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2018年1月26日 (金)

内閣府試算の詳細を内閣府に説明してもらいました。(No.287)

2018年1月23日に内閣府より『中長期の経済財政に関する試算』が発表されました。これに関して更に詳しい内容を内閣府の方に説明して頂きました。

Q 来年の消費増税をした場合としない場合の比較の試算は出しているか。
A 出していない。法律で消費税は上げることが決まっているから。
Q 2014年の5%から8%への引き上げの際は出した。
A 当時は引き上げが決まっていたわけでは無かったから。
Q 今回の試算で実質成長率は
2017  1.9%
2018  1.8%
2019  1.4%
2020  1.5%
というように、消費増税を行った結果成長率は下がっている。消費増税による消費の落ち込みによるインパクトか。
A 17年度の補正予算が18年度にかけて執行される。その先補正予算が無くなるので公需の剥落という面がある。消費税の影響は大きくないとは思うが切り離すことは難しいので何%分と示すことは難しい。
Q 今後補正予算は無いということは決まっているのか。
A 無いこともあることも決まっていない。18年度は当初予算しかないので無いとして計算した。
Q 景気を落ち込ませないように補正を組もうという動きはありますね。
A 我々には分かりかねる。18年度の当初予算で続いていくという絵を置いている。
Q 半年前の試算の実質GDPは
2017  1.5%
2018  1.4%
2019  1.8%
2020  1.9%
こちらは消費増税をしたら実質成長率は上がってしまった。
A 17,18年度に関しては政府経済見通しを使っていて低く出ていたが、17年度の7-9期の数字が出てきて上方修正されたから今回の試算でもそれが反映された。我々は「見通し」からデータをもらっているだけ。19、20に関しては、潜在成長率が高すぎるという御指摘を頂いた関係で下げた。その関係で成長率が下がった。成長率は全体的に下がっている。
Q 今後潜在成長率はずっと下がると仮定したのか。
A 上がり方を少し弱めるということです。夏の試算だと2.4%まで上がっていくとしていたが、今回は2%に留まるとしている。
Q 潜在成長率を変えればそんなに大きく実質成長率が変わるのか。
A はい。大きく変わります。
Q 2.4から2.0に下げたのは未来永劫下がると言うことか。
A 試算期間ではそう仮定している。一定の前提を置いた場合どうなるかを示した。
Q 潜在成長率を下げる客観的な理由はあったのか。
A 潜在成長率を決めるものとして資本、労働、全要素生産性の3要素がある。全要素生産性は経済財政諮問会議の議論に使って頂くために出しているが、経済財政諮問会議から上がり方が急では無いかというご意見を去年頂いた。そこで今回見直した。
Q 全要素生産性を下げたということは、過去のデータがいつも上振れしているということ、なかなか3%成長にはいかない。過去20年間遡って考えて内閣府では3%いくんだということを想定して作っているが実際はとてもそこまで行っていない。20年間名目GDPはあまり変わっていない。そういうことを考えてもっと全要素生産性を抑えた方がよいということだったのか。今まで全要素生産性をサバ読んでた?
A 経済財政諮問会議の意見に従う。今経済がどうであり、これからどうなる、その場合これからの財政状態をどうするというためのものですので、諮問会議の議論を踏まえて見直していくと言うことは結構あるということです。
Q 過去のデータを組み入れてということはしないのか。
A もともと過去のデータを組み入れて、例えば物価ですとバブル前の生産性に戻りますというような置き方をしたんですが、それぞれ過去のデータを参照していたということですが、参照方法を少し変えたということです。
Q 戻りますといいながら根拠なしに戻りますと言ってますね。しかしずっと戻らなかったですよね。戻らないんだからもう戻らないよと言った方が、ほとんど成長しないと言ったほうが当たっていたんですけどね。本当はね。
A まあ、当たっている部分と当たっていない部分はあるんですけど。
Q 当たってないですよ。3%成長はなかなかしなかった。
A 名目3%成長は ・・・ 2015年は名目3%成長したけど
Q 15年は原油価格が下がったから。原油価格の下落でGDPが押し上げられてますよね。
A その通りです。
Q あれはたまたまであってあれを持ち出すのはちょっとまずいと思う。
A そうです。
Q あの調子で今後も原油価格は下がりますか。
A 下がらないですね。原油価格がゼロになっちゃいます。おっしゃる通りでございます。
Q ありえないんで、あれはたまたまラッキーなのであって、アベノミクスの成果とは言えない。
A そういう面はあるかもしれない。
