日銀の国債を無利子・無期限の国債に置き換えたらどうなるか(No.228)
OKWaveというサイトでこの質問をしたら、素晴らしい回答が返ってきた。これは質問主意書や予算委員会などのやり取りよりはるかにハイレベルなやり取りになったので是非紹介したいので以下に書きます。
【質問者】
衆議院議員の質問主意書で、日銀の国債を無利子・無期限の国債に置き換えたらどうかと質問したのに対し政府の答弁は「それをやると通貨の信認が失われる」というものでした。それに対し、「通貨の信認が失われると、日本国内で日本円が使えなくなり、物々交換以外の経済活動が全部ストップするということか」と再質問すると、政府答弁は「日本円が使えなくなるとは考えていない。通貨の信認が失われると激しいインフレが起きる」というものでした。つまりハイパーインフレになるだろうと言うのです。しかし過去の答弁書(内閣衆質190第39号において「ハイパーインフレ-ションは、戦争等を背景とした極端な物不足や、財政運営及び通貨に対する信認が完全に失われるなど、極めて特殊な状況下において発生するものであり、現在の我が国の経済・財政の状況において発生するとは考えていない。」と答えていますので明らかに矛盾しています。ということは、日銀の国債を無利子、無期限のものに置き換えても、何も困ったことは起きないということではないですか。
無利子・無期限の国債はもはや国の借金ではありませんから、置き換えにより国の借金は一気に半分近くに減少することになると考えますが如何でしょう。
【回答者】
『無利子・無期限の国債』を質問者さんは持ちたいでしょうか。
「無期懲役」というのは、期限の定めがないということだそうで、囚人は十数年で刑務所から解放されたりするようですが、本件の場合の「無期限」ということは「期限が来ない、永久に」という意味でお使いですよね?
ということは永遠に「円」に変わらないということですから、誰も持ちたがりません。税務署や自治体だけが、誰も欲しがらないような物品でも「100万円の価値あり」とか言って課税してきますが、「じゃあ税務署や市にタダで寄付する」と言っても受け取りません。
「現金ではなくその国債で納税する」と言ったら税務署は拒否するでしょう。
税務署もふくめ誰も買わない国債は、紙切れ(最近は紙切れも発行しないが)・数字にすぎません。そんなものを大量に抱えても、お金の代わりにはなりません。
つまり、市中銀行が「緊急事態だ!カネを貸してくれ」と日銀に頼んでも日銀には「お金がない」という事態に陥るわけです。
お金がなければ、取り付け騒ぎなどになっても援助ができないから、市中銀行の倒産も現実になりますし、助けてくれない日銀など市中銀行には無価値。「A銀行はB銀行を救済合併しないさい」なんて日銀が言ったって誰が従うか!、という話。
結局、日銀は日本銀行券を印刷してお金を用意するしかないのです(インフレ要因)。
また逆に、「インフレ傾向が出たから市中のお金を吸い上げたい」と思って、日銀が売りオペレーションをやろうとしても、銀行は「誰も買わない・利息も付かない国債」など受け取りません。
市中銀行は「営利団体」ですから、そんなものを受け取る経営者は背任罪ですし、利益度外視で受け取らせても、銀行の金庫がカラになって取り付け騒ぎに応じられなくなります。お金を引き出しに来た人に、「代わりに無利息で永遠に円にならない国債を渡します」なんて言ったって、誰がOKするでしょう。
ふつうは、市中銀行が押しつけられた国債を一般企業・個人に売って、銀行の金庫をお金で満たす(市中のお金が回収されてインフレが止まる)のですが、そんな紙切れは誰も買わないから、銀行にお金が戻ってくる(出回っているお金が回収される)こともない。
かくして、日銀はインフレを事前に阻止するなど、景気のコントロールできなくなるのです(インフレ加速要因)。
弊害はもっとたくさんあります。止めた方がいい政策です。
【質問者による反論】
江戸時代は改鋳を繰り返し通貨の量を増やして経済を拡大してきました。無利子無期限の国債を日銀に保有させることは、市場に成長通貨を供給し停滞する日本経済を蘇させる手段なのです。実際、日本銀行は大量の国債を保有しており、その利子は日銀納付金として国庫に返しています。さらに、借換債を発行しいくらでも繰り延べできますから事実上無利子・無期限の国債を持っていることと同じです。つまりこの置き換えによって何も変わることはありません。しかし、変わるのは国民の意識です。もうこれは国の借金ではなくなったと国民が考えるようになったら日本人に希望を与えるのは間違いありません。今のままだと、日本人全員が一生の間苦痛に耐えて一生懸命返済したとしても決して返せません。大増税をして恐慌に耐えたとしても返せません。そんな絶望から、この置き換えで抜け出すことができる素晴らしい政策なわけで、江戸時代の経済を発展させた政策なのです。
日銀にお金が無くなる話をされましたが、通貨発行権には限度があるのですか。第一次大戦の後のドイツも随分お金を刷りましたが、限度があったわけでなく、インフレを止めたくなったから刷るのをやめただけです。止めた瞬間にインフレは止まりました。日本もインフレ目標に達した瞬間に止めればよいだけでしょう。
インフレ傾向が出たから市中のお金を吸い上げたいと思ったら、政府がその無利子・無期限の国債を買い上げ、増税をすればよいだけです。つまり余った通貨を市場から吸い上げ、そのお金で日銀から国債を買う。つまりお金の流れを逆にすればよいだけです。これでインフレは阻止できます。弊害なんてありません。
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コメント
こんにちは。higashiyamato1979です。この回答者氏の回答は少なくとも政府よりは誠実さが感じられると思います。
それでは決まり文句! お金が無ければ刷りなさい! 労働はロボットに!人間は貴族に!
投稿: | 2016年12月19日 (月) 14時45分