日韓経済戦争(No.355)
7月4日日本政府により韓国向け半導体素材の輸出規制強化が発動された。これにより日韓経済戦争が勃発したのだろうか。日本のマスコミはほぼ日本の措置を妥当とする論調ではあるが、一部に政府批判もある。韓国内でどのような報道がなされているのか正確には分からないが、日本の一部のマスコミの政府批判を引用し、日本のマスコミでさえ日本政府の措置を批判しているのに、なぜ文在寅政権を批判するのかという文在寅政権を擁護する発言もあるようだ。つまり日本国民は日本政府の措置が妥当だとし政府を支持し韓国を非難する一方で、韓国では韓国政府を支持し日本を非難する。両国共政府の支持率は高い。これでは100年前だったら武力衝突に発展したかもしれない。
第一次世界大戦に敗れたドイツは支払い不可能な額の賠償金を請求された。戦争に負けたのだからそのくらいの賠償金は当然だろうと戦勝国は主張したが、無理な要求にドイツ国民はナチ党を台頭させ、終戦の14年後にはモラトリアムを宣言し賠償金の支払いを拒否、その後第二次世界大戦で決着をつけることとなった。しかし戦争は誰にも良い結果をもたらさないと分かった結果、二度と過ちを繰り返さないようEUが生まれることとなった。韓国は日本に対し違法と知りながら何度でも賠償金を払い続けさせたいのだろうが、そのような試みは失敗することを理解してもらうしかない。
事の発端は徴用工訴訟問題である。第二次世界大戦中に日本の統治下にあった朝鮮および中国から労働者が日本で働いていた。給料は日本のほうが遥かに高かったので多くの労働者が応募し働きに来た。戦場で身を危険に晒すよりはるかによかったに違いない。戦後、日韓は1965年基本条約と請求権協定を締結し個人補償まで含め補償問題は最終的に終止符が打たれた。そのとき支払われた3億ドルには徴用工に対する補償も含まれており、そのことは2005年に韓国政府も認めているのだから、徴用工に支払わなければならないのは韓国政府だ。
韓国には日本に対してはどんなに悪いことをしても許されると思っている国民が多くいるようだ。反日強行派の文在寅大統領もそう考えているようだから、何度賠償金を払ってもまた請求してくる。第一次世界大戦後のドイツに対する戦勝国の要求に似ている。ナチ党を真似ろとは言わないが、際限なく続く不条理な要求に対してはきっぱり拒否し、強く反撃するのがよい。七十数年前の労働に対する補償はすでに終わっている。そんな補償を今更要求してくること自体馬鹿げている。シベリア抑留では日本人は約57万5千人が厳寒の地で強制労働させられ、約5万5千人が死亡している。賠償請求ならこちらの方が余程理に叶っている。
今回の日韓経済戦争での日本の戦術はトランプのやり方に似ているという人もいる。しかしトランプ流でやるなら韓国への経済制裁だけに終わらせてはいけない。なぜなら、今回の制裁(政府は制裁ではないと説明)により日本企業もダメージを受ける。日本経済は落ち込みが激しい。米中貿易戦争で落ち込み、消費増税でも落ち込む。これに加え日韓経済戦争が加わっては目も当てられない。トランプ流にやるなら、大規模な減税と大型景気対策を並行して行うことだ。韓国の経済成長率は2.5%程度であるが、日本の成長率は0.5%程度に過ぎない。日韓経済戦争となれば、日韓両者の成長率を低めてしまうから韓国はまだしも、日本はほとんどゼロ成長になって悲惨な結果になる。ここで思い切った積極財政で経済を支えるなら日本経済は勢いを取り戻す。経済戦争を仕掛けるのであれば、まず韓国の産業の一部を壊し、日本がそれを奪い取るくらいの作戦を考えるのがよい。財政政策で何が可能かを専門家を交えて検討すべきだ。そもそも韓国の発展は日本から高度な技術を違法に盗んで達成された結果だ。やられたらやり返すという意気込みがないと日韓経済戦争には勝てない。
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コメント
今日は。higashiyamato1979です。その通りですね。まあ、しばき隊やら神奈川新聞やら日弁連などはこの程度の主張ですらやれ差別だのヘイトだの日本は右傾化しているだのと騒ぎ出すのでしょうが・・・。
それでは決まり文句! お金が無ければ刷りなさい! 労働はロボットに!人間は貴族に!
投稿: higashiyamato1979 | 2019年7月14日 (日) 17時32分