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2016年10月

2016年10月30日 (日)

雇用が改善しても景気は回復しない理由(No.219)

アベノミクスの開始当時は、人は希望を持った。異次元金融緩和という耳慣れぬ政策でこのデフレ不況が終わるのではないかと。それまで暗いニュースが多かった。1000兆円を超えた国の借金。期待した民主党政権にも公約違反の連続で裏切られたと感じた人が多かっただろう。しかも震災と原発事故で失意のどん底だった。そこに現れた第二次安倍内閣が掲げたアベノミクスはきっと日本経済を救ってくれるだろうと多くの国民が期待し、選挙の度に与党が圧勝した。

安倍政権は実質2%、名目3%成長と、インフレ率2%の目標を大々的に掲げたが、結局何一つ実現しなかったのだが、それでも支持率は落ちていない。世界で際立って低成長なのになぜ支持率が落ちないのか、海外から見ると不思議だがその答えは簡単だ。もっと良さそうな政党がいないということだ。民主党の失敗からして民進党の「人への投資」という主張にはもううんざりということだろう。1000兆円も国の借金があるし、アベノミクスでダメならもう何をやってもダメだろうと多くの人は考えているのだろう。ダメな中で安倍内閣はまだましな方だという考えだ。人口が減少していて人手不足で需要を増やしても成長しないと思っているようだ。デフレ脱却もできないし、消費も落ち込んでいるし、もう日本はダメなのか。

ちょっと待って欲しい。東日本大震災の後、政府の支援もあって建築業界は売上げが増加し、それに伴って人件費も建築資材も高騰した。需要が増えれば給料も上がるし、物価も上がる。残念ながらこれは建築業界だけの現象だった。コタツで足だけを温めたのと同じであり、エアコンで部屋全体を温めているわけではない。では、政府が建築業界だけでなく、国全体の需要を拡大する政策を行っていたらどうなっただろうか。もちろん需要拡大は全国・全業種に行き渡り、給料も上がり、それが更なる消費拡大へとつながり、インフレ目標が達成され良い景気循環が始まっていたに違いない。もちろんエアコンは途中で切ってはいけない。付けっぱなしでよいのだ。

この考えに反論する人がいるだろう。すでに有効求人倍率は上がり雇用は改善しているのに給料は上がっていない。しかし、一見完全雇用になっているように見えるが、2015年に一時的に訪れた円安で稼いだ輸出企業が非正規で雇っているだけだ。トヨタ社長は「追い風参考記録」だと言った。一時的なカネなら非正規しか雇えず、正社員は増やせない。本格的な景気回復のためには、一時的な売上げ増でなく、安定的な売上げ増が確保されなければならない。そうでなければ、本格的な事業拡大は目指せないのだ。だから一時的な景気対策でなく、恒久的な財政拡大政策が必要となる。

そこでいつも問題にされるのが財源だ。財源なら国債を発行すればいくらでも確保できる。日銀が長期金利0%にすると約束したのだから、政府は事実上タダでいくらでも資金の調達ができる。そう言うと、すぐに「それやると通貨の信認が失われる」と反論される。そう、通貨の信認が2%失われれば2%のインフレになり、政府のインフレ目標が達成されるから喜ばしい事ではないか。

2019年には消費税の再増税が予定され、「財政が厳しい」「少子高齢化で社会保障制度が危ない」など、国民に節約を強要するような発言が相次ぐ。このような間違えた発言が景気の足を引っ張っていることを忘れてはならない。

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2016年10月16日 (日)

政府が質問主意書で日銀は長期金利を0%にできないと主張(No.218)

9月21日、日銀が長期金利を0%程度にするという金利目標を発表した。日銀にすれば、そんなもの余裕でできるし、現在の国債購入ペースはそれ以上の金融緩和をやっているということだ。しかし、長期金利を0%にするということは、金利を急騰させないということである。このことは、国債の暴落はあり得ない(つまり長期金利の暴騰はなし)ということを意味する。更に内閣府の経済見通しでは、今後金利はどんどん上昇していくとなっているが、その前提が崩れるということでもある。このことを政府に質問主意書(平成28年9月27日提出、質問第18号)で福田議員が聞いた。

