内閣府計量分析室に電話して聞きました。(No. 214)
質問:内閣府は7月26日に試算を出しているが、このモデルでは長期金利はどんどん上がっていくことになっている。しかし、日銀は長期金利を0%になるよう国債の買い入れを調整すると言っている。そうであれば、この試算は大幅な改訂を行わなければならないのではないか。
回答:試算は潜在成長率を考慮して長期金利を計算している。
質問:そうだけど、日銀が金利を0%に固定すると言っているのだからそうなるでしょう。それとも日銀の言うことは信用できなくて、内閣府のモデル通りに金利は推移すると考えているのか。
回答:そうではありません。我々はモデルに従い、潜在成長率から引き出される均衡実質金利を計算して出しているだけです。我々は長期の展望を考えています。
質問:いいですか。日銀は無制限の買い切りオペを指し値でやると言っているのですよ。だったら、0%に固定できるに決まっているではないですか。異次元の金融緩和を始めたのはずっと前のことです。毎年、80兆円も国債保有額が増加するように買いオペをやっているわけで、それが長期金利に影響しないわけがないでしょう。
回答:はい。影響はあるとは思いますが、影響を検討して来年発表することになると思います。
質問:いいですか。7月に発表した試算が無意味になったのですよ。金利を0%に固定する場合と金利がどんどん上がっていく場合で、結果は全然変わってきます。金利が0%に抑えられていれば、成長率も上がってくるし、物価も押し上げ、国債費は減ってきます。マスコミとかでもいつも取り上げられる2020年度の基礎的財政収支のマイナス幅ですが、このモデルで出された結果がいつも引用されているわけです。もはやこの結果が無意味なものになった現在、直ちに計算し直して発表すべきです。
回答:結果をまとめるのに時間がかかりますので直ぐは無理です。
質問:だったら、少なくともこの結果は無意味なものになりましたと発表すべきでしょう。
回答:私の独断ではできません。
質問:7月の試算だけでなく、2010年に発表した乗数にも影響します。あの乗数は例えば公共投資を5兆円増やせば、金利が上昇して、それがGDP押し上げ効果を減少させるといった内容でした。今回は長期金利固定なわけですから、金利上昇によるブレーキはなくなるわけで、乗数は引き上げられます。
回答:そうだと思います。
質問:だったらすぐに再計算して出したらどうですか。2010年までは毎年発表していました。
回答:2010年度以降、乗数は余り変わっていないので出していません。
質問:そんなわけないでしょう。今回の金利0%固定にするだけで乗数には大きな影響があります。しかも国の債務もどんどん増えているわけですから、債務のGDP比に対する乗数も大きく変わっているはずです。
回答:はい。そのうち出します。SNAの基準改定などでゴタゴタしていますが、一段落したら出すことになると思います。
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コメント
今晩は。higashiyamato1979です。いつもご苦労様です。私の不勉強なら申し訳ありませんが。対応してくれた担当の方は随分誠実な方とお見受けしました。良識ある官僚諸氏の奮起に期待したいところです。
それでは決まり文句! お金が無ければすりなさい! 労働はロボットに!人間は貴族に!
投稿: higashiyamato1979 | 2016年9月23日 (金) 17時17分