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2020年4月

2020年4月29日 (水)

コロナウイルス感染者の隔離を完璧にして元の日本を取り戻そう(No.407)

韓国、台湾、ニュージーランドなどは新規感染者数が1桁にまで下がり、日常を取り戻しつつある。一方では新規感染者数が1万人を超える国も欧米にはある。世界は二極化しつつある。つまり街にはほとんど感染者がいなくて自由に出かけることができ生徒は学校に行ける仕事も大丈夫という非感染国と、街に感染者がウヨウヨしていて、自由に街を歩けず、経済活動も厳しい制限が掛かり学校は休校のままの感染国の2つである。もちろん、経済に関して言えば悲感染国は発展するし、感染国は発展どころか、経済に大打撃を受け続ける。日本は今、非感染国になるのか、感染国になるのか、微妙な分岐点にある。政治家の決断と国民の協力次第で今からでも非感染国に移行するのは可能である。

では非感染国に移行するにはどうすればよいのだろうか。結論は簡単で感染者を完璧に隔離することだ。それを実現するためには、どの程度の対策費を使えるものかを検討しておくのがよい。4月29日にテレビ番組で法政大学の小黒一正教授は次のように語った。
「半年間でコロナのため43.2兆円以上の売上げが失われた。コロナ対策には50兆円を支出すべきだ。」元々緊縮派経済学者の小黒氏がこのように主張するわけであり、それほど重大な事態だということだ。コロナ対策に50兆円を使ってもよいと理解すべきでありこれは日経NEEDS日本経済モデルを使ったシミュレーションの結果とも一致する。

まずやるべきは、PCR検査を片っ端からやるべきだ。諸外国に比べPCR検査数は圧倒的に少ない。誰が感染者で誰が感染者でないかが分からないと隔離はできない。PCR検査は訓練を受けた人でないとできないから検査数は限られると言われていたが、韓国は短時間で検査ができる検査キットを開発し、隔離に成功し国を救った。韓国はその検査キットを無料で日本に提供すると言っているのに、日本政府は受け取ろうとしない。日本国民を見殺しにするのだろうか。イェール大学の研究によれば唾液によるPCR検査の精度が非常に高いと分かった。そうであれば唾液を自分で採取してもらってPCR検査は大量に安全に短時間でできることになる。そういうことで、まずPCR検査を大規模にやるべきである。

検査を行い感染者を特定したら、重症者は入院させ軽症者はホテルや宿泊施設に入ってもらう。厚生労働省は28日、新型コロナウイルスの感染者を受け入れる軽症者向け宿泊施設を公表した。患者の受け入れが可能な部屋数は、35都道府県の計1万2090室で、うち862室が現在使用されている。医師や看護師が待機する必要があり、大規模ホテルで時々診察できる環境が望ましい。軽症の感染者で自宅待機をしている患者が5000~10000万人程度いると思われるから、大至急受け入れ体制を整えてホテルに入ってもらうとよい。自宅療養だとどうしても家族に感染させてしまうし、買い物などで出歩くと他人に感染させてしまうので、徹底的に隔離するにはホテルなどで厳重に隔離すべきだ。隔離中で欲しい物があればすぐに届けられるようにすればよい。

それに加え、濃厚接触者や帰国者などもホテルで隔離すべきだ。2月には武漢から帰国した日本人のうち経過観察を希望した191人の宿泊は勝浦ホテル三日月が引受け2週間の滞在の後、全員PCR陰性が確認され無事帰宅が許された。ホテルでの滞在費を国が払うのであれば、濃厚接触者はホテルでの隔離に応じるべきだ。2週間の隔離が苦痛の人もいるだろうが、日本がコロナから解放されるためには、この程度の事には耐える必要がある。隔離が苦痛でたまらない人に対しては、何が問題なのか本人の希望を良く聞いて、その希望にできるだけ応じるようにうべきだ。

新規感染者のうちで感染経路が分からない人に対しては人海戦術で感染経路を調べた方が良い。これにはカネに糸目を付けずやるのがよい。予算は50兆円だがそんなに費用はかからないだろう。探偵・興信所の協力や市民の協力も、カネを使えば大規模にできるのではないか。日本を非感染国にするためにはあらゆる事を試すのがよい。来年のオリンピックを開催できるようにするには全力でコロナを封じ込めるべきである。

院内感染が多発しているが、唾液によるPCR検査が素早くできるようになれば、徹底した検査を行い、院内感染も防げるようになるのではないか。

新規感染者数を1桁にするのは不可能ではない。新規感染者数は4月中旬には700を超えることもあったが、4月下旬には100~200程度にまで落ちている。ここで家庭内感染を防ぎ、院内感染を防げば新規感染者が1桁になるのも時間の問題だろう。その時でも外国から入ってくる可能性は常にあるが、それは細心の注意をして封じ込めれば島国だから防ぎやすいのではないか。

更にコロナ対策に50兆円を使うとしたら何があるか。感染者が1万人いるとしこの人達にお金を全部使うとしたら一人当たり50兆円÷1万=50億円である。一人当たり50億円と言っても使いようがない。つまり50兆円とはそれほどの大金なのだ。隔離するときに丁寧に対応するとしても、50億円なんて掛かるわけない。自粛を求めるとき補償金を出したとしてもせいぜい数兆円にしかならないと思うから、大判振る舞いで出した方がよい。出さないと企業が次々破綻し、コロナが片付いた後、復活を先導してくれる企業がいないと簡単には復活できなくなる。サービス産業を壊滅させるべきではない。しかも補償をしておけば自粛には喜んで協力して貰え,コロナ封じ込めが容易になる。自粛で国民には莫大な損害がでているのだから、その穴埋めをしておくべきであり、そのうちの一つが補償である。それ以外にバイトができなくなった学生には新しい給付型の奨学金をつくって支給すれば、学生は学業を続けられる。それ以外どこかに自粛で犠牲になっている人を探し出して助けるが良い。しかしなかなか50兆円の使い道を見つけるのに苦労するに違いない。それなら全国民に現金給付したり減税したりで経済の復活を助けるべきだ。

 

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2020年4月25日 (土)

日経が発表した日本経済の深刻な落ち込みと、その克服方法(No.406)