政府の答弁書(答弁書第18号、内閣衆質192第18号)では、長期金利は市場が決めるものだとし、暗に日銀は決められないと主張し国債暴落は無くなったということを認めなかった。増税を認めさせるための伝家の宝刀である「国債の暴落」を、この答弁で放棄するとの宣言はしなかった。しかし、もし放棄しなければ、日銀の政策は無効だと主張することになるわけだから、今後この点で政府を徹底追求していく。日銀にとって長期金利を0%に抑えることは、いとも簡単なことだ。外資が国債の売りを仕掛けても、金利0%以上の国債を全部買い取ればよいだけで、お金をいくらでも刷れる日銀にとって、資金不足になることは決してあり得ないことだ。

最終的には政府は国債の暴落はあり得ないと認めざるを得なくなるだろう。ハイパーインフレも起こらないと認めたから、だったら「基礎的財政収支の黒字化」も「財政規律を守る」こともしなくてもよいということになる。しかしこの答弁書では「我が国の財政については、極めて厳しい状況にあり、デフレ脱却・経済再生を図りつつ、その持続可能性を確保することが重要である。」などと言っている。財政が厳しい、つまり財政破綻のおそれがあると言いながら、財務省のホームページには「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。」と書いてある。二枚舌だ。もはやこの論理が通用しなくなったのは明かで、政府が白旗を揚げるまで、追求を続けていくべきだ。

質問主意書で日銀の持つ国債を無利子・無期限のものに変えたらどうかと質問した。こうすれば、国の借金と言っていたものが返済不要になるので借金でなくなるからだ。答弁書では政府は「無利子・無期限の債券に経済的価値を認めることは難しい」と主張した。国が日本国債に関し経済的価値は無いと言ってよいのだろうか。1万円札だって同じだ。価値がないと言えばそうだし、価値があるとみんなが言えば価値があることになる。無利子無期限の国債は価値があると政府が認め、必要なら政府が買い戻すということにすれば価値がある。通貨の信認を失うおそれがあるそうだが、日本円が国内で通用しなくなるということだろうか。日銀の持つ国債を無利子・無期限のものに替えたら通貨の信認が失われると主張するが、日本円が日本の中で通用しなくなったら、経済活動はすべてストップするから日本人は生きていけない。日本円が信認を失うなどあり得ない。

外国人投資家による株の売越額は6兆円を超え、1~9月としてはこれまでの最高だった。見かけ上、株式市場は平静を保っているが、これは日銀や年金積立金が裏で買い支えているからで、それが無かったら株は大きく値を下げていたに違いない。外国人投資家は資金を引き揚げ、国がそれに替わって株を買い、大企業の筆頭株主として国が次々と登場してきている。

様々なほころびが見えるアベノミクスだが、ここで大型景気対策をして一気にデフレ脱却を目指したらどうか。

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2016年10月14日 (金)

国債の暴落は日銀が阻止するのかという質問主意書に対する政府答弁(No.217)

国債の暴落は起こり得なくなったのではないかという福田議員の問いに対し答弁書では明確な答えを出さなかった。増税を認めさせるための伝家の宝刀である「国債の暴落」を、この答弁書で放棄することを宣言はしなかった。しかし、もし放棄しなければ、日銀の政策は無効だと主張することになるわけだから、次回の質問主意書でこの点を徹底追求すれば、政府も白旗を揚げざるを得なくなるのではないか。
目次
1,質問主意書
2.答弁書
3.コメント

―――――――――――――――――――――
平成28年9月27日提出
質問第18号

日銀の政策変更で今後国債の暴落は起こりえなくなったのではないかという疑問に関する質問主意書
                         提出者  福 田 昭 夫

