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2019年2月 1日 (金)

「中長期の経済財政に関する試算」に関して内閣府に電話して質問(No.334)

Q 基礎的財政収支が改善したと新聞等で報道されましたが、改善した理由は何ですか。
A 2019年の当初予算ですが、臨時特別措置があって分かりにくいのですが、ベースの歳費ですが、歳出削減が進んでいて、試算では自然体で歳出を伸ばしていますが、発射台が小さくなったので改善しました。
Q 消費増税に合わせて景気対策はやりますよね。それにより発射台は上がったのでは。
A 消費税対策の臨時特別措置ですが補正予算と同じ扱いでして2019年と2020年しかやらないと骨太の方針にも書かれていて総理も言っておられますから特殊要因として扱います。
Q やらないと言っても景気が悪くなったらやりますね。
A そうですね。補正予算も毎年組んでいます。ですから試算では特殊要因は織り込んでいません。
Q 国の財政を考えると、債務が増えると困ると考えるのですが、去年内閣府で乗数を出しました。政府支出を増やしても債務のGDP比は下がるとの結論でした。
A はい。一時的には。
Q だから今歳出をそんなに削減する時かと思うのですが。借金が増えてもGDPがそれ以上増えればいいのではと思うのですが。
A そうですね。追加の歳出がGDPにより効くというか質のよい歳出の場合ですね。
Q 質が高い歳出と低い場合の歳出を別々に計算はしてないですね。
A モデルでは織り込めない要素です。
Q 本当は質の高い歳出を選んで持続的な成長に向かうような投資に使えば乗数は長い間持続するわけで、そういった計算ができればと思うのですが。
A そうですね。でもなかなかそういった細かい計算は難しいです。
Q 試算は2022年から名目3%成長が実現すると前提に置いていますね。でもなかなか3%成長は実現しないですね。
A 実績を見ると3%まで行っている年は近年ではないですね。
Q こういう試算が20年近く前から出されているのですが、だいたい3%成長を仮定して計算されているのですね。
A そうですね。
Q 例えば2005年の試算では7年後の2012年には名目GDPは645兆円になる、この調子なら今頃は800兆円を超えている。毎年3%成長するというのが、今の政策であれば非現実的ではないかという気がします。
A まあ、政府としては、名目3%、実質2%という目指しているところがありますので、その目指しているものが実現した姿を示しておかないといけない。
Q 過去20年間で平均してどのくらいの名目成長率になるかと言えば3%どころか1%もいかないという感じですよね。
A そうですね。この20年はリーマンショックや震災など起こりました。
Q 今後もそのようなものは起きる可能性はあります。今の政策を続ければなかなか3%成長は無理でしょう。
A まあ、アベノミクス、3本の矢を始めとした実績、これまでの実績を考えれば頑張らなければならないです。
Q 毎年、大幅な下方修正しますね。3%成長と言ってもとてもそこまでいかない。例えば2018年の名目成長率ですが、1年前の発表では2.5%と言ってました。半年前は1.7%に下方修正、今回はなんと0.9%にまで下がりました。わずか1年で1.6%も下方修正しました。実に3分の1近くに下がりました。いろんな数値を見ても大きく下方修正しています。もっと正確な予測ができないものか。これは理想であって、なかなかそうはいかない。毎回下方修正すると分かっていれば、最初から下方修正した値を出しておけば、国民はもっとこの試算を信用するようになる。国が出す試算ですから、もっと現実に即したものを出したほうが良いのではないかという気がするのですが。
A まあ、この試算から、あるメッセージとしてみるのは2%、3%行ったとしてもプライマリーバランスの黒字化ができない。2025年度ではまだ黒字化ができないという意味も込められています。
Q プライマリーバランスがそんなに重要なのかという問題があります。中国では最近40兆円の景気対策を打ち出したし、アメリカもトランプさんは歳出拡大、大減税、百何十兆円というそのくらいの規模の景気対策をやってます。だんだん効果が薄れてくると言われてますが景気を良くしてます。プライマリーバランスがどうだという話は出てこない。フランスでもデモに押されて緊縮政策を撤回している。
A はい。最近そうです。
Q 歳出削減でなく、可処分所得を伸ばせというデモが起きたらよいと思うのですが、日本はプライマリーバランス黒字化で将来世代へのツケを残さないようにしている。それが日本経済を悪化させていると思うのですが。プライマリーバランス黒字化は本当に意味があるのですか。
A 財政健全化の一つの指標となっています。
Q 国際的にそれだけプライマリーバランスを重視している国がありますか。
A 国際機関は財政収支を見ているところが多い。
Q IMFはカネを貸す立場だから、経常収支が大赤字の国に対して行き詰まったら節約せよと言うのは分かりますよ。日本はそうではありません。外国からお金を借りてない。デフォルトが起きそうもない。
A まあ、この先は分からないですが。