国は外出を控え人との接触を8割減らせと言う。しかし一方で感染しても軽症なら自宅で療養せよと言う。しかし家族の一人が感染していて、外出を控えたら同居している家族に感染させてしまう。3密を避けろというが、狭い住居で3密を避けるのは無理だ。感染者でも軽症者まで入院させたら病院が患者で溢れ医療崩壊を起こすと言う。そうであればホテルに隔離すればよいだけだ。4月19日西村康稔経済再生担当相は、新型コロナウイルスに感染した軽症者や無症状の人に入ってもらう宿泊施設について、全国で21万室を超えるホテルを確保したと述べた。加藤厚労相は、軽症者も自宅でなく宿泊施設が基本だと述べた。そうであれば直ちに、そして一挙に実行してもらいたい。もし現状のまま数ヶ月経過すると、数千人、数万人の命が失われ、休校が続く生徒の学習に深刻なブランクが生じ、また閉鎖が続く店・企業の多くが廃業を余儀なくさせられ街に失業者が溢れる大恐慌が訪れる。その失業者の数に比例して生活苦からの自殺者が発生することは過去の経験から分かっている。コロナ感染を止めて何千・何万という命を救おうではないか。

新型コロナウイルスに感染した軽症者や無症状の人はで自宅療養している人は7府県で1100人で全国でもせいぜい8000人程度だろう。一人1泊2万円としても一泊1.6億円でよい。それだけでなく、新型コロナの症状が出ている人とか、感染者の濃厚接触者さえもPCR検査を受けさせない。陽性と分かって病院に押しかけられると医療崩壊が起きるからだと言うが、そういう人達も取りあえずホテルで隔離しながら検査の順番を待つのがよい。ホテルは観光客が激減し、大変経営が苦しくなっているから、渡りに船だ。そうすればできるだけホテルでの隔離者を減らそうと国はPCR検査を急ぐようになるだろうし、韓国の検査キットなどで検査を加速させることも考えるだろう。

万一、感染者がホテルでの隔離に応じないとしたら、それはもはや犯罪と呼ぶしかない。他人に感染させたら命を奪う可能性があるのだから、殺人未遂に相当する重罪だ。国民の命を守り、国の経済を救うには、感染者全員を強制隔離するしかない。法的な裏付けが必要なら緊急に新しい法律を制定すべきだ。更に感染者全員の氏名を公表すべきだ。戦後最大の国家の非常事態なのだからそれも許されるべきだ。あるテレビ局の調査ではこの非常事態に対応するにはプライバシーの侵害もやむを得ないとする人が89%もいた。氏名を公表し、探偵事務所を使って徹底的に感染経路を調べるべきだ。このことは前回(No.405)で述べた。コロナの封じ込めは台湾や韓国で成功しているのだから、日本でもできないわけがない。

感染を止めるため、国は様々な店の営業を自粛せよと言うが、補償はしないとしている。短期間ならまだ耐えられるかもしれないが、長期になるとバタバタ倒れるところが出てくる。このままだとリーマンショックを超え、世界大恐慌並の大不況が来る。景気悪化を避けるために政府はどの程度の対策をすればよいのかを考えるために日経NEEDS日本経済モデルを使って計算する。まず日経新聞社の経済予測をみる。コロナが深刻化していなかった2020年2月の予測と深刻化した2020年4月の予測を比べてみる。

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2月のデータは4月のデータに比べて2020年のQ2(4月~6月)GDPが28兆円(5.4%)下がっていて、2022年Q1でも2.6%低くなっている。2020年4月のグラフは2020年4月の緊急経済対策(事業規模117兆円)による押し上げ効果を考慮に入れて計算されている(全国民に10万円を給付する効果は入っている)のだが、この経済対策はまだまだ足りないのは明かだ。4月20日に西村経済再生担当大臣はこの経済対策がGDPを最大で4.4%押し上げるとの試算を示した。4.4%ということは24兆円であり、このグラフを見る限りそれだけの効果があるとは思えない。

次に4月22日に発表されたデータを使って、全国民に現金を給付したとき経済がどうなるかをNEEDS日本経済モデルを使って計算してみる。

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これらのグラフは毎年国民全員に一定額の給付金が配られるとしている。その額が10万円、20万円、40万円、80万円の4種類で、全然配られなかった場合と比較してある。2018年度では名目GDPは550兆円だったことを考えれば、全然現金を配らなかった場合は2022年になっても554兆円だから4年間で僅か4兆円しかGDPは増加しなかったことになる。このグラフで分かるように2020年のQ2(4月~6月)でGDPが約20兆円落ち込んでいる。この落ち込みを取り戻そうと思うなら国民全員に40万円を配る必要がある。ただしこれは早期にコロナを封じ込めて経済が元の状況に戻ったと仮定してある。コロナの終息は難しい。日本で封じ込めが成功しても、海外から絶えず入ってくるし、いつまた感染爆発が起きるか分からない。そういったことを考えればこのグラフより経済ははるかに大きく落ち込むかもしれない。日経新聞社としては、そのような最悪の事態の試算は怖くて出せなかったのではないか。その意味でこのグラフは最良のケースを表していると考えるべきだ。

もしコロナの終息に失敗したらどうなるのだろうか。自粛を要請されている企業でテレワークができないところは倒産するだろう。店がすべて営業を停止したら我々は生きていけるのか。食料品店も人が押しかけ店員も感染してしまい営業が続けられなくなる。病院も感染が防げず次々と休業する。これが最悪の状況だ。しかし一度コロナに感染して回復した人は抗体ができていて、二度とコロナに感染しないかもしれないし、感染しにくいかもしれない。そうであれば、例えばクラスターが発生し閉鎖になった病院も抗体を持つ医師・看護師が中心となって病院を再開できるかもしれない。お店も同様だ。抗体を持つ人は、コロナを発病したことを確認された人よりはるかに多い可能性がある。つまり本人気付かないうちに感染しそのまま回復した人であり、抗体検査で抗体を持つかどうかが分かる。抗体を持つ人が実際コロナに感染しないのかどうかは確認が必要だ。

学校が休校となったり、飲食店が閉められたりしたら、農作物の物流が止まりそれを大量に破棄しなければならなくなっている農家は苦境に陥っている。そうであれば例えば国がその農作物を買い取って、学校の体育館などを借りて陳列しておき、必要な人に無料で持って行ってもらうようにしたらよい。混雑するようなら、入場制限をする。これにより食料品の流れははるかにスムーズになり、破棄していた食料品が消費者に届けられる。生産者にも消費者にもメリットがありそれを国が支援する。スーパーや配達業者の負担も軽減され過剰にスーパーに人が並ぶこともなくなる。こういった経済は、未来の無制限供給の世界の実現のための貴重な実験になる可能性がある。全国民への現金給付もベーシックインカムの実験として貴重である。無駄な労働を省いてここまで快適な生活ができるということが多くの人に理解されるようになる。汗水流して小さなお店を経営してギリギリの生活で苦しみ続けるより、店を閉めてベーシックインカムで生活すれば十分かもしれないし、野心的な研究開発にトライする人も出てくるかもしれない。人の欲しがる物をどうやってよどみなく供給するのかという問題を解決して、未来の理想社会を築くにはどうすればよいのか考えるよい機会になる。

