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2018年12月 9日 (日)

AIが人類を生活のための労働からの解放する【解放主義社会】(No.328)

AIの進歩は著しい。数十年後には雇用はほぼすべてAI/ロボットに奪われていると予想される。ロボットばかりの巨大な独占企業は労働者を雇わなくても良く、莫大な利益を上げ続け規模が拡大し続け、国への影響力もつけてくる。一方で労働者は不要となり、失業者が激増する。そこでは人間はAI/ロボットではできないような仕事を探さなければならないのだろうか。AI/ロボットが究極まで進化した場合、一般人がそのような仕事を見つけるのはほぼ不可能である。そうであれば、多くの人は失業し「働かざる者食うべからず」ということなら、大部分の人は飢え死にしなければならない。小さな政府が良いのだと決めつけ、市場を神の見えざる手に任せておけば良いと考えていたら、人類の未来は地獄だ。しかしながら、国が何らかの方法で国民にお金を配ることさえできれば誰もが安心して生活できる。だから国民全員一律に一定額を配布するというベーシックインカムという方法が提案されている。しかしそれには労働意欲が失われ、巨額の財源を確保するのが難しいというような様々な欠点があり、その対案として筆者は別な社会制度(解放主義社会)を提案する。

 

 

解決策はAI/ロボットばかりいて人を雇わない巨大企業を国有化して、その利益は国民に還元すればよい。労働はすべてAI/ロボットに任せ、人間は各人がやりたくなる仕事ができるようなシステムを政府がつくり公務員として雇えば良い。例えば作家、タレント、小説家、俳優、評論家、記者、料理人、デザイナー、科学者、研究者、発明家、音楽家、カメラマン、芸術家、陶芸家、園芸家、棋士、落語家、プロスポーツ、教師、等がある。現代では、このような職に就こうと思えば競争に勝たなければならないが解放主義社会では競争に勝てなくても自分が好きな職業に就けるようにする。社会主義あるいは共産主義社会では平等を重んじ、弱い立場の労働者の権利を守ろうとした。その結果頑張る人も頑張らない人も平等に扱われだ。それなら頑張らなくてもいいいと人は考え生産性が落ちて国全体が貧乏になった。解放主義では頑張る人の報われる社会である。必要に応じ国が国民のために雇用をつくる。このことをJOD(Job-on-Demand)と呼ぶことにする。

 

ベーシックインカムという方法では、国民全員に同じ金額を毎月支給するので、行政コストが安いというのがメリットとされる。しかし、未来社会では行政もAI化され、コストはかからない。各人の仕事ぶりがデータ化されそれをAIが評価し、給料を決める。最低の給料でも十分暮らしていける。例えば多くのファンを持つ歌手であれば、収入は多いのは現在と変わらない。コンサートで入場料を取り、その一部が歌手の収入となる。ヒット曲の出ない歌手であっても、暮らしていけるし時々国主催のコンサートを開いて貰える。人間そっくりのロボットが歌手としてデビューするからプロ歌手のライバルとなる。国は豊富な財源を持つので、様々な分野の研究を大々的に行うようになる。ただし研究においてもAI/ロボットが人間を上回るようになる可能性はある。

 

各人の給料は、様々な要素を調べ回帰分析でAIが決定する。給料を決定する要素としては

①労働時間 ②その仕事が社会的にどれだけ必要とされているか ③他の人からどのように評価されているか ④例えばプロ野球の野手なら打率、ホームランの数、盗塁数など

⑤他に収入があるかなどである。最低限の収入を保証するのだからベーシックインカムの考えに近いが頑張れば収入が上がるのでインセンティブになる。自分で十分稼げるなら公務員にならなくてもよい。公務員でありながら別の仕事で稼いでもよいが副業と公務員の収入の合計がいくらになるかはAIが判断する。AIはどのようにすれば国民が最も幸せになるのかを判断し給料を決める。

 

政府のAI化も進めるべきである。現在の日本政府は国の借金を減らすことばかりを考えている。これは政府の重大な判断ミスであり、これが日本経済を衰退させている。実際日本の対外純資産は世界一であり、世界一の金持ちの国なのだから、政府はもっとお金を使っても良い。AIならこのような初歩的なミスはあり得ない。国の借金が今の10分の1であり財政は全く健全であった1982年に政府は財政非常事態宣言を出している。

http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2018/12/no327-c485.html

 

そもそも国の借金というものである。日本の国の借金は過去コンスタントに増え続け、過去130年間で500万倍になっている。

http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2018/05/no301-a00c.html

国は通貨発行権を持っており国は借金をする代わりに通貨を発行して経済活性化を助けることもできた。経済成長には通貨を増やしていくことが必要であり、それは成長通貨と呼ばれる。実際江戸時代には毎年のように通貨増発(改鋳)を行い経済を活性化させていた。

http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/post-7af5.html

 

通貨増発を始めると止められなくなり、最終的にはハイパーインフレになると言われることがある。これは人間が行った場合であり、AIが経済政策を行う場合は全くその心配はない。日本経済は政府がバブルを崩壊させて以来現在まで経済成長はほぼストップした。これは完全な政策ミスであり、もしAIが経済政策を担当していたら今頃日本のGDPは現在の約2倍になっていたと考えられ、AIに経済政策を任せる意義はきわめて大きい。

 

国民の声を政治に反映させるという意味においても現在はうまくいっていない。国民のごく一部が政治家に陳情し、そのうちのごく一部が行政に反映されるだけで、強力な圧力団体を持つ場合が特に優遇される。

未来における解放主義社会では政府はAI化され、国民全員がネットで陳情できる。膨大な陳情データをAIが分析し、国民の幸福を最大化する予算配分を定める。景気刺激のためには公務員の給料を引き上げれば良く、不況にはならないし、国民に不安を与えない。死ぬまで公務員給与は支払われるから年金も不要となる。

 

社会主義思想では平等な社会を目指し、労働者の権利を守ることに重点が置かれたが、未来の解放主義社会では、AI/ロボットの登場によりつらい労働からの解放、貧困からの解放をする。

 

 

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コメント

 今日は。higashiyamato1979です。全国民必読の論文です。
 それでは決まり文句! お金が無ければ刷りなさい! 労働はロボットに!人間は貴族に!

投稿: higashiyamato1979 | 2018年12月20日 (木) 14時55分

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