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2018年8月

2018年8月20日 (月)

大きく順位を落とした日本の一人当たり名目GDPランキング(No.315)

日本はここまで貧乏になったことを次のグラフで示す。

               出所:IMF
315_2


かつては日本の一人当たりの名目GDPは世界一だと内閣府は発表していた。内閣府の国民経済計算報告(昭和30年~平成10年)によれば一人当たりの名目GDPにおいて1993年と1994年、日本が世界一であった。その後ルクセンブルグがデータを修正し、世界一に躍り出たから日本は2位に下がった。とはいえ、1993年、1994年頃はスイスやルクセンブルグとトップ争いをしていた。

この図で分かるように順位を大きく下げたのは小泉純一郎内閣だ。デフレなのに「痛みに耐えろ」と言って緊縮財政を行った。デフレということは物余りということ、つまり需要不足。そんなときに緊縮財政を行ったから、消費(需要)は更に落ち込み、経済は縮小し、国は貧乏になった。小泉氏は自分は景気をよくしたんだと主張するだろう。しかし景気が良くなったように見えたのは、単に海外の好景気に引っ張られただけだ。この時がデフレ脱却のチャンスだったが、緊縮財政がそれを阻んだ。その後民主党政権時代若干順位を回復したように見えるが、これは円高の影響であり、株価低迷、景気後退に悩まされていた。国が豊かになったのではなかった。このグラフからアベノミクスでも順位は上がっていないことが分かる。

2017年になると一人当たりの名目GDPは
日本              38439ドル
スイス             80590ドル
ルクセンブルグ     105803ドル
となっている。かつてトップ争いをしていたスイスやルクセンブルグとは2~3倍の差をつけられてしまった。このままデフレ脱却もできず、先進国の中でも際立って低成長である日本経済なのに、増税・歳出抑制の政策を続ければ消費(需要)は低迷し、ますます国は貧乏になってしまう。それを避けるのであれば、減税・歳出拡大をしなければならない。今が決断の時だ。

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日経新聞が財政破綻の危機を煽っている(No.314)

8月14日と8月16日の日経新聞が財政破綻の危機を煽っている。14日の「時論」ではノーベル経済学賞の呼び声が高い米プリンストン大学の清滝信宏教授の記事だ。清滝氏は「日本、財政破綻へ備えを」と呼びかけていて、歳出カット、増税をせよと主張し、やがて自国だけでは債務の償還や借り換えが間に合わなくなるから外国人が大量に日本国債を買う時が来ると主張している。筆者はこの記事が掲載された日に清滝氏に反論のメールを送った。

筆者の反論メール:
財政が破綻するとは日本政府が国債を発行しても買い手が無くなるということを意味する。しかし対外純資産が2.99兆ドルあり断トツで世界トップですから日本国債は世界で最も安全な資産の一つと考えられている。財政を破綻させるくらいなら、最後の買い手である日銀が買うほうがはるかによい。実際日銀は国債を大量に買っており、買いすぎて国債が品薄になってきたし、金利が下がりすぎて金融機関の経営を圧迫している。買い手が多すぎて金利が下がりすぎており、財政破綻とはほど遠い状況である。

自国だけでは債務の償還や借り換えが間に合わなくなるから外国人が大量に日本国債を買う時が来るとのことだが、債務は自国通貨建てであり、通貨発行権を行使すればいくらでも債務の償還や借り換えは可能である。具体的には日銀が通貨を発行するということ。外国人が大量に日本国債を買おうとしても、すでに日銀が買いまくった後だから買えない。

これに対する清滝氏の返事:
小野さん、
記事を読んでくれてありがとう。
現時点で国債の消化が困難になるのは想像しにくいでしょうが、日本の貯蓄率は高齢化とともに今後数十年下落し続けます。このまま財政赤字を続けると、やがて日本国債は安全資産とは見なさされなくなり、円の下落、国債金利の上昇し、財政が更に悪化します。その時政府が日銀に国債の消化を強要すると、現在のトルコと同じように、円の下落、国債金利の上昇、財政の悪化に歯止めがかからなくなります。ですから今からその時のための準備をしとく必要があるというのが私の意見です。

