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2018年4月 9日 (月)

刷ったお金をAI/ロボット関連産業の育成に使いなさい(No.295)

昨日(2018年4月8日)の日経のトップ記事は「景気回復最長視野に 賃上げ後押し 外需に懸念」だった。賃上げは進んでおらず、実質賃金は下がり続け生活は楽になっていない。2012年にアベノミクスが始まってから日本の雇用は100万人以上増えた。生産性が高い製造業が構造調整(IT化、ロボット化等)で人手を減らす一方で生産性の低いサービス業に労働力が集まる姿が浮き彫りになっている。

アベノミクスで雇用を増やしたことは大変評価できることだが、まだこれが国を豊かにするほどにはなっていない。企業に賃金を上げてくれとお願いしても利益追求を目的とする企業においては、賃上げは利益を減らし競争力を低める可能性があり、なかなか応じられない。バブル崩壊で巨額の損失を被った企業・個人投資家も多く、しかも国の借金が大変だ、年金が危ないなど言われている現在、将来不安から個人も企業もカネを使おうとしない。むしろ将来に備えて現金・預金を積み上げ個人保有の現金・預金は過去最高の961兆円にも上っている。保険・年金なども加えた個人の金融資産は1880兆円にも上る。金融機関を除く民間企業の現金・預金は257兆円に上る。いわゆるタンス預金が積み上がり、お金の流通が大渋滞を起こしている。

日本が投資を控え成長しないでいる間に世界は大きく発展し続けている。新興国の工業化で日本と得意とする製造業のシェアを大きく奪っていった。東芝、シャープなどの国内電機メーカーの衰退は目を覆うばかりだ。アルファベット、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフトなどデジタル大手企業の発展は目覚ましく、世界経済の牽引役となっている。中国も韓国もそれを追っているが、日本は全く取り残された状況だ。20年前には企業の時価総額ランキングで20位以内に日本企業は14社も入っていた。現在は日本企業のトップはトヨタだが、やっと36位だ。上位は米国のIT大手がずらり並ぶ、中国企業が激しくせまり、韓国のサムスンが11位と健闘している。要するにアベノミクスで雇用を増やしただけではダメなのだ。

これからはビッグデータの蓄積が産業の基盤となり大きな収入源となる。日本にも世界のデジタル大手企業と肩を並べることができる企業を育てる必要がある。政府は福島にドローンなどの研究開発拠点の整備をしようとしている。ここに大規模なAI/ロボットの研究学園都市をつくるとよい。世界が驚くような高給で、世界中から第一線で活躍中の研究者をごっそり引き抜くと良い。そこにAI/ロボットに関する研究者を大量に育てる。しっかり学生の生活を保障し、広く世界中から優秀な人材を集め教育する。そこでドローン、自動運転技術を発展させビッグデータをしっかり蓄積する。

更にサムスンのように半官半民の企業を育てる。サムスンが行ったように世界中から技術者を引き抜けばよい。これはかつてサムスンが日本の技術者を引き抜いて日本の技術を盗んだことのお返しだ。別にサムスンでなくても世界中どこから引き抜いてもよい。ちょうどトランプは外国人労働者の受け入れを渋っているのだから、シリコンバレーに行きそびれた優秀な技術者を日本に受け入れればよい。

アマゾンに対抗するため楽天を育てるのか、新しい企業を育てるのか検討の必要がある。企業育成には資本注入もあるが、企業の経営を支援するために各種助成金の支給や需要拡大のための様々な工夫を行う。AI/ロボット関連育成事業として例えば5兆円を使うことを検討していただきたい。刷ったお金の有効利用だ。

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コメント

 今日は。higashiyamato1979です。人工知能やロボットが人間の代わりに稼いでくれる時代はすぐそこまで来ているようですね。モノやサービスの生産が増えすぎたのだから刷ったお金を配って需要を増やさなければならないと思います。
 それでは決まり文句! お金が無ければ刷りなさい! 労働はロボットに!人間は貴族に!

投稿: higashiyamato1979 | 2018年4月 9日 (月) 16時35分

>ちょうどトランプは外国人労働者の受け入れを渋っているのだから、シリコンバレーに行きそびれた優秀な技術者を日本に受け入れればよい。

最近入社したフィリピン人同僚がそれでした。経歴を見て本当にうちで使っていいものかと目を丸くしました。
今のところは日本の田舎企業でもフィリピン国内より給料は良いのだそうで、とりあえず働いてもらっています。
日本語が得意ではないので客相手の仕事はまだダメですが、入社して一月たたないのに、あっと言うまに職場内のWiFi環境が整い、イントラネットのインターフェイスが改善され、会議連絡後の情報の行き詰まりや混乱が減りました。
みんなは気付いていませんが、サーバー内の情報が整理され、ストレージの容量が半分以下になっていました。必要な情報へのアクセスが劇的に改善され、みんなの仕事の時間コストが大きく下がっている。それは残業時間の減少に目に見えて現れていました。経営側のほうはまだ気付いていないようですが、彼女は客相手の仕事をひとつもこなしていないうちに、間接的な労務の改善で100万円近いコスト削減を果たしています。

賃金の良い別の会社を見つけたらすぐにいなくなってしまうと思いますが、賢いということはこういうことかと感心しているところです。

投稿: | 2018年4月30日 (月) 11時51分

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