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2018年11月12日 (月)

上院でトランプは勝ったとは言えない(No.323)

中間選挙で下院で大敗し、共和党が過半数を失ったにも拘わらずトランプ氏は大勝利を宣言した。11月11日現在で分かっていることは
上院  民主党  46   共和党 51   残 3
下院  民主党 231   共和党 204
である。上院は共和党、下院は民主党が過半数を握った。選挙前には両院とも共和党が過半数を持っていた。これでトランプは勝ったと言えるのか。下院は全議席が改選されたのだが、上院は改選されたのは100議席のうち35議席のみだった。今回勝ったか負けたかの判断には、改選された議員だけで比べるべきだろう。上院の改選議員だけに限ると
民主党 23
共和党  9
残    3
となり、民主党の大勝、共和党の大敗ということになる。共和党は大敗したが、非改選の議員が多数いたために、なんとか過半数を維持できたということだ。上院の議会選挙は2年ごとに3分の1ずつ改選される。民主党は6年前大勝したが、今回そのときほど議席は取れなかったが、それでも圧勝したということだ。

中間選挙での上院の改選議席数は
2018年  民主党 26, 共和党  9
2020年  民主党 12、 共和党 21
2022年  民主党 12、 共和党 22
つまり2018年は民主党が勝ちすぎた後の選挙だから議席を減らしてあたりまえ、逆に2020年と2022年は負けすぎた後だから、議席を増やしやすい。ということは2020年、2022年の選挙では民主党が挽回する可能性があり、共和党議員にはプレッシャーが強まるに違いない。

トランプ氏は今後難しい政権運営に苦しむこととなる。下院で与党が過半数を失ったから、予算案が思い通りに通らない。公約にしていたメキシコ国境に壁を造る構想もオバマケア撤廃も無理だし、環境を破壊する規制緩和もストップが掛かる。その代わりに下院で多数派となった民主党は議会の調査権を駆使し、ロシア疑惑の追及を加速する可能性もある。親から相続した460億円で相続税の脱税疑惑の追及も受け、しかも納税申告書の開示も求められる。頭を民主党に押さえられた独裁者トランプの姿は哀れに見え支持率は落ちるのか。それとも決められない政治は民主党のせいだとして民主党を非難して逆に支持率を高めるのか。

ワシントン・ポスト紙などが8月末に発表した世論調査によると、72%が民主党が下院の多数派を制すればトランプ氏の弾劾に進むとみる。下院で過半数の賛成で訴追できるが、上院出席議員の2/3以上の賛成がなければ弾劾は決定できない。ロシア疑惑が深まりトランプの支持率が更に下がるようなことがあれば、次回の議会選挙で危機感を感じた上院議員がトランプを見捨てる可能性があるから弾劾の可能性は否定できない。

トランプが支持率アップのためにできるとすれば北朝鮮問題だろう。北朝鮮は核放棄するのかどうか、世界はまだ疑心暗鬼だ。11月2日北朝鮮が核開発の再開を示唆した。今こそトランプ氏は北朝鮮を「核を放棄しなければ武力攻撃をしかける」と脅すべきである。韓国と北朝鮮は9月19日、平壌で開かれた南北首脳会談で採択した「板門店宣言の履行に向けた軍事分野合意書」で、「いかなる場合でも」武力を使用しないことで合意した。つまり北朝鮮は「ソウルを火の海にする」と脅せなくなっており米国からの武力攻撃に反撃する手段を放棄している。つまりトランプに脅されれば核を放棄するしかない。

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