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2017年7月

2017年7月29日 (土)

真アベノミクスを求める要望書(No. 257)

西田昌司のブログより引用します。
http://ameblo.jp/j-shoujinishida/entry-12296338100.html
自民党参議院議員でつくる「故郷を支援する参議院議員の会」(会長・吉田博美)は7月27日に安倍首相に次のような要望書を提出した。同会は、同党参議院議員の約8割にあたら99人が所属している。

                 平成29年7月27日
        真アベノミクスを求める要望書
                    故郷を支援する参議院議員の会
アベノミックスは金融と財政と民間が協調して経済を再生させるプログラムであり、その方向性には問題はない。
 しかし、期待通りの成果が上がっていないのが現実である。その一番の原因はPBに縛られ事実上財政出動をしてこなかったことである。政府が積極的に財政出動をせずに民間に積極的投資を期待するのには無理があった。
 少子化対策や、地方喪失対策など国民の切実な要望に真剣に応えるのが政府の使命である。これを、財政規律を理由に拒否することはあってはならない。経世済民こそが政治家の使命なのである。
 今こそ、政府挙げて国民の切実な要望に耳を傾けるべきである。災害対策のための国土強靱化は勿論のこと、新幹線のネットワークの充実や高速道路網の整備をはじめとするインフラ整備の長期計画を立案し必要な予算措置をすべきである。
 少子化の弁員の一つが家計における教育費の増大化である。給付型の奨学金の充実を始め、国立大学の授業料を定額に戻すべきである。地方を支える優秀な人材を地方で育てることは、東京一極集中に歯止めをかけるためにも重要である。
 地方交付税を増額し、地方予算を政府が財源保証することも地方再生のためには重要である。その他、各省庁に経世済民のためにすべき10年計画を作成させ、必要なものから順次予算化させることが重要である。
 大切なことは、政府が経世済民のための長期計画を作成し、順次予算化することである。これにより財政出動額が長期的に増えるためGDP増加に直接効果がある。また、長期計画を国民に知らせることで、それに協調する民間投資が増える。経世済民のための長期計画を示すことで国民が将来不安を払拭する。それが、少子化に歯止めをかけ消費を増やし、結果的にデフレから脱却し、経済を成長させることになるのである。
 尚、そのための財源はデフレ期には国債でまかない、デフレ脱却後は、消費税のみならず法人税や所得税も含めた税制の抜本改革を速やかに行い、社会保険料も含めた国民負担率を西欧並みの50%程度に引き上げる必要がある。
 ビジネルサイドからの目線ではなく、国民サイドからの目線による経済政策、それが真アベノミクスである。直ちに、真アベノミクスに基づく経済対策を行うことを求める。

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2017年7月20日 (木)

今年も内閣府計量分析室はオオカミ少年だった(No.256)

7月18日に内閣府から「中長期の経済財政に関する試算」が発表された。よくもまあここまで数字をでっち上げられるものだと呆れてしまう。電話で担当者に話しを聞いても鉛筆ナメナメで作られたものだということが確認できた。

直ぐ気付くのは2016年度の名目成長率が前回の1.5%から1.1%に下方修正されたことだ。さすがオオカミ少年で、これから景気は良くなりますよと言っておいて、後から「そうなりませんでしたが、来年度は景気は良くなります」と言う。これを毎年繰り返している。ここで下方修正するなら次の2017年度も下方修正するのが筋だろうと問い詰めても、2017年度の数字は「見通し担当」が出した数字であり当方は一切関係ありませんと言って逃げる。巧妙な責任転嫁の方法であり、バラバラの部署で作った数字を無理矢理一つの表にして責任のなすり合いをしている。全くふざけているとしか言いようがない。

内閣府は名目成長率は3%だと決めつけて試算を行っている。2001年度は500兆円だったから、3%成長がずっと続いていたら2016年度は779兆円になっていたはずで、オオカミ少年は懲りもせず毎年下方修正した結果、2016年度の名目GDPは537兆円にしかなっていない。こんな子供だましはもう止めて欲しい。

それにしても過去20年間の名目成長率は平均でほぼ0%なのに、ここで予測されているのは名目3%を超える信じがたい数字がずらりと並ぶ。何が原因で日本経済は一気に高成長になるのかと聞くと、改革によって生産性が上がり成長すると答えた。でも小泉内閣の時も構造改革を盛んにやっていたが、名目成長率はほぼゼロだったではないかという問いに対して内閣府は答えられなかった。

今回の予測は半年前の予測に比べ緊縮型だ。歳出を数兆円削減する予測となっている。それなら成長率は下がるはずだがそうなっていない。緊縮財政でも名目成長率は下がらないモデルなのかと聞くとそうではないという。そこにはトリックがあった。苦肉の策として金利を下げたのだ。それによって国の利払い費が下がり国債費が減り歳出を削減することができた。