異次元の金融緩和で日銀が刷ったお金で国債を大規模に買うだけで、円安が進み日本経済はデフレから脱却できるという考えが間違いだったとこが明かになってきている。日銀はマネタリーベースが年約八0兆円に相当するペースで増えるよう国債購入等を行っていたが、政府の思惑とは逆に円高に向かい、輸出企業の業績悪化の懸念が高まり、経済の悪循環が始まっていた。物価下落もあり、二年間で二%のインフレ率を達成するという目標は完全に失敗に終わりデフレ脱却に関しては全く見通しが立っていない。日銀は九月二十一日、金融緩和の目標を長期金利を0%程度とする金利目標に変更した。出口戦略の第一歩と思われるが、これだけでは景気回復は難しいと思われる。一方で、八月二日に閣議決定された二十八兆円の経済対策に関しては、誰もが実質GDPを押し上げる効果があると認めている。問題は経済対策の規模が十分でないという点である。

また、前回の質問主意書(質問第二五五号)に対する答弁書(内閣衆質一九0第二五五号、以下答弁書という)に関しても質問したい。

一.長期金利を0%程度とする金利目標は、国債価格支持政策であり、日銀が指定する利回りで国債を買い入れる「指し値オペ」などで実現する。これによって国債の暴落は起こりえなくなったと考えるが同意するか。

二、答弁書(内閣衆質百九十第百七十四号)の八についてで、ハイパーインフレは我が国の経済・財政状況においては発生しないと断言された。国債暴落もハイパーインフレも起こりえない状況になった現在、これらを防ぐために導入された基礎的財政収支の黒字化は有害無益な目標になったと考えるが同意するか。またデフレ脱却までは財政規律を守る必要がなくなったと考えるが同意するか。

三、例えば日経センターによる日本経済フォーキャスター四十二人(機関)による予測の平均では、二十八兆円の経済対策を織り込んでも実質GDP伸び率は二0一六年度で0.六七%、二0一七年度で0.九四%、二0一八年度で0.九二%にすぎず世界的にも日本の低成長が際立っている。OECDやIMFは更に厳しい見方をしている。政府目標の二%成長を大きく下回るし、二0二0年頃GDP六00兆円はとても無理ということになる。政府目標が達成できる程度にまで経済対策の規模を拡大したらどうか。

四、政府は国の借金が一000兆円を超えていることを気にして、国債発行の規模を抑えようとしていると思われるが、内閣府が二0一0年八月に発表した乗数によれば、国債の発行を増やせば増やすほど、国の借金の対GDP比は減って行くのであり、実質的に国の借金は減るのだから心配しなくてよいのではないか。この乗数の計算では、国債増発で金利は上昇すると仮定されており、今後長期金利は上昇しないことになったのだから、国の借金のGDP比はさらに減少すると思われるが同意するか。金利固定の場合の乗数は一刻も早く発表されるべきだと考えるが同意するか。

五、答弁書の八についてでは、累増が見込まれるのは国・債務残高であって、国・債務のGDP比ではないと答弁の間違いが訂正されたと理解してよいか。

六.日銀は国債を大量に保有している。政府と日銀を統合政府と考え連結させて財政を考えるなら、日銀が保有している国債はもはや国の借金とは言えないのではないか。

七.それでも国の借金を気にするのであれば、日本銀行が保有する国債が償還期限を迎えたとき、借換債として無利子・無期限のものにコンバートすればよいのではないか。そうすれば、返済義務が無くなり、これは完全に国の借金ではなくなる。景気が回復し日銀が無利子・無期限の国債を売らなければならないときは、政府が買い戻せばよいのではないか。

八.内閣府の行っている中長期の経済財政に関する試算によると、毎年長期金利は急騰すると予測していて、下がると予測した年は一度もないが現実はジワジワ下がり続けている。例えば今年七月二六日に出された試算(以下「試算」という)によれば、長期金利は二0一六年度0.三%、二0一七年度0.八%、二0一八年度一.七%、二0一九年度二.七%、二0二0年度三.四%、二0二一年度三.八%、二0二二年度四.一%となっている。過去十数年間、実際の金利低下の傾向を一度も予測できなかったのは、内閣府の能力不足であり内閣府は国民の税金を使って試算を行っているという自覚が感じられない。今後長期金利は0%程度に維持されるのだから、この試算は現実離れしたものになったのではないか。