この試算に協力して下さいました荒井潤氏と山下元氏に感謝いたします。本試算では日経新聞社の承認を得てNEEDS日本経済モデルMACROQ79を使用しましたが、その推計結果に関しては日本経済新聞社が承認したものではありません。

 

 

 

 

 

 

 

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2020年4月22日 (水)

新型コロナウイルスの完全封じ込めのための特効薬(No.405)

あるテレビ番組で橋下徹氏は「今はコロナ対策でどんどんお金を使って、財政が破綻するまでやればよい」といった意味の発言をしていた。果たしてどれだけ使えば財政は破綻するのだろうか。日経のNEEDS日本経済モデルで計算してみた。今回全国民に10万円を給付するのだが、これは12.5兆円が必要になる。例えば一人当たり80万円を給付したときは100兆円の財源が必要となる。財務省が卒倒しそうな数字だが、この場合の試算をNEEDSで試算をしてみた。
https://ajer.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/401_20200416104201.png
このとき財政は破綻するのだろうか。財務省のホームページには財政は決して破綻しないと書いてある。
https://www.mof.go.jp/about_mof/other/other/rating/p140430.htm

財政が破綻する場合は次の2つのケースだ。
①財務省が発行する国債が売れ残る場合
②ハイパーインフレになる場合

①国債が売れなくなるのを防ぐには、金融機関と日銀が約束をすればよいだけで解決できる。金融機関が財務省の国債を買ってくれれば、その直後に日銀が金融機関からもっと高い値段で全部買い取ると約束しておけば、金融機関は何にもしなくても大金を手に入れることができる。どの金融機関も大喜びで協力してくれる。
②ハイパーインフレになることはあり得ない。NEEDSで計算しても100兆円の給付を行ってもインフレ率の押し上げは1%にもならない。今の日本では簡単には消費が伸びないし、企業は少々利益が増えても給料を上げないからである。

結論として100兆円でも大丈夫だが、安全策なら50兆円程度なら絶対大丈夫だ。というより50兆円でも今落ち込んでいる景気を立て直すだけでも不十分なくらいである。取りあえず50兆円の予算でコロナを完璧に封じ込める方法を考えよう。

安倍首相などが繰り返し言っているのは、人との接触を8割の接触を減らせということだ。しかし感染者を完全に隔離したら感染の危険がなくなり人との接触は減らさなくてもよくなる。実は人との接触と言っても感染者との接触を断たなければならないわけで感染していない人ならいくらでも接触しても構わない。その意味で感染者を自宅待機にさせている現状は最悪だ。狭い日本の家屋で自宅待機をさせていると家族に感染するのは明らかで、現在感染している人のかなりの部分は家庭内感染である。これを防ぐのは簡単で、感染者で軽症の人をすべてホテルで隔離することだ。4月19日西村康稔経済再生担当相は19日、新型コロナウイルスに感染した軽症者や無症状の人に入ってもらう宿泊施設について、全国で21万室を超えるホテルを確保したと述べた。また加藤厚労相は、軽症者も自宅でなく宿泊施設が基本だと述べた。新型コロナウイルスに感染した軽症者や無症状の人はせいぜい約8000人程度だろう。一人1泊2万円としても一泊1.6億円でよい。予算50兆円だから余裕で払える。ホテルは確保したがまだ準備ができていないと言うのかもしれないが、完璧な準備ができていない段階でホテルに入ってもらったとしても自宅で隔離するよりはるかに安全だ。世話人が必要だから2000人を人臨時職員として雇うとよい。1日1万円で雇うなら1日0.2億円で、これも払える。あるいは業務委託として引き受けてくれる会社はある。感染者の病状が悪化したら病院に入院できるよう準備しておけばよい。

もちろん専門家の指導を受け完璧な環境をつくってからホテルに受け入れてもらってもよいのだが、それには大変時間が掛かり、そんなことをしている間に感染者の家族に次々感染させてしまう。取りあえずホテルに隔離し、専門家と相談しながら、後で隔離を完全なものに近づけていくのでよい。

自宅待機の感染者をホテルに隔離したら、その次は感染者との濃厚接触者もホテルで隔離することだ。これが1万人いるとし、世話人が2000人とする。一人1泊2万円とすると1泊2.4億円だからこれも払える。感染者とその濃厚接触者の隔離が終わったら、次はそれ以外の市中に埋もれている感染者を探し出すことだ。そのためにはPCR検査の数を増やさなければならない。韓国で使われている検査キットでよい。PCR検査数を増やすと患者の数が増えすぎて医療崩壊を発生させるという意見があるが、軽症者はすべてホテルで隔離すれば医療崩壊はしない。

ではどうやってPCR検査数を増やすかということだが、4月18日東京都医師会は、検体を採取する「PCRセンター」を都内で最大47か所に順次設置すると発表した。検査して欲しい人が大挙して押しかけると感染の危険があるので予約制とする。誰が感染者かが分からないと隔離はできないし、新たな感染者を少なくすることもできない。韓国ではドライブスルーやウオークイン検査で100万人あたりでは日本の数十倍もの検査を行っている。新たな感染者が台湾では0になる日もあり、韓国でも1桁にまで下がっている。台湾では外出自粛は求めず、人々は普段と変わらない生活を送っている。努力すればコロナのほぼ完全なる封じ込めも可能で学校も再会可能だ。4月20日現在検査は1日2万件可能とされている。ドイツでは1週間で約50万件の検査を行っている。コロナを完全に閉じ込めるにはPCR検査数を増やすことが必須となる。

不自由な生活になるからホテルに隔離されるのはいやだと主張する感染者もいる。しかしそのような無責任な人達が街を歩き感染させ、結果として人を死に到らしめることになることもあり、これは重罪であり、殺人に準ずる行為であることを認識させるべきだ。死の恐怖に怯えながら必死で治療・看病をしている医師・看護師のことも考えるべきだ。また無責任な人達が無責任な行動をするために、長年守ってきた店が閉店に追い込まれ廃業・倒産し自殺をする人も多数いることを知って貰った方がよい。全国の学校が休校となり生徒達が学習の機会を奪われているのも自分たちのお陰だと認識すべきだ。台湾のように感染者などが街を歩いたら360万円の罰金を払わされるような法律をつくるとよい。

