財政の豊かな東京都は積極財政であるべきだ(No.253)
先日都民ファーストの会から支持をしてくれとの電話があり、キッパリとお断りした。この党はとても都民ファーストとは思えない。選挙で勝つことだけを考えている都民無視の会だと思う。元々昨年の11月に卸売市場の豊洲移転が決まっていたのに、安心・安全が確保されていないという理由で、独断でそして密室で延期を決めてしまった。一方で豊洲市場における土壌汚染対策等に関する専門家会議は科学的に安全であると結論した。それに対して、専門家でもない小池知事が専門家の結論を無視して「安心が確保できていない」と非科学的な判断をして移転を止めていたが6月23日の定例会見では「追加の安全対策をした後豊洲の安全宣言を出す意向」を示した。追加の安全対策が科学的には全く意味のないものであり、税金の無駄使いにすぎない。結局小池知事の判断ミスによって豊洲移転が約1年半遅れることになる。
6000億円をかけて整備された豊洲市場であり、これを100年使うとして1年半の間これを遊ばせていたということは、減価償却費だけで90億円になる。移転を予定して準備していた業者への補償なども100億円近くなるなど巨額の損失はすべて都民の税金で支払われる。更に、新国立競技場など都心と選手村やMPC(国際メディアセンター)などを結ぶ「五輪道路」として地下トンネルが予定されていたが、それも断念せざるを得なくなった。都民のみならず日本国民に与えた損失額は巨額である。何のための移転延期かといえば、あたかも豊洲移転が「悪者」によって決められたのだという印象を植え付け、その悪者を百条委員会でつるし上げることによって自分がいかにも改革者であるかのように演じるためであった。まさに都民ファーストの会をPRするためだけの移転延期であり、そのために都民も国民も巨額の税金を払わされることとなった。しかも築地を「食のテーマパーク」にするなどということを都民の目の届かない密室で決めた。そんなテーマパークはどうせ大赤字になるとマスコミは言う。少なくとも密室で決めることではない。
これは税金の無駄使い(その額は桝添前知事の無駄使いよりはるかに多い)を陰でしながら他方でオリンピック施設の建設に関し様々な無駄な口出しをし、いかにも予算削減に貢献しているような印象を与えるパーフォーマンスだった。東京は大企業の本社が多数あり財政は豊かだ。一方夕張等地方は赤字で苦しむ。これはEUでドイツのような経済の強い国は財政黒字、ギリシャのような経済の弱い国は財政赤字で苦しんでいることに似ている。つまり東京とドイツは財政黒字だが、夕張とギリシャは財政赤字に苦しむ。全体のバランスを考えれば財政黒字なら思い切った積極財政をすべきである。ハイパーインフレになる恐れは物余りの現代ではあり得ない。例えば東京は首都高速道路が古くなっていて新しくする必要がある。電柱の地下化も必要だ。もちろん地方自治体は通貨発行権を持っておらず、「景気対策」にも限界がありその限界内で景気浮揚のために貢献すべきだ。EUにおけるドイツも同様だろう。
しかし、景気対策は最終的には通貨発行権を持つ政府が行わなければならない。「53か月連続で景気が拡大している」とか「2014年度の消費増税の際でも景気後退には至らなかった」とか楽観的すぎる見方で2019年度の消費増税を認めさせようとする。失われた20年で、日本は世界でも際立って低い経済成長を続けてきて没落を続けている。世界における日本のGDPのシェアは1993年には17.9%であったものが2016年には5.5%まで下がっている。こんな悲惨な状況を受け入れてはいけない。一刻も早く国を挙げて(東京都も協力して)消費を拡大し、失われた20年を少しでも取り戻す努力をすべきである。
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