世界は今景気回復局面にあり、金利は上昇し始めている。しかし、日本は取り残されていてひたすら異次元の金融緩和で金利を下げ続けるということだ。例えば2019年度には名目GDPは3.6%成長、物価上昇率2.3%なのだが、長期金利は僅か0.7%だ。過去の金融政策を見ると、2007年2月に日銀は金融市場調節の操作目標の誘導水準を0.25%前後から0.5%前後に引き上げた。成長率もインフレ率もほぼゼロの時代に金利を上げた。そんなせっかちな日銀が名目GDPが3.6%成長、物価上昇率2.3%にまで景気が回復しても本当にそんな低金利でずっと我慢し続けるのだろうか。鉛筆ナメナメならなんとでも言えるのだが。

低金利でずっとやっていく事の危険性は色々ある。世界の景気は今上向いているが、そのうちまた不況がやってくる。そのときまでに日本がデフレ脱却に失敗していたら、世界景気の後退という逆風でまたデフレが深刻化する。

金利が下がると言うことは資金需要が減るということだ。つまり景気が悪化し投資意欲が減退し、融資を受けても設備投資をしようとする意欲が出ない。だったら成長率が落ちるはずだが、そうなっていない。何の根拠もなく、金利を無理矢理下げて国債費を減らし歳出が減ったように見せかける。内閣府はこんな悪巧みをする暇があったら、2010年を最後に発表しなくなった乗数を公表すべきだ。そうしないとどういうモデルを使っているのか隠蔽されたままだ。筆者は再三に渡り乗数を公表せよと要求しているが、内閣府は「準備中」だと言ってひたすら隠す。隠す理由は明かで、乗数を示すと歳出を拡大すればGDPが増えて国の借金のGDP比が減ることが暴露されるのだ。そうなれば歳出を拡大せよという声が高まり収拾が付かなくなると考えているのだろう。しかし歳出拡大でデフレ脱却、景気回復、インフレ目標達成、債務のGDP比の減少という国民が望む事がことごとく実現できるのに何が問題だというのだろう。内閣府はオオカミ少年をそろそろ止めて国民のための経済政策を考えたらどうか。

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2017年7月19日 (水)

ベーシックインカム vs ミニマムサプライ(No.255)

「労働はロボットに、人間は貴族に」という社会へ徐々に移行すべきだというのが筆者の提案である。
http://asread.info/archives/3856
経済システムを適切に構築すれば、財・サービスの提供はロボット(AI)に任せ、人間は貴族のような生活ができるという説である。もちろん、いきなりそのような社会が実現するわけがない。そのような理想社会に移行する中間段階ではどのような社会になるか一つの案を提示してみよう。ベーシックインカムに対しこの制度は最低限の供給を保証するという意味でミニマムサプライと名付けることにする。

第一段階では国は通貨発行権を駆使し、大企業の株を買いまくる。しかし、国が経営に口出すようならろくな事は無いからそれは厳禁である。国は株の配当など、大株主である故の巨額の収入を得るから大規模な減税もできるし、財政は極めて豊かになる。その豊富な財政資金を利用しロボットがつくった極めて低価格の食料品や日用品(品数は限定する)を買い取り、それを国営スーパーで無料で配布する。このスーパーにはいらなくなった古着とか古本とか古い家具とか何でももってきてもらい、無料で配る。リサイクルにもなるし、これを利用すると誰でも最低限の生活は事実上無収入でも維持できることとなる。マイホームも同様で最低レベルの住居であれば、国が買い取った空き家にタダで住めるようにする。これにより路上生活者はいなくなる。無料で受診できる国営の診療所も開く。もっと本格的な治療を受けたいなら有料の病院へ行く。

もう少し質の高い商品、美味しい食品等は通常の店で売っている。だからワンランク上の生活を望む人は、ワンランク上の仕事をしてより多くの収入を得るように努力する。もちろん国営スーパーを経営すればそれだけで一部の民間企業を圧迫することとなる。しかし多くの物を人手を省きながら消費者に届けることができるという意味で優れた制度である。一部の職はこれにより失われるのだが、失業者が出ないよう十分な財政的支援等様々な工夫をする。
①労働時間を短縮し、その分多くの職を生み出す。
②公務員を増やし、必要な職・多くの人があこがれる職を増やす。