感染者とその濃厚接触者をすべて隔離したら、次は市中に隠れた感染者を探し出して隔離することだ。これができれば、外出禁止などの自粛は不要となる。これを手に入れることができるのなら50兆円も惜しくないはずだ。隠れた感染者を探し出すために重要なのは、感染者の感染経路を徹底的に調べることだ。保健所の職員が調べる程度ではとても間に合わない。もちろん感染者自身の協力も不可欠だが、記憶があいまいな場合もあるだろう。感染経路を調査するのは感染防止には決定的に重要になる。そのために絶対に必要なことはすべての感染者の名前と住所を公表することだ。戦後最大の国家の非常事態だからこの位のこと、許されて当然だ。そして全国の探偵事務所に業務委託し感染経路を調査して貰うとよい。1件につき100~500万円程度払うとしよう。5000人の感染者が対象とした場合は費用は100億円でよく、これなら安い。同時に感染者全員に個人情報を公開させてもらった代償として200万円を払う。これも100億円だから安い。

あるテレビ局の調査では「コロナ対策のためにプライバシー侵害も仕方が無い」という意見に賛成する人が89%いた。回復した後は「前科者」にはならない。我々が追放したいのは感染者ではなく、コロナである。感染者の感染ルートの情報から芋ずる式に感染者が分かる。軽症者をホテルで隔離することとすれば、医療崩壊は起こらない。

更に国民に感染経路の調査について協力をお願いするとよい。有力な情報を提供してくれた人には最高500万円払うと宣言すれば本気になって捜してくれる人は多数いるだろう。「〇〇さんは多分感染者だ」という密告に対しそれが重要な情報であれば最高500万円払う。支払いは全部で100億円程度。密告が横行する嫌な世の中になってしまうが、国民全員が一致団結して協力すれば、感染者全員をホテルで隔離できるから、ごく短時間で街からコロナ感染者が消え元の生活が戻る。ただし有力な情報を提供してもらった場合、情報の収集と分析は業務委託した探偵事務所が行うと良い。元の生活を取り戻すという共通の目的のために探偵事務所と国民が一体となって行動できるのではないか。

日本のコロナ対策は失敗続きだ。クルーズ船「ダイヤモンドプリンセス」でたった一人の下船した乗客が感染していたことが分かりこのクルーズ船は封鎖された。これは明かに失敗で、一旦全員を下船させいくつかのホテルに別れて隔離して暫く様子をみていたら、あのような大規模な感染は起きなかった。緊急事態宣言にしても補償なしの営業自粛要請は大半の日本人は反対している。100%の補償はできないにしても、できるだけのことはするという姿勢は見せて欲しかった。感染源になっている夜の繁華街が少しでも営業を続けていて、感染を広げていたら、他の大多数が店を閉めていたとしても、全体としては感染は広がる。ここは補償金、あるいは見舞金を払っても、半強制的に全店舗休業させてコロナ完全閉じ込めを目指すべきだ。国家の非常時に出来ないわけがない。

もしもコロナを早期に閉じ込めることに失敗したら悲惨な結果が待っている。来年のオリンピックまでに終息していなかったら、オリンピックは中止だろう。休業が続いたらおびただしいほどの企業が倒産し失業者は激増する。そして次のグラフで分かるように失業者が増えると自殺者も増える。その意味で多くの企業がバタバタ倒産するような状況は絶対に避けなければならない。

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もしかすると昭和恐慌並の大不況が来るかもしれない。昭和恐慌の際には失業者は250万人余りとされ、青森県だけで7083人の娘が芸娼妓(げいしょうぎ)に売られたとされている。一刻も早く全国民が力を合わせコロナを撃退したいものである。

 

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2020年4月18日 (土)

景気対策で労働分配率は下がる ・・・ NEEDSの結論(No.404)

未来社会は労働がAI/ロボットによって代替されると言われている。その時富はごく少数の資本家に集中し、一般国民との格差が広がる一方になる。次のグラフは主要国の労働分配率である。いずれも下がっている。これはAI/ロボットが徐々に導入され、労働者は弱い立場に追い込まれている事を示しているのだと思われる。資本家は労働者への支払いを減らしつつある。これにより資本家と労働者の格差は拡大する。

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政府が財政を拡大し景気刺激を行えば、財政支出はやがて労働者を豊かにすると思うかもしれない。そこで労働分配率をNEEDS日本経済モデルを使い計算してみた。労働分配率とは企業が稼いだカネのうちどれだけの割合で労働者に支払われたかを表すものである。これを計算するために我々は労働分配率を次の式で定義することにする。

労働分配率=雇用者報酬÷(雇用者報酬+法人税収+法人企業経常利益)

これを公共投資を増額して景気対策を行う場合に適用してみる。公共投資の増加額は0兆円、10兆円、20兆円、30兆円の3種類とする。

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これにより財政支出の額が増えるほど労働分配率は減っていくことが分かる。次に消費税率を下げて景気対策をする場合を考える。消費税率は10%、8%、5%、0%の4種類を計算してみた。
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この場合直接の財政支出はない。しかし消費税減税で減収になった税収は国債を発行することによって補うと考えて計算を行った。この国債発行の部分は財政の拡大と見なして考えると、ここでも財政を拡大すればするほど、労働分配率は下がることが分かり、公共投資の場合と同じ結果が得られた。

最後に現金給付の場合を考える。給付額は国民一人当たり0万円、20万円、40万円、80万円の4通りを考える。

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この場合も給付額が増えるにつれ労働分配率は減少していく。これら3種類の景気刺激策に共通に言えることは企業の経常利益が大きく増えても企業はそれほど雇用者報酬を増やさないことだ。余裕資金は国の内外への投資や内部留保などに使われていると思われる。これでは労働者と資本家の格差が拡大する一方だという懸念がある。しかしながら現金給付は国民一般に対する給付であるから、労働者vs資本家ということで考えれば給付金の大部分は資本家以外に行く。従って次の式で国民分配率を定義しよう。

国民分配率=(給付金+雇用者報酬)÷(雇用者報酬+法人税収+法人企業経常利益)

