以下で、余るほど米をつくっている。米の爆撃で焼け野原になり極度の物不足になった当時と、物余りの現在では状況が違いすぎる。
物余りの時代にハイパーインフレなど来るわけがない。だったら、思い切った積極財政でデフレから脱却し、経済を成長軌道に乗せれば良い。それにより、国民は将来を楽観視するようになり、消費は拡大する。経営者も楽観的になり、設備投資が始まる。デフレから脱却し、経済成長で税収も伸び財政も健全化する。要するに日本人が楽観的になるだけですべてが解決するのだ。
| 固定リンク
| コメント (2)
| トラックバック (0)