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2017年6月 5日 (月)

現在の日本経済は第二次世界大戦前夜の経済状況に似ている?(No.249)

米国はパリ協定離脱という全く馬鹿げた方針を打ち出したし、日本の国会はと言えば森友学園問題とか、加計学園問題とかという、デフレから脱却し国民生活を豊かにするためには全く役に立たない議論ばかりでうんざりする。日本の国会は1日で3億円かかると言われており、こんな些末な議論ばかりしている国会などいらないと感じてしまう。なぜ国民生活に重大な影響を与えるデフレ脱却の方法、没落する日本経済を救う方法を真剣にそして徹底的に議論しないのだろうか。

現在の日本経済は第二次世界大戦前夜の経済状況に似ているという論評(編集委員 永井洋一)が6月2日の日経QUICKニュースで流れた。人手不足でも賃金が伸びず、消費が低迷しているところが似ているのだそうだ。しかしながら当時の状況は今とはまるで違う。当時は満州事変が勃発し、働き手の多くが戦場に送られたし、軍需工場でも働かされたから人手不足も当然だ。日銀の国債引受により得た莫大な資金がそれを支え歳出に占める軍事費の割合も50%を超えた。その資金が国民に流れ消費が拡大すれば、インフレが進んでしまうからという理由で、国は消費を抑えるために様々な施策を行っている。

1,日銀が引き受けた国債を市場で売り、国民からお金を回収した。
2.「欲しがりません勝つまでは」」「ぜいたくは敵だ!」「日本人ならぜいたくは出来ない筈だ!」「足らぬ足らぬは工夫が足らぬ」「遂げよ聖戦 興せよ東亜」「聖戦だ 己れ殺して 国生かせ」「進め一億火の玉だ」「石油(ガソリン)の一滴、血の一滴」「全てを戦争へ」などの戦時標語を掲げ、女性や子供を含む非戦闘員の国民にまで耐乏生活を強いた。従わない者は「非国民」と言われ迫害を受けた。
3.国民貯蓄増強として国民の愛国心に訴え、事実上の強制割り当てで貯蓄をさせた。貯蓄組合が貯蓄推進の実行団体となった。厳しい貯蓄目標が出されたが、実際にはその目標を上回るだけの貯蓄があった。欧米の植民地支配からアジアを解放するという大義名分の下、国民が一致団結した。
4.物不足に苦しみ、1941年には米の配給制が始まり闇取引も行われた。

消費が伸びない理由が、永井氏の主張するように当時と現在で同じだろうか。当時は物不足に耐えてでも戦争に勝とうとしていたのだ。それと反対に現在は物余りで政府は消費が伸びて欲しいと思っているのに、歳出削減や消費増税などの増税を行っている。支離滅裂な経済政策で日本は20年を失った。

そもそも日本人は倹約が美徳と考え、借金をしてまで浪費をすることを嫌う。「もったいない」が国際用語になってしまった。環境問題を考える上でそれは悪いことではない。しかし豊かで持続可能な社会を建設するにはむしろそのためにお金を使ったほうがよい。パリ協定から離脱するより、お金を刷って環境対策をしっかり行った方が、雇用を多く生み出ししかも環境に優しい。

戦前・戦中には政府に騙され戦争に勝つために節約を強要されたが、戦争が誤りであったのは国民全体が理解している。今は平和の時代。北朝鮮もいきなり日本に先制攻撃を仕掛けてくることは考えられない。戦争から解放され、物余りの時代になったのだから、これからはもっと国民にお金を渡し、平和の報酬を国民に与えるべきである。そのためには消費増税でなく、消費減税であり、人手不足対策のためのAIロボット投資、少子化対策、教育投資などいくらでも投資先はあり、刷ったお金の使い道には困らないはずである。

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コメント

 今晩は。higashiyamato1979です。今こそ政府はお金をどんどん刷って国民に渡すべきです。「欲しがりませう勝つために」ですね(笑)。
 それでは決まり文句! お金が無ければ刷りなさい! 労働はロボットに!人間は貴族に!

投稿: higashiyamato1979 | 2017年6月 5日 (月) 18時21分

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