九、試算は直ちにやり直して発表されなければならないのは明かだ。このモデルで長期金利を0%に固定し他のパラメーターを変えずにやり直せば、当然のことながら名目GDPも実質GDPも物価も税収もかなり押し上げられ国債費は押し下げられるはずである。また財政収支も改善するはずだと思うが同意するか。そうならなかったらこのモデルは経済を正しく記述できていないことになると思うが、同意するか。いずれにせよ直ちに試算をやり直して発表すべきではないか。

十、長期金利を0%程度に維持する政策はインフレ率が2%を安定的に超えるまでとしているが、その後も長期金利が暴騰しないようにすると理解してよいか。国債暴落という将来不安が日本人を節約志向にさせ消費者マインドの悪化につながっている。国の国債価格支持政策の意味が広く理解されれば、国民に安心感を与え、節約の必要性が感じられなくなり、デフレ脱却への大きな一歩となると考えるが同意するか。

十一.日銀は価格が変動する有価証券を四二二.五兆円保有している。一方で保有資産の損失に対する備えとして
引当金    四.五兆円 (負債の部)  
準備金    三.二兆円 (以上、平成二十八年九月十日現在。日銀営業旬報より)(純資産の部)
利益剰余金0.四兆円 (平成二十八年三月三十一日現在。日銀財務諸表より)(純資産の部)
の計約八兆円を保有している。つまり僅か一.九%の価格変動で債務超過になる。これは問題ないと考えるか。

十二.二0一四年度に消費税率は五%から八%に引き上げられたために、実質所得も消費も大きく落ち込み、経済は深刻な打撃を受け、未だに増税前の水準に回復していない。内閣府は二0一二年一月二十四日に消費増税による実質GDPの押し下げ効果は4年間の合計で僅か0.一%だと言っていたが、実際は実質GDPの伸びは二0一三年度二.0%、二0一四年度マイナス一.0%で、何と三%も落ち込んだ。内閣府の予測能力の欠如は二0一九年十月の再増税にも暴露されようとしている。試算によれば、実質GDP成長率は二0一八年度一.九%、二0一九年度二.0%、二0二0年度二.一%となっており、消費増税によって可処分所得が低下した影響は全く無いと主張している。消費増税の時期が十月だから、駆け込みと反動が打ち消すなどという言い訳は許されない。国民から見れば政府は増税しなければならないほど大変な事になっているのかと思い、さらなる節約をする。その結果消費が更に低迷し、経済が停滞、税収減少、GDPは伸びなくなる。政府は前回の消費増税の失敗を繰り返そうとしているように思えるが同意するか。

十三.答弁書の六についてで、アベノミクスで名目GDPは二十七兆円増加したとある。しかし、この中には消費増税によってかさ上げされた分が十兆円程度あり、さらに原油価格下落によって押し上げられた分も除けば、二十七兆円より大幅に少なくなるのではないか。政府目標は名目三%成長であり、三年間では四十五兆円増加していなければならないはずで、客観的に見れば大失敗ということにならないか。

十四.消費税を社会保障の財源としたことが、失敗の原因になっていないか。消費税収ほど、景気に強く左右される財源はない。消費税率を八%から十%へ引き上げる時期は、元々二0一五年十月と決まっていたが、景気悪化が理由で二0一七年四月に延期され、同じ理由でさらに二0一九年十月に再延期されたし、今後再々延期の可能性もある。つまり消費税収は、景気が悪化すれば税率が変化し、税収は大きく変わる。このような極めて不安定な財源を社会保障の財源にすべきではないと考えるが同意するか。

十五.現在の中学の公民の検定教科書では国債が国の借金であり、国民一人当たり巨額の借金を抱えていることになるといった、あたかも家計での借金と同じであるかのように説明されている。しかし実際は国債は家計の借金とは全く異なる面もある。
(一)日銀が刷ったお金で国債を買い取ることができ、償還期限が来るたびに借換債を発行するとすれば、政府は返済の必要がない。
(二)世界の多くの国では国の借金は増え続けているが、GDPも増えていて、その比が一定の値以下なら借金がいくら増えても問題になっていない。この点でも全く異なる。
従って、国債=国の借金=悪という説明は正しくない。こういった捉え方をしている限り、緊縮財政=善、積極財政=悪ということとなり、日本は永遠にデフレ地獄から抜けられなくなると思うが同意するか。

