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2019年2月25日 (月)

山本太郎議員を招いて開かれた第151回日本経済復活の会定例会(No.339)

第151回日本経済復活の会定例会は平成31年2月17日、江東区文化センターにて開かれた。講師山本議員の演題は「金を刷れ、皆に配れ。」であったのだが、これに対して少なからず批判的な意見も寄せられた。この演題は筆者が20年前から主張している内容であり、もし政府が20年前からそれに添った政策を実行していたら、今でも日本は世界で最も豊かな国の一つであり続けていただろう。一見すると乱暴そうな意見に思えるかもしれないのだが、これはマクロ計量経済学に基づいたシミュレーションを行って有効性が確認された結論を一般に分かりやすく表現したものだ。ノーベル経済学賞を受賞したサミュエルソン、クライン、スティグリッツ等が主張する経済政策でもある。

では、今の日本でどのくらいお金を刷ればよいのだろうか。2002年、筆者は著名な経済学者である宍戸俊太郎氏と共にシミュレーションによりこの答を求めることにした。そのためには経済データとマクロモデルが必要となるのだが、最も信頼されている日本経済新聞社のNEEDS日本経済モデルを使用することにした。天気予報は気象庁だが、経済予測は日経が定評があるからだ。しかし、日経はお金を刷って国民に配ったらどうなるかという予測は発表しない。その理由は日経は国から各政策の経済効果などの計算などで巨額の受注を受けており、お金を刷って国民に配るというような「不謹慎な」政策の評価に手を貸すようだと今後政府から受注が受けられなくなるかもしれないからである。

そこで筆者は日経にお金を払い、大規模な減税をしたら日本経済はどうなるのか計算してもらった。経済音痴の人はお金を刷って国民に配れば直ぐにハイパーインフレになるから絶対にやってはいけないと言う。お金を配ると言ってもヘリコプターでばら撒くことを提案する人はいない。例えば減税すれば国民にお金を渡すことになる。しかし実際にシミュレーションで計算をしてみると大規模な減税でも簡単にはインフレにならない。5年間、減税を継続的に行った場合の5年間平均のインフレ率の押し上げ効果を計算してみた。結果は予想したよりはるかに小さく、10兆円の場合0.9%、20兆円の場合1.5%、50兆円の場合3.3%だった。ただし、減税による景気押し上げ効果は素晴らしく、消費が押し上げられGDPは実質も名目も大きく増加、民間設備投資は増加、企業利益も雇用者報酬も増加、失業率は減少ということで経済にとってすべてが良い結果となった。

この結果をサミュエルソンに送ったところ彼からの返事は
 大規模な減税が日本経済の著しい回復をもたらすのであればインフレ率が十分高くならないとしても、気にしなくても良い。インフレ率自身は政策の最終目標ではないからだ。重要なことは、流動性のわな等に起因される消費の欠如を取り除くことである。
ということだった。

この試算から明らかなことは、もし10月に予定されている消費税10%への増税を止め、逆に5%に減税して景気を刺激してもまだインフレ目標2%には届かない。要するに景気刺激をするならもっと大規模にしなければ効果は限定的ということだ。米中のように大規模景気刺激が理想的だが、安部さんにそんな勇気がないとしても、小規模刺激策でも国民にとっては可処分所得の増加で物が多く買えるようになるし、企業も利益が増し未来への投資ができるようになり国際競争力を増す。経済力が増せば少子高齢化に耐えられるだけの国力がつくし年金も安定する。こんなによいことはない。

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コメント

 今日は。higashiyamato1979です。山本議員並びに日本経済復活の会は間違いなく、人類の最先端を行っています。
 それでは決まり文句! お金が無ければ刷りなさい! 労働はロボットに!人間は貴族に!

投稿: higashiyamato1979 | 2019年2月28日 (木) 13時47分

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