解放主義社会への道、中国経済から学ぼう(No.354)
解放主義社会とは、人が労働・貧困・失業から解放される社会である。それは、国民が生活に必要な物資を生産する手段を国が確保し、その生産に人の労働がほとんど不要になった社会である。それはAI/ロボットなどを利用し、労働生産性を究極まで高めることにより実現できる。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2018/12/post-36a9.html
残念ながら日本の労働生産性は低く2017年の時間当たり労働生産性は世界で20位で
アメリカは72ドル、ドイツは69ドル、フランスは68ドル、イタリアは55ドル、イギリスは54ドルだが日本は48ドルとなっている。日本の労働生産性が低いのは中小企業が多い事が原因の一つになっている。1995年頃は日本の一人当たりのGDPは世界トップレベルだったが労働生産性はやはり先進国では最低の世界20位であった。これは労働生産性が購買力平価で計算されているため為替の変動で大きく影響を受けるわけではないためである。
上記サイトで解放主義社会においては国有企業が重要な役割を果たすことを説明した。その意味では我々は中国経済の事を知っておくべきである。もちろん、政治体制は最悪で学ぶべきことは何もない。中国の国有企業のうち100%中央政府の出資で成り立っている企業は128社、それ以外の中小規模の国有企業は12万社ある。中国全体で民間企業を含めた企業数は約4000万社あるので数だけ考えると国有企業の割合は少ない。しかし2018年の中国の売上上位10企業のうち、8社が国有企業である。例えば「国家电网有限公司(ステートグリッド)」の売上高はトヨタの1.3倍もある。また中国工商銀行は総資産約4兆米ドルの世界最大の銀行である。
国有企業を持つメリットは大きい。私企業であればその企業の利益だけのために活動するのだが、国有企業は国全体の利益のために活動できる。例えば人間の右手、左手、右足、左足がそれぞれ勝手な振る舞いをしたら、人間はほとんど何もできなくなるがその4つが統制が取れた動きをすればまともな行動ができるのと同じだ。また国から巨額の財政援助を受けられ、倒産のリスクがないので思い切った設備投資ができる。次世代産業技術の覇権争いをするには補助金をたっぷり受けた国有企業が圧倒的に有利になる。このことに危機感を覚えたトランプ米国大統領は不公正だと主張し、経済制裁を科している。
国有企業が利益を出せばそれを国民のために使うこともできるが、民間企業の場合その利益の一部を国民のために使おうとすると税金を課すしかないが、企業はあの手この手を使って税を逃れようとするし、場合によっては海外に本社を移す可能性もある。国有企業が今の中国の発展を支えているのは間違いない。
中小の私企業をたくさん抱える日本は今後AI/ロボットを導入する際、多くの困難を伴う。第一に開発には巨額の資金が必要になるが、私企業はそのような資金を持っておらず、大きく遅れをとる。第二にAI/ロボットが導入され、労働が代替されるようになるとき、労働者をどうするのかが問題になるから急激な導入ができない。その点中国の国有企業であれば、国策として労働者の移動が容易になる。これらの問題を放置しておくと日本経済は没落するばかりであり、解放主義社会への移行がいつまでも進まない。解放主義社会は究極の大きな政府である。財政規律ばかり気にしていると国は貧しくなり国民を苦しめるだけである。財政政策の大転換が求められる。
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コメント
今日は。higashiyamato1979です。「好きな事をしてお金を稼ぐ」、これは甘えでも荒唐無稽でもありません。日本人はもう少し大らかさが必要です。
それでは決まり文句! お金が無ければ刷りなさい! 労働はロボットに!人間は貴族に!
投稿: higashiyamato1979 | 2019年7月 2日 (火) 15時05分