これは労働分配率より高い数字になるから資本家以外の人達にお金を渡す貴重な機会となる。究極的には資本主義が崩壊し解放主義へと移行するというのが筆者の考えである。詳しくは拙書を参考にして頂きたい。

『「資本主義社会」から「解放主義社会」へ』 小野盛司、三省堂書店(2019)

国民分配率の値は上の表で示した。給付金額を上げれば確実に分配率は上昇する。資本家vs資本家以外と考えた時、資本家以外にお金が渡らなければ消費は伸びず経済の発展は望めない。その意味で現金給付という方法は経済の正常な発展にとって極めて貴重である。2020年4月に政府は全国民に10万円を給付すると決定した。幸運だったのは、これが2020年度補正予算案の国会提出前夜だったから時間的に余裕がなかったことだ。もし時間的余裕があったなら、予算を組み直し、他の予算を大胆に削って10万円給付のための財源を確保しただろうが、今回そのための時間がなかったから、しかたなく赤字国債発行を増やす事で決着した。

この試算に協力して下さいました荒井潤氏と山下元氏に感謝いたします。
本試算では日経新聞社の承認を得てNEEDS日本経済モデルMACROQ79を使用しましたが、その推計結果に関しては日本経済新聞社が承認したものではありません。

 

 

 

 

 

 

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2020年4月17日 (金)

企業に賃上げをさせたら実質GDPは下がる ・・・ NEEDSの結論(No.403)

安倍首相は7年連続で経済界に賃上げを要請した。彼は賃上げが実現すれば消費が拡大し経済が発展すると思っているらしい。本当にそうなのかを確かめるために、日経NEEDS日本経済モデルを使って、一人当たりの雇用者報酬が10%増加するとどうなるかを計算し、増加させなかった場合と比べてみた。結果を下の表で示した。雇用者報酬を上げると安倍首相の期待通り、消費が伸び名目GDPが拡大した。しかしこれは物価の値上がりで打ち消され、実質GDPは逆に下がった。

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強引に給料を上げれば多くの国民は喜ぶのだが、それ以上に物価が上がれば嬉しくない。それに企業の経常利益は激減しているから会社には負担が大きい。その結果株は大きく下がり、地価も下落した。失業者は増え有効求人倍率は下がった。資産残高の合計は下がっている。

もちろん賃上げがいつも悪いことだということではない。しかし国が企業の経営に口出しすると失敗することが多い。そういう企業経営への危険な介入をするよりも、国が間違いなく発展する政策を行うべきだ。それを我々はいくつか提案した。
①全国民に現金を給付する
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2020/03/post-ea124f.html
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2020/04/post-23c24c.html
②減税をする
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2020/03/post-055de9.html
③公共投資などの財政出動
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2020/03/post-2ef90f.html

これらの政策は国民の一部の人達にとって利益だが、他の人達には不利益というのでなく全員に利益をもたらすものである。これは国と国民がカネを奪い合うのでなく、国が通貨発行権を行使しカネを作り出しそれを国民に与えるからである。デフレ脱却ができていない日本には経済を活性化するための特効薬になる。

この試算に協力して下さいました荒井潤氏と山下元氏に感謝いたします。
本試算では日経新聞社の承認を得てNEEDS日本経済モデルMACROQ79を使用しましたが、その推計結果に関しては日本経済新聞社が承認したものではありません。

 

 

 

 

 

 

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2020年4月14日 (火)

需要不足の時、生産性を上げようとしても逆効果 ・・・ 日経NEEDSの結論(No.402)

先日より日経新聞社のNEEDS日本経済モデルというソフトを使ってシミュレーションをしている。このモデルが扱っている変数の中に潜在GDPとか全要素生産性累積値というものがある。潜在GDPとは経済全体の供給力を表す推計値であり、その構成要素は資本と労働とTFPである。総需要がこれを超えればインフレになり、下回ればデフレになる。TFP(全要素生産性)は技術革新や構造改革などによる生産の効率化など生産効率を表す。政府はTFPさえ上昇させれば需要喚起の政策はしなくてもいくらでも経済は発展すると考えている。景気対策で国債を多く発行して借金を増やすといつかは返さなければならず、負担が増えるだけだから悪い政策だと考える。次のサイトにあるように内閣府のシミュレーションはこの政府の考えに忖度したものだ。
https://www5.cao.go.jp/keizai3/econome/ef2rrrrr-summary.pdf

このサイトの11頁に書かれていることは、TFPさえ伸ばせばGDPは大きく伸びるということ。実際毎年発表される内閣府の中長期見通しではTFPを大きく上昇することにして成長率を伸ばしている。TFPが上昇すれば供給力が拡大するが、総需要が一定という条件だから当然デフレが進み、物価は下落する。それなのに消費も住宅投資も設備投資も拡大するから一瞬理解に苦しむ。     

TFPを増やし、潜在GDPを増加させればGDPは拡大するのかを確かめるために日経NEEDS日本経済モデルを使ってみた。

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この表から分かるように、単に潜在GDPを増やしたらGDPは名目も実質も減少し消費も住宅投資も設備投資も減少してしまう。内閣府のモデルとは正反対だが、これは次のように説明できる。潜在GDPが増えるということは物余りの日本で生産力・供給力が増大するということ。今の日本はデフレから脱却できておらずGDPギャップはマイナスである。ここで生産力・供給力が増大するとGDPギャップが拡大し更に物余りになる。そこで企業間の競争が激しくなり、結果として企業の利益が減少しまう。企業物価指数が低下しデフレが悪化する。このようにデフレから脱却していない状況で単に生産力・供給力を上げるだけでは経済を改善しないし逆に悪化させるかもしれない。しかし例えば全国民に20万円を給付したらGDPギャップはプラスとなり消費者物価は上昇に転じる。そうすれば供給不足となるから潜在GDPを増加させることは経済を拡大するのに役立つ。

これと対照的に上記で紹介した内閣府のモデルではTFPを上昇させ潜在GDPを増やしたらGDPが名目も実質も増加する。だからNEEDSと正反対である。GDPギャップは拡大し、物価を押し下げる一方で消費、設備投資、住宅投資は拡大する。このことから判断して内閣府のモデルは供給不足・物不足でかなりのインフレが進行中の経済を想定していると思われる。物不足だから供給力が増せば物不足が解消されGDPは増大する。潜在GDPが増大すれば、高すぎるインフレ率を押し下げインフレを穏やかなものにする。結局内閣府のモデルではTFPを上昇さすことによって需要拡大をしなくても大幅にGDPを上昇させることができる。この方法で実質2%、名目3%という政府の願望である成長率を注文どおりに実現してみせる。「TFPがこれから急上昇する」と言えば、それはあり得ないと証明することは難しいから内閣府にとっては伝家の宝刀なのだろう。