――――――――――――――――――――

答弁書第18号
  内閣衆質192第18号
    平成28年10月7日
                     内閣総理大臣 安倍晋三
    衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員福田昭夫君提出日銀の政策変更で今後国債の暴落は起こり得なくなったのではないかという疑問に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

衆議院議員福田昭夫君提出日銀の政策変更で今後国債の暴落は起こり得なくなったのではないかという疑問に関する質問に対する答弁書

1及び10について
国債の価格は、金融政策のみならず、経済・財政の状況等の様々な要因を背景に市場において決まるものであり、その動向について言及することは市場に無用の混乱を生じさせかねないことから、国債の価格の動向に関するお尋ねにお答えすることは差し控えたい。
 日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、長期金利の操作を内容とする「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続するとしている。政府としては、平成25年1月22日に政府及び同行が共同で公表した「内閣府、財務省、日本銀行「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について(共同声明)」」にもあるように、デフレからの早期脱却と物価安定の下での持続的な経済成長の実現に向け、政府及び同行の政策連携を強化し、一体となって取り組んでまいりたい。

2について
 我が国の財政については、極めて厳しい状況にあり、デフレ脱却・経済再生を図りつつ、その持続可能性を確保することが重要である。政府としては、「経済財政運営と改革の基本方針2015」(平成27年6月30日閣議決定)に盛り込まれた「経済・財政再生計画」に基づき、平成32年度の財政健全化目標の達成に向けて、経済と財政双方の再生を目指す経済・財政一体改革に取り込むこととしている。

3について
 実質GDP成長率2%程度、名目GDP成長率3%程度を上回る経済成長を実現するためには、中長期的に潜在成長率を押し上げていくことが必要である。そのため、「未来への投資を実現する経済政策」(平成28年8月2日閣議決定)により民需主導の持続的な経済成長と1億総括役社会の着実な実現につなげるとともに、働き方改革に取り組むなど、あらゆる政策を総動員してまいりたい。

4、8及び9について
 [経済財政モデル(2010年度版)」(平成22年8月内閣府公表)において公表している乗数表では、御指摘の「国債の発行を増やせば増やすほど、国の借金の対GDP比は減っていく」とのケースは示していない。
 また、「中長期の経済財政に関する試算」(平成28年7月26日経済財政諮問会議提出)における長期金利は、内閣府の計量モデルに基づき、経済と財政が整合的となる一つの姿として、一定の前提の下で試算を行ったものである。
 今後長期金利が上昇しないとの仮定を前提としたお尋ねにお答えすることは困難である。また長期金利は、経済・財政の状況等の様々な要因を拝啓に市場において決まるものであるため、ご指摘の長期金利を固定した場合についての乗数を試算する予定はない。

5について
 お尋ねの「国の債務の対GDP比ではないと答弁の間違いが訂正されたと理解してよいか」の意味するところが必ずしも明らかでないが、先の答弁書(平成28年5月13日内閣衆質190第255号)8についてでは、累増が見込まれるのは国・地方の債務残高であることを述べたものである。

6について
 お尋ねについては、仮定の御質問であることからお答えすることは差し控えたいが、一般論として申し上げれば、日本銀行が保有している国債も政府の債務として扱うべきと考えている。

7について
 日本銀行が保有する国債が償還期限を迎えたときの対応については、同行が、適正に判断するものと考えているが、一般論としては、無利子・無期限の債券に経済的価値を認めることは難しいと考えられることから、ご指摘の「コンバート」を行えば、財政運営及び通貨に対する信認を著しく損なうおそれがある。

11について
 お尋ねについては、仮定のご質問であること、また、日本銀行の金融政策運営に関するものであり、同行の自主性を尊重する観点から、お答えすることは差し控えたいが、一般論として申し上げれば、同行の財務の健全性については,まずは同行において関係法令の規定に則して適切な運営が図られるべきものであると考えている。

