« いつまで基礎的財政収支の黒字化を追い続けるのか(No.268) | トップページ | 前近代的な「物不足の時代の考え方」が国を滅ぼす(No.270) »

2017年10月19日 (木)

財政を拡大すれば、デフレ脱却、インフレ目標達成、財政健全化が可能(No.269)

10月22日に投開票される衆議院選だが、残念ながら財政を拡大せよと主張する政党がいない。デフレ脱却が最優先されるべきこの日本で最重要な政策は財政拡大である。国の借金が1000兆円を超えたのにこれ以上国の借金を増やして将来世代へのツケを増やす事ができないと多くの国民は考える。しかし、これは偏向したマスコミが間違えた考えを広めた結果である。実際は国の財政と家計とは全く似ても似つかないものである。

 

92日の日経新聞は「国を家計に例えるのをやめよう」と呼びかけた。それでも財務省のホームページでは、国の財政を家計に例えると50万円の月収の家庭の一月の生活費が80万円で、不足分30万円は借金で補っていて、その結果借金の残高は8400万円に達していると書いてある。日経新聞が主張するように国には通貨発行権がある。巨額の残高のある貯金を持っているようなものだ。例えば100億円の貯金があるとしよう。たった8400万円の借金が問題になるのか、僅か毎月30万円の借金の増加が問題か。

 

通貨発行権を行使したらハイパーインフレになると主張する人がいるが、一方ではこの日本では2%のインフレ率は達成不可能という人がいる。驚くべき事に同一人物が矛盾する2つの主張をする。合理的思考ができない人の悲しい現実である。当たり前なのだが、適度の財政拡大をするだけで2%のインフレ目標は簡単に達成できる。ハイパーインフレを恐れて緊縮財政を続けたために20年間もデフレ脱却ができず国がどんどん貧乏になっている。そんな国は日本だけだし、世界の笑い者だ。長期にデフレを続けて借金を増やし続けている国は日本だけだ。

 

例えばエジプトだが、財政赤字のGDP比は10%を超え、日本以上だ。国の借金が増える速度も日本よりずっと早く、最近10年間で5倍以上になった。しかし名目GDPも同様に増加しており、国の借金のGDP比は100%程度に抑えられており日本の半分以下だ。このように国の借金のGDP比を抑える原理はどこの国でも共通であり、デフレを長期に続けない限り国の借金のGDP比は200%を超えたりはしない。逆に言えば日本が財政を拡大しGDPが本格的に増え始めれば確実に国の借金のGDP比は減るのは確実だ。

 

人口減少が続く日本では、ハイパーインフレになったとしても名目GDPは増えないだろうと悲観的な人は考えるがそんなわけがない。実際ハイパーインフレと需要・消費の関係を質問主意書で政府に質問したら需要は増えなくてもハイパーインフレになるとの耳を疑うような答弁書(平成二十九年二月三日内閣衆質一九三号)が安倍首相から来た!!例えば消費が停滞しているとき、突然物価が10倍になったらどうなるか。国民は買い物に使う額が10分の1になり、大量の商品が売れ残り、結局10分の1に下げなければ売れなくなる。

 

インフレ目標を達成したいなら、国の借金を増やしてでも減税や財政拡大で国民の可処分所得を増やせば良い。それにより消費が増え、企業の利益が増え、企業は消費増に対応するため設備投資をし、人手の確保のために賃金を上げ、それが更なる消費の増大につながる。結果として名目GDPが増える。国の借金の増える速度と名目GDPが増える速度のどちらが大きいかだが、日本のように借金のGDP比が200%を超えるような国では後者のほうがずっと大きく、その結果国の借金のGDP比は減少していく。この事実をよく理解し、財政拡大が今の日本では最優先事項であることを政治家になりたいなら理解して欲しい。

|

« いつまで基礎的財政収支の黒字化を追い続けるのか(No.268) | トップページ | 前近代的な「物不足の時代の考え方」が国を滅ぼす(No.270) »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

 今日は。higashiyamato1979です。あの日経新聞が「国を家計に例えるのはやめよう」とは・・・、財政破綻論一色だった頃(今もそれに近いですが)に比べたら隔世の感があります。やはり辛抱強く声を上げ続けることが大事ですね。
 それでは決まり文句! お金が無ければ刷りなさい! 労働はロボットに!人間は貴族に!

投稿: higashiyamato1979 | 2017年10月19日 (木) 16時44分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 財政を拡大すれば、デフレ脱却、インフレ目標達成、財政健全化が可能(No.269):

« いつまで基礎的財政収支の黒字化を追い続けるのか(No.268) | トップページ | 前近代的な「物不足の時代の考え方」が国を滅ぼす(No.270) »