Q 基礎的財政収支が少しずつ改善し2026年には黒字化すると言っておられる。2025年までは赤字です。赤字ですが、債務のGDP比はすでに今年から下がっていくと予測してますね。2018年がピークでそれ以後は下がっていく。基礎的財政収支は赤字でも債務のGDP比は下がっていく。
A 成長率次第ですね。
Q つまり成長率を上げれば、基礎的財政収支が赤字でも下がります。
A そうですね。
Q だから基礎的財政収支が赤字でも債務のGDP比が下がるのだからそれでいいじゃないですか。財政赤字は気にせずに政府支出を増やしていけば、つまりトランプ流、中国流に財政赤字を気にせず財政支出を増やし経済を拡大していけば債務のGDP比は下がります。
A そうですね。
Q だったら政府支出を拡大していけばいいじゃないですか。財政赤字は気にせずにGDPを拡大していけば、つまりトランプ流に、あるいは中国流かもしれませんが、赤字でもいいから景気を刺激し、それで財政健全化が達成されるならそれでよしと言えるのではないですか。
A まあ、債務のGDP比もリーマンショックでもそうでしたが、外的要因などで振動しうる要因であるので。GDPを上げていくのも大切ですし、分子の債務残高を下げていくことも重要なのではないでしょうか。
Q そうです。GDPを上げること、そして債務を下げることが重要です。債務残高をゼロにするのは無理ですし、減らすことすら無理です。毎年何十兆円もの赤字のときにこれをいきなり黒字にするのは無理です。基礎的財政収支が黒字化しても債務は増え続けます。
A 利払いがありますから。財政収支が黒字にならないと減りません。
Q 財政収支を黒字にするのは無理ですよ。公務員の給料をゼロにしなければいけない。そんな無理な事をしなくてもGDPを増やせば、債務残高は増えても債務のGDP比は減っていく。これはこの試算で出ているのだから、それでよいのだと思いますが如何ですか。
A 財政と成長率の両面を見ながらですね。
Q 政府はインフレ率を2%にするのが目標だったのですね。
A 日銀と政府はそういう目標を立てていました。
Q この試算だと2023年度にやっとインフレ率が2%に達するわけですね。
A 2022年の後半で達します。
Q 安倍首相の任期が切れるわけで、アベノミクスでは目標達成ならずということですね。
A そうですね。
Q 更に任期延長ということがなければということですね。
A モデルの推定値なので確実というわけではないですが。
Q 異次元の金融緩和と言いましたが、なかなか効かないですね。
A 最近の日銀の物価見通しでもそうですね。
Q 外国人を何十万人かを受け入れるというのはこの試算には入っていますか。
A 入っております。
Q これはどういう影響を与えますか。
A GDPを押し上げ、潜在成長率を押し上げる方向にはたらいています。労働力が増えますから潜在成長率は上がります。
Q 成長実現ケースで全要素生産性ですが、足元の水準が0.4%になりました。半年前は0.6%、1年前は0.7%でした。どうしてこんなに下げたのですか。
A 17年度でGDPが下がった要因です。17年度は別な部署が作っているのですが聞いた話によれば全要素生産性は成長率のうちの企業の資本と労働という区分けになってきます。17年度は直近のデータで成長率はそんなに変わってないが労働参加が進んで労働寄与が増えました。資本はあまり変わらなかったので残りの全要素生産性が残差値として少なくなったと聞いています。
Q そうですか。それで、足元の水準が0.4%で、これが1.3%まで上昇するとなってます。前回は1.5%上昇と言ってました。
A 試算では上昇ペースを固定しています。ですから到達するとことも発射台が低くなれば到達点も低くなるということで下げました。
Q 金利も上がらないようにしてますね。長期金利ですが、2022年は0.4%になっています。半年前の予測は0.8%、1年前は1.4%でした。
A 物価が1年後ろ倒しになった。この時点で物価はまだ2%に達していないので日銀は金利を解放し始めるという時期になっていない。金利が上がり始める時期が後ろ倒しになった。その後の上がり方は前回とほぼ同じになっている。成長率自体が今回微妙に下がっている状況で、成長自体緩やかになっています。
Q 名目GDPも全体的に下方修正になっていますね。
A はいそうです。
Q これは毎年のことですね。高い成長率を打ち出しておいて後になって全体を下方修正する。そのために物価にも金利にも影響するということですね。
A そうですね。
Q 成長率が低くなれば基礎的財政収支が悪化しそうな気がするのですが。
A 税収に関しては悪化してます。
Q それなのに基礎的財政収支が改善した。ということは歳出をよほど削減したということですか。
A そうですね。社会保険関係費を中心に当初予算でかなり抑えられている。
Q 国債費がじわじわ上がっているのですが、以前は全然違う予測だった。例えば2011年に発表された国債費の予測ですが、2020年に51.9兆円、2023年に68.6兆円になるとあり、これは税収を上回り、我々の納める税金は全部国債費に回るのだなと思ってました。ところが最近の予測を見るとけた違いに減ってますね。2023年は68兆円といっていたのが、今回は23兆円に下がっている。どうなっているのでしょう。国債費は利払いと償還ですが。
A そうですね。2011年の予測では2023年の金利が5%だと言っていますね。
Q 今回の予測では金利はそんなに上がらないからということですか。
