デフレ脱却が実現すれば、生活がよくなるのはなぜか(No.259)
1960年代や1970年代の高度成長時代は、新しい機械を入れて生産性が上がれば、そのままGDPの上昇に繋がった。生産量が増え、売上げが増え、GDPが増加した。それには持続的な需要の増加があったからで、企業が利益が上がった分、賃上げを毎年行っていた。賃上げなしには十分な従業員の確保ができなかったし、将来の需要増加が見込めたので賃上げを行い続けることはリスクではなかった。
20年近くデフレから脱却できないでいる現代は事情が違う。新しい機械、ロボット、AIを導入して生産性を上げるだけではGDPは伸びない。消費・需要は増えない事を国民は知っている。だから経営者は生産量を増やし売上げを増やすというより、むしろ人を減らして利益を増やすことを考える。かつて過大な設備投資をし、失敗した経験が大規模な投資を躊躇させる。賃金を上げ、人を大幅に増やしても利益は伸びないことを知っている。日本経済は拡大しないことを知っているからだ。
つまり高度成長期には、人は経済は発展するしこれから我々の暮らしは豊かになると信じていたからその通りになった。デフレ期には人は日本経済は拡大しないしこれから我々の暮らしは悪くなると考えていたからその通りになった。つまり人が考えている通りになり失われた20年の間日本は貧乏になり続けた。もし何らかの方法で現代の人にこれから日本は発展するし、生活も楽になると思い込ませることができれば、それが実際に実現する。これは集団催眠である。そのような集団催眠を掛ける方法があるのかと言えばある。それが積極財政・財政拡大政策である。
現在の日本はデフレマインドが支配している。これを変えるのに、異次元金融緩和では十分ではなかった。減税や歳出拡大を国民がびっくりするほどの規模で行えば人の考えは変わる。減税は可処分所得を増やし消費を刺激し、歳出拡大は経済を活性化する。政府は財政規律など守る気はないと国民が思い始めるとインフレ率が上がり始める。減税や財政拡大の規模を調整すれば、目標とするインフレ率、GDP成長率の達成は可能だ。
こう言うと経済音痴の人から反論(脅迫じみた)が来る。「ハイパーインフレになるぞ」
「国債が暴落するぞ」「円が暴落するぞ」「財政が破綻するぞ」など、連中は脅しの文章を豊富に用意している。国は通貨発行権を持っており、いくら借金が多額でも財政破綻はしない。しかし通貨を発行するとハイパーインフレになると脅すがハイパーインフレを防ぐ手段はいくらでもある。「増税・金利引き上げ・預金準備率引き上げ・売りオペ・安い輸入品を入れる」などである。そもそもハイパーインフレは敗戦の極端な物不足が原因していることがほとんどであり、今の日本では起こり得ないことは政府も質問主意書の答弁書で認めた。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-aa89.html
それでも心配性の人は国がこれ以上借金をしたらやがて返せなくなるのではないかと思っている。「返せなくなる」という意味は国が発行する国債を買う人がいなくなり政府が資金不足で破綻するのではないかという心配だ。しかし、銀行などが国が発行する国債を買えば、直ぐに日銀がその国債をもっと高い値段で買ってくれるのだから銀行にとってこんな利益が確実な取引は無い。国が値上がりが確実だと保証している国債が売れなくなるわけがない。
結論は、大規模な減税・財政拡大政策を直ちに始めるべきであり、それが日本を再び成長する国に変身させる。7月31日に出されたIMFの年次報告書は日本に対し「短期的な財政刺激策が経済成長と物価の押し上げにつながる」と述べている。
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コメント
今晩は。higashiyamato1979です。つくづく緊縮財政こそが諸悪の根源だと分かります。
それでは決まり文句! お金が無ければ刷りなさい! 労働はロボットに!人間は貴族に!
投稿: higashiyamato1979 | 2017年8月15日 (火) 17時57分