Q そういう外的要因がないと仮定すれば3%成長しないと客観的には見える。
A それは将来への目指すべき姿、政策効果が出ればと言うことで、成長実現ケースと今回名前をちょっと変えてますけど、昔は経済再生ケースと言ってました。3%成長するというケースです。こちらはそれを目指して政策をやっていく、それが発現した場合というケースいうことでして、もう一つ成長しない、全く成長しないというわけではないのですが、足下程度続きますというベースラインケースもお示ししておりまして、隠し続けたということではない。
Q まあ、2つ出してますが、自分はこう思うというもの、例えば気象庁の予測はあたっている訳です。
A 気象庁も幅を持って見てますけど。
Q 気象庁はいちばんありそうなケースだけを示しているわけですね。
A まあ、そうですかね。
Q 最大限こうなりそうだという予測を出すのも必要なのではないか。こうなりたいなという願望も出してもよいけど、最大限正しい予測も出して欲しい。
A 予測という品質では必ずしもない。
Q そう見えます。
A ええ、見えちゃえば仕方ないですけど。
Q 政府も各省庁もこれをベースに政策を作っているでしょう。だから将来こうなるという予測が欲しいですね。昨日の読売新聞にももっと信頼できる予測はできないのかと社説にありました。こうなるという信頼できる予測があれば安心して消費ができる。20年間、3%成長したかといえば全然3%成長していない。零点何%という低い成長率であるのに、毎回3%成長だという勇ましいことを言ってきた。金利を見てもすぐ上がるんだと言いながらずっと上がらない。今回はだいぶ修正されている。予想が外れてる。
A 予想しているわけでは無い。
Q 予想しなければダメです。政府の願望はこうだと言ってもらったって、それは今まで願望が実現してませんから。実現しない願望を何度言ってもしょうがない。
A まあ、そうでしょうけど。
Q 願望じゃあなくて見込みも出して欲しい。
A なるほど。
Q 願望ケースと見込みケースを出して下さい。
A 願望ケースと見込みケースですか。なるほど。
Q そうすれば、政府はどうやれば願望に近づくか分かるから真剣に考えると思うんです。今のように出してしまうと何もしなくても願望が実現するのかと誤解してしまいます。
A 御指摘有り難うございます。
Q ところで基礎的財政収支は半年前から悪化しているように見えるのですがなぜですか。
A 新しい経済パッケージで消費税を19年に10%に引き上げるときに人造り革命例えば幼児教育の無償化とかの政策になります。そのための財源として消費税増収分の一部を充てましょうということが決まってます。今回それを織り込みまして19年度以降歳出が出て行くようなことになっていて歳出が増えている。あとは成長率が下がると税収が少し下がる。その分で下げている分というのはあります。この2点になると思います。
Q 2018年に限ると、1.4%から1.8%に成長率は上がっている。人造り革命も関係無い。
A 18年度に関しましては17年度の補正予算が編成されて、執行のタイミングで、公共工事などはすぐにはなかなかできない。3か月で物を作れと言われてもなかなかできない。翌年度に執行される。歳出はいつかということ、成長率は上がっていてもそれほど工事は進んでいない。その点PBは成長がよくなっても悪化するということが起きている。
潜在成長率が下がれば成長率も下がり税収も下がる。
Q 基礎的財政収支の黒字化目標は何回も延期されている。最初は小泉さんが2011年度に黒字化すると言っていたが実際は2011年度は大赤字だった。それを2020年度にまで延期した。それも達成できないことが明らかになったので2025年度に延期し、それも達成できないから今度は2027年度だというんですね。
A 目標自体は2011年度と2020年度になっている。今回消費税の使途変更もあり2020年度は難しいですね、だから次の目標を考えて下さいということになっているのが事実です。試算での黒字化と黒字化目標とは必ずしも一致しない。
Q ただ試算結果は2027年度でなければ黒字化しないということですね。
A 歳出は、例えば公共事業は物価で伸びますとか、医療費・介護費とかは物価と共に年寄りが増えると医療費が上がるといった効果を織り込んだざっくりした試算になっている。我々は歳出自然体と呼んでいる。歳出改革を今進めている。その効果は入っていない。
Q 歳出改革と言いますが、歳出を削減すればするほど財政は健全化するのかという点に疑問に思っている。歳出改革と称して歳出削減をするといつまで経ってもデフレから脱却できない。そうなると税収も増えないしGDPは伸びないから債務のGDP比も下がらない。デフレ脱却をしようと言っているのに歳出を削減するのは本末転倒ではないかという気がする。
A 歳出を減らすことによってGDPは下がる。歳出改革とは単に減らしましょうということではない。
