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2017年9月

2017年9月27日 (水)

今回の衆議院選で安倍内閣が失うもの(No.266)

突然発表された衆議院の解散・総選挙だが、これは2005年の郵政解散と郵政選挙を真似たものだろう。当時小泉内閣は極秘で調査し票読みをしていて自民党が大勝した。選挙で勝ったのだから、郵政民営化は国民に承認されたのだと主張した。今回も安倍さんは同様な調査をし、勝てると自信を持ったのだろう。しかし、当時は小泉劇場と言われマスコミはすっかり小泉の術中にはまっていた。今回は事前調査の結果はともかく、マスコミは安倍さんに批判的だ。

この選挙には大義がない。民進党の離党者が続出している、小池新党もまだ準備が整っていない、前国会で批判を受け支持率が下がっていたが、その支持率も回復傾向にある。こういった一見有利に思える材料があり、自民党に有利だから解散する。解散をするためだけの臨時国会召集はあまりにも姑息な手段ではないか。国民の事を無視していないか。

2012年12月の衆議院選挙を思い出す。民主党は230の議席が57に減り、自民党の議席は118から294に増え政権を奪還した。それを可能にしたのはアベノミクスだ。輪転機をぐるぐる回してお金を刷れば、いくらでも財源は確保できるという説明は分かりやすい。日銀がお金を刷って国債を大規模に買えば、市中にお金が出ていき、きっと自分たちにもお金が回ってくると国民は思ったに違いない。もし安倍氏がお金を刷ってそれを財政に使うという政策を強力に実行していたら、デフレ脱却、景気回復は簡単に実現できていたし、国民も所得の増加に満足し、安倍内閣は高支持率が続いていただろう。

残念ながら、アベノミクスは財政赤字=悪という間違えた考えの人たちによって妨害され、消費増税・歳出削減で経済は行き詰まっている。長い間デフレが続いている日本では可処分所得を増やし景気を刺激するべきなのであり、財政黒字=悪と考えるのは間違いである。江戸時代やそれ以前には金を採掘したり金にその他の金属を混ぜたりしてお金を作り出し徐々にお金の量を増やしていき経済を拡大していった。つまり政府(幕府)はお金を作り出しそれを財源の一部とした。これにより通貨の信認が失われることもなく経済は拡大を続けた。

現代でも全く同様の事は可能だ。通貨を発行しそれで財源の不足分を補えば財政は均衡するから財政赤字にはならない。例えば無利子の永久債を発行し、それを日銀に買い取らせる(どこかの銀行を経由してもよい)。これを財源の一部とすれば国の借金とはならないから江戸時代に成功したものと同様の財政制度となる。歯止めが効かなくなるとの主張が出るだろうが、江戸時代に通貨発行で歯止めはちゃんと効いていた。財政赤字が大嫌いな日本人の心情を考えるなら、このようにして帳簿の付け方を変えるだけで赤字を消すことが出来、江戸時代に成功した経済システムが復活できる。

今回の衆議院選挙は自民党にとって厳しい結果になるのではないか。前回、前々回はアベノミクスに国民は期待していた。今回は、アベノミクスへの期待は消え、あのいやな消費増税をやると安倍さんが言っていて、うんざりという人が多いだろう。日本経済を活性化しようとすれば、今は増税でなく減税すべき時だ。財源不足を通貨発行で補うと考えれば遠慮無く財政を拡大でき、減税でも教育でも公共投資でも適度に歳出拡大できる。将来返さなくてもよい。そういう政策を公約とする政党があれば、選挙で勝てるし没落する日本経済を救ったとして歴史に残る。自民党の福田副大臣が離党し小池新党へ、日本の心の中山恭子代表も小池新党に加わるという。小池新党=希望の党はこの次期に消費増税をすべきではないと主張している。この選挙が増税賛成の与党と増税反対の小池新党が増税に関して信を問う選挙になれば、増税反対が多い国民がどう判断するか非常に見ものである。国民の生活を無視したこの解散は自民党が多くの議席を失う結果に終わるかもしれない。