筆者は更に反論を続けている。数十年先の財政破綻を心配すべきではない。数十年先には労働はAI/ロボットが人間の替わりに行っているはずで全く異なった経済システムになっているはずである。そもそも財政問題は国が通貨発行権を行使すれば簡単に片付く。しかしそうすればハイパーインフレになると心配する人がいる。しかし、ハイパーインフレは極度の物不足で餓死者が出て、国民は食糧を求め近隣諸国に難民として出て行く状態でないと怒らない。今の日本でそれが起きるとは考えられない。食糧は余るほどある。食べられるのに捨ててしまう食品ロスが年間632万トンにも上っている。最悪の場合でも有り余る外貨で、いくらでも食糧を輸入できる。円は国際通貨になっているので、支払いには全く問題無い。今の日本では財政破綻は起こり得ず、それより減税・財政拡大でデフレ脱却・経済活性化をして更に強い経済にし、日本国債の信用を高めていく必要がある。実際筆者は日経NEEDS日本経済モデルを使って、減税・財政拡大で経済発展と財政健全化が同時に実現することを示した。

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2018年8月13日 (月)

小学校五年の児童が世界的に有名な数学者と共同研究を行っている(No.313)

日本には諸外国と違い飛び級もなく天才を育てる体制がおろそかだ。教育の機会均等に重点が置かれたために、将来日本のリーダーになる可能性のある天才たちに特別の教育をしようとしていない。2015年7月、数学検定準一級に合格した小学二年生の高橋洋翔君のニュースが流れた。テストを受けたのは小学一年の時であり、その時彼はすでに高校三年の数学はマスターしていたということだ。

小学五年生になった彼は数学者と交流しながらすでに最先端の数学の研究を行っている。『オイラーをモデルに数論研究』という飯高茂氏(代数幾何学のリーダーとして世界的に知られる数学者)が書いた専門書の付録に高橋少年の研究がまとめられている。2017年11月9日に開かれた「ハイパー完全数とスーパー完全数」に関するシンポジウムのレジメには飯高茂氏と高橋少年の共同研究の内容が詳しく書かれている。日本フィボナッチ協会主催の数学の研究者が集まる研究集会で2018年8月24日に、各大学等の数学の研究者に混じって池ノ上小学校五年生の高橋少年は「スーパー双子素数,ウルトラ三つ子素数」について発表する。

高橋少年に算数を教える事は全く意味が無い。小学校など行く必要がなく、むしろ大学の数学科の研究室で研究を行った方がよい。

日本は成績優秀な児童・生徒に対し特別な教育をしようとしない。エリート意識を持たせることが悪いことだとされている。数学の分野では若くして重要な研究成果を残す人も多い。エヴァリスト・ガロアはフランスの数学者だが、20歳のとき決闘に敗れ命を落としている。しかし10代で完成させたガロア理論は、現代数学の扉を開くとともに、20世紀、21世紀科学のあらゆる分野に絶大な影響を与えている。

数学の分野に限らず、あらゆる分野で将来の日本をリードしてくれるエリート達に特別な教育ができる体制を整えるべきである。諸外国にもあるように、小中高大学で飛び級を積極的に導入するがよい。特別な能力を持つ児童・生徒にはエリート意識は持たせた方が、むしろ励みになるのではないか。

例えばオリンピック強化選手もエリート意識を持たせ特訓を行っている。国立スポーツ科学センターではエリート選手を集め、日本のスポーツを強くするため科学的な分析を行いながら特別なトレーニングを行っている。オリンピックで多くの金メダルを獲得するのもよいのだが、特訓すべきなのはスポーツの分野だけではない。数学、物理、化学、生物、医学、人工知能を含む工学、経済など様々な分野で優秀な人材の適切な育成が求められている。スポーツの分野以上に重要なのは、このような様々な分野での指導的な立場の人々だ。天才は場合によっては通常の人の10倍もあるいは100倍もの仕事をする。誰も入り込むことができなかった分野を切り開き全く新しい研究分野を開くこともある。

ビル・ゲイツが立ち上げたマイクロソフトの時価総額は約90兆円である。優秀な人材が国の経済の活性化に大きく貢献することもある。教育の機会均等は良いのだが、飛び抜けて優秀な児童・生徒を一般の児童・生徒と同じ環境で勉強させなければならないというわけではない。高橋洋翔君の例もあり特に優秀な人材の適切な育成を真剣に考えるときが来たのではないか。

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