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2017年6月19日 (月)

公共投資を増やせば債務残高の対GDP比が下がることを日経が認めた(No.251)

6月9日に閣議決定された骨太方針2017において「PB(基礎的財政収支)を20年度までに黒字化し、同時に債務残高のGDP比を安定的な引き下げを目指す」ことが目標の一つに決められた。債務残高のGDP比の引き下げを目標にするなら財政拡大しかないので、我々の長年の主張の一部は取り入れられたことになる。それに対する反対意見が6月17日の日経の大機小機に載せられた。その主張に反論する。

日経の主張:長期金利と経済成長率は同じ動きをするから債務のGDP比は下がるわけがない。
反論:現在日銀が国債の多くを保有していて、その保有額は増え続けている。日銀保有の国債の利払いは国庫に戻される。例えば日銀が全部国債を買ってしまえば利払いは全部国庫に回収される。また日銀は資金をいくらでも市場に供給可能であり、経済成長率以下に金利を抑えることは可能だからこの主張は完全に否定される。

日経の主張:公共投資をすれば債務のGDP比は下がる。債務残高がGDPの倍近くある下で、公共投資の追加分が分母のGDPに加わるからである。しかし、公共投資のGDP押し上げ効果は一時的で、分子の債務残高は確実に増加していく。これがバブル崩壊後のわが国財政を先進国最悪にした原因であったはずだ。
反論:公共投資をすれば債務のGDP比は減ることは我々の長年の主張であり、やっと日経が認めたということは大変喜ばしい。しかし、押し上げ効果は一時的だから、止めてしまえば債務のGDP比は再び増加し始めるというのは当然だ。止めずにどんどん増やし続ければGDPは増え続けるから債務のGDP比も減り続ける。これは日経の日本経済モデルを使って実証済みである。

つまり債務のGDP比が世界最悪になったのは、公共投資を削ってデフレ経済に陥り、GDPが減少したり、伸びなくなったりしたためである。何も公共投資に限ることはない。特に現在は人手不足なのだから、AIやロボットなどに巨額投資をして人手が無くても生産を伸ばせる工夫が必要である。現在世界を見渡して、元気な企業はどこか見れば良い。時価総額ランキングでベスト5は、アップル、アルファベット(グーグル)、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブックである。こういったIT企業が国の経済を牽引しているのであり、日本もこういった企業に対抗できる企業を育てていかないと日本の未来は暗い。

残念ながら、日本政府と国会は森友・加計学園問題ばかり議論していて、与野党とも没落する日本経済を救おうとしていない。忖度とか怪文書とか追求しても日本経済の発展にはつながらない。国会の運営費は1日3億円と言われているから、大変な税金の無駄使いと言える。忖度などではなく、逆に首相にもっと強い権限を与え、鶴の一声で日本版シリコンバレーを特区でつくり思い切った規制緩和をしたらどうだろう。そこで企業誘致のため大規模な減税をし、AI人材養成のために特化した大学もつくり優秀な人材を世界中から集めたらどうか。世界中から優秀な人材を大量に引き抜き、自動運転のテストも公道でできるよう規制緩和をし、上記IT企業に勝てる企業を育てる。AI・人工知能に必要なビッグデータを人海戦術で集める。

ドローンによる配送、無人の農業機械の運用、無人レジなど小売り・物流のロボット化、ホテル・レストランのロボット化など、首相に強い権限を与え国主導で強力にAI化・ロボット化を進めるべきである。AIの分野では周回遅れと言われる日本だが、かつての「追いつき追い越せ」のキャッチで国を挙げてAI産業を支援するときだ。

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コメント

 今晩は。higashiyamato1979です。日経も本当は真相を知っているのでしょうね。しかし、ありのままに書くことが出来ないのが最大の問題点ですね。
 それでは決まり文句! お金が無ければ刷りなさい! 労働はロボットに!人間は貴族に!

投稿: higashiyamato1979 | 2017年6月20日 (火) 17時10分

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