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2017年3月 6日 (月)

政府はもっと経済学を勉強しなさい(No.237)

よく中国の経済統計は信頼性に欠くと言う人がいる。でも経済成長率予測では、予測された数字と実際との差は小さい。これは日本と大違いだ。日本の場合はいつも名目3%成長すると言っていて、それが現実はほぼ0%成長になってしまうという状態がずっと続いている。その結果現在の名目GDPは20年前のGDPとほとんど変わっていない。もし20年前から3%成長を続けていたら、現在のGDPはほぼ1000兆円になっていたに違いないのだが、成長率予測が外れまくって、現在に至っている。0%成長と言い続けていた方が余程正確な予測だっただろうし、中国などに比べ内閣府の経済予測能力はケタ違いに低い。GDPが1000兆円ということは、今より2倍豊かになっていたということだ。

成長率を上げるのは簡単だ。財政を拡大するだけで十分であり、我々はそれを一貫して主張してきた。なぜそうしないのかと言えば、財政を拡大しても経済の拡大は一時的で元に戻せばまた成長しなくなるからという。しかし、どこの国でも財政はずっと拡大しつづけているから経済は拡大をつづけるのであり、「元に戻す」必要はないのだ。質問主意書という形で政府に質問し、その答弁書から明かになったことだが政府は需要と供給の関係を正しく理解していない。政府が信じている経済学によれば、価格は需要と供給の関係だけで決まるのでは(なく、通貨の信認が決定的な役割を演じるそうだ。国債を多く発行すれば通貨の信認が失われ激しいインフレになるという。それなら日銀が保有する国債を無利子・無期限のものに替えてやれば(コンバートということにする)、それはもう国の借金ではなくなるので、通貨の信認は取り戻せるだろうと聞くと、無利子・無期限の国債は価値がないなどと見当違いの答弁をする。それなら政府が価値があると認めている政府貨幣か政府紙幣との交換(コンバート)でよいだろう。通貨の信認が失われれば消費・需要は伸びなくても激しいインフレになると政府は主張する。

こんなインチキ経済学を政府が信じているために、国民は失われた20年という地獄を経験した。日本経済を復活させるには、この経済学がインチキだと国民に気付かさなければならない。政府の信じている経済学に従うと、売上げが伸びなくて苦しんでいる商店、デパートなどが、通貨の信認が失われたとして突然大幅値上げをするというのだ。政府は国民の気持を理解していない。物が売れない時にコンバートがあったからと言って2倍、3倍も値段を上げるわけがない。要するに政府は国民が売上げが伸びない環境でも必死で生き残ろうとしている厳しい状況を全く理解していない。国民の心を理解できずに経済財政政策がうまくいくわけがない。

平成14年5月9日の日経新聞でのノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツの政府貨幣発行に関する発言に注目して頂きたい。「増発された紙幣は消費を刺激せず、インフレにつながるだけだとする矛盾に満ちた主張も一部に見受けられる。消費に回らなければ、どうやってインフレを促進することになるのか。」要するに、スティグリッツ氏が政府貨幣を発行して景気を刺激せよと提言したとき、馬鹿な連中はそんなことすれば通貨の信認が失われてインフレになるが、消費はのびないというあり得ない説を唱えた。あのとき彼の提言を受け入れ政府貨幣を発行して景気を刺激していたら、最低3%成長は可能であったから今頃はGDP750兆円の繁栄を享受していたに違いない。国の借金の問題も忘れ去られていただろうし、年金制度が維持できるのかと心配する人もいなくなっていただろう。

政府は間違えた経済理論に基づいてデフレ脱却を目指しながら緊縮財政を行うという危険な、社会実験を行っている。一刻も早く間違いに気付いて欲しいと願う。

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コメント

 今日は。higashiyamato1979です。やはり政府、特に財務省とそれとグルになったメディアの罪は重いです。何しろ産経ですら財務省の発表を鵜呑みにして「厳しい財政事情がー」だの「日本は実質的に破綻しているー」などと言っています。我々国民が賢くならなければなりません。
 それでは決まり文句! お金が無ければ刷りなさい! 労働はロボットに!人間は貴族に!

投稿: higashiyamato1979 | 2017年3月 7日 (火) 12時29分

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