結論から言えば内閣府のモデルは現在の日本経済にあてはめるのは無理だ。デフレ脱却ができていないのに、更にデフレを悪化させてよいわけがない。デフレを悪化させておきながら消費も設備投資も住宅投資もどんどん伸びていくというのは非現実的である。その意味で内閣府のモデルより日経NEEDSのほうが日本経済を正しく記述していると言える。

この試算に協力して下さいました荒井潤氏と山下元氏に感謝いたします。
本試算では日経新聞社の承認を得てNEEDS日本経済モデルMACROQ79を使用しましたが、その推計結果に関しては日本経済新聞社が承認したものではありません。

 

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2020年4月13日 (月)

全国民に一定額を給付したときの影響をNEEDS日本経済モデルを使って調べた(No.401)

「貯金に回るだけで効果がない。特別に買いたいものがないからお金は使われない」という説をNEEDS日本経済モデルが完全に否定する。
我々の提言は国民全員に20万円を給付せよということだ。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2020/03/post-ea124f.html
カネに困っていない人にまで配る必要はないとの主張もある。しかし誰がカネに困っていないかを調べる作業は大変であり、時間が掛かる。現在、緊急事態宣言で経済的に困っている人は多いのだから、緊急に現金を配布し、どうしても金持ちからの分は取り返したいのであれば、所得税や固定資産税を上げて取り返せば良い。むしろ問題は20万円を1回給付するだけで足りるのかということだ。
IMFは2020年は世界経済はマイナス3%成長で世界大恐慌以来の経済の悪化を予測している。日本は5.2%のマイナス成長が予想されている。ちなみにリーマン・ショック時には日本は4.2%のマイナス成長だったので、リーマン・ショック以上の打撃が考えられる。世界の指導者はこれに対して巨額の財政出動で対応するが、リーマン・ショックの時も、日本だけは巨額の財政出動はせず、結局経済の落ち込みは世界最悪レベルだった。麻生財務大臣も財政健全化目標は放棄しないと発言していることから、強力な財政出動は望めず、今回も世界最悪の大不況が日本にやってくると思わざるを得ない。それでも制限なしで10万円を国民に給付する案を安倍首相は考えているようであり、これがコロナ対策の第一歩になってくれることを期待する。

とは言え、10万円ではとても足りない。そこでNEEDS日本経済モデルを使って20万円給付と40万円給付と80万円給付の場合も調べてみた。
401_20200416104201 
この試算から分かることは、現在はGDPギャップはマイナスであり需要不足の状況にある。給付額を増やしていけばプラスに変わる。しかし物価が急上昇することはない。給付なしでは消費者物価指数は2020年の102.4から2021年には103.1に上昇するだけだが、80万円給付なら102.4から103.4に上昇する。物価はそれほど上がらないということだ。長期金利も0.13までしか上がらない。長い間デフレに苦しめられた日本だから余程巨額の財政出動をしなければインフレ率2%すら達成できない。この試算により、現金給付により問題は発生しないことが確認された。

経済効果があるのは明かだ。民間消費も住宅投資も民間節義投資も伸びる。株価も地価も上昇し、企業も利益も伸び、賃金も上昇する。国民にとってみれば給付金がもらえるだけでなく賃金も上がるのだから二重の喜びだ。輸入が拡大するから貿易相手国の米国なども喜ぶのは間違いない。
この表で分かるように家計も企業も資産残高を増やしており、例えば80万円給付の場合2年目には合計248兆円も増やしている。給付した総額は約200兆円だから、資産残高の伸びはこれより大きい。これらのことからも現金給付は貯蓄に回るだけで経済への効果は無いという主張が否定された。

この試算に協力して下さいました荒井潤氏と山下元氏に感謝いたします。
本試算では日経新聞社の承認を得てNEEDS日本経済モデルMACROQ79を使用しましたが、その推計結果に関しては日本経済新聞社が承認したものではありません。

 

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2020年4月 9日 (木)

為替の変動が及ぼす経済への影響(No.400)

今回は為替が及ぼす経済への影響を日経新聞社のNEEDS日本経済モデルを使って調べてみる。良く知られているように円安になればGDPが伸びる。このことを見るために1ドルが90円、110円、130円、150円の4通りの場合の名目GDPの推移を計算して下図で示した。この図で分かるように円安(対ドル円相場が上昇)になれば名目GDPは押し上げられる。円安ということは、海外から見れば日本製品の一斉値下げであり輸出が伸びる。日本人の賃金が下がるので安い労働力で製品を作れば国際競争力は上がる。ある意味日本を貧乏にすることに相当するとも言える。また輸入品は値上がりし日本の安い製品に対し競争力を失うので輸入は伸びなくなる。輸出が伸び輸入が抑えられると名目GDPは伸びる。

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2020年Q1からそれぞれの為替水準になった場合、2年後の2022年Q1では最大約40兆円もの差が生じてくる。以下のサイトでアベノミクスが始まって以来、原油の値下がりで日本の名目GDPは約20兆円押し上げられたことを示した。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2020/04/post-d7310a.html
下図のように民主党政権の末期に安倍氏が通貨発行による景気刺激策を唱え始めた頃1ドルは90円程度だったが、アベノミクスが始まった後は110~120円程度まで円安に動いた。ということは円安によって日本の名目GDPは15~20兆円押し上げられたはずである。安倍首相はアベノミクスでGDPが増加したことを自慢するがこの増加は原油価格の下落、円安、消費増税ですべて説明できるのである。しかしここに大きな落とし穴があることは、最後に述べる。

4002
次に実質GDPを示す。円安になれば輸入物価が上がり、その分を差し引くのだから円安による伸びは実質GDPでは名目GDPの伸びほど大きくはない。
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次に為替が変動したとき、様々な経済指標がどのような影響を受けるのかを1ドルが90円、110円、150円の3種類について調べたのが次の表である。

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消費者物価指数(CPI)は為替にはそれほど強く影響を受けるわけではない。1ドル=90円のとき101.8,110円のとき102.0,150円のとき103.6である。例えば1年に4回全国民に20万円を配ったとき(年間80万円を給付)対ドル円相場は2ポイント上昇しただけだった。これによる物価押し上げ効果は無視できるほどである。積極財政をすると円が暴落してハイパーインフレになると恐怖を煽る経済評論家がよくいる。その論理はこの試算によって完全に否定された。