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2017年9月21日 (木)

北朝鮮の核ミサイルによる脅しに屈するべきでない(No.265)

米朝戦争になれば数十万人から数百万人の犠牲者が出るという推測がある。だから北朝鮮への軍事攻撃はできないという主張である。現在の北朝鮮は太平洋戦争前夜の日本と似ているという主張もある。1941年の真珠湾攻撃は、艦隊4隻を撃沈。航空機231機を爆破し太平洋艦隊に大打撃を与えた。当時は一気に攻めて、ころあいをみて有利な講和条約を結ぶというのが日本の勝利の方程式だった。現在の北朝鮮は当時の日本とは似ても似つかぬ状況だということは明かだ。

米国の軍事費は5960億ドルであるのに対し、北朝鮮は僅か75億ドルだから約100分の1,米国のGDPは19兆ドルに対し北朝鮮は0.012兆ドルだから1000分の1足らずだ。深刻が石油不足、電力不足であり、兵士に与える食糧もないから兵士は栄養失調に苦しんでいる。米朝戦争が始まればあっという間に勝負がつき北朝鮮の敗戦が決まる。北朝鮮の核ミサイルが状況を変えると思うかもしれないが、グアムに向けて発射しても当たるかどうか分からないし、命中しそうなコースに飛んだとしても迎撃ミサイルで撃ち落とされる。どう考えても真珠湾攻撃で与えたほどの大打撃を米国軍に与えるのは夢の又夢。第一、アメリカが核攻撃を受けたと分かった瞬間に大規模な反撃に合い、北朝鮮は焦土と化す。もちろん金正恩の命はないし、そのことを知っているから金正恩は核ミサイルを使うわけがない。

すでに金正恩を屈服させる様々な方法について述べた。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2017/08/no260-4b7c.html
ここではそれ以外の方法を提案しよう。
中国丹東の郊外にある八山原油貯蔵所から北朝鮮平安北道ピヒョン郡白馬里のボンファ化学工場まで29.4キロのパイプラインが敷設されている。それは鴨緑江(アムノッカン)の川底を横切っている。このパイプラインを秘密裏に爆破することだ。石油の供給が止まると北朝鮮経済は3か月で崩壊すると言われている。秘密裏の爆破が無理なら中国に圧力を掛けて石油の供給を止めることだ。

中国も核拡散防止に関しては協力的である。国際社会の一員として当然のことであり、もし核がテロリストの手に渡れば北京の安全すら守れなくなる。中国がやれることは2つある。一つは北朝鮮への石油の供給を止めること、もう一つは中朝軍事同盟を破棄することだ。中国としては北朝鮮に核ミサイル開発を止めさせたいが、金正恩政権が崩壊し親米的な政権に置きかわってほしくない。アメリカとしても親米的な政権を樹立させるところまで望んでいるわけでなく、核を放棄させることができれば十分だ。

そこでアメリカは中国に圧力を掛ける。核ミサイル開発を止めさせなければ、中国に経済制裁をするぞと脅す。しかしこれは本格的にやれば世界的な不況を引き起こすからそうならない範囲での制裁となる。さらに、中国が本気で経済制裁をやらないなら、アメリカは北朝鮮を軍事攻撃すると脅す。しかし、中朝軍事同盟があるから場合によっては、中国を巻き込んだ戦争になる。中国は、北朝鮮が先制攻撃をした場合は北朝鮮を助けないと言っている。だからアメリカは北朝鮮からの先制攻撃を待っている。はっきりした先制攻撃でなくても、グアム近くにミサイルが落ちた場合でも先制攻撃を見なし反撃して戦争が始まるかもしれない。あるいはアメリカは北朝鮮による先制攻撃を誘発させる方法を見出すかもしれない。北朝鮮が先制攻撃を仕掛けてくれば堂々と戦争を始めることが出来、勝負はあっという間に付く。そのとき中国は手を出せない。誰かそのような上手い方法を思いつくことができるだろうか。

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2017年9月11日 (月)

