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2019年10月10日 (木)

労働者を中小企業から大企業へ移動させることができたら(No.371)


日本の労働者の約70%は中小企業で働いているが、アメリカやイギリスでは中小企業で働く労働者は約50%である。一方、中小企業は大企業に比べ労働生産性は低く、賃金も低い。中小企業庁の調査では大企業の労働生産性は中小企業の1.38倍~2.41倍である。諸外国に比べ日本の労働生産性が低い理由の一つは、日本は中小企業の割合が多いということにある。今後AI/ロボットを利用して生産性を高めようとしたとき、中小企業の多さが障害になる。

「労働はロボットに人間は貴族に」ということで、日本を変えていくには、労働者を中小企業からもっと賃金の高い大企業へ移動させるのがよいことは明かだ。そうすれば平均賃金も上昇し国民は全体としては豊かになる。しかし政治家は「大企業から税金を取って、中小企業を助けたい」とよく言う。そんなことをすれば大企業は労働者を減らさざるを得なくなり、低賃金で廃業直前だったゾンビ企業が息を吹き返し労働者を増やすこととなる。全体としてみれば国民を貧しくすることになるのだが、一見すると貧しい人達を救うように見えるので票の獲得には有利かもしれない。低賃金の外国人労働者を受け入れることもゾンビ企業救済になる。

ではどうすれば労働者を中小企業から大企業へ移動させることができるかを考えて見よう。人手不足が深刻な現在、最低賃金を上げれば、低賃金でしか成り立たないゾンビ企業は労働者を増やせなくなる。しかし全体としては雇用が減る可能性があるから、増やすために強力な財政出動が必要だ。まず減税で消費を伸ばすことにより、企業の経営を助け、雇用の増大を促す。労働生産性を上げるには技術革新が必要となり、政府の積極的な財政支援で日本企業の国際的な競争力も向上させるべきである。以下でいくつかの例を挙げてみる。

①ヤマトとベルによる「空飛ぶトラック」は時速160kmで32kgの荷物を積載して飛行できる。2020年代前半までにオンデマンド物流サービスの提供を目指している。
②ZMP/ローソン、慶応大学がスマホで注文して自動運転で届けてもらうという宅配ロボットの実証実験をした。2020年までに実現したいとのこと。
③船の自動運転をめざし富士通が海上交通マネジメントソリューションについて、シンガポールでの実証実験を実施した。2025年までに自動運転船の実現を目指している。
④ジェット機の自動運転としてボーイングはパイロット不要のジェット旅客機をつくろうとしている。現在飛んでいる飛行機もすでにほぼロボット操縦になっている。全くの無人化でなくとも、自動化を進め、パイロット1人でも長距離運行が可能な操縦室にする試みも行われている。2025年の就航を目指している。

このような生産性を上げる試みは数限りなくあるし、そういった技術開発に国は思い切った財政支援をすべきだ。自動化が進めば人は要らなくなると思う人がいるかもしれない。財・サービスの提供がどんなに拡充されても、それを消費する人がいなければそれらは無駄になる。どのようにAI/ロボットが進歩しても最も重要なのは人間による消費である。労働が完全にAI/ロボットに代替されても、人間は貴族のような生活ができる社会を「解放主義社会」と呼んだ。詳しくは以下のサイトを参照して頂きたい。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-53b969.html
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2019/06/post-51995b.html

 

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コメント

 今晩は。higashiyamato1979です。前回の記事に続いてこちらも多くの方に頂く為、拙ツイッター(twitter.com/kuniyoshi1968)で紹介させて頂きました!

投稿: higashiyamato1979 | 2019年10月10日 (木) 17時08分

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