次のグラフは名目GDPの推移である。2013年から始まったアベノミクスで名目GDPは順調に伸びているように見える。
                         出所:内閣府
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しかしながら名目GDPをドルで表示してグラフを描くと次のようになる。
                    出所:IMF
4006  

単位を百億US$で表したとき、アベノミクス直前の2012年には名目GDPは620もあったのに、アベノミクスが始まった後の2015年には名目GDPは438にまで下がっているのである。なんと名目GDPは30%も下がっているのに日本人は誰も気付いていない。アベノミクスの大失敗と言うべきだろう。円で表示した名目GDPは増加したが、それとまるで逆に減少したので驚くかもしれない。その仕組みは簡単だ。円高だった2012年には1ドルが79.8円だったが2015年には1ドルが121円の円安となった。円の価値が激減したのだから円表示の名目GDPはドル表示にすると下がる。

もちろん、円安は悪だと言うつもりはない。アベノミクスは原油の下落、円安、消費増税などに流されているだけだ。エンジンの壊れた小舟のようだ。諸外国はエンジンをふかしてどんどん追い越していくのになぜ日本だけがエンジンを止めているのか。エンジンとはもちろん財政の事だ。歳出をどれだけ拡大したかでGDP成長率が決まる。日本の歳出規模はほぼ30年前と同じだ。通貨は経済の血液であり、どれだけ多くの通貨を実体経済に流し込んだかでどれだけGDPが拡大するかが決まる。新しく流し込む通貨を成長通貨という。財政を拡大して経済を活性化する必要があったし、そうすれば円表示でもドル表示でも名目GDPは拡大し、それが経済発展を意味する。

この試算に協力して下さいました荒井潤氏と山下元氏に感謝いたします。
本試算では日経新聞社の承認を得てNEEDS日本経済モデルMACROQ79を使用しましたが、その推計結果に関しては日本経済新聞社が承認したものではありません。

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2020年4月 5日 (日)

原油価格の変動が及ぼす経済への影響とアベノミクスの失敗(No.399)

アベノミクスは安倍首相の自慢の経済政策であり、GDPが伸びたことをいつも自慢する。しかし経済を理解していれば、彼の主張が欺瞞的だということが分かる。第一のポイントは原油輸入価格との関連である。日本は原油を輸入に頼っている。原油輸入価格はアベノミクスが始まってから1バレルが110ドルから40ドル台にまで下がっている。

                      出所:Global note
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GDPは輸出が増えれば増加し、輸入が増えれば減少するようになっている。輸入価格が下がれば輸入量は変わらなくても輸入額が減り、減った分だけGDPが増える。輸入価格は安倍さんが努力して下げたのではないから「運が良かった」のである。ではどれだけGDPを押し上げたのだろう。日経NEEDS日本経済モデルを使って計算した結果を下図に示す。これより約20兆円程度、つまり4%程度GDPは「努力しなくても」押し上げられた事が分かる。

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次の表で原油価格の下落でどの程度様々な経済指標が影響を受けるかを示した。

3993

原油価格が下落するとGDPを押し上げるだけでなく輸出が増え輸入が減り、経常収支が改善し企業の利益が増大失業率が低下し物価は下がり株は上がる。日本にとっては有り難いがアメリカ、ロシア、サウジアラビアなどの産油国は困る。

 

アベノミクスで本当に日本経済は発展したのだろうか。原油価格の下落で日本経済にとっては追い風が吹いていた。上記で示したようにこの追い風でGDPは約20兆円押し上げられた。更に消費増税でGDPは少なくとも10兆円のゲタをはいたが逆に国民にとっては迷惑なゲタである。2014年度から2018年度の名目GDPは43兆円拡大したがそのうち30兆円は原油価格の下落による押し上げと消費増税によるゲタでありこれを差し引くと13兆円しか残らない。2019年度と2020年度は実質成長率がマイナスになりそうであり、名目成長率が僅かにプラスになったとしても、それは消費増税でゲタをはかされただけのことであり、国民には大変迷惑なことである。

日本の経済成長率は先進国の中では最低であるのだが、詳しく見るとここで述べたように内容は更に悪い。これは他民族に比べ日本人が劣るというわけではなく、アベノミクスの経済政策が悪いということだけである。我々が提唱する具体的な積極財政の中身については次のサイトを参照して頂きたい。

http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2020/03/post-ff9381.html

この試算に協力して下さいました荒井潤氏と山下元氏に感謝いたします。
本試算では日経新聞社の承認を得てNEEDS日本経済モデルMACROQ79を使用しましたが、その推計結果に関しては日本経済新聞社が承認したものではありません。

 

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2020年4月 3日 (金)

「営業を自粛せよ」「首を吊ることになります」「財政が厳しいから仕方ない」(No.398)

日本政府がここまで冷たいとは思わなかった。新型コロナウイルス感染を防ぐためカラオケ、ライブハウス、バー、ナイトクラブなど夜の繁華街の自粛を要請した。しかし安倍首相は保障に関しては非常に後ろ向きだ。一方世界各国は保障に積極的である。ドイツは自営業者に3ヶ月で最大約108万円、フランスは休業する労働者の賃金を100%保障し、小規模事業者やフリーランスにも第一弾として最大約18万円を支給、イタリアやスイスでも一定額を支給するそうだ。イギリスは33万円を上限に、賃金の8割を休業補償。香港は18歳以上の全国民に14万円を支給する。一方で日本はなんとマスク2枚、これはエイプリルフールかと世界の笑いものになっている。

リーマン・ショック後の「定額給付金」では、全国民に1万2000円を配布したが、これは評判が悪かったとして、今回は全国民に現金を配布することはしないのだそうだ。景気が悪化すると経済生活問題が原因の自殺者が激増する。消費税が導入された1989年は1396人だったが、消費税が3%から5%に引き上げられた頃から自殺者は激増し、安倍晋三氏が自民党幹事長だった2003年には8897人もの人が経済生活問題で自殺している。これは当時首相だった小泉氏に加え重要ポストを担っていた安倍氏にも責任がある。経済生活問題が原因の自殺者が7倍にも膨れあがったのだから経済政策の失敗が原因だということは疑いもない。