12について
 「中長期の経済財政に関する試算」では、平成31年10月の消費税率引き上げの影響について、駆け込み需要・反動減に加え、物価S上昇による消費への影響も試算に織り込んでいる。
 また、政府としては、同月の消費税率の10%への引き上げに向けて、確実に成果を生んでいるアベノミクスを一層加速させ、経済財政運営に万全を期していくこととしている。

13について
 消費税率引き上げや原油価格の変動が経済に与える影響は様々であると考えられ一概にお答えすることは、困難であるが、デフレではないという状況となり、雇用・所得環境も確実に改善していると考えている。

14について
 消費税は、税収が景気や人口構成の変化に左右されにくく安定している、勤労世帯など特定の者へ負担が集中しない、といった特性があり、社会保障の財源としてふさわしいと考えている。
 政府としては、平成31年10月の消費税率10%への引き上げに向けて、確実に成果を生んでいるアベノミクスを一層加速させ、経済財政運営に万全を期していくこととしている。

15について
 我が国の財政状況については、国・地方の債務残高がGDPの2倍程度に膨らみ、なおも更なる累増が見込まれるなど、極めて厳しい状況にある。政府としては、引き続き、デフレ脱却・経済再生を図りつつ、適切な財政運営を行って行くべく、「経済・財政再生計画」に沿って、「デフレ脱却・経済再生」、「歳出改革」、「歳入改革」を三本柱として、「経済・財政一体改革」に取り組んでまいりたい。

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コメント

答弁書についてコメントする 
1及び10について
国債の価格は、金融政策のみならず、経済・財政の状況等の様々な要因を背景に市場において決まるものだと述べている。一方で日銀は長期金利を0%程度とする金利目標を立てている。ということは、政府は日銀を信用していなくて、どこかの外国のファンドが国債の売りを仕掛けたら、日銀は無能だからそれに応じることができず、金利は30%とか50%とかに暴騰し、国債は暴落すると言いたいのか。是非聞いてみましょう。
それとも内閣府の試算どおりのペースで金利は上がって行って、日銀はそれに対して何もできない無能な存在だと考えているのか。

2について
まだ財政が厳しいと言っています。つまり財政破綻しそうなのか。それは国債が暴落するからか。それは日銀が無能だからか。いや、日銀は力があると言うなら、長期金利は0%」に保たれるし、それは政府がタダでいくらでも資金を調達できるということだから、財政は厳しくないはず。

3について
財政を拡大せず、潜在成長率を高めるのだと言っている。そんなことばかり言っていたから「失われた20年」を経験することとなった。もう十分構造改革はやってきたし、それによって景気は回復しないことは分かったはずだ。

4,8及び9について
[経済財政モデル(2010年度版)」(平成22年8月内閣府公表)において公表している乗数表では、御指摘の「国債の発行を増やせば増やすほど、国の借金の対GDP比は減っていく」とのケースは示していないのだそうである。
よくぞ言ってくれました。それなら納得するまで説明してあげましょう!!

5について
分かればいいんです。でも「15について」を読むとまだ分かっていないことが分かります。こんなに忘れっぽいのってぼけ老人ですよね。

7について
無利子・無期限の債券に経済的価値を認めることは難しいのだそうです。国が日本国債に関し経済的価値は無いと言っていいんですか。1万円札だって同じでしょう。価値がないと言えばそうだし、価値があるとみんなが言えばあることになる。無利子無期限の国債は価値があると政府が認め、必要なら政府が買い戻すということにすればよいだけ。
通貨の信認を失うおそれがあるそうだが、日本円が国内で通用しなくなるということでしょうか。

11について
定型文で逃げましたね。

12について
消費税率の引き上げの試算は全くデタラメですね。石原伸晃氏は15%にせよなんて言っていますから、それも聞きましょう。

13について
何を寝ぼけたことを言っているのでしょう。内閣府で具体的な計算を行っているのでそれとの整合性を言ってもらいましょう。

14について
質問の意味を理解しなかったか、話を逸らしたか。

15について
前もこれと同じ定型文で答弁していました。それに対し我々は、それは間違いで、内閣府の試算では国・債務のGDP比は下がると言っていると追求したら、今回の答弁書「5について」で、累増が見込まれるのはGDP比ではなく、債務残高そのものだと訂正がありました。それなのに、ここでもう一度元の定型文を出してくるとは呆れてしまいます。「5について」で何を書いたかを覚えていれば、この定型文を使うことは なかったはずです。この文書を書いた人はきっとボケ老人なのでしょう。