ベーシックインカムでは貧乏人も金持ちも同額の収入を保証するために貧乏人にとっては額が少なすぎるし金持ちにとっては大した意味の無い追加収入となる。一方ミニマムサプライであれば、貧乏人にとっては贅沢さえ言わなければ生きていけるのだから、大きな安心感が得られる。何か大きなチャレンジをしてみたいという若者も、失敗しても最低限の生活は保証されるとなれば、チャレンジを恐れなくなる。小さな商店を細々経営していた人の一部等は廃業に追い込まれるかもしれないが、国が公務員を増やし、多くの人があこがれる職に就職できるようにするのであれば、それで救われる。

ベーシックインカムが莫大な財源を必要とするのに対し、ミニマムサプライは小規模の国営スーパーから始めて徐々に拡大することができ、最初はそれほど大きな財源は不要である。現代ではたくさんの無駄がある。まだ十分食べられるのに捨ててしまう食品、使えるのに傷物として処分する製品、引っ越しでいらなくなった物等も国が集めて国営スーパーで無料で配布する。リサイクルという意味もあるし、国民に対し最低限の生活を保証するという意味もある。ミニマムサプライとはそのようなシステムである。

ミニマムサプライは本当に支援が必要な人々を集中的に支援する制度であり、しかも徐々に国営スーパーを増やしていくことによりスムーズに「労働はロボットに、人間は貴族に」という理想の社会へ移行できる。 

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2017年7月 4日 (火)

アベノミクスへの失望と経済停滞が自民に逆風となっている(No.254)

アベノミスクへの期待で国民は自民党を支持してきた。最近は、国政選挙で自民が圧勝し、高い内閣支持率が保たれた。しかしここに来て自民党に逆風が吹き始めた。森友学園問題、加計学園問題、豊田議員の暴言、稲田防衛大臣発言等が問題視され自民党・安倍内閣が批判に晒されている。都議会選でも大敗した。このような逆風が吹いてくるのは、国民がアベノミクスに失望した現れである。政府は53か月景気が拡大していると言い、2014年度の消費増税時でも景気は後退しなかったと主張する。しかし、それは自信過剰であり国民はアベノミクスで生活が楽になったと思っていないし、将来楽になるだろうとも思っていない。実際消費は3年前より落ち込んだままでありこれは逆に生活が苦しくなった証拠だ。

かつて様々な政権が誕生したが、その多くは1年程度で支持率が急落し大臣や与党議員の不祥事等で失脚した。第二次安倍内閣はアベノミクスへの期待から少々の不祥事があっても、国民はひとまず大目に見ようとしていた。しかしアベノミクスへの期待が薄れた現在、細かい問題でも批判の矢面に立たされるという過去の短命政権と同様な立場となった。

ここで安倍首相のやるべきことは、一つ一つに説明責任を果たすことでも、大臣を次々更迭させることでもない。説明をすればするほど、どんな説明をしても追求は強まり、大臣を辞めさせれば別の大臣の問題発言を野党は取り上げる。これは第一次安倍内閣の時に何が起こったかを思い出せば明かだ。批判されていることのそれぞれを考えて見れば明らかなのだが、安倍氏本人は決して法律違反はやっていない。アベノミクスが提唱された3~4年前であれば、問題にされなかったような事が、今では大問題に発展する。つまり安倍首相が何か悪いことをしたというのでなく、安倍内閣が国民生活の向上、もしくは国民の不安解消のために何もしなかったのが問題となっているのである。

高まる反安倍ムードを一掃させる方法は一つしかない。それはアベノミクスVer.Ⅱを提唱することだ。それは
第一の矢 異次元の財政拡大
第二の矢 金利と物価を制御する金融政策
第三の矢 人手不足を補うAI・ロボット化
である。これであれば、簡単に2%のインフレ目標は達成可能であり、過去20年間インフレ率が余りにも低すぎたことを考え、それをいくらかでも挽回することを考えれば2%でなく3%程度をインフレ目標にしたほうがよい。

これに対し厳しい批判があるかもしれない。
①国の借金が増えると誰かが言うだろう。しかし、GDPの増加率のほうが借金の増加率より大きいことはよく知られており、財政拡大で国の借金のGDP比が下がる。これが国家目標だから問題無い。
②財政規律が失われると言う人がいる。でも国の借金のGDP比が減ることは財政が健全化することであり、財政規律が失われたと言うべきでなく財政が健全化したと言うべきだ。
③制御不能のインフレになると言う人も出てくるだろう。そうなれば国の債務のGDP比は激減するから、これまで脳裏から離れなかった国の債務の問題が一挙に解決し、国民は将来に希望を抱くようになり、再び経済は力強く発展を始めるようになるだろう。

アベノミクスVer.Ⅱの威力は絶大であり、アナウンスしただけで、人はインフレの到来を予測し、タンス預金が動き出し、難なくインフレ目標は達成されるだろうし、行き過ぎたインフレ阻止も全く問題無い。物余りの先進国でハイパーインフレになった例はないのだから。

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