ベーシックインカム vs ミニマムサプライ(No.255)
「労働はロボットに、人間は貴族に」という社会へ徐々に移行すべきだというのが筆者の提案である。
http://asread.info/archives/3856
経済システムを適切に構築すれば、財・サービスの提供はロボット(AI)に任せ、人間は貴族のような生活ができるという説である。もちろん、いきなりそのような社会が実現するわけがない。そのような理想社会に移行する中間段階ではどのような社会になるか一つの案を提示してみよう。ベーシックインカムに対しこの制度は最低限の供給を保証するという意味でミニマムサプライと名付けることにする。
第一段階では国は通貨発行権を駆使し、大企業の株を買いまくる。しかし、国が経営に口出すようならろくな事は無いからそれは厳禁である。国は株の配当など、大株主である故の巨額の収入を得るから大規模な減税もできるし、財政は極めて豊かになる。その豊富な財政資金を利用しロボットがつくった極めて低価格の食料品や日用品(品数は限定する)を買い取り、それを国営スーパーで無料で配布する。このスーパーにはいらなくなった古着とか古本とか古い家具とか何でももってきてもらい、無料で配る。リサイクルにもなるし、これを利用すると誰でも最低限の生活は事実上無収入でも維持できることとなる。マイホームも同様で最低レベルの住居であれば、国が買い取った空き家にタダで住めるようにする。これにより路上生活者はいなくなる。無料で受診できる国営の診療所も開く。もっと本格的な治療を受けたいなら有料の病院へ行く。
もう少し質の高い商品、美味しい食品等は通常の店で売っている。だからワンランク上の生活を望む人は、ワンランク上の仕事をしてより多くの収入を得るように努力する。もちろん国営スーパーを経営すればそれだけで一部の民間企業を圧迫することとなる。しかし多くの物を人手を省きながら消費者に届けることができるという意味で優れた制度である。一部の職はこれにより失われるのだが、失業者が出ないよう十分な財政的支援等様々な工夫をする。
①労働時間を短縮し、その分多くの職を生み出す。
②公務員を増やし、必要な職・多くの人があこがれる職を増やす。
ベーシックインカムでは貧乏人も金持ちも同額の収入を保証するために貧乏人にとっては額が少なすぎるし金持ちにとっては大した意味の無い追加収入となる。一方ミニマムサプライであれば、貧乏人にとっては贅沢さえ言わなければ生きていけるのだから、大きな安心感が得られる。何か大きなチャレンジをしてみたいという若者も、失敗しても最低限の生活は保証されるとなれば、チャレンジを恐れなくなる。小さな商店を細々経営していた人の一部等は廃業に追い込まれるかもしれないが、国が公務員を増やし、多くの人があこがれる職に就職できるようにするのであれば、それで救われる。
ベーシックインカムが莫大な財源を必要とするのに対し、ミニマムサプライは小規模の国営スーパーから始めて徐々に拡大することができ、最初はそれほど大きな財源は不要である。現代ではたくさんの無駄がある。まだ十分食べられるのに捨ててしまう食品、使えるのに傷物として処分する製品、引っ越しでいらなくなった物等も国が集めて国営スーパーで無料で配布する。リサイクルという意味もあるし、国民に対し最低限の生活を保証するという意味もある。ミニマムサプライとはそのようなシステムである。
ミニマムサプライは本当に支援が必要な人々を集中的に支援する制度であり、しかも徐々に国営スーパーを増やしていくことによりスムーズに「労働はロボットに、人間は貴族に」という理想の社会へ移行できる。
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コメント
何時も良い書き込みを拝見させて頂き有難うございます。
投稿: zaisei | 2017年7月19日 (水) 21時15分
今晩は。higashiyamato1979です。素晴らしいの一言です。人類の理想とする社会の実現は日本から!
それでは決まり文句! お金が無ければ刷りなさい! 労働はロボットに!人間は貴族に!
投稿: higashiyamato1979 | 2017年7月20日 (木) 17時39分