金正恩がテロリストに核兵器を売る日(No.264)

最近、北朝鮮を核保有国と認めたらどうかと主張する識者が出てきた。これは金正恩という人物の正体を知らない人の妄言である。単に核保有国が1カ国増えるということとは全然違うし日韓が核武装で対抗できるということでもない。

 

韓国のNGO・北朝鮮戦略センターの姜哲煥氏は張成沢氏の処刑と関連し、党の幹部約415人、傘下機関の幹部約300人、人民保安省幹部約200人が公開銃殺されたと証言した。金正恩は人殺しが楽しくてたまらない人物のように見える。偽ドルや麻薬やハッカー等、金儲けのためには手段を選ばない国が核兵器を持ってしまったらどうなるのか分かっているのだろうか。

 

容易に考えられる事は核兵器の輸出で外貨を稼ぐことだ。ISなどのテロリストに核兵器を売ったらどうなるか。今までは、ISは都会で自爆攻撃を行い犠牲者はせいぜい100名程度、多くて300名だった。しかし核兵器をトラックにのせて大都会で爆発させたら数十万人の犠牲者は避けられない。テロリストが核兵器を手に入れたらそのような自爆攻撃は簡単に起こせてしまい防ぎようがない。モスクワであろうと北京であろうと東京であろうとテロリストの標的になり得る。そのことを中国とロシアに理解させ、北朝鮮封じ込めに協力させるべきだ。

 

テロリストが核を脅しに使ったら「我々はテロに屈しない」と主張し続けることができるのか。「今から1週間以内に1000億円を支払わなければどこかの大都市で核爆発させる」とか「テレビで我々の主張を自由に放映させなければどこかの大都市で核爆発させる」とか脅迫されたらどうするのか。もし彼らの主張を受け入れたら、世界は完全にテロリストに支配される。それは北朝鮮やISによる世界支配かもしれない。受け入れなければ大都市で次々核爆発が起こり止めようがなくなる。

 

そのような地獄の世界に入ってしまうのを止めるのは今が最後のチャンスなのかもしれない。アメリカが北朝鮮を攻撃する場合、北朝鮮がソウルを攻撃し数十万人の犠牲者が出ると言う人がいる。果たしてそうなのか。アメリカの原子力潜水艦からトマホークで核施設を狙った限定的な攻撃であれば、見えない敵に向かって北朝鮮は反撃できない。米軍の地上部隊が北朝鮮に入れば犠牲が大きいし中国からの義勇軍と戦わなければならなくなり、ベトナム戦争の二の舞となるからそれはできないだろうが核施設を狙った限定的な攻撃なら国際的な理解も得やすいのではないか。

 

賊が人質を取るときは2つの場合がある。第一は自らの死を覚悟した反社会的集団でこの場合は攻撃を受ければ人質を容赦なく殺す。第二は自分は死にたくない場合で、近づくと人質を殺すぞと脅す。この場合、攻撃を受けた場合反撃をするとしても人質は殺さない。ペルーの日本大使公邸占拠事件は第一の場合だが、最低限の犠牲者を出すだけで人質は救出されテロリストは全員射殺された。赤軍派による浅間山荘事件は第二の場合であり、人質も赤軍派のメンバーも死ななかった。北朝鮮がソウルを人質に取っているが、これは第二の場合であり、金正恩は死にたくないのだからソウルを火の海になどしない。死にたくないから核ミサイルを開発しているのだから。そもそもソウルを火の海にしても戦争には勝てないし、アメリカから攻撃を受けているときに無関係のソウルを攻撃するというのは戦争に勝つ気はないという意思表示となる。

北朝鮮を武力攻撃する前に、北朝鮮に対する完璧な経済封鎖に成功したら、金正恩政権はそれだけで内部崩壊するかもしれないし、まずそこから始めるべきだろう。更に強力な経済制裁はヘリコプターマネーでありこれも一案だ。

http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2017/05/no246-3e61.html

世界がテロリストに支配される前に何が最善かを真剣に考えて頂きたい。

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