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2020年1月 7日 (火)

通貨発行権を駆使した宅地改革を断行せよ(No.382)

2019年の日本の総世帯数は5306万世帯で、今後は減少が見込まれる。一方住宅数は6365万戸であり、総世帯数より多く、住宅建設は続いているので今後も増え続ける。すでに7件に1件は空き家になっており、2033年には空き家率は30.2%に増加すると野村総合研究所は予想している。日本の民有地の時価総額は約1000兆円だから、単純計算なら約300兆円が無駄になることになる。管理が行き届かずに何年も放置され老朽化した空き家が増えると、破損や倒壊で周囲に被害を及ぼす、ごみの不法投棄や放火などの犯罪を誘発する、有害動物を誘引する、景観を阻害して地域のイメージを悪くするなど、さまざまな面で悪影響を及ぼす恐れがある。空き家だらけの都心部が放置されているが。一方で都営住宅の入居倍率は数倍から数百倍になっており、住む場所に困っている人は多い。

かつて高値の花だった多摩ニュータウンだが今では高齢化が進み、地価は8分の1に下がった所もあるという。バブル絶頂期には都心の地価が急上昇し、それが郊外にも波及していった。そこでサラリーマンは郊外から遠距離通勤した。当時郊外に家を買った人も30年が経過し、遠距離通勤のサラリーマンも引退し、その子世代の相当数は便利な場所を求め地元を離れ、人口は大幅に減り家の跡継ぎもなく地価も下落していく。

そういった現実を忘れ郊外の宅地開発が止まらない。一方で都心は空き家だらけなのを放置して新しい住宅をどんどん建設していく。その反面建設業界は深刻な人手不足になっている。3K職場と見なされ敬遠する人が多い。無計画な宅地開発で2015年までの10年間で大阪府の面積に迫る居住地区が生まれたという。

問題点を具体的な数字で明らかにするために持ち家と借家の数の推移を示す。

                         出所:総務省

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住宅建設が進むと誰もが持ち家を持てるような気がするが、借家も増えておりマイホームが買えない人が減っていないということだろうか。十分な資金を持っている人であればマイホームが買えるはずであり、やはり買えない世帯が多いということは豊かさが国民の間に広がっていないことを意味している。

                     出所:国立社会保障・人口問題研究所

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人口はこれから減少していくのだから世帯数も減る。逆に住宅戸数が増えるのであれば多くの人が持ち家でゆったり暮らせそうな気がするのだが、分配が上手くいかないとそうはならない。

                             出所:総務省

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「新築に対する思い」が強いから古い家は放置され空き家が増える。親が亡くなっても、親が住んでいた家はそのまま空き家にする傾向がある。複数の相続人が争う場合は売却が難しく空き家になることが多い。家の所有者が死亡した後、相続の手続きが行われない場合、空き家になる。老後の資産運用にテレビでは誰もがアパート経営を勧めている。誰もがそうするようになれば、住宅の供給過剰になり失敗する。空き家、空き地を無くして活気のある街をつくる必要がある。

                           出所:総務省

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住宅は増えたが持ち家住宅比率は増えていない。やはり富の分配が上手く行われていないということではないか。

                    出所:国立社会保障・人口問題研究所

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生活苦で生活保護を受けている世帯は160万世帯以上である。生活保護の対象になる人のうち、実際に利用しているのは18%だから本当に生活が苦しいのは数百万世帯もある。この人達は持ち家どころか生活費も足りないのである。

我々が提唱するのは「労働はロボットに、人間は貴族に」を実現する「解放主義社会」である。労働が次々AI/ロボットに代替される中で、住宅建設や土木工事がロボットだけで行われるようになるのは相当先のことだ。そう考えればむやみに居住地区を増やすのでなく、どうすれば住みやすい都市ができるのかを考え、まずしっかりした都市計画を立て宅地の大改革をするとよい。空き家の管理の適正化に向け、平成27年に「空家等対策特別措置法」が施行されている。この法律により、空き家の適正管理をしない所有者に対して、市町村が助言、指導、勧告などの行政指導を行うことができるのだが、あまり効果がない。むしろそのような所有者に対しては固定資産税を大幅に値上げし適正利用を促す。誰も相続しない空き家や、所有者が分からない空き家は一定の猶予期間の後国有化する。所有者が分かっている場合でも固定資産税が大幅に値上げされていれば売りたいと思ったり有効利用しようとしたりするだろう。売却を希望する所有者からは国が買って国有地を増やせば良い。国は通貨発行権を有しているからいくらでも買える。やたらに空き家が増えて都市機能が著しく劣化していくのを放置するより、放置されている空き家を国有化し、有効利用しコンパクトシティーを目指したほうがはるかによい。

リチャード・A・ヴェルナーは日銀が刷ったお金で土地を買う事を提案したが、政府が国債を発行して得た財源で土地を買いその国債を日銀が買っても同じ事だ。日銀は土地の管理などできないので政府が買い取ったほうがよい。国が主導して都市の再開発をするのであれば、移住、観光振興、福祉、市街地活性化、産業振興などシステマティックに都市開発が可能となる。市街地内の老朽木造建築物が密集している地区等であれば不燃化されたビルに統合し、余った土地で公園、広場等の整備をすることで土地の高度利用が可能となる。戦後GHQの助けを借りて行われた農地改革並の大改革が行われた。もはやGHQの助けを借りることはできないが、通貨発行権は強大な政府の権利でありそれを駆使すると思い切った大改革が可能だ。国債の増発が必要となるが、その影響をマクロ経済モデルで慎重に調べながら行えば良い。

かつて田中角栄は日本列島改造論を唱えた。日本列島を高速道路・新幹線・本州四国連絡橋などの高速交通網で結び、地方の工業化を促進するなどして列島改造景気を導いた。平成の時代は失われた30年であったが令和を繁栄の時代にするには通貨発行権を駆使した政策が欠かせない。空き家による環境悪化を阻止し魅力あふれる都市を建設せよ。すべては国民の利益のために。

 

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コメント

 今日は。higashiyamato1979です。国が生活保護受給者や氷河期世代にマイホームを与える―それも一時的なものでなく恒久的なシステムによって―それだけで我が国の経済、否歴史が大きく転換するでしょう。通貨発行権がそれをいとも簡単に実現させますね。
 それでは決まり文句! お金が無ければ刷りなさい! 労働はロボットに!人間は貴族に!

投稿: higashiyamato1979 | 2020年1月 7日 (火) 15時30分

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