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2020年3月30日 (月)

大規模な経済対策で家計にも企業にも予想外の恩恵がある(No.395)

2月28日に安倍首相は全国の小中高校を臨時休校にすると宣言した。その時言われたのは「この1,2週間がヤマ」ということだったが、ヤマを越したはずの現在でも感染者は増え続けている。ヤマを越したのだからもう自粛しなくてよいのか。今は、当時の10倍の患者がいる。今はあの当時よりはるかに大きな危険が迫っており、今こそ緊急事態宣言を出すときである。

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今、政府がやるべき事は

①まず、緊急事態宣言を出すべき。

②大掛かりなPCR検査を実行し感染者を特定すべき。

③軽症の感染者は自宅隔離か、特別な施設で隔離する。

オリンピックの選手村や、経営難に陥ったホテルを買収などして隔離施設を確保し感染者をGPSで監視するとよい。感染者は一見して分かるようにバッジを付けさせよ。多数の人命を救うにはプライバシーの侵害も仕方ない。

④感染を広めてしまう可能性が高い施設、歓楽街、ショップなどは補償料を払って閉鎖する。

⑤大規模な経済対策

 

困っている人だけに現金給付をすればよいのではない。本当に困っている人を捜すには時間と費用と人手がかかる。モタモタしてたら、倒産する会社が続出、復活ができなくなる。審査に膨大な時間が掛かり、申請には長い行列で何時間も待たなければならず、そこでの感染の危険が大きい。国民全員に同額のお金を支給するなら、素早く実施可能である。現金給付なら貯金されてしまうだけと言う人がいるがそうではない。以下に日本経済新聞社の日経NEEDS日本経済モデルMACROQ79を使って試算をした結果を示す。

現金給付は名目GDPを押し上げる。ここでは一人当たりの年間の給付金額を10万円、20万円、40万円、80万円として計算しGDPをNo394で示した。

もし一人当たり毎年40万円、国民全員に配ったらどうなるかその影響を調べてみる。国が支払うのは約50兆円/年である。次の図より預金の増加は多くない。つまり、皆さん貯金するだけというのは間違いだ。消費が増え、それが企業の利益を押し上げる。人は豊かになるとマイホームが欲しくなり、土地の需要が増え、土地が値上がりする。土地を所有する家庭には朗報であり、万一生活に困れば土地を担保にお金を借りることができる。株も値上がりするので株を持つ家庭、あるいは投資信託を持つ家庭では資産が増す。増加額は合計で100兆円を超す。

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消費が伸びて企業の利益も増えそれが様々な形で企業の資産の増加をもたらす。

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政府の出費は約100兆円だが、家計と企業の資産の増加はその2倍以上となる。現金給付では貯金に回るだけという主張は全くの間違いであることがわかる。

 

同様な試算を消費税減税で行ってみる。試した消費税率は0%、5%、8%、10%の5種類でGDPはNo.394で示した。消費税率を下げると、定価に上乗せされていた消費税が減少するために税込み価格は下がり、取引額も下がり、名目GDPも下がることとなる。しかし税率が下がると消費が伸びるので名目GDPは大きく上昇するから1年以内に下がったものを取り返すことができる。  

一方で実質GDPの方が、経済成長は分かりやすい。

消費税率を0%にしたときの資産の増加を次のグラフで示す。10%の税率なら消費税収は27兆円/年なので2年間では54兆円。家計の資産の増加は140兆円程度である。

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企業も資産を大きく増加させている。2年間で100兆円余りになる。つまり家計と企業で合計240兆円、政府が減らした税収の4倍以上ということになる。

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最後に公共投資を考えて見る。年間10兆円、20兆円、30兆円増やした場合と増やさない場合を比べてみた。GDPはNo.394で示した。比較的少ない投資額でGDPは大きく増加することが分かる。20兆円の公共投資で1年後には名目GDPは600兆円を超える。

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公共投資を20兆円増やしたときの資産の増加を調べてみる。2年後には130兆円の増加がる。

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2年間で企業も100兆円以上資産を増やしている。つまり政府が追加で2年間40兆円の公共投資を増やしただけで家計と企業で230兆円もの資産を増やすこととなる。

巨額の景気対策をすればハイパーインフレになるという人がいる。NEEDSの計算によれば40万円を全国民に給付してもインフレ率は0.1ポイント押し上げられるだけである。

下図は2003年以降の市中に出回るお金の量M2(マネーストック)のグラフである。約350兆円増加している。

                          出所:日本銀行

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M2(マネーストック)は上昇を続けているのにインフレ率はプラスになったりマイナスになったりでありインフレ率はマネーストックとはあまり関係ないことを示している。これは使われない通貨が増えていて、貨幣の流通速度が下がっていることを意味する。このようなときはマネーストックが増えてもインフレにはならない。

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この試算に協力して下さいました荒井潤氏と山下元氏に感謝いたします。

本試算では日経新聞社の承認を得てNEEDS日本経済モデルMACROQ79を使用しましたが、その推計結果に関しては日本経済新聞社が承認したものではありません。

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コメント

 今日は。higashiyamato1979です。今すぐ全国民が共有するべき情報です。拙フェイスブックで紹介させて頂きます。

投稿: higashiyamato1979 | 2020年3月31日 (火) 15時42分

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