Q 減らすこともやりますね。減らせば借金が減るのではないかと誤解している人がいる。GDP比で減るのかというとなかなかそうはいかない。以前は乗数としてそれを出していた。公共事業を減らせばGDPも減り、債務のGDP比は逆に増える。
A そういう乗数は出していなかったと思います。
Q 出しています。2010年に出しています。
A 確かに初年度は債務のGDP比は増えます。5年目を見ると減っている。GDPを減らしても民需がカバーして戻ってくる。
Q 内閣府の試算をみれば5年後の予測など今まで当たったことがない。まるでデタラメな結果だ。ということを考えれば1年づつ計算したほうがよい。1年間だけ考えれば間違いなく公共投資を増やした方が債務のGDP比は減る。1年後にまた乗数を計算し直してみるとやはり公共投資を増やした方が債務のGDP比は減ると分かる。
A それは同じ結果になると思いますよ。
Q 同じにはなりません。毎年新しく計算すれば公共投資を増やしたままにしておいたほうが債務のGDP比は減っているという結果になります。乗数というのは毎年そんなに大きく変わりません。内閣府の文書にも書いてあります。長期予報は当たらないと。気象庁でもそうです。
債務のGDP比は今後下がって行くというのが内閣府の予想ですね。
A はい。
Q 基礎的財政収支は赤字が続いていくが、債務のGDP比は下がって行くのだからもう基礎的財政収支は関係無いのではないか。今後基礎的財政収支は無視していいのではないか。
A そういう御指摘ですね。どうでしょう。債務残高は増えますね。
Q はい。でもGDPのほうがもっと増えます。
A 金利はどうでしょう。
Q 金利は抑えることになったのでしょう。
A はい。でもそれは2%のインフレ率になるまでです。
Q 金利は最大限抑える。そうすると基礎的財政収支は気にしなくて良い。イケイケドンドンで財政を拡大せよ。何かまずいですか。デフレ脱却が簡単に実現できます。
A 金利ゼロですか。金利は基本的には市場で決まっていく。
Q でも日銀はゼロ程度に金利を誘導すると黒田総裁は言っておられる。
A それもいつまでもというわけではない。
Q 当分の間です。実際今回の試算では0%程度に下げることにしたのですね。2009年度まで0%、2020年度に0.4%というようにがんばるのですね。
A がんばるというか物価が上がってこないのでがんばらざるを得ないということですね。
 インフレ率が2%になるまでは金利を抑えるようにしてますが、それ以降はモデルで金利を決めている。日銀が使っている金利決定ルールに従うというようにしている。
Q デフレ脱却がずっと達成されない。小泉さんのときからずっとデフレ脱却を言ってましたね。デフレ脱却が願望に終わって夢が実現しない。だからここで一気にやってしまう。それをやらず、増税や歳出削減をやる。ぐずぐずやってたらずっと続くわけでしょう。なかなか可処分所得が上がらない。だから消費が伸びず本格的な景気回復ができない。これをずっと続けている。そろそろこのへんで終止符を打ったらどうですか。
A 試算は政府の方針を続けたらこうなりますというもので、各論というか何をすればこうなりますということはお答えできないということになります。
Q どういう政策をすればよいかを教えるのがこの試算の役割だと思う。政府の今の政策を続けていたらいつまでたってもデフレ脱却はできない。ではどうすればよいのかというときに、こうしたほうがよい方向に向かいますよというのを示す必要があると思います。新しい乗数をだしたらどうですか。乗数を隠しているのは問題ですよ。狂った羅針盤と言われているので、それを修理して正しい羅針盤を出して欲しいです。
A はい。検討しています。
Q 消費増税の税収の一部を歳出に使うと言っているのでその分が拡大するのかなと思ったがそうなっていない。
A 2020年度の社会保障関係費に入っている。
Q 歳出は前回に比べ減らす傾向がある。
A 予算がこうだったからこうなったということ。
Q 潜在成長率を下げた分、全部が下がったということか。歳出も歳入も
A まあそうですね。歳出は下がったし歳入は下がった。PBは悪くなった。
  ご意見のほうは承りました。
Q 乗数は出して欲しい。もう随分だしていない。
A はい。検討はしています。

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コメント

 今日は。higashiyamato1979です。このように淡々と問い質すことが重要です。
 それでは決まり文句! お金が無ければ刷りなさい! 労働はロボットに!人間は貴族に!

投稿: higashiyamato1979 | 2018年1月27日 (土) 13時49分

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