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2016年10月 3日 (月)

10月2日 高橋是清が経済再生に成功したヘリコプターマネー(No.216)

高橋是清が行った日銀の国債引受がヘリコプターマネーではないと主張する人がいる。引き受けた国債の大部分はその後市場で売ったからという理由からだ。その議論が間違いであることは世界大恐慌の後の日本とドイツの経済を比べるとよく分かる。両国共、中央銀行に国債を買い取らせ資金を得て財政を拡大し、急速に景気を回復させた。回収しないヘリコプターマネーだ。それを行った中心人物は日本では高橋是清大蔵大臣であり、ドイツではヒャルマル・シャハトであった。両国共多額の公債を発行し、多くは軍備拡大に使われている。高橋もシャハトも、公債を発行し過ぎるとインフレが進むことを警戒し、発行額を制限しようとした。

これに反発した軍の一部の将校により、1936年高橋是清は暗殺された。いわゆる2・26事件である。一方シャハトは激怒したヒットラーにより1937年11月に経済相と全権委員を解任されている。そしてこの2人が去った後、軍拡はますます進み戦争へ動きは誰にも止められなくなっていた。

日本もドイツも、軍備拡大を行いながら、インフレは抑えようとしている。当時は現在ほど物があふれているわけでもなく、物不足になったとき、それを補うほどの輸入もできなかったからインフレになりやすい経済状況にあった。そのため限られた資金を国民から軍事費へと振り向けようと様々な試みがなされている。

ドイツでは貯蓄が奨励された。その中心となったのが全国の貯蓄銀行であった。貯蓄銀行は1931年の改革で独立法人となっていた。政府は「国民貯蓄会議」を設立し、「貯蓄は労働とパンをもたらす。浪費は国家建設のサボタージュ」と宣伝した。「旅行貯蓄」や「オリンピック貯蓄」など特別貯蓄制度も貯蓄熱をあおった。「鉄の貯蓄」という、租税を減免し、戦争勝利の後に払い戻すことを条件とした貯蓄もあった。貯蓄銀行は公債を買い支え戦争財源を提供した。

当時の日本でも1930年から1931年にかけて発生した昭和恐慌だが、高橋是清が日銀の国債引受による大規模な景気対策で経済を立ち直させた。1932―36年の間、日銀が引き受けた国債のほぼ90%は、市中に売却されたという理由で、この資金は回収されたのだからヘリマネではないという反論がある。しかし一見回収しているように見えるが、これは過度のインフレを抑えるためでもあり、軍事費に資金を回そうという意図もあった。軍事産業に資金が使われれば、例えばその産業で働く労働者の賃金の形で国民に資金が流れるのであり、完全に回収されたわけでなく、やはりヘリマネと言える。

当時の日本は日清・日露・第一次世界大戦と3回連続で戦争に勝利しており、占領地を広げつつあった。欧米諸国(特に大英帝国・アメリカ合衆国)の植民地支配から東アジア・東南アジアを解放し、東アジア・東南アジアに日本を盟主とする共存共栄の新たな国際秩序を建設しようという大東亜共栄圏構想があった。1937年に日中戦争、1939年からは第二次世界大戦が始まり「欲しがりません勝つまでは」「贅沢は敵だ」という標語がいたるところで見られ、国民合意の上で国民生活を一次的に犠牲にしても軍事中心の財政政策を行うことになった。

両国共不況からの脱却には成功したが、輸出入額は少なく、資源不足に陥り、資源獲得のため戦争へと突入してしまった。現在の日本はヘリマネでデフレ脱却は簡単にできる。物余りの時代、ハイパーインフレはあり得ないし、日銀が長期金利を0%に固定するのだから国債の暴落もない。

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