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2020年1月14日 (火)

ゴーン氏への日産の対応は恩を仇で返したことになるのでは(No.383)

日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告は保釈中にも拘わらずレバノンに逃亡した。マスコミは彼を犯罪人として扱うのだが、少なくとも彼は経営危機の日産を救ったし、彼を失って再び日産は経営危機に陥るのではないかと心配になる。彼が最初に捕まった原因は有価証券報告書の虚偽記載である。2011年~2015年の4年間の彼の役員報酬が本当は約80億円だったのに約40億円と記載したというもの。実際は40億円しかもらっておらず残りは退任後に受け取れる可能性があった。しかし実際は100%受け取れるというものでもないから虚偽記載ではないと法律の専門家は述べている。

もともと2兆円の借金にまみれた日産の業績をV字回復させたのはゴーン氏の業績だ。日産の連結営業利益はゴーン氏がCEOだった2011~16年度の平均で6000億円程度だったのが、ゴーン氏がはずれた2019年度は1500億円に落ちている。このことから考えれば4年間で80億円払ってもCEOを続けてもらったほうがよかったし彼を失って会社は大損害を被ったと言えるのではないか。なぜ4年間で80億円もらわずに40億円だけ受け取り、残りは退任後に受け取るようにしたかといえば、CEOの給料が高すぎると他の社員・役員がやる気を失うからということだった。つまり脱税して個人的な目的でお金を使いたかったのではなく、会社のためを思ってのことだったがこれが重罪といえるか。このことを日産内部で容認していれば何事も起きなかったのだが、ゴーン氏に反発する人々が結託してゴーン氏を告発する手段に訴えた。会社の内部抗争はよくある話だが、日産を立て直した恩人を警察に突き出すのは、恩を仇で返すことになるのではないか。

もしゴーン氏が100%日産の株を持っていたオーナー社長であったら、給料は自由に決められたしこのような問題は起こらなかった。経営危機にあった日産を立て直したのであれば、その功績は正当に評価されるべきであり、オーナー社長に準じた扱いをすべきだし日産私物化に関してもある程度寛容であるべきではないだろうか。日産はゴーン氏を警察に突き出した結果、時価総額で1兆円以上失っている。

虚偽記載と言うが、役員は退任後の報酬をカットできたのだし、実際カットされているから有価証券報告書の虚偽記載にはならないのではないか。しかしそれでも100%支払うものだったと主張され彼は犯罪者にされた。彼は日産の恩人だということを考えれば、反乱を起こすにしても、空港で何の前触れもなくいきなり逮捕し司法取引という陰険な手段まで使ったりして彼を犯罪人にするのには違和感がある。彼を失脚させたいだけなら彼に「私たちはあなたを警察に突き出すこともできる、それがいやならCEOを辞任しなさい」と役員会議で要求すべきだったし、CEO解任決議だってできたのではないか。空港で突然逮捕したということは、その時点で彼の有罪は99%以上決まっていた。彼の言い分を全く聞かずに一方的に有罪を決めてしまう日本の司法制度に問題はないのか。

日本で公正な裁判を受ける可能性は皆無だったと思う。起訴されれば99%以上は有罪になるのが日本の裁判制度だ。気が遠くなるほど裁判に時間がかかるから、まるで無期懲役だから海外に逃亡したくなる気持ちは分かる。

このやり方では、たくさんの冤罪を生むのは明かだ。実際痴漢冤罪事件が問題になっている。痴漢事件で起訴されると正しいのは女性、嘘を言っているのは男性であることがほぼ前提となって裁判が進む。しかし、痴漢被害を偽装する女性もいる。検察も人間であり間違うこともある。ゴーン氏のように有名人であり有能な経営者をこのような形で犯罪者にしてしまうのでよいのだろうか。アメリカの自動車メーカーは日産の2倍の給料でゴーン氏を受け入れると言ったそうだ。ゴーン氏をCEOのままにしておいたほうが、日産の経営にはよかったのではないか。こんなゴタゴタのあった会社の車が売れるだろうか。厳しい競争のこの業界で生き残れるのか。このような扱いをされるのであれば、海外の有能な経営者は日本に来なくなるのではないか。

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コメント

ゴーンは日産社員をリストラしただけだろ。
日産を救っただの有能な経営者だの、バカバカしい。

投稿: | 2020年1月14日 (火) 12時01分

ゴーン問題は表では虚偽報告を問うているが、本当に問題なのは新生銀行を介したデリバティブ取引違反とマネロンです。これをメインで報道されると新生銀行と日産が証券取引法違反で罰せられ、被害が拡大するからなのか?逮捕時には報道されていたが今では皆無。
当然地検は追ってる筈だが、マスコミがこの件を報道しなくなった。ここに裏の闇があると思う。

投稿: 石川 | 2020年1月30日 (木) 15時50分

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