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安倍首相にお願いしたい。二度と過ちを繰り返さないようにと。尊い命を大切にして欲しい。一家の大黒柱が自殺してしまったとき残された家族の苦しみはどれほどか理解しておられるのだろうか。何の保障もなく自粛させられたら、生活の基盤を失い自殺するしかない。きちんと保障してもらえなかったら経営者としては、自粛などできず営業を継続するしかないし、そうしたら感染爆発を誘発し多数の国民の命を奪ってしまう。

それでも安倍首相は言うのかもしれない。財政が厳しいから仕方が無いのだと。安倍首相に是非知って頂きたい。日本の財政は全く厳しくないということを。国債を発行しそれを財源に国民に現金を支給しても消費税率を0%にしても公共投資をしても、経済を支えることが出来、また多数の国民の命を救うことができる。過度のインフレも国債暴落もないことが計量経済学に基づいたシミュレーションでしっかり証明されている。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2020/03/post-19526a.html

コロナウイルスが引き起こすデフレから国の経済を救うことができる。増発された国債は何の問題も引き起こさない。将来更に必要になればいくらでも追加発行できるし、償還時期がきてもいくらでも繰り延べが可能だ。もちろん社会保障の財源として使うことも可能だから社会保障制度は守られる。緊縮財政で国の経済が弱体化したら社会保障精度は崩壊する。逆に積極財政で経済が発展すれば社会保障制度はしっかり守られる。円の信認は失われないことはシミュレーションで証明済みだ。

 

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2020年4月 2日 (木)

株価の変動が及ぼす経済への影響(No.397)

株式投資には様々な目的がある。今は使わないが、現金で持っていても増えないし、インフレが起きれば目減りするから運用して増やしたい。増えたらマイホームを買ったり、老後の生活費のためなどに使ったりすると考える。あるいは会社の社内留保を株の形で保有することもある。株が上がれば、所有者は取り崩して様々な目的に使うことも出来、それが経済を成長させる。それがどの程度かを日経のNEEDS日本経済モデルを使って計算してみた。
2020Q1(2020年第一四半期)において日経平均株価が約24000円であったとする。実際はその後コロナ騒動で株価は急落したが、急落前の経済状況をベースラインとして使う。計算は次の4種類とする。各ケースでは計算した期間中は一定の株価引き下げあるいは押し上げ圧力が掛かり続けるとする。
株価24000というのがベースラインである。
株価19000はベースラインに売り圧力がかかり5000円だけ下がった株価が続く場合。
株価29000は買い圧力のためベースラインより5000円だけ高い株価が続く場合。
株価44000は買い圧力のためベースラインより20000円だけ高い株価が続く場合である。

日銀がETFを年間12兆円買うと株価が1000円押し上げられるという識者の予測もあるが、押し上げ効果はどの程度か正確に分かっているわけではない。日経平均は1989年に38915円という最高値を付けた後3万円以上下落した。凄まじい売り圧力があったためだが、株価自身が経済の足を引っ張っていたこともあり、政府が景気対策を行っても簡単には景気は浮揚しなかった。今回の計算結果は株価がどの程度景気の足を引っ張るのか、あるいは景気を浮揚させるのかの目安になると考える。次のグラフは名目GDPの推移である。

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株価が成長率に影響を与えるのは明かだが、2年以内にGDPを600兆円以上にしようとするなら株価は40000円を超えなければならない。もちろん、財政出動の方がGDPをはるかに強力に押し上げることができることはすでに述べた。次のグラフはインフレの影響を除いた実質GDPである。

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株価というもの、経済環境によって大きく変動していく。かつては土地神話というものがあり、土地は果てしなく値上がりし、それと共に株も果てしなく値上がりすると多くの人が信じ投資が行きすぎたため、土地や株は異常な値上がりをした。1980年代の終わりの頃だ。銀行も低金利で積極的に融資をした。世界中から資金が日本に流れ込み、株価は38,915円の最高値をつけた。その後1989年からバブル潰しが始まり、株安、債券安、円安となり資金は国外へ逃げていった。バブル後最安値は2009年3月10日の7,054円であった。このように株価は大きく動いた。株価を引き上げることは景気回復に貢献するが、日銀の行う年間12兆円程度のETF買い入れでは効果は少ない。株価が経済にどのような影響を与えるのかは次の表で見ることができる。

3973

結論から言えば、株価が経済に与える影響はそれほど大きくはないが無視もできない。投資家・国民がこれから日本は発展しそうだと判断すれば株価は上がるが、そうでなければ下がる。その意味で政府の考えによって株価は強く影響されると言える。経済発展も株価によって影響を受ける。第2次安倍内閣は金融政策によって株価をつり上げれば、消費増税による景気悪化を克服できると見誤ったのだと思う。ちゃんとこのような試算を理解して何が間違いだったのかを理解して頂きたい。

この試算に協力して下さいました荒井潤氏と山下元氏に感謝いたします。
本試算では日経新聞社の承認を得てNEEDS日本経済モデルMACROQ79を使用しましたが、その推計結果に関しては日本経済新聞社が承認したものではありません。

 

 

 

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2020年4月 1日 (水)

消費減税、所得税減税、法人税減税の比較(No.396)

消費税、所得税、法人税をそれぞれ10兆円減税するという3つのケースの場合、それぞれの実質GDPはどうなるかを日経NEEDS日本経済モデルを使って計算し比べた。ただし、消費税に関しては税率を6.3%にして、ほぼ10兆円の減税を実現した。結果を次のグラフで示した。

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これで分かるように、消費税減税が実質GDPを伸ばすのに、最も効率的であることが分かった。ただし、消費増税の消費への影響は欧州に比べ大きいと言われている。
https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3042
マスコミが過剰に煽っているのかもしれない。欧州のように例えば商品によって増税の時期をずらし、いつの間にか増税になってたというような増税方法であったなら、インパクトは少なかったのかもしれない。逆に消費税減税が実現したとき、マスコミがどのように報道するかによってはここに示した結果に影響が出る可能性もある。
次のグラフは10兆円の減税(2.5兆円の減税を年4回に分けて行う)を行ったとき、税収合計がどのようになるのかを示した。例えば消費減税を行えば、消費は押し上げられるために、法人税や所得税などは税収が増える。だから税収合計が10兆円減少するとは限らない。実際計算してみると約9兆円の税収減になることがわかる。
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この試算に協力して下さいました荒井潤氏と山下元氏に感謝いたします。
本試算では日経新聞社の承認を得てNEEDS日本経済モデルMACROQ79を使用しましたが、その推計結果に関しては日本経済新聞社が承認したものではありません。

 

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