A 直近の金融政策を反映しているということです。
Q だから国債費はそんなに上がらないということですか。金利はそこそこ上がり、債務残高は増え続ける。国債費もじわじわ増え続ける。金利が暴騰すれば国債費はものすごい額になる。2028年でも金利は3.4%ですね。今は金利はほぼゼロだから国債費はおとなしい数字になっているが、3.4%まで上がれば相当行きそうな気がしますが。
A 35兆円まで行ってますね。
Q 利払いが増えますね。本当は償還の部分を除いてデータを出してもらったほうがよいのですが。
A 利払いは財政収支と基礎的財政収支の差から計算できます。
Q そうですね。増税をやるより3%成長になるように景気を刺激したほうがよいと思ってます。消費者物価が2019年度には1.1%上がると予測しています。1年前の予測は2.1%、半年前の予測は1.5%でした。消費増税によるかさ上げ分も乗せてあるのですよね。
A 乗っています。前回の夏の試算から19年度の政府経済見通しの数字なのですが消費税増税と同時に教育無償化、携帯料金の引き下げがあって物価が押し下げられることが考慮されています。
Q 結局かさ上げ部分が打ち消されますか。
A ある程度打ち消されます。
Q 消費税率2%アップですからすべての値段に2%上乗せされ2%物価が上昇するが、実際はそうではないですね。
A はい。課税対象はすべての財ではありません。
Q それを考えると消費増税のかさ上げ分はどの位になりますか。
A 政府経済見通しで19年は0.5%、20年も0.5%となります。
Q 合計で1%ですね。
A 幼児教育無償化の影響がマイナス0.3%で差し引き0.1 ~ 0.2%の物価押し上げとなります。
Q そうですが、消費者にとってみれば、実質0.1 ~ 0.2%と言ってもスーパーに行けば10%上乗せされてますから、100円のものが110円になっていると、出費を抑えなきゃと消費者は思ってしまうのです。
A マインドとしては。
Q そう、マインドとして。ですから実質0.1 ~ 0.2%という理論値が来るわけでなく毎日税金を取られている、こんなに税金を取られるのなら節約しなくてはと思う。その意味で消費増税は最悪です。消費を抑えます。安倍さんが一生懸命手当しますが、消費は落ちると思いますよ。2014年度の消費増税の際は駆け込み需要があったのですか。
A ありました。
Q 今回駆け込み需要は観測されてますか。
A 他の部署で調べてるかもしてませんが分かりません。
Q 駆け込み需要を予測してますか。
A 予測はありません。
Q ところが増税後、消費はかなり落ちると思いますよ。
A 2014年の時は結構落ちました。
Q 今回消費増税は騒いでますし、しかも計算がし易くなった。100円が110円になると言われるとこれは痛いということで節約すると思います。実質0.1 ~ 0.2%だという数字はお構いなしに節約すると思います。可処分所得が下がった、物が買えなくなったと買い物をする人がそう思って消費を控える。最悪の政策だし、何とかして欲しいと思う。止めて欲しいと思う。今回止めないのではないかと言われている。内閣府はどう思ってますか。
A 今のところ10月実施と思っています。
Q 今のタイミングですが米中貿易戦争もありますし、ブレグジットもありますし、消費増税には最悪だと思います。諸外国は減税で景気を支えようとしているのに、増税をやる。世界の景気は大丈夫なのかと思います。
A なるべく景気変動が小さくなるように対策をしております。
Q 自然災害で2018年度の名目成長率が下がったのですか。
A 政府経済見通しではそういう評価になっております。
Q 自然災害でよく言われるのは復興需要ですが、そういったものはないのですか。
A そこまで20年度以降に織り込んではいないのですが。18年度で言えば生産設備が破損して生産が停滞したことの影響を考慮に入れました。
Q 水害でしたか。
A 地震や水害です。交通網も寸断されました。
Q 日本で災害はいつも起こりますからある程度高い成長率をキープしておかないと、災害が起きたとか、世界経済がおかしくなったとかのときにどうやって下支えするのかという手段を残しておかなければならない。諸外国なら減税したり、金利を下げたり、財政出動をするのですが、日本はそういった手段を持たない。そういった状況がずっと続いている。それならお先真っ暗という気がする。
A そういったリスクに対する備えも準備が必要ですね。
Q これ以上金利は下げられないし、量的緩和ももう駄目ですね。国債はもうこれ以上のペースでは買えない。
A 日銀のバランスシートということは色んなところで言われている。
Q 出口戦略はどうなるのかと言われてますね。どうも有難うございました。頑張ってください。

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コメント

 今日は。higashiyamato1979です。やはり対応が後手後手に回っていると云う感が否めませんね・・・。
 それでは決まり文句! お金が無ければ刷りなさい! 労働はロボットに!人間は貴族に!

投稿: higashiyamato1979 | 2019年2月 2日 (土) 16時08分

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