トランプ氏の積極財政への期待でダウ平均株価は史上最高値を更新(No.226)
最近のテレビは物価が上がっても賃金が下がれば年金が減るという法案の話を何回もしている。政府も物価が上がり賃金が下がることを予測して、その時のための対策を練っているのだろう。これにより政府が自ら国民にデフレマインドを助長している。こんなことをしていると、ますます国民は将来不安を持ち、今のうち倹約しておかねばと思うようになる。物価が上がっても賃金が下がった場合の対策にこんなに力を入れている馬鹿な国は日本だけだろう。
米国はトランプ次期大統領が積極財政政策を発表しただけでダウ平均株価は史上最高値を更新した。日本だって同様に思い切った財政拡大策を出せば良い。そうすれば、日経平均も史上最高値の38915円を超えることができるに違いない。積極財政政策で金利も物価も上がる。実は米国にとってはこれは微妙な問題だ。金利が上がればドル高になるし、そうなれば製造業は競争力を失う。トランプは製造業を米国に取り戻すと約束して大統領になったのだから、日本や中国との貿易摩擦へと発展しそうだ。
一方、日本が積極財政政策を行う場合、金利が上がろうとすると、日銀が大量の国債購入で阻止するから金利は上がらない。物価は上がるが、それは諦めかけていたインフレ目標が達成されるということでこんなに嬉しいことはない。失われた20年に終止符を打つことができる。それだけではない。名目GDPの増加は国の借金のGDP比を下げ、実質的に国の借金を軽くする。そのことは、内閣府のシミュレーションで示されている。日本の景気が回復すれば、需要が拡大し米国からの輸入も増え日米貿易摩擦は解消の方向に進む。
財政に頼らず金融だけで経済を回復させようとして失敗した政府だが、その理論的な支柱であった浜田宏一氏は、その考えが間違いだったということを11月15日に日経新聞で明かにした。それはジャクソンホール会合の基調講演でノーベル経済学賞を受賞したクリストファー・シムズ氏(プリンストン大教授)が「金融政策が効果を発揮するには財政政策の裏付けが必要」と主張したことで浜田氏は自分の誤りに気付いたという。やっと我々の主張が理解されたということであり、今こそ政府は積極財政へ政策の大転換を行う時だろう。
「政府は国民の持つ将来不安の解消のための努力を怠っているのではないか。」と質問主意書で聞いてみた(正確には福田昭夫議員に聞いてもらった)。少しはまともな答弁が得られるかと期待したのだが、政府はひたすら「財政が厳しい。国債を増発すれば国債の信認が落ちるから緊縮財政を行う」という。
しかし国債の信認が高まれば高まるほど、金利は下がる。現在のマイナス金利が更に下がると、金融機関に更に深刻な悪影響を及ぼし、それが企業への融資の妨げになる。トランプ氏の政策のように積極財政であれば、国債の信認が落ちて金利が上昇しGDPを押し上げる。世界各国のマイナス金利を押し上げ、マイナス金利を解消し「正常化」に成功している。
質問主意書の答弁書では成長戦略で改革をやっているんだと主張している。この程度の改革で失われた20年からの脱却ができると思っているのだろうか。トランプ氏は「改革案」を出しただけで、市場に好意的に受け止められ、米国の株は史上最高値を更新し続けている。
1982年の鈴木善幸内閣ですでに財政非常事態宣言が出ている。34年も前の国の借金がほとんど無かった頃から日本政府は財政が厳しいと言い始めた。トランプ氏は国の借金など全然気にしていないことに日本政府も注目すべきだ。
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コメント
今晩は。higashiyamato1979です。なんのかんの言ってもリーダーの育つ素地のある国は羨ましいですね。日本は草の根の国民の力だけが頼みです。
それでは決まり文句! お金が無ければ刷りなさい! 労働はロボットに!人間は貴族に!
投稿: higashiyamato1979 | 2016年12月